【文徒】2016年(平成28)6月14日(第4巻109号・通巻796号)

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1)【記事】書店の閉店がつづく
2)【記事】有田芳生の記事に「救う会」が猛反発
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.6.14.Shuppanjin

1)【記事】書店の閉店がつづく

高島平南天堂駅前本店が6月30日をもって閉店。NET21恭文堂コミッククラフト店が次のようにツイートしている。私は先代の社長から、いろいろなことを学んだ。その頃は栗田の帳合だったんだよね。栗田の担当者も交えてカラオケに行ったこともある。白山の南天堂から暖簾分けした書店であった。私にとっては語りだすと止まらなくなるくらい思い入れの深い書店のひとつである。
「高島平南天堂今月で閉店のニュースが。このお店は高校近くだったので参考書買ったりしていましたね。これで(自分が)小・中・高と通っていた書店はみんななくなってしまうようです」
https://twitter.com/comiccraft/status/740097224982437890
文苑堂書店熊野店(富山県高岡市)が6月19日をもって閉店。
http://www.bunendo.com/book/shop/27.html
ブックスフォルテ(大阪府大東市野崎)が6月10日をもって閉店。
http://daitoshijonawate.goguynet.jp/2016/06/12/booksforteheiten/
宮脇書店那覇国際通り店が7月31日をもって閉店。
「やはり7月31日で閉店のようです、レジのところに告知あり」
https://twitter.com/0shun/status/741157772247597056
宮脇書店東淀川店も6月30日をもって閉店。昨年来、宮脇書店が次々に閉店している。
「まぁ、とうとう一番お世話になったであろう宮脇書店(東淀川店)が今月末で閉店すると知った時は本気で悲しい気持ちに襲われた…」
https://twitter.com/117Prompt/status/741688431953072128
ブックマート柿村書店(新潟県上越市)が7月31日をもって閉店。
「教科書販売を含む学校関係、外商、上教大の売店は継続するものの、1893年明治26年)4月の創業から120年以上続いてきた『町の本屋さん』が、直江津地区から姿を消す」
https://www.joetsutj.com/articles/70359892
ブックセンタージャスト江津店(島根県)が6月12日をもって閉店。
「営業最終日。今日で閉店です。私の心のよりどころがひとつ、減ります。さみしい」
https://twitter.com/xgma1980/status/741881652767514624

