【文徒】2017年(平成29)年3月10日(第5巻46号・通巻975号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】LINE+マガジンハウスが「てをつなご。」を創刊
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2017.3.10 Shuppanjin

1)【記事】LINE+マガジンハウスが「てをつなご。」を創刊

LINEは、マガジンハウスと共同で、マガジンハウスの「Hanakoママ」編集部が編集を担当する「てをつなご。」を週刊誌として創刊し、3月8日より「LINE MOOK」で配信を開始した。
「LINE MOOK」は、スマホを舞台にインターネットによるにおける出版の新しい形としてLINEが提案する、縦スクロール読みを前提とするメディアだという。国内月間利用者数6,600万人の「LINE」のユーザー基盤を流通網として、ファッション誌やカルチャー誌、業界専門誌などの雑誌が取り上げる趣味・嗜好性の高い情報を取り扱う。ユーザーは、好きな媒体の公式アカウントを友だち登録することで、無料で購読、「LINE」を通じプッシュ形式で受け取ることができる。昨年9月にLINEはソフトローンチしており、その時点では新たなお酒との出会いを詰め込んだ「週末この一杯」、メイク・ビューティにまつわるアイディアを提案する「Steal me!」の2媒体を創刊、さらに11月にはライフスタイル情報誌「Toss!」を創刊している。この3媒体は、既存の出版社と組むのではなく、LINE社内に設けられた専門の編集部で制作を行っており、1配信ごとに3つのコンテンツで構成されているという。
恐らくLINEとしては将来的にこのプラットフォームをBtoBビジネスに繋げるつもりなのだろう。そのショウウインドウとしての役割も「てをつなご。」は担うことになるのだろう。そのあたりにLINEからすればマガジンハウスと組む必然性があったのかもしれない。
「てをつなご。」は、毎週水曜日の配信。紙版の「Hanakoママ」や「Hanakoパパ」、WEB版の「HanakoママWEB」との連動企画のほか、イクメンタレントのつるの剛士に編集部のスーパーバイザーに就任してもらい、連載してもらうなど「てをつなご。」購読者しか読むことのできないオリジナルコンテンツの配信を予定しているそうだ。また、スマホ最適化を図り、スマホの小さな画面でも伝わりやすい写真と文章を配置するデザインと、子どもが覗き込んでもわくわくするようなカラフルな色使いが特徴としている。マガジンハウスは広告のセールスも行う。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1673
「オリーブ」や「リラックス」もデジタルで復活させれば良いのではないだろうか。

                                                                                                                      • -

2)【本日の一行情報】

◎日本ではフェイスブックのアクティブユーザーは確かに「おっさん」が多い。「日刊スパ!」が指摘する通りだ。若者はフェイスブックを使わない。
https://nikkan-spa.jp/1296011
日本の若者は本名を名乗るのが嫌なのだろう。日本人にとって一番しっくりと来るSNSはLINEなんだねぇ。

◎「広告代理店の未来を考えるブログ」が「日本の広告費2016年度検証!」をエントリしている。2016年の「日本の広告費」を2005年のものと比較しているのだが、2005年当時3777億円だったインターネット広告は12年間で約1兆円伸ばし、一方、「テレビ広告と広告業界をけん引してきた新聞広告は2005年度比で52.3%と5000億円近い売上げが減少」していることがわかる。雑誌については、次のように書いている。
「雑誌広告は2005年度比で45.9%となり、市場は半分以下にまで縮小しています。電子雑誌・電子書籍などの成長と紙メディアとバランスをどのようにしていくのか?業界としての方向性を早急に決定させる必要があります」
http://koukokudairiten.info/2017/03/07/nihonnokoukokuhi2016/

◎ぴあより「新日本プロレスぴあ2017 45周年メモリアルBOOK」を記念して神保町の書泉グランデ棚橋弘至選手のサイン&握手会が3月12日(日)10時と、27日(月)19時の2回にわたって行われる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000011710.html
私にとって新日本プロレスといえばタイガー・ジェット・シンである。オレ、シンの熱烈なファンだったのよ。
https://middle-edge.jp/articles/I0002054

