【文徒】2020年(令和2)1月22日(第8巻12号・通巻1669号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】“マスコミ複数社”の女性採用「調整」という名の差
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.1.22 Shuppanjin

1)【記事】“マスコミ複数社”の女性採用「調整」という名の差

「アラちゃん」はツイッターのプロフィール欄に「書くことが苦手なライター。たまにセミナー講師。たまに経営コンサル。将来は日韓通訳も」と書いている。そんな「アラちゃん」のこのツイートが話題になっている。
《マスコミ複数社を転職して渡り歩いたけど、入社後の飲みの席で採用担当の幹部から「いや~成績順に上から取ると皆女性になっちゃうからさ。“調整”するの大変だったよ」と聞いたのは一度ではない。
私には会えなかった「女性同期」がたくさんいる。》
https://twitter.com/takishiman1003/status/1219162909500067840
更に「アラちゃん」は畳みかけるように書いている。
《「女性は結婚すると、子どもを産むと家庭優先になっちゃう(から信用ならない)」と、パンツ一枚洗ったことないようなおっさん記者が偉ぶるのもたくさん見てきた。
そりゃ女性だって、パンツ洗ってご飯作って待っててくれる誰かがいれば仕事優先でいられるさ。ばっかじゃねーの。》
https://twitter.com/takishiman1003/status/1219163179206332417
「都内の某広告代理店で働く20代半ばの社畜」とプロフィールに書き込む「広告女子ぱすた」のリツイート
《1年目の時の上司に、同じこといわれた 更には、お前は頑丈そうだけど、普通は女子はこの部署には入れないよとも。皆広告の仕事で頑張りたくて、就活して、入社してるのに、頑張る前から女性差別も甚だしい。》
https://twitter.com/pastayade/status/1219442902473928705
「炎上しない企業情報発信 ジェンダーはビジネスの新教養である」を日本経済新聞出版社から上梓した治部れんげは元日経BP社記者。彼女もリツイートしている。
《これ、私もよく聞きました。
この種の本音を聞いたことないと、現状は男女平等だと思っちゃうんだろうなあ。》
https://twitter.com/rengejibu/status/1219218077918695429
「福祉・介護の資格と仕事」「ゆっくり走れば健康になる」などの著書を持つライターの梅方久仁子もリツイートしている。
《編集職は専門職だし女性の活躍事例も多いので、優秀な女性が志望する。結果、志望者全体では女性の成績が高くなるんだろう。医学・薬学も同じ。他の職種でも女性の採用・昇進・転職が平等になれば、一部の専門職で「成績がいいのは女性ばかり」という現象はなくなるのでは。》
https://twitter.com/umekata/status/1219454012975529984
こんなリプライもあった。
《私も昔は記者に憧れ、マスコミ準備の模試では上位にいたけど、落ちまくりました。やっと通った面接で、尊敬する女性ジャーナリストの話をしたら、「あの人は男性関係がアレだったからな。ふふふ」とゲスな笑いかたをされました。若くてまだ反論する言葉を持たなかったのが悔しいです。》
https://twitter.com/blue_may_526/status/1219230154859245568

-----------------------------------------------------

2)【本日の一行情報】

◎ウラゲツ(=月曜社)のツイート。ジュンク堂書店の閉店は中小零細の専門書出版社にとっては死活問題となる。
《リアルな話。2月29日で閉店するJの2店舗(ロフト名古屋店と京都店)はともに楽天BN帳合。2店舗の返品予定合計額(正味)は、弊社の2019年の月次平均注納品高の3倍強。延勘などの大きめの精算に頼らない場合、向こう3か月は楽天BNの弊社口座は真っ赤になるということを意味する。》
https://twitter.com/uragetsu/status/1219064141865865216
「トムジイ」がリツイートしている。
《大書店の閉店分の返品を注口座から差し引いたらたいていの専門書版元は真っ赤になると思いますよ。》
https://twitter.com/tomzt1026/status/1219065248147075072

◎最近、京都に行っていないなあ。川俣水雪の歌集「シアンクレール 今はなく」(静人舎)を買うかどうか迷っている。シアンクレールは京都のジャズ喫茶である。
http://seijinsha-b.com/sheijinsyanohon
《失恋?と書いてノートを閉じているシアンクレールいつもの席で
高野悦子のことだ。
《高橋よ かかる祖国の惨状を見ずに逝けるを僥倖とせよ》
むろん、高橋とは高橋和巳森田童子の「孤立無援の唄」に出て来高橋和巳だ。「孤立無援の思想」なんて本があったでしょ。
https://www.iwanami.co.jp/book/b269996.html
フェイスブックの投稿によれば「抵抗都市」(集英社)の佐々木譲は「シアンクレール 今はなく」を購入したようである。
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771690-0

