【文徒】2016年(平成28)9月29日(第4巻182号・通巻869号)

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1)【記事】今回の一件で電通はどのように論じられているのか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】今回の一件で電通はどのように論じられているのか?

ITmediaビジネスonline」が「電通Facebookの不正業務から考える ネット広告の問題点とは?」(加谷珪一)を掲載。
トヨタは巨大企業であり、広告宣伝にはかなりの人的リソースを割いている。このため今回のような不正に気付くことができたが、多くの企業にとって、こうしたチェックを行う余裕はないだろう。ネット広告における最大の問題は、基本的に広告代理店やメディアからの報告を信用する以外に、広告の効果を判定する材料がないという点である」
Facebookではこれまで、動画広告が再生された時間を視聴数で割り、1人当たりの平均的視聴時間を算出していた。しかし、実際には広告を3秒以上見た人の数で割るという計算を行っており、その結果、見かけ上の平均視聴時間が長くなっていたのである」
「実際、Facebookでは、平均視聴時間を60〜80%も長く計算していたというが、そうなってしまうと、広告主は動画がクリックされれば、長く広告を見てもらえると勘違いしてしまうだろう。これでは広告の効果に関するデータが信用できないものとなってしまう」
「今回、電通で問題になったケースでは、少ないながらも、広告主がチェックできる余地が残っていた。しかしFacebookのケースでは、全てが同社の内部情報であり、広告主がこの数字をチェックすることは事実上不可能である」
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1609/27/news047.html
「ZUUonline」は「電通のデジタルメディア不正請求の裏側にあるもの」を掲載。
「マス媒体とは異なり運用型デジタル広告の実績のレポートは詳細で複雑なものになるため、ミスが起こりやすい。
ミスが起こりやすいということは、不正しやすいということでもある。レポートを読んで理解するためには専門知識が必要であり、そのような手間をかけられないクライアントも多い。クライアント側でチェックされない前提で不正が行われたとすれば、非常に悪質といえる」
https://zuuonline.com/archives/121999
ブログ「トイアンナのぐだぐだ」は「電通のデジタル広告不正について、クライアントの立場から『ごめんなさい』と言いたい」をエントリ。
「そもそも、電通はWebに弱い。電通個人投資家向け情報には、電通の強みとしてテレビ、新聞、雑誌、ラジオが図解されている。Webがこれほどまでに重要になった現在、なぜ掲載されていないか。弱いからである。そんなことはクライアントもわかっているが、広告発注は1社に絞ったほうがコストが安くなる。すでにテレビ広告を電通へ依頼している企業なら、Web広告も一括発注することが多い」
http://toianna.hatenablog.com/entry/2016/09/26/091940
電通の石井直社長が9月24日に全社員にメールで送った文書を「BuzzFeed Japan」は入手した。
「私は、今回の一件で最も重い責を問われるべきは、そうした行為に及んでしまった特定の個人や部署ではなく、当社グループにおけるマネジメントそのものであると捉えています。そして、誰よりも猛省すべきは経営幹部であり、私自身であると思います」
「日々、厳しい仕事に直面する中で奮闘している社員の皆さんが、業務上で起こしたミスについて、同じ部署の同僚や上司、共に仕事を行うチーム内に報告しづらい雰囲気やプレッシャーが常態化し、社員の皆さんにとって、『正直にミスを報告するよりも隠した方が良い』といった考えが浸透してしまっているとすれば、そのような組織風土や体質が生じた原因は、特定の個人や部署にはありません」
「そうした風土や気質を放置してしまった当社グループのマネジメントにこそ、原因があります」
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/dentsu-mail?utm_term=.xj8aYXaLOE#.mdK6rd6B9n
はてな匿名ダイアリー電通の不正請求は広告業界全体の問題」は次のように書いている。
「この件については電通に同情する余地はなく、徹底的に膿を洗い出して欲しいと思う。
ただし『広告代理店は不正を働くものだからもっとノルマや監視を厳しくしてコストを下げてやれ』という方向に流れがいくことが個人的には一番怖い。この件は電通の組織的な問題だけではなく、広告業界全体の問題、ひいては企業の広報担当者やメディア関係者含む、広告に携わる全ての組織と人間が関係する問題だと思うから」
http://anond.hatelabo.jp/20160924144051
「業界人間ベム」の「電通のネット広告不正請求問題(特に海外報道)に関して」は全文を読んでおきたい。米国広告主協会は電通を評価していることに注目したい。この問題は電通だけにとどまるものではないのである。そうした文脈から捉える必要があるということだ。
「米国広告主協会(ANA)が、電通の『Proactive』(プロアクティブ:自主的な発表)を歓迎・評価している報道もある。
米国広告主協会のVP ビル・ダガン氏は、電通が今週、トヨタアカウントのデジタルメディアの取引において『不適切な』請求があった事について『プロアクティブ(自主的に)』報告した事は、好ましい行為だとした。
http://adage.com/article/agency-news/ana-applauds-dentsu-mum-reports-major-marketer-audits/305981/
ANAはエージェンシーグループの『不透明さ』をこの2年調査し、レポートして指摘し続けているにも関わらず、WPPもオムニコムもピュブリシスANAの調査結果や指摘には『遺憾』しか唱えてこなかった。
この『不透明だ』対『知らぬ』という均衡状態に、最初に『自主的報告をした』電通ANAは『よくやった』と褒め言葉を与え、『これが最初の1社目だ。次は誰だ』と言いたいようだ」
「しかし電通にとっては、ANAから歓迎のコメントが出ているのは『ケガの功名』かもしれない。透明性のある取引に改善したという『1番手イメージ』を世界に発信するチャンスではある」
http://g-yokai.com/2016/09/post-390.php

