【文徒】2015年(平成27)5月11日(第3巻85号・通巻530号)

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1)【記事】出版社のカタチが変わろうとしている
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版社のカタチが変わろうとしている

寺島情報企画と言っても出版業界では馴染みが薄いかもしれない。月刊の音楽情報誌「DTMマガジン」を刊行している。デスクトップミュージック(DTM)のソフトウェアや作曲者を専門に取り扱う、こんな雑誌である。
http://www.dtmm.co.jp/
「APPREVIEW」というサイトも開設している。
http://app-review.jp/
「モテ子BEAUTY」などのアプリも配信している。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.tjkapp.moteko3&feature=more_from_developer#?t=W251bGwsMSwxLDEwMiwianAudGprYXBwLm1vdGVrbzMiXQ
キャリア公式サイトを運営する「公式サイト事業」も手がけていれば、「アドフリくん」による広告収益を最大化するSSPツールによる「広告事業」も手がけている。「アドフリくん」は、複数のアドネットワーク事業者を一括管理し、広告収益の最大化を支援するSSPである。
http://tjk-inc.jp/
「Creative Edge School Books」は電子書籍をメインとした境祐司による「ひとり出版社」だそうだ。
http://design-zero.tv/school/booklist/
日本電子出版協会セミナー「境祐司:電子書籍が順調に売れ始めた理由」を6月5日に開催する。
http://www.jepa.or.jp/seminar
フェイスブックでも「電子書籍メディア論」を公開中だ。
https://www.facebook.com/eBookStrategy
ひとり電子出版社は増えるかもしれない。出版社を定年してから始めるも良し、リストラされて始めるも良しだ。
問題なのは寺島情報企画やCreative Edge School Booksがビジネスとして成功しているかどうかではない。問題なのは出版社のカタチが「裾野」から変わろうとしているということだ。そうした兆候はいたるところで起きている。そうしたなか「頂点」に立つ出版社も舵を切らないわけにはいくまい。
雑誌に取り組むとしても、雑誌を中心にではなく、デジタルを中心に置いたビジネスモデルの構築を急がねばなるまい。同時に重厚長大な編集部は本当に必要なのかという問いを自らに発するべきである。

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2)【本日の一行情報】

◎これは書店についても当てはまる。「街の書店」が地域に根差しているというのであれば、出版コンシェルジュがその地域の一軒一軒を回って「御用聞き」をすれば良いのだ。店頭で待っているだけでは、出版物は売れない時代である。外商によって読者を「創造」するのだ。
「私は、デジタルを使い、ローコストで百貨店の顧客全員に特別な体験をしてもらう『顧客の全員外商化戦略』こそ、百貨店がスーパーや書店などと差別化し得る百貨店復活の『スイッチ』だと思う」
http://diamond.jp/articles/-/70849

◎「本の粗製濫造はやめて欲しい。読者からすれば、業界関係者が叫ぶ『文化を守ろう』とか『読書推進』が薄っぺらいものに感じてしまう」って本当にその通りだと思う。このブロガーはダイヤモンド社の取り組みを絶賛している。こういうブログにちゃんと応答したほうが良いと思う。版元から読者に寄り添っていく姿勢が問われているはずだ。
http://nrmht.seesaa.net/article/418514447.html

◎そうか!先鞭をつけたのは徳間書店だったのか。
乃木坂46のスタイリッシュなイメージを補強した要因のひとつに、白石が2012年からモデルを務める『LARME』と同じ徳間書店から刊行されている『OVERTURE』の存在がある。「アイドル×ファッション」をコンセプトにした同誌は昨年10月刊行の創刊号で乃木坂46を大きくフィーチャーして話題となったが、今年3月刊行の第2号でも再び乃木坂46を中心に据えた構成をとっている」
http://realsound.jp/2015/05/post-3164.html

◎インドのモディ首相のツイッターアカウントには1200万人を超えるフォロワーがいる。これってオバマ米大統領に次ぐ世界で2番目なんだそうである。
http://jp.wsj.com/articles/SB10164193758919163512104580625712287189750

