【文徒】2015年(平成27)5月8日(第3巻84号・通巻529号)

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1)【記事】DMMグループについて
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】DMMグループについて

この記事の「取材・文」を担当するのは「夢野京太郎」を騙る人物だ。恐らく竹中労に憧れているのだろう。そう「夢野京太郎」は竹中労が名乗っていた名前である。竹中は夢野名義で「世界赤軍 夢野京太郎小説集」や「浪人街/天明餓鬼草紙 夢野京太郎のシナリオ」を刊行している。「世界赤軍 夢野京太郎小説集」の版元は創価学会系の潮出版社であった。
http://dmm-news.com/article/958237/
この記事を配信しているのは「DMMニュース」。アダルトビデオを柱に売上高1000億円を突破し、「グループ従業員は1000人を突破。一昨年、主要各社の純利益は合計で100億円を超えた」と言われているDMMグループのニュースサイトである。
FX取引のDMM.com証券も、このグループに属する。ビートたけしや元プロ野球選手の清原和博をテレビCMで起用しているし、開発費の140倍に相当する70億円の売上高を稼ぎ出したと言われている「艦これ」もDMMグループからKADOKAWAとの共同事業で生まれた大ヒット作である。
最近では太陽光発電、格安オンライン英会話教室、3Dプリンターの利用サービスにも進出している。このDMMグループを率いるのは会長の亀山敬司だ。最近まで(昨年暮れの日経系メディアや、やまもといちろうとの対談登場などまで)素顔をほとんど晒したことのない「異形の経営者」として知られる。何しろ同社のウエブサイトに亀山の名前はないのである。石川県出身。
http://labo.dmm.com/about/
そんな亀山の素顔に「東洋経済オンライン」が迫っている。
http://toyokeizai.net/articles/-/68364
http://toyokeizai.net/articles/-/68371

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2)【本日の一行情報】

集英社から「学生のための新しいマンガ賞」を謳う「マーガレットMANGAスカラーシップ.」が誕生した。
http://margaret.shueisha.co.jp/scholarship/index.html

カルチュア・コンビニエンス・クラブが運営する「梅田 蔦屋書店」。代官山、函館、武雄、幕張に次いで5店目になるが、「蔦屋書店」が志向するのはハイエンドな兼業書店であろう。品揃えを武器にしないということだ。
梅田で競合するMARUZEN&ジュンク堂の200万冊という品揃えに対して、こちらは20万冊。文具や情報家電を販売し、「店内には1周約155メートルの楕円形の本棚を配し、カフェを含め約500席を用意。カフェで注文したコーヒーやワイン、パスタなどを楽しみながら本を読める。靴磨きなどの店舗もある」(産経WEST)ということだ。
http://www.sankei.com/west/news/150504/wst1505040056-n1.html
「梅田 蔦屋書店」の空間コンセプトは「1000坪のカフェ」なのだそうだ。専業書店は、間違いなくお客を奪われよう。360°カメラ「THETA」を使って店内を紹介している。
http://top.tsite.jp/news/i/23756404/

◎5月11日発売の「週刊少年ジャンプ」(集英社)から「背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜」の連載が始まった横田卓馬は、ウエブサイト「第四十工房」で「痴漢男」「オナニーマスター黒沢」を発表し話題となったYOKOである。
http://matome.naver.jp/odai/2143061197879282501

朝日新聞によれば「調査会社データニュースの局別録画数ランキングでは、昨年1位はフジ、日テレは2位」なのだそうだ。「フジは録画されやすいドラマを多く放送しているため、上位に入りやすい」なんだって!しかし、テレビ業界はフジテレビも含めて録画再生率導入には慎重な姿勢を崩さない。
〈もし録画再生率を視聴率に加算できれば、テレビ局はCM料金の値上げを狙える。しかし、そのためには「CMがどれだけスキップされずに見られたか」というデータの開示が不可欠だ。民放関係者は「スポンサーは『ではリアルタイムのCMは実際どれだけ見られているのか』と言い出し、値上げを渋るだろう。ヤブ蛇になるのが怖いから、各局とも録画再生率に慎重にならざるを得ない」と明かす〉
http://www.asahi.com/articles/ASH3Z5S6WH3ZUCVL01W.html

◎ブログ「天狼院通信」が「本屋だけど紙の本を絶滅させる方法を真剣に考えてみた。」という刺激的なタイトルを持つ記事をアップしている。次のようなくだりは私も同感である。
「つまり、ネットの世界においては、本はパッケージである必要がない。我々が読む、ダイヤモンド・オンラインや東洋経済オンラインや日経ビジネスオンラインや現代ビジネスのひとつの記事は、すでに広義の意味での、本質的な意味での『電子書籍』なのである。そう、すでに、我々が気づかない間に『電子書籍』革命は成就していたのだ。紙の本ではできないことを、それらはもうすでに成し遂げている」
http://tenro-in.com/tsushin/11006

