【文徒】2018年(平成30)11月7日(第6巻209号・通巻1383号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】広告主は広島東洋カープOBの黒田博樹
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.11.7 Shuppanjin

1)【記事】広告主は広島東洋カープOBの黒田博樹

「Jタウンネット広島県」が「新井さん引退、地元紙に『イジリ広告』 広告主は黒田氏...『盟友ってこういう関係だ』」を掲載している。そう広島東洋カープOBの黒田博樹が今季限りで引退した新井貴浩を労う2面に及ぶカラー広告を11月5日付けの中国新聞朝刊に掲出したのだ。
「広告は2面に分かれており、一つは新井選手のプレーを厳しく評した中国新聞の過去記事を切り抜いてまとめたもの。紙面には『新打線 新井ブレーキ』『4番新井 快音遠く』といった言葉が。しかも、こうした批判的な記述に、水色のマーカーがひかれているのだ。
しかし、1枚ページをめくり、批判記事をまとめた先の広告の裏面を見ると、そこには――
『結局、新井は凄かった』
という言葉が。全体が真っ赤に塗られたページ上には、ベンチの仲間に向けてか、両腕を大きく上げてガッツポーズをする新井選手のイラストも添えられている。
こうした広告の右下には、サイン付で『広告主 黒田博樹』との説明が」
https://news.nifty.com/article/item/neta/12150-118353/
当然、SNSでも話題になっている。こんなツイートが数多く寄せられている。
「今朝の新聞広告、新井さんのダメダメばかり集めてあった、この広告主は誰だと次ページをめくると黒田博樹さん、やるね」
https://twitter.com/vegetables39/status/1059211903866556416/photo/1
「今朝の中国新聞がまた永久保存版ですね。黒田さんが広告主で新井さんの苦悩の時代の新聞記事の切り抜きを。新井さんの悪い記事と自分の良い記事に自分でラインを引いたんかなとか、新井さんこの新聞見て笑ったかなとか勝手に想像してにやにやしてます。僕が市民球場に通ってた時代が詰まってる。じゃけ」
https://twitter.com/goghmukaiblue/status/1059279886060122112
中国新聞…朝から涙腺大崩壊  黒田さんありがとう。。。新井さん大好きです!!」
https://twitter.com/yuutekai/status/1059259593769934848
THE BACK HORN」のベース岡峰光舟のツイート。
「めっちゃ粋だよな~!!
こういうのあるからみんな好きなんだよな~!!」
https://twitter.com/KohshuOkamine/status/1059372162346172417
広告の出来栄えも良いのである。心暖まる広告なのである。新聞は、こうした「ソーシャル広告」の開拓が上手である。徳重辰典は「バズフィードジャパン」の記者だが、こうツイートしている。
「これ広島ファンだけでなく、野球ファンなら絶対に泣く。新井さんに送った黒田さんの"労い広告"の記事書きました。念のため中国新聞に確認しましたら『黒田さん本人の出されたものです』と本物認定いただきました」
https://twitter.com/tatsunoritoku/status/1059270210455105537
これがその記事。題して「『結局、新井は凄かった』盟友・黒田が自費で出した新井への"労い広告"にカープファン感動」。この広告が掲載された中国新聞は都内ならば、銀座にある広島のアンテナショップ「TAU」でも販売したそうだ。
https://www.buzzfeed.com/jp/tatsunoritokushige/araisanforever
中國新聞アルファの11月6日付「黒田さん広告 コイ党魅了 新井選手たたえる」によれば「インターネットなどで知ったファンは新聞の入手方法を教え合い、中国新聞社の窓口にも多数の問い合わせが寄せられた」そうだ。
http://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=478764&comment_sub_id=0&category_id=256

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2)【本日の一行情報】

落合博満の「決断=実行」がダイヤモンド社から刊行された。同じくダイヤモンド社から刊行された「采配」は42万部のベストセラーになっているだけに「決断=実行」もビジネス書としてベストセラーを狙える。それにしても落合は版元の選択がさすがである。落合博満 アドバイス」「落合博満 バッティングの理屈」「采配」「コーチング」はダイヤモンド社、「戦士の休息」は岩波書店である。自らのブランド化が上手いのである。
https://diamond.jp/articles/-/184214

秋田県仙北市は、旧角館町出身の新潮社創業者・佐藤義亮の生誕140年を祝う記念式典を開催し、長年にわたり市に図書寄贈を続ける新潮社に感謝状を贈ったという。
「新潮社が仙北市に寄贈している図書は、雑誌を除く新書やハードカバーの新刊本など。累計は約4万1000冊に達する。
17歳で上京した佐藤義亮は1904年に新潮社を創設。22年に角館町(現仙北市)に寄贈を始めた。戦中と戦後の一時期だけ途絶えたが、義亮の没後も新潮社が引き継ぎ、現在は毎年1000冊以上を贈っている」(河北新報11月4日付「図書寄贈を継続、新潮社に感謝状 創業者生誕140年で祝典」)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201811/20181104_43037.html
https://www.sakigake.jp/news/article/20181104AK0021/