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2)【記事】有田芳生の記事に「救う会」が猛反発

6月9日発売「週刊文春」は「横田滋・早紀江夫妻に孫娘ウンギョンさんが初告白」と題する有田芳生の署名記事とグラビアを掲載した。これについて「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」は、6月9日付「救う会全国協議会ニュース」で「『写真は横田家から1枚も何処にも出していません』横田夫妻から連絡」を掲載し、次のような横田夫妻の「皆様へ」と題した文章を公開している。
「この度の週刊文春に掲載の孫たちとの写真は、横田家から提出してお願いをしたものではありません。
有田氏が持参なさり、『掲載する写真はこれです』と出されたものです。
私達は、孫との対面時、孫から写真を外に出さないでほしいと約束していましたので、横田家からは、何処へも、一枚も出しておりませんし、今後も出しませんので、よろしく御理解頂きます様お願い致します。
全て、掲載や、文章、等全て、私共から依頼した事でなく、有田氏から寄せられた事をご理解頂きます様お願い致します」
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_5423.html
救う会」は有田の記事に猛反発している。
「有田議員は当初、公開した写真は横田ご夫妻が所有しているものだと虚偽をマスコミなどに伝えていた。そのことを救う会は確認している。虚偽を伝えることは拉致問題解決に障害になると言わざるを得ない。有田議員に猛省を求めたい」
http://www.sukuukai.jp/mailnews/item_5425.html
「TOCANA」は「【北朝鮮拉致・許しがたいレベル】横田夫妻と「文春」をも騙した議員・有田芳生の“黒すぎる根回し”全貌!」を掲載している。この記事は「政府情報筋」に次のように語らせている。
横田夫妻とウンギョンさんが再会すれば、さも“拉致問題が解決した”かのような印象を世間に与えることができるためです。それを有田氏は北朝鮮側の意向に沿ったかたちで、『横田夫妻の提供写真』ではないにもかかわらず、掲載したことになります。これによって、横田夫妻は、ウンギョンさんと交わした“写真を公開しない”という約束を破ったということになってしまいました。
最愛の孫との約束を守っているにもかかわらず、破ったかのように掲載されてしまった夫妻のショックははかりしれません。非常にデリケートな問題であるうえ、この記事を北側が政治利用する可能性があるにもかかわらず、自らの利益のために、拉致被害者を利用する暴挙に出た有田氏に怒りを禁じえません」
http://tocana.jp/2016/06/post_10003_entry.html
有田芳生フェイスブックで次のように書いている。
https://www.facebook.com/yosihifu.arita/posts/1163622013679748
横田滋さん、早紀江さんと孫娘たちとの写真を公開し、詳細を『週刊文春』に書きました。新聞、テレビでも報じられたため、多くの共感の声が広がっています。
しかし『救う会』だけはエキセントリックに反応、ぼくに対して居丈高な物言いをしています。結論から言えばまったくもっての的外れ。その振り上げたこぶしをどこに下ろすつもりでしょうか。部外者からみてもおかしいことは、高世仁さんがブログで指摘しています。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/
当事者としてもポイントだけ書いておきましょう。公開された写真は、横田家の『引き出し』に入っているものと同一ですが、それはぼくも共有していたものです。横田さんがお持ちの写真をぼくも持っていたということはご夫妻も前から承知されています。つまり公開された写真は『横田家から出していない』。
それはそのとおりで、有田が持っていた写真を公開した。それだけのことなのです。公開する写真を横田滋さん、早紀江さんといっしょに選別したのは5月5日。それから原稿を書くことになります。なんども書き直し、完成させたのは『週刊文春』の締め切り直前でした。そこで横田夫妻にお読みいただきます。そこで注文が出て、さらに最終締め切り日には事実関係で2つの訂正とウンギョンさんに語った言葉の加筆を求められます。これが6月7日のことです。
これがどうして北朝鮮の陰謀になるのでしょうか。気に入らないことには激しい言葉でレッテルを貼ればいいとする態度はセクト(党派、宗派)主義です。それでは運動をさらに狭めるだけでしょう。日朝交渉が閉塞している現状を打開するには人道問題をテコにすることだとぼくは思っています。それがなぜかは『週刊文春』をぜひお読みいただきたい。そう願います」

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3)【本日の一行情報】

◎3月期決算企業の32.2%に当たる759社が6月29日に株主総会を開催する。32.2%というのは過去最低の数字だそうだ。
http://mainichi.jp/articles/20160611/k00/00m/020/042000c
トーハン株主総会も6月29日に開催される。
http://www.tohan.jp/kessan/2016syosyu.pdf

KADOKAWAと埼玉県所沢市は平成28年3月に共同で策定した「COOL JAPAN FOREST 構想」を、相互に緊密な連携と協力のもと、同構想で掲げた「みどり・文化・産業が調和したまち」として発展していくことを目指して、「COOL JAPAN FOREST 構想の推進に関する協定」を締結した。
この協定に基づき、「クールジャパンの総本山」となる「ところざわサクラタウン」(仮称)と、市内の文化・観光の拠点(狭山湖、三富新田、所沢駅周辺など)をはじめ、周辺自治体との連動性を高める観光プログラムの開発、ベンチャー育成や特徴的な産業集積による「所沢シリコンバレー」の創出など、観光・産業の面から、国内及びインバウンド(訪日外国人観光客)による新たな人の流れを生み出すことを視野に入れ、一歩踏み込んだ包括的な連携を図っていくそうだ。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20160610_i85t4.pdf