◎「東洋経済オンライン」が集英社の雑誌「LEE」のイベント「暮らしのデザインカレッジ 子育てセミナー『子どものやる気の伸ばし方』」でモデルAYUMIの悩みに、育児教育ジャーナリストのおおたとしまさが答えるトークイベントの模様をレポートしている。
http://toyokeizai.net/articles/-/67928

◎水島宏明が次のように指摘している。週刊誌をはじめとした出版社系ジャーナリズムの役割がますます重要になってくることは間違いない。
「すべてのニュース報道に関して、毎回毎回『多様な意見を吸い上げ』ていたら、その内容は『マイルドブレンド化』する。まるで金太郎アメのように、どの新聞社もテレビ局も似たような紙面、番組内容にしかならないだろう」
http://toyokeizai.net/articles/-/68774

◎「週刊新潮」は勝谷誠彦にコメントを求めるが、古巣の「週刊文春」は求めて来ないそうだ。ゲストは、やはり文藝春秋OBの花田紀凱である。勝谷は日本で最も熱心な朝日新聞読者なんだよね。
https://www.youtube.com/watch?v=SNvbk6oqV28

文藝春秋で社長、会長をつとめた白石勝が白血病のため死去した。「週刊文春」編集長時代に「疑惑の銃弾」、「文藝春秋」編集長時代に「昭和天皇独白録」のスクープを手がけた。田中健五編集長時代の「文藝春秋」で田中金脈を担当したのも白石であった。
http://www.sankei.com/life/news/150507/lif1505070010-n1.html
白石が社長に就任しなければ、次期社長は上野徹にバトンタッチされなかったろうし、上野が社長に就任したことで平尾隆弘社長が誕生した。

◎「ウォールストリート・ジャーナル」や「ニューヨーク・ポスト」などを擁する、ルパート・マードック率いる米メディア大手ニューズ・コーポレーションの2015年1~3月期決算は、売上高は1%減の20億6200万ドル(約2470億円)、純利益が前年同期比52%減の2300万ドル(約28億円)。利益減の要因は新聞広告収入の減少。書籍出版部門が14%伸びたのは、ハーレクイン・エンタープライゼスの買収によるもの。
http://www.sankei.com/economy/news/150506/ecn1505060010-n1.html
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NNWILW6K50XZ01.html

◎元NHKアナウンサーの堀潤らが取り組んでいる「みんなの戦争証言アーカイブス」。これは良い仕事だ。本としてもまとめてもらいたいなあ。
http://true-stories.jp/
堀は「VERY」に「区切りなき支援のカタチ」を連載しているし、「アンアン」でも「堀潤の社会のじかん」の連載を開始した。さしずめポスト池上彰といった存在か。堀は見かけによらず硬派である。NHKって人材が豊富なんだよねぇ。

◎昨秋、実施された「カドカワ祭り」のKindle本セールで「鹿の王」上下セットが285円で売られていた!私にはKADOKAWAのミスとは思えない。価格が読者にどれほどインパクトを与えるのかを確かめるための確信犯ではなかったのだろうか?
http://www.cyzowoman.com/2015/05/post_15837.html

◎創刊は1946年だという「別冊文藝春秋」が紙版をやめ電子化、その第1号がリリースされた。5月8〜14日の7日間、通常価格800円を650円の特別価格となる。文芸誌は次々に電子化されるのではないだろうか。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/3651

奥泉光の「夏目漱石、読んじゃえば?」(河出書房新社)の評判が良い。5月13日(水)には東京堂書店で「奥泉光×いとうせいこう漱石語り」が開催される。
http://www.tbsradio.jp/ss954/2015/05/20150504session.html

◎5月5日にオープンした「森岡書店銀座店」は「一冊の本を売る書店」である。場所は名取洋之助が主催していた「日本工房」が入っていた鈴木ビル一階だ。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-05-07/moriokashoten-ginza/
最初に選ばれたのは沖潤子の「PUNK」である。
http://woky-shoten.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-aa91.html
版元は文藝春秋だ。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901824

佐藤秀峰の佐藤漫画製作所の売上は2013年が7202万5604円を売り、2014年は4080万8568円だったそうだ。
http://yukan-news.ameba.jp/20150506-40/

電通の海外子会社「電通スポーツLLC」は、米国のスポーツエージェンシー「アスリーツ・ファースト社」の持分33.3%を取得することになった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0507-004042.html

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3)【深夜の誌人語録】

誰かが理解してくれることはあっても、みんなが理解してくれるということは、まずあり得ないし、みんなが理解してくれるようなことは疑ってかかったほうが良いだろう。