【文徒】2016年(平成28)9月28日(第4巻181号・通巻868号)

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1)【記事】
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版にかかわる嬉しい話

永江朗の「小さな出版社のつくり方」(猿江商會)。
http://www.sankei.com/life/news/160925/lif1609250017-n1.html
産経の書評は良いよね。猿江商會の古川聡彦も光文社の出身である。良い社名をつけたものだ。
http://saruebooks.com/profile.html
「小さな出版社のつくり方」も取り上げている共和国が図書新聞に出稿している広告を私は楽しみにしている。
左右社の「〆切本」が1万8000部を突破!他人事ながら何故か嬉しくなる。
http://sayusha.com/catalog/books/p=9784865281538c0095
これは編集の力をまざまざと見せつけてくれる一冊である。評判も良い。産経で呉智英が書いている。
「しかし、本書を読むと、大家、文豪も、平然と〆切破りをしているわけではない。みんなびくびくして冷や汗を流している。これだけは小物も大物も一緒で面白い」
http://www.sankei.com/life/news/160925/lif1609250029-n1.html
オレも「小さな出版社」として、こういう本を出せたらなあと思う。
第52回日本翻訳出版文化賞は紀伊國屋書店に決定。1985年から30年をかけて完結した「トーマス・マン日記」(森川俊夫他訳、全10巻)の刊行により受賞した。これも他人事ながら嬉しい話だ。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201609234593/
江藤淳の言い分」の斎藤禎ではないが、江藤淳全集に取り組む出版社はないものか。江藤の「閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本」は、吉本隆明の「文学者の戦争責任」ともども編集者にとって必読文献のはずである。

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2)【本日の一行情報】

フリーアナウンサー高橋真麻がブログに「文春砲!」なる文章をエントリしている。単に「週刊文春」の記者に高橋の「大事な友人」について聞かれたという内容にしか過ぎないのだけれど。「新潮砲」とも「現代砲」「ポスト砲」と言われることはない。恐らく「文春砲」なり、「センテンススプリング」は「流行語大賞」の候補になるんだろうね。
http://ameblo.jp/takahashi-maasa/entry-12202979210.html
いずれにしても、雑誌稼業は怖がられてナンボが原点であり、「週刊文春」は、この原点を頑なに守りつづけているということだ。

◎山口利昭法律事務所のブログ「ビジネス法務の部屋」は、次のように書いている。
「一人一人の社員の方はとても誠実でも、組織的行動となると誠実性が欠如するのが『まじめな企業の不祥事』の特徴です。電通さんの誠実性に関わるポイントとして、このあたりは第三者委員会を設置して明らかにすべきではないかと(社内調査では調査対象にならないと思います)」
「…電通さんは(グループ会社を通じて)企業のコンプライアンス経営を指導する立場にあり、また日本を代表する代理店でもあるわけですから、ぜひとも『自浄能力を発揮した素晴らしいモデル』といわれるような危機対応をしていただきたいですし、内部統制上の不備をどのように健全化させるのか、そのプロセスを他社への見本として示していただけることを期待しております」
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2016/09/post-9d32.html
インターネット広告発展のためには、電通が第三者委員会を設置するのがベストだと私も考える。

◎だから図書カードを嫌う書店も多い。「ビーカイブ」の「図書カードの利益は少ない?」。
「図書カードは、日本図書普及会社という会社によって販売されています。この会社から図書カードを仕入れることによって書店は販売を行います。この時の卸値は額面の95%です」
「…図書カードというのは、客が使った場合、書店は、日本図書普及会社にお金を請求することになります。その場合、利用金額の95%が支払われることになります。つまり、1000円で販売した図書カードを、同じ書店で1000円分使われた場合、儲けはゼロ円になります」
http://b-chive.com/tosyokado-rieki/