ボルボ・カー・ジャパンは、「V40」シリーズに集英社女性誌「LEE」とのタイアップ企画から生まれた特別仕様車「V40 五明祐子セレクション」を設定、50台限定で、Webのみで販売している。
http://response.jp/article/2015/05/07/250619.html
http://autoc-one.jp/news/2177989/

◎NMB48の山本彩が、7日発売の雑誌「Tarzan」(マガジンハウス)の特別付録ポスターで、美しい腹筋姿を披露している。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/05/07/kiji/K20150507010303710.html

◎会ったことはないが「ちくさ正文館本店」(名古屋)の古田一晴店長はインタビューをしたい書店人の一人である。
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150507org00m040005000c.html

有隣堂ルミネ横浜店は「ルミネカードのご利用で、書籍も雑誌も文具も雑貨も、クレジットカードで買えるすべての商品が10%OFF!!」だそうだ。再販制は小売りによって骨抜きにされてしまうのだろうか。
https://twitter.com/yurindo_luminey/status/596479869401178112

又吉直樹につづいてマキタスポーツこと槙田雄司が「文學界」で「雌伏三十年」の連載を開始した。
http://www.bunshun.co.jp/mag/bungakukai/

◎ニュースアプリ「SmartNews」で、「文藝春秋」チャンネルが開設された。 「文藝春秋」チャンネルに含まれる媒体は、「Number Web」「CREA WEB」「週刊文春WEB」「文藝春秋WEB」「本の話WEB」の5媒体。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000007945.html

朝日新聞社は、受験勉強などを支援するスマホ向けアプリを開発するベンチャー企業スタディプラス」と業務・資本提携した。スタディプラスは、フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合朝日新聞社より、1億8500万円の資金調達を実現した。
http://info.studyplus.jp/press/20150508/press_release.pdf

幻冬舎文庫がキャラノベこと「キャラクターノベル」を5月と11月の年2回、刊行することになった。5月は6作品を揃えて「あなたの退屈、解決します。」をキャッチフレーズに「幻冬舎文庫のキャラクターノベル」フェアを開催している。
http://ddnavi.com/news/237559/
「キャラクターノベル」とは、読みやすい文体や言葉遣いで書かれ、舞台や人物がマンガのように設定がベタで、登場人物のキャラも立っている分かりやすく、読みやすいエンターテインメント小説を指し、東川篤哉謎解きはディナーのあとで」や三上延ビブリア古書堂の事件手帖」、有川浩「三匹のおっさん」などが代表作である。
大橋崇行の「ライトノベルから見た少女/少年小説史: 現代日本の物語文化を見直すために」(笠間書院)でも読んでおかないと時代に乗り遅れてしまうのかもしれない。大橋は辰巳出版が2月に創刊したライト文芸レーベル「T-LINEノベルズ」の監修をつとめている。
http://ddnavi.com/news/237456/
大橋は言文一致体の先駆者と言われている「武蔵野」の山田美妙の研究者なんだよね。

◎通称「俺ガイル」で知られているアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」と千葉モノレールがコラボして、ラッピングモノレールを運行し、オリジナルグッズを販売している。原作は周知のように小学館ガガガ文庫から刊行されている渡航ライトノベルである。6月にはプロ野球千葉ロッテマリーンズともコラボするそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1505/07/news138.html

池山田剛のマンガ「小林が可愛すぎてツライっ!!」は、村上アンズによってすでに小説化されているが、今度はニンテンドー3DS向けにゲーム化される。タイトルは、「小林が可愛すぎてツライっ!!ゲームでもキュン萌えMAXが止まらないっ(*´ェ`*)」に決定。8月27日にリリースされる。この作品も通称「こばかわ」と呼ばれている。
http://natalie.mu/comic/news/146437