GYAOがヤフーと協力して運営する動画配信サービス「GYAO!」は、お笑いコンビ・とんねるず木梨憲武による課題解決バラエティー番組「木梨の貝。」(全12回)を無料で配信している。同番組は木梨がパーソナリティーを務めるTBSラジオ「土曜朝6時 木梨の会。」と、「GYAO!」で配信される番組「木梨の貝。」(毎週月曜配信)とのコラボが実現した、メディアミックス企画である。
即ちラジオから寄せられるリスナーからの夢や目標の相談を、木梨本人だけではなく、木梨と親交のある芸能人や化人、あるいは馴染みのお店やプライベートな友達も巻き込んで、その相談に、木梨が独自の考えで問題を解決(?)していく新しいカタチの番組だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000376.000008260.html

◎デイリースポーツは11月4日付で「辛坊治郎氏 読売テレビ時代、男性ディレクターからセクハラ被害…同局TVで告白」を掲載している。
「大阪・読売テレビの元アナウンサーで解説委員長も務めた辛坊治郎氏(62)が4日、読売テレビで放送された『そこまで言って委員会NP』に出演。同局の男性ディレクターからセクハラ被害を受けたことを明かした」
https://www.daily.co.jp/gossip/2018/11/04/0011790709.shtml

◎映像はモノクロだけれど、ギターだけはカラーなんだね。まあ、まずは、これを見て、聴いて欲しい。歌詞にルフィーが出て来る。
https://www.youtube.com/watch?v=VZvzvLiGUtw
これは「RAP AGAINST DICTATORSHIP」を名乗るタイのグループによるタイで軍事政権を批判するラップのミュージックビデオである。
朝日新聞の11月4日付「タイ軍政批判ラップが大ヒット 暫定首相は不快感あらわ」は、こう書いている。
「タイで軍事政権を批判する内容のラップが大ヒットを続け、ミュージックビデオのユーチューブでの視聴回数は4日午後6時(日本時間午後8時)時点で2800万回を超えた。メンバーらは朝日新聞の取材に、『この国で起きている問題を映し出したかった。聴いた人たちが、これについて語ってくれることを望む』と話した」
https://www.asahi.com/articles/ASLC44K0RLC4UHBI009.html

日本ハムは、11月24日に札幌ドームで開催する「ファンフェスティバル2018」において「LINEチケット」をスポーツ業界で初めて導入する。
https://www.nikkansports.com/baseball/news/201811040000680.html

経済産業省の広報サイト「METI Journal」の11月の政策特集は「『デジタルファースト』で社会が変わる」だ。
「人口減少や財政制約といった構造的な課題に直面するなか、『政府にも非連続的なイノベーションが求められる』と捉え、デジタル技術の徹底活用で既成概念を打破し、自らを変革する構えです」
http://www.meti.go.jp/press/2018/11/20181105001/20181105001.html
私たちは「デジタル明開化」に直面しているのだろう。

東野圭吾人気作品ランキングで1位に選ばれたのは「容疑者Xの献身」(庫)と「白夜行」(集英社庫)であった。
https://news.merumo.ne.jp/article/genre/8032053
私は二作品とも読んでおらず、ここで何かを語る資格はない。

トーハンは2019年1月7日(月)午前10:00~11:30までトーハン本社8階大ホール/大会議室で賀詞交換会を開催する。
http://www.tohan.jp/news/20181101_1301.html

◎「春オンライン」は「NHK佐賀局長 更迭の理由は『女性風呂ワイセツ事件』」を掲載している。「週刊春」11月15日号に掲載されている。
NHKは11月5日、佐賀放送局の湧川高史局長(59)が職員の服務規定に反する不適切な行為があったとして更迭。局長の職を解き、人事局付けとした」
「実は、湧川氏はNHKのスタッフらと訪れた保養施設で酒に酔い、女性スタッフが入浴中の風呂に侵入した」
http://bunshun.jp/articles/-/9573

◎NHKスペシャル取材班による「戦慄の記録 インパール」(岩波書店)について藤原辰史(農業史研究者・京都大准教授)は読売新聞で次のように書いている。
「本書の最大の読みどころは、第一五軍司令官、牟田口廉也中将に仕えていた齋藤博圀(ひろくに)少尉の日誌と回想録を発見していく過程である。病院で車椅子に乗って登場した齋藤さんの突然の嗚咽に胸を衝かれた視聴者も多かっただろうが、それにたどり着くまでの取材班の執念には鬼気迫るものがあった。なお、齋藤さんは放映から三ヶ月後に息を引き取ったこともわかった」
https://www.yomiuri.co.jp/life/book/review/20181029-OYT8T50090.html
次郎はインパールで息を引き取った。船戸与一の「満州国演義 南冥の雫」はインパール作戦の地獄絵を正確に再現している。
https://www.shinchosha.co.jp/book/134327/