◎2000人超のNHK退職者が籾井会長の罷免要求に賛同し、署名は8万筆を超えているそうだ。
http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=6017

◎日本エンタープライズは、東京都書店商業組合と共同運営する総合電子書籍サービス「BOOKSMART」において、「BOOKSMART for レンタル」ならびに 「BOOKSMART for 読み放題」のサービスを6月10日より提供開始した。
http://www.nihon-e.co.jp/ir/press/pr-20160610-02.pdf
また、両者は、書店販売と電子書籍を連動させて、作家の発掘・育成を支援するプロジェクト「東京ブックアワード2016」もを6 月10 日より実施している。
http://www.nihon-e.co.jp/ir/press/pr-20160610-01.pdf

◎「週刊文春デジタル」は、ベッキーの10分にわたる記者会見を全編アップした。
http://www.nicovideo.jp/watch/1465540148

舛添要一と正月にホテルで会議をしていたという「出版社社長」は、トレンドシェアの社長で昨年11月に亡くなった芹澤邦雄の可能性が指摘され始めている。芹澤は元サンケイスポーツ編集局局次長である。
http://race.sanspo.com/keiba/news/20151201/etc15120105000003-n1.html
http://king06.com/archives/9658

トーハンが日本販売士協会から表彰された。トーハンは社員全員に販売士取得を奨励しており、2015年12月25日現在、1級202名、2級158名、3級113名の合格者がいるそうだ。ちなみにトーハンの従業員数は1425名。社員の3割強が販売士の資格を持っていることになる。
http://www.tohankyo.jp/event_report/1525

◎ドイツのSteidl(シュタイデル)社とTHE TOKYO ART BOOK FAIRは共同で新しいブックアワード「Steidl Book Award Japan」を設立した。
http://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2016/06/steidl_book_award_japan.html

◎「LIFEWARES Salon」は、ファッション・カルチャーWebメディアなのだそうである。
http://www.thelifewares.com/
この会社は4月11日に設立されたばかりである。
http://www.thelifewares.com/company

◎生活提案型の大型書店「蔦屋書店 熊本三年坂」が2016年6月10日(金)にリニューアルオープンした。
http://top.tsite.jp/news/lifetrend/i/29305330/?sc_int=tcore_news_recent

三浦建太郎ベルセルク」の連載が6月24日発売の「ヤングアニマル」(白泉社)13号より再開される。7月にオンエアされるテレビアニメの原作パートを収録した別冊が付録となる。また6月24日発売の「ベルセルク」38巻は新レーベル・ヤングアニマルコミックスの第1弾として刊行される。
http://natalie.mu/comic/news/190407

双葉社は「私の少年」(高野ひと深)のコミックス第1巻を発売した。「月刊アクション」の連載だが、「pixivコミック」で公開するないなや、圧倒的な閲覧数と「いいね」を獲得した作品である。
http://webaction.jp/watashinoshonen/
https://comic.pixiv.net/works/2118

誉田哲也の人気警察小説「姫川玲子シリーズ」の新作「硝子の太陽R−ルージュ」(光文社)と、「ジウシリーズ」の新作「硝子の太陽N−ノワール」(中央公論新社)が同時刊行された。産経によれば「同時期に起きた2つの殺人事件を描くが、独立した物語のため、単体でも楽しめる」とともに、二冊読むことで「同一場面が異なる視点から語られる」場面でニヤリとすることもできるという仕掛けだ。
http://www.sankei.com/life/news/160611/lif1606110013-n1.html
出版社のサイトは意外に静かなんだよね。もっと騒げは良いのに。それにしても光文社は、この「コラボ」について全く触れていない。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334910938
http://www.chuko.co.jp/tanko/2016/05/004850.html

エムオン・エンタテインメントイクメンとして知られている三重県知事の鈴木英敬が絵本「『パパ』は どうしてパパなの?」を刊行した。
http://ddnavi.com/news/305776/a/