◎「フィガロジャポン」3月号が石川優実を取り上げているそうだ現代書館の次のようツイートで知った。
《「かっこいいフェミニストになる。」というページに石川優実んが登場! 著書『#KuToo』も一緒にご紹介いただいています。
山内マリコさん、フィガロジャポンさん、ありがとうございます!
(余談)脱毛広告あふれる日本ですが、表紙のマリオン・コティヤールの腕がナチュラルで新鮮でした。》
https://twitter.com/gendaishokan/status/1219126343868153856
こんな感じで取り上げられている。
https://twitter.com/ishikawa_yumi/status/1219034642373701633
切通理作は1月25日(土)に阿佐ヶ谷ネオ書房で「#KuToo」をよむ会を開くそうだ。
https://twitter.com/risaku/status/1219027677123731456
集英社の「エクラ」2月号では斎藤美奈子の「オトナの藝部」が「#KuToo」を取り上げている。これも現代書館のツイート。
集英社「エクラ」2月号、斎藤美奈子さんの「オトナの藝部」で『#KuToo』をご紹介いただきました!
<ハイヒール! これには盲点を突かれましたね。女性と靴の関係には化的なコードが働いている>
あわせて読みたい本として『#KuToo』の冒頭で引用した須賀敦子著『ユルスナールの靴』も登場。》
https://twitter.com/gendaishokan/status/1219439523240783872
さらに現代書館は絵本「ちいさなフェミニスト宣言――女の子らしさ、男の子らしさのその先へ」(/デルフィーヌ・ボーヴォワ、絵/クレール・カンテ、訳/新行内美和)を1月24日に発売する現代書館!攻めているではないか。フェミニズム路線を確立したといって良いだろう。
http://www.gendaishokan.co.jp/new02.htm

朝日新聞デジタルは1月20日付で「ウルトラマンは泣いていた 怪獣たちが問うあの頃の未来」を掲載している。
《未来を暗示した作品もある。年齢500歳というケムール人が出てくる「2020年の挑戦」(第19話)。肉体の衰えを防ぐため地球に来て若い地球人たちを誘拐し、2020年に送るというドラマだ。今年はその2020年。私たちはまさに、高齢化社会を迎えつつある。》
https://www.asahi.com/articles/ASN1N3V8MN1HULZU007.html?ref=tw_asahi
毎日新聞は1月16日付で「この国はどこへ これだけは言いたい 『ウルトラマン』監督・飯島敏宏さん・87歳 バルタン星人は反面教師」を掲載している。
https://mainichi.jp/articles/20200116/dde/012/040/021000c
ウルトラマンを語るに際して忘れてはならないのは大島渚である。福嶋亮大は「ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景」で次のように書いている。
《…ウルトラマンシリーズと間接的に関わりがあったのが、この新潮流のトップランナーであった一九三二年生まれの大島渚である。大島は六〇年代末の監督作『絞死刑』や『新宿泥棒日記』等の脚本に参加した佐々木守実相寺昭雄にひきあわせ、その後には一九六九年に公開された実相寺の初監督作品『宵闇せまれば』に脚本を提供した。そして、大島が媒介した監督・実相寺、脚本・佐々木のコンビは『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『怪奇大作戦』等で異色の実験作を次々と生み出していく。
一九三六年生まれの佐々木とともにウルトラマンシリーズの代表的脚本家となった三七年生まれの上原正三も、学生時代に大島に心酔し、彼の監督作品である『愛と希望の街』『日本の夜と霧』『青春残酷物語』を見て粋がっていたと後に語っている。
さらに、七〇年代の『帰ってきたウルトラマン』等で脚本を担当した一九三二年生まれの石堂淑朗は、六〇年代初頭に『太陽の墓場』や『日本の夜と霧』等で大島と脚本を合作し、後には実相寺のATGでの監督映画『無常』にもマルタン・デュ・ガールの短編「アフリカ秘話」を意識した脚本を提供した。大島渚ウルトラマンシリーズの作り手たちをつなぐ結節点であったと言えるだろう。》
http://wakusei2nd.com/archives/articles/%E3%80%90%E5%BA%8F%E7%AB%A0%E3%82%92%E7%84%A1%E6%96%99%E5%85%AC%E9%96%8B%EF%BC%81%E3%80%91%E7%A6%8F%E5%B6%8B%E4%BA%AE%E5%A4%A7%E3%80%8E%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%81%A8
実相寺昭雄がTBSに入社して初めて演出をした「おかあさん」の脚本を大島渚が書いているのである。
http://cinefil.tokyo/_ct/17063040
「夏の妹」に至るまで大島渚に伴走しつづけた佐々木守は「週刊少年サンデー」に連載されていた水島新司の「男どアホウ甲子園」でマンガ原作者としてデビューしている。