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2)【本日の一行情報】

楽天銀行楽天グループのViber Media S.a.r.lは、モバイルメッセージングアプリ「Viber」(バイバー)を利用した送金サービス「Viberで送金」を開始した。「楽天銀行アプリ」からViberの連絡先に登録されている相手に簡単に送金ができるサービスだ。今後Viberアプリからも、「楽天銀行アプリ」を介して「Viberで送金」が利用できるようになる予定だという。
http://www.rakuten-bank.co.jp/press/2016/160926-2.html

講談社の月刊マンガ誌「ヤングマガジンサード」は、「亜人ちゃんは語りたい」アニメ化と話題作の1巻発売を記念して、「亜人ちゃんはコレ推したい」祭りを10月31日(月)まで開催している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001119.000001719.html

◎アニメ映画「聲の形」も大ヒットしている。
http://matome.naver.jp/odai/2147464120111811301

ツイッターでエロ広告が急増しているそうだ。「ねとらぼ」がTwitter Japan広報部に取材している。
Twitterでは以前から『成人向けまたは性的な製品およびサービス』の広告活動を全世界で禁止するポリシーを公表しています。広報部によると『広告は現在もこのポリシーに基づいて審査しています』と、成人向け広告は今も容認していないと回答。それでも各ユーザーに表示されてしまうのは、『広告主様が広告代理店を通さずオンラインで直接広告を出される場合、そのすべてを事前に人間が審査していない』からだそうです」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1609/26/news124.html

◎サイバードと小学館は、「ワンパンマン」の生みの親であるONEによる裏サンデーマンガワンで連載中の「モブサイコ100」のパズルゲーム「モブサイコ100〜サイキックパズル〜」を9月26日より配信している。
http://gamebiz.jp/?p=169824

実業之日本社の「ワッグル」が編集者を1名募集している。待遇は契約社員だ。
http://www.j-n.co.jp/static/pdf/wagglestaff201609.pdf

◎「ローリングストーン」は、シンガポールのソーシャル音楽会社BandLab Technologiesに株式49%を売却したそうだ。「Musicman-NET」は次のように書いている。
「BandLabが支払った金額は未発表。ローリングストーンの雑誌そしてデジタルコンテンツの権利はBandLabが取得しますが、ローリングストーンの親会社Wenner Mediaの運営権は獲得していません」
http://www.excite.co.jp/News/music/20160927/Musicman_business61279.html

◎東京・ジュンク堂書店 立川郄島屋店で同店に宿泊できる企画「ジュンク堂に住んでみる」が10月29日(土)から30日(日)に開催される。
http://kai-you.net/article/33617

幻冬舎は小説PR誌「PONTOON」、カルチャーマガジン「papyrus」、文芸誌「GINGER L。」を統合して、「小説幻冬」を10月27日に創刊する。
http://this.kiji.is/153473030490260986?c=39546741839462401

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3)【深夜の誌人語録】

自分の「顔」を持とう。自分の「色」、自分の「香り」も。