金沢21世紀美術館近くに書店兼ギャラリー「Books under Hotchkiss」がオープンした。
「『ギャラリーと本屋をかけ算したような空間』をコンセプトに、ギャラリーには期間を決め1組のアーティストの作品を展示。本屋にはそのアーティストが影響を受けた写真集や小説などの展示、販売を行う」
運営するのは電通出身のアートディレクター水口克夫が社長をつとめる「Hotchkiss」(ホッチキス)だ。水口は金沢市の出身。
http://kanazawa.keizai.biz/headline/2439/
従来の書店では思いもつかなかったような発想で様々な「兼業書店」が生まれている。とても良い傾向である。

文藝春秋がLINEにスタンプをリリースする時代だ!「別冊文藝春秋」のマスコット・キャラクターであるハリネズミの「つんつん」のLINEスタンプ(有料)をリリースしたって!
http://news.livedoor.com/article/detail/10088387/

白泉社の「メロディ」に連載された清水玲子のミステリー漫画「秘密 THE TOP SECRET」が、「るろうに剣心」の大友啓史監督により映画化される。
http://www.hakusensha.co.jp/himitsu-eiga/

ソフトバンクヤマダ電機と資本業務提携に関する契約を締結。
http://www.softbank.jp/corp/news/press/sb/2015/20150507_01/

GO-BANG’S森若香織学研パブリッシングから初の小説「妖精頭脳」を刊行。アルバム「FIARY BRAIN」は「妖精頭脳」のサウンドトラックというコンセプトなのだそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000124.000007512.html

北海道新聞社の社員二人が嘱託看護師に「愛人になれ」と言って体を触ったとして看護師の両親が暴行と北海道迷惑行為防止条例違反などの容疑で告訴した。看護師は2月21日に函館市の自宅が火事になり、助け出されたが搬送先の病院で亡くなったそうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASH575RDJH57IIPE01W.html

◎ブックビヨンドは、6月8日(月)までの期間限定で、電子雑誌のバックナンバーを100円で販売する「学研バックナンバーALL 100円!!キャンペーン」を実施している。
http://www.zasshi-online.com/content/campaign/gakken/201505/

◎電子雑誌の読み放題サービス。ラインナップは「dマガジン」が最も充実している。これにビューン、U-NEXT、オプティムがつづく。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1505/08/news076.html

トーハンは、MVPブランド「GO!プリンセスプリキュア」として新たに「キラキラリズムあそび」「くみたて立体ぬりえ」2点の販売を開始した。
http://www.tohan.jp/news/20150507_513.html

◎朝の読書推進協議会(理事長 大塚笑子/事務局 株式会社トーハン 広報室)による「朝の読書」実践校の平成26年度人気の本。
小学校は1位「かいけつゾロリ」(ポプラ社)、2位「科学漫画サバイバルシリーズ」(朝日新聞出版)、3位「学研まんが新ひみつシリーズ」。
中学校は1位「空想科学読本」(KADOKAWA)、2位「図書館戦争シリーズ」(KADOKAWA)、3位「『ぼくら』シリーズ」(KADOKAWA、ポプラ社)。
高校は1位「図書館戦争シリーズ」(KADOKAWA)、2位「ソードアート・オンライン」(KADOKAWA)、3位「村上海賊の娘」(新潮社)。
中高ともにKADOKAWAが強い。中学で10冊、高校で12冊とベスト20の過半を占めている。
http://www.tohan.jp/news/upload_pdf/H26_asadoku-best.pdf

池内恵フェイスブックで「想像の共同体: ナショナリズムの起源と流行」のベネディクト・アンダーソンが今から10年前に初めて韓国を訪問した際に中央日報で次のように発言していたことを知った。
「 日本は、帝国主義期の加害行為について、韓中に謝罪したほうがいい。そして、韓国も中国も別のことを謝罪すべきだ。中国は、大凶作と文化革命で中国人を大量に殺したことを謝罪すべきだ。韓国は、ベトナム戦争で犯したことについて謝罪したことがあるのか?人を殺したという点で、その主体が政府だろうが他国の軍隊だろうが同じだ」
http://japanese.joins.com/article/954/62954.html?sectcode&servcode=200

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3)【深夜の誌人語録】

酒精代は浪費ではなく投資と思え!