フェイスブックが動画広告の視聴時間を過大に測定していたことが米で発覚したが、フェイスブックの対応は速かった。「ITmediaニュース」は「Facebook、広告主への数値一部誤報について謝罪」を掲載し、次のように書いている。
「同社の広告担当副社長、デビッド・フィッシャー氏は『約1カ月前、動画メトリックスの1つである視聴された動画の平均再生時間の計算方法にエラーがあることが分かった。本来は総動画視聴時間を動画を再生した人の総数で割るべきところが、視聴回数で割っており、その結果、実際より多い数値になっていた』と説明する。問題発見後すぐに修正し、広告主に報告したという」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1609/26/news063.html

櫻井よしこが主宰するインターネット番組「言論テレビ」が4周年を祝う集会を開催した。「集会では、櫻井氏と作家の百田尚樹氏、月刊『Hanada』の花田紀凱編集長が憲法改正について議論」したそうである。
http://www.sankei.com/politics/news/160925/plt1609250020-n1.html

◎ラジコに注目だ。ラジコは「タイムフリー聴取機能」「シェアラジオ」の実証実験を開始する。「タイムフリー聴取機能」は過去1週間に限り、いつでも後から番組の聴取を可能にするサービスだ。「シェアラジオ」は、民放連ラジオ委員会が提唱する新たなラジオ聴取文化だ。新しい番組聴取画面に設置する「シェア」というボタンを押せば、お気に入りの番組、友人が気に入りそうな番組を、ソーシャルメディアを通じて、知らせたり、共有が可能となる。
民放連ラジオ委員会は、「シェアラジオ」のブームアップ施策として、約1時間のシェアラジオ特別番組「サントリー天然水presents 宇多田ヒカルのファントーム・アワー」を全国のラジオ局で10月11日(火)〜10月17日(月)の期間に放送する。
http://radiko.jp/newsrelease/pdf/20160926_001_pressrelease.pdf
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20160926-OHT1T50114.html
これはラジオというメディアのデジタルシフトにほかならない。しかし、サントリーは目のつけどころがさすがである。

◎最終話を迎えたばかりのテレビアニメ「orange」が映画化されることになった。タイトルは「orange -未来-」。11月18日から2週間限定での上映となる。
http://anime.eiga.com/news/103358/

◎「VOGUE JAPAN」11月号は、ファッション界のビジネスモデルの根本的な見直しを問いかけるムーブメント「See Now, Buy Now(今見て、すぐ買う)」 について徹底的に解説しているそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000300.000000930.html
女性誌は「See Now, Buy Now」をを実現するためにメディアからサービスに転換しなければなるまい。言うまでもないがサービスを決定するのはジャーナリズムとしての「質」にほかならない。

トーハンは、事務局を務める3団体(日本理学書総目録刊行会、家政学図書目録刊行会、農業書協会)が主催し、9月16日(金)〜10月16日(日)の1ヶ月間に亘って富山市の《文苑堂書店富山豊田店》で開催中の「2016科学と技術図書フェア」に協賛している。
http://www.tohan.jp/news/20160926_824.html

◎ビジネス書ではムーギー・キムの「最強の働き方」(東洋経済新報社)が売れている。
http://toyokeizai.net/articles/-/137674
私はこの手の本が苦手である。

凸版印刷は、自分の写真でバーチャル試着ができるアプリ「DressMe!」を用いた販促サービスを開発・提供しているが、8月23日に発売したリクルートの結婚情報誌「ゼクシィPremier AUTUMN 2016」の綴じ込み付録「大人のドレス&小物BOOK」で、「ゼクシィPremier DressMe!大人の着せ替えドレス」アプリとして採用されている。
http://www.toppan.co.jp/news/2016/09/newsrelease160920.html

小学館の女性ファッション誌「Oggi」11月号の付録は、人気ブランド martiniqueとコラボした実用性の高いタイツだ。これは売れるよ。
http://furoku.info/post-17066/

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3)【深夜の誌人語録】

ゆっくりと考え、素早く行動する。