◎スタイリスト山本あきこの「毎朝、服に迷わない」(ダイヤモンド社)は発売から約2ヵ月で8万部を突破したそうだ。
http://wotopi.jp/archives/37665

◎「週刊文春」の新谷学編集長。「WEBRONZA」にも登場。
「90年代は、いまとは比べものにならないぐらい、メディアの間にヒエラルキーがありました。NHK、大手新聞、キー局などが上位グループで、週刊誌は最下層。ほとんど相手にしてもらえない。当局なんて門前払いです。
それが劇的に変わったと思ったのは、NHK「紅白歌合戦」のプロデューサーをつとめた人物の横領をスクープした2004年です。NHKのチーフプロデューサーが番組制作費を実績のない会社社長に払い、一部をキックバックして懐に入れていた問題を文春がすっぱ抜き、7月29日号(発売は7月22日)で『NHK紅白プロデューサーが制作費8000万円を横領していた!』と報じました。私が担当デスクでした。
NHKは発売の2日前に会見してこの問題を発表。メディア各社も報道したが、うちがNHKの内部資料を含め、すべての証拠を持っていたので、新聞、テレビ各社の記者が『レクチャーを』と列をなしたんです。我々が新聞やテレビの記者にレクチャーする! かつてを思うと、まさにコペルニクス的転回でした」
http://webronza.asahi.com/journalism/articles/2016061000001.html

JTBパブリッシング大日本印刷DNPデジタルコムの3社は、ITを使って未来の旅行を変えるコンテスト「TRAVEL×IT CONTEST」を開催する。
http://www.dnp-digi.com/travel-jtbp/index.html
http://www.jtbpublishing.com/newsrelease/20160601289.pdf

三井住友アセットマネジメントの社長に就任した松下隆史は、女優の松下奈緒の父親なんだって!
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15457.html

◎6月13日(月)から6月19日(日)まで、「『POPEYE』アーカイブ展」が東京メトロ表参道駅構内にて開催される。「POPEYE」を代表する誌面が見られる。「アンアン」でも開催しており、ここはすっかりマガジンハウスの「庭場」になった感じだ。
http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/45528/

小学館の「ビッグコミックスピリッツ」で長期連載されているホイチョイ・プロダクションズの「気まぐれコンセプト」が、完全オリジナル台本で短編アニメ化された。6月13日より、食品メーカーのカゴメの特設サイトでアニメ「残念中高年の健康見栄講座」を公開中である。
https://www.youtube.com/watch?v=NBC9Z0QkrWw&list=UU78aeHSuVo7Fa7EBYWGeNiw
http://animeanime.jp/article/2016/06/13/28966.html

集英社の「週刊少年ジャンプ」で連載されている「銀魂」が、小栗旬主演で実写映画化される。
http://otapol.jp/2016/06/post-6986_entry.html

◎米で月間10億回の視聴数を達成した分散型動画メディア「INSIDER」について、田中善一郎は次のように書く。
「『INSIDER』の誕生の背景を見ていこう。同メディアを立ち上げたのは、ビジネス/テクノロジー分野の新興ニュースメディア『ビジネスインサイダー』(BI)である。BIはアメリカで生まれて7年目となるサイト(前身のSilicon Alley Insiderからは9年目)で、仕事向けの高品質コンテンツを提供するパブリシャーとして知られている。
このBIが日本でも話題になったのは、ドイツの大手メディアのアクセル・シュプリンガーに買収されたからだ。昨年春にアクセル・シュプリンガーは『フィナンシャル・タイムス(FT)』の獲得に動いたが、日本経済新聞との買収合戦に負けたため、その後すぐにBIを買収したのだ。」
http://blogos.com/article/179177/

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4)【深夜の誌人語録】

深刻になればなるほど、得てして問題の解決は遠ざかるものである。