元木昌彦が書いている。
「…私は、週刊現代週刊ポスト健康雑誌化、老人雑誌化を、もはや週刊誌である必要はないと批判してきたが、困ったことに他の週刊誌も同じようになってきた」
http://www.cyzo.com/2018/11/post_181030_entry.html

◎下地ローレンス吉孝の「『混血』と『日本人』 -ハーフ・ダブル・ミックスの社会史-」が重版出来!下地ローレンス吉孝のツイートで知った。
「有難い事にご好評頂き、重版となりました!!
外国人受入の議論が高まる昨今ですが、これまで『日本人』と『外国人』とをはっきりと分ける論法が繰り返される事で、すでに社会に暮らす多くの海外ルーツやハーフと呼ばれる人々が不可視化されてきた事について考えてみた本です」
https://twitter.com/lawrenceyoshy/status/1059297237526765569
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3194

◎何も日本だけの話ではない。ブラジルでも書店は危機に直面しているようだ。サンパウロ新聞によれば「ブラジル最大の書店チェーン「Saraiva」(以下、サライバ)は10月29日、国内で展開している84店舗のうちの20店舗の閉鎖を進めていると発表した」という。「サライバが店舗閉鎖を発表する数日前には、ブラジルの大手書店チェーンの一つである『Livraria Cultura』(リブラリア・クルトゥーラ)が裁判所に対して民事再生手続の申し立てを行った」とも。
http://saopauloshimbun.com/20%e5%ba%97%e8%88%97%e3%81%ae%e9%96%89%e9%8e%96%e7%99%ba%e8%a1%a8%e3%80%80%e6%9b%b8%e5%ba%97%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%bc%e3%83%b3%e6%9c%80%e5%a4%a7%e6%89%8b/

◎菊池壮一「書店に恋して――リブロ池袋本店とわたし」(晶)の「WEBRONZA」に掲載された書評には、こう書かれている。
「商業施設のテナントで、最も収益率が低いのが書店だという。本だけでは商売が厳しいというので具や雑貨を売る書店も増えているが、実はほとんどの店で坪当たりの売り上げは本を下回っているらしい。愕然とする。ビジネスとしてはどうにもならないではないか。
著者は生き残りのための方策を具体的に提言し、現在日比谷図書化館に勤めているだけあって、図書館とのコラボの道も探っている。行間から危機感が滲む」
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2018103000006.html

近畿日本ツーリスト関東は、テレビアニメ「BANANA FISH」に登場するアメリカ・ニューヨークをめぐる「BANANA FISHオフィシャルツアー in NY」を企画し、インターネットの専用ページにて受付を開始した
BANANA FISH」は、吉田秋生による漫画作品(小学館 フラワーコミックス刊)を原作にしたテレビアニメだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000674.000001864.html

◎BOOKプラザ華堂が興味深いツイートを投稿している。
「新刊はまだしもなんだけど、補充品の損傷率が高くなってる。商品が特定されると作り手さんが気の毒なので画像は上げないけど、帯の傷みに始まり、カバーや書籍本体の汚れや破損。ここまで頻度高くなったのは、ここ1年ぐらいかなぁ。流通システムにほんと余裕が無くなってきてるんだと思う」
「流通システム自体は大規模投資をしたりして現代的になってるんだけど『本を詰める箱をキレイにする』とか『本が傷まないように丁寧に箱詰めする』『配送トラックの上げ下ろしを慎重に』みたいな、人間が配慮することで上手く回っていたことが経費削減で難しくなってるんじゃないかと」
「誤解を避けるために申し上げておきますが、損傷品を見つけた時は店頭には出しません。処置なしのモノは泣く泣く返品となります。取次店(問屋)さんの方も対策は講じて下さっていて、コールセンターに『◯◯が傷んでました』と連絡すると、交換品を大体2日で届きます」
「ただ点数が多くなれば、連絡する手間だけでも相当ですし、売れると見込んで発注したものを更に2日、3日待たされるというのは、どう見てもチャンスロスですよねぇ…」
「以前、平台用にと4冊注したハードカバーの芸書が4冊ともNGだった時は泣きました(;´д`)
取次店に在庫があれば2日で交換品が届きますが、なかった時は出版社発注になりますからね。下手すると半月近く待たされることになります」
https://twitter.com/bunkadou_bp/status/1059690264887885824
https://twitter.com/bunkadou_bp/status/1059692534711017473
https://twitter.com/bunkadou_bp/status/1059699357606268929
https://twitter.com/bunkadou_bp/status/1059699901120962560
https://twitter.com/bunkadou_bp/status/1059700729542139904
NET21恭堂コミッククラフト店がリプライしている。
「以前のことですが、車(かフォークリフト)に轢かれたんじゃないかと思われる商品が入荷したことがあります。流通が大変なのはもちろん承知していますが、どの箇所で破損する確率が高いのかを検証して少しでも破損入荷を減らしていただけるとありがたいです」
https://twitter.com/comiccraft/status/1059693199545982976

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3)【深夜の誌人語録】

攻撃は繊細に。守備は大胆に。