◎扶桑社はクックパッドセブン&アイ出版の共同事業により2018年に創刊したものの2019年12月をもって休刊した「cookpad plus」を2020年6月(予定)より復刊する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000403.000026633.html

産経新聞は1月19日付で「新聞販売店と連携、引きこもりの若者の就労をNPOが後押し」を掲載している。
和歌山県美浜町NPO法人が地元の新聞販売店と連携し、引きこもりの若者の社会復帰支援に取り組んでいる。10年以上引きこもっていた30代男性はさまざまな人々との交流を機に、昨夏から新聞販売店で働き始めた。》
https://www.sankei.com/life/news/200119/lif2001190032-n1.html
記事にも書いてあるように「地元の新聞販売店」とは、産経新聞坊販売所のことである。

朝日新聞デジタルは1月20日付で「広告見てないのに…『アドフラウド』横行 1割が詐欺?」を掲載している。
《増え続けているインターネット広告で、企業が広告費をだましとられる「アドフラウド(広告詐欺)」が問題になっている。広告を消費者が見ていないにもかかわらず、見たように装って広告費を詐取する手口で、広告費全体の1割程度がだまし取られるという推計もある。刑事責任を問われたケースは今のところないとみられ、企業は対策を迫られている。》
https://www.asahi.com/articles/ASN1N5FGLN1NUTIL012.html
ツイッターのTLには、こんな指摘もあった。
《そもそもネット広告なんてGoogleFacebookと直にやり取りするものなのに間に広告代理店を挟むなんて情弱だから騙される。》
https://twitter.com/hajiox/status/1219336691019730944
《サイト運営者が広告枠プログラムを改造することもあれば、広告会社やサイト訪問者がグルになっている場合もある。》
https://twitter.com/tmhk0/status/1219203139963883520

◎「日経ビジネス」が1月20日付で「アマゾン『やらせレビュー』の首謀者を直撃、楽天も餌食に」を掲載している。
《大手通販サイト、アマゾンでは金銭を受け取って「コスパ最高」「大満足」などと、高評価のレビューを書き込む「やらせ」が横行している。実際にやらせレビューを投稿した人の証言がテレビやネットのニュースでたびたび報じられてきた。ただ、やらせを司令している首謀者のインタビューにたどり着いた報道は皆無だ。》
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/011700016/
この首謀者は中国人。記者は中国・深センに飛び、インタビューに成功している。

◎若竹千佐子の「おらおらでひとりいぐも」(河出書房新社)が映画化されることになった。若竹は同作でデビューし、芥川賞を獲得した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000288.000012754.html

◎月島の「BAR 新井建具店」が気になる。
https://food-stadium.com/headline/27860/

トーハンの子会社である協和出版販売は村山書店及び関越ブックと合併した。
https://otakuindustry.biz/archives/86620

◎「Engadget 日本版」は1月20日付で「Netflixが2月からジブリ作品を配信、但し日本は対象外」を公開している。
Netflixは2月からスタジオジブリ作品を配信します。日本、カナダ、米国を除く世界中で配信予定で28言語の字幕と、最大20言語の吹き替えに対応予定です。》
https://japanese.engadget.com/jp-2020-01-20-netflix-2.html

電子書籍配信サイト「コミックシーモア」が主催する「みんなが選ぶ!!電子コミック大賞2020」が決定した。大賞は、はるこの「酒と恋には酔って然るべき」(秋田書店)。女性部門賞は美森青の「抱きしめて ついでにキスも」(集英社)と水瀬マユの「いとなみ いとなめず」(双葉社)。男性部門賞は、さもえど太郎の「Artiste」(新潮社)と福田晋一の「その着せ替え人形は恋をする」(スクウェア・エニックス)。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000310.000009284.html

セブン&アイ出版は1月21日付で「弊社全事業の終了について」を発表した。
https://www.7andi-pub.co.jp/pdf/2020/20200121_02.pdf

本屋大賞のノミネート作品が決まった。
「線は、僕を描く」(砥上裕將/講談社
「店長がバカすぎて」(早見和真角川春樹事務所)
「夏物語」(川上未映子藝春秋)
「熱源」(川越宗一/藝春秋)
ノースライト」(横山秀夫/新潮社)
「むかしむかしあるところに、死体がありました。」(青柳碧人双葉社
「ムゲンのi」(知念実希人双葉社
「medium 霊媒探偵城塚翡翠」(相沢沙呼講談社
「ライオンのおやつ」(小川糸/ポプラ社
「流浪の月」(凪良ゆう/東京創元社
https://hon-hikidashi.jp/enjoy/101280/
「線は、僕を描く」「店長がバカすぎて」「ライオンのおやつ」「流浪の月」が、まあ有力なんじゃないの。オレとしちゃあ「流浪の月」がイチオシだ。凪良ゆうはBL出身の作家である。

-----------------------------------------------------

3)【深夜の誌人語録】

心の言葉を磨け!