◎ラジオで放送した番組をアプリを使ってスマホで再配信するサービス「ラジオクラウド」はラジオ局と博報堂DYメディアパートナーズによって1月に立ち上げられたが、TBSラジオの入江清彦社長は「日経ビジネスONLINE」で「ネット活用において、テレビよりラジオが先行するのはどうしてですか」という質問に次のように答えている。
「やはり身軽なんですよ。権利処理も何もかも。それから、ラジオは業界が団結しないとメディア間の競争に勝っていけないとの危機感がある。テレビはまだそれぞれ立派なメディアとして成立していますが、ラジオはもうとにかく全員が心を一つにしなければ生き残れないんです」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/030700605/?rt=nocnt
雑誌も「全員が心を一つにしなければ生き残れない」という姿勢を学ぶ必要があるのかもしれない。

◎「Yahoo!検索」で、「3.11」というワードで検索すると、1人につき10円を、Yahoo! JAPANが東北復興に携わる団体へ寄付するチャリティー企画「Search for 3.11」を3月11日(土)午前0時から23時59分まで実施する。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2017/03/07a/

◎文芸誌「新潮」4月号に掲載された又吉直樹の「劇場」が5月に単行本として刊行されるそうだ。新潮社からすれば村上春樹につづくベストセラーを狙うことになる。何しろ「新潮」4月号にしてからが、1万部の増刷を決めたというのだから期待も膨らもう。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2017/03/08/kiji/20170308s00042000257000c.html

博報堂DYメディアパートナーズは、同社のアウトドアメディア局と、100%子会社の博報堂DYアドステーションを戦略的に統合し、博報堂DYグループのアウトドアメディアビジネス推進の中核を担う博報堂DYアウトドアを、4月1日付で設立する。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/03/HDYMPnews20170307.pdf

博報堂の自主開発型クリエイティブ・ラボ「スダラボ」と博報堂アイ・スタジオのビジネス開発組織「広告新商品開発室」および日本マイクロソフトは連携して、顔の特徴や感情に合わせて商品やサービスの広告を出しわけるアウトドアメディア&ターゲティング広告配信システム「Face Targeting AD」(フェイスターゲティング・アド)を博報堂のスダラボの第6弾プロトタイプとして開発した。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2017/03/20170309_1.pdf

岩波書店から安彦良和の「原点 THE ORIGIN」が刊行されるが、書泉グランデで、3月25日(土)に安彦良和のサイン会が開催される。
http://www.dreamnews.jp/press/0000148790/
https://www.iwanami.co.jp/book/b280819.html

◎1917年3月(ロシア暦2月)にロマノフ王朝が斃れたんだよね。今年はロシア革命100年にあたる。というわけで下斗米伸夫の「ソビエト連邦史 1917−1991」(講談社学術文庫)を読み始めた。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062924153

講談社は、スマホだけで自分の電子書籍書店を開設できるブラウザーベースのサービス「じぶん書店」を4月にリリースする。サービスシステムの開発・運営はメディアドゥとの共同で行う。
書店開設を希望するユーザーは会員登録を行い、講談社が展開している電子書籍約 32,000 点の中から売りたいタイトルを選び、推薦コメントを入れるだけで、簡単に自分の電子書店を無料で開設することができる。 電子書籍が売れた場合、10%のアフィリエイトコインが書店運営ユーザーに振り出される。このコインは電子書籍の購入や、書店の拡張にも使えるほか、エクスチェンジサービスと連携しているので、他のポイントやマイルに替えることも可能だそうだ。
将来的には、関連会社や講談社以外の出版社の作品や、動画や音楽などの販売も考えられよう。
http://www.mediado.jp/service/1431/
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20170309jibun.pdf
講談社は他の大手出版社に比べ、紙の女性誌が少ないだけにデジタル戦略には逆に拍車がかかるのかもしれない。

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

大きな声に掻き消されるような小さな声を聴きとれる耳を鍛えたい。