【文徒】2017年(平成29)年3月9日(第5巻45号・通巻974号)

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1)【記事】「週刊文春」新谷編集長がダイヤモンド社から「『週刊文春』編集長の仕事術」を上梓
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「週刊文春」新谷編集長がダイヤモンド社から「『週刊文春』編集長の仕事術」を上梓

週刊文春」の新谷学編集長がダイヤモンド社から「『週刊文春』編集長の仕事術」を上梓した。「ダイヤモンドオンライン」に登場するのは、プロモーションの一環だろう。そのなかで「週刊文春」のデジタル展開について次のように述べている。
「誰もが思いつくようなオーソドックスな感性で作っても面白くありません。『クエスチョン』と『サプライズ』を持って、逆張りと言いますか、みなが『右だ』と言ったときに『いや待てよ。左はどうだろう』と立ち止まって考えることが大事なのです」
http://diamond.jp/articles/-/120417
「常に頭にあったのは、『なるべく文春と遠い組織と組む』ということです。われわれと対極の組織と組む方が相互補完的なメリットが大きいからです。ただし、根っこの部分の感性で相通じることが必要だと」
http://diamond.jp/articles/-/120439
文藝春秋の社員が在社中に他社から書物を上梓するということは過去にもあった。社長経験者である平尾隆弘は「宮沢賢治」を国文社から上梓しているし、和賀正樹も現代書館から「熊野・被差別ブルース―田畑稔と中上健次のいた路地よ」や「これが『帝国日本』の戦争だ」を上梓している。平尾の「宮沢賢治」は宮沢文学と国柱会の関係を初めて正面から論じた批評として文学史に残ることは間違いないが、版元も経営規模からすれば零細出版であり、この本を上梓したことで平尾に経済的な利益があったとは思えない。和賀にしても、大手出版社を版元としておらず、経済的な利益が和賀にもたらされたとは考えにくい。
その点、新谷の著書はダイヤモンド社という大手出版社を版元としている。初版部数からして平尾や和賀の著書と比べてもケタが違うはずである。
これまでも文藝春秋にスター編集者はいたが、例えば花田紀凱にしても在社中に他社から書物を刊行するということはなかったはずである。もちろん、創業期に戻れば、それこそ創業者の菊池寛からして、他社から小説を刊行していた。そういう意味からすれば文藝春秋が編集者の「社外活動」に寛容なのは伝統なのかもしれない。
しかし、そうは言っても、文藝春秋はもともと筆力のある社員が揃っていることで知られている。退職してから筆を執るということは、これまでにもあった。例えば斎藤禎の「江藤淳の言い分」や白川浩司の「遥かなる『文藝春秋』―オンリー・イエスタデイ1989」が思い出される。
しかし、文藝春秋の現役社員が「新谷が出すのであれば、私も」となったのであれば収拾がつかなくなってしまうのではないだろうか。
新谷は「『週刊文春』編集長の仕事術」の「おわりに」で「・・・私が気にかけているのは、編集長が雑誌の前に出すぎる弊害だ。偉そうに感じたらお許しいただきたいのだが、『週刊文春の誰々』ではなく『誰々の週刊文春』となってしまったら、この雑誌の将来にマイナスの影響が及ぶように思うのだ」と書いたうえで、花田紀凱編集長の次を引き受けた設楽敦生編集長が苦戦したというエピソードを挟んでから、「『週刊文春』編集長の仕事術」を出版した理由を次のように書いている。
「だが、時代は変わった。情報の送り手と受け手の力関係は激変し、あらゆる情報が玉石混淆となってネット上に飛び交うようになった。匿名のまま木で鼻をくくったような対応ばかりしていては、情報の信憑性は十分には伝わらない。送り手の『顔』が見えづらいと、情報は説得力を持ちえないのだ。さらに言えば、取材のプロセスも含めて『見える化』していかないと、記事そのものをなかなか信用してもらえない。そうした時代に即応し、読者との距離を近づけるためには、折りに触れて、週刊文春の編集方針や取材・編集過程についても説明する努力が必要だと思っている」
私は、こうした新谷の認識は正しいと思う。ただし、私は、こうも思うのだ。こうした認識のもと例えば「文春オンライン」で連載をもち、これを一冊にまとめて文藝春秋から上梓するという選択肢は考えられなかったのだろうかと。
https://www.diamond.co.jp/book/9784478102091.html

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2)【本日の一行情報】

◎「進撃の巨人」(講談社)の TVアニメ第2期が4月1日から放送されるが、原作公式サイトで8巻までが3月7日〜16日の期間限定で、またアプリで読みたいオーディエンスには、「マガジンポケット」で3月7日〜19日の期間限定でそれぞれ無料公開される。また紙のコミックス1〜8巻セットが5000名にプレゼント される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001257.000001719.html

小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」3月13日発売号の付録は、災害時の命の守り方や被災時に役立つ情報を集めた「防災ミニブック」2冊だ。2冊は同じ内容だ。 「1冊はあなたへ、もう1冊は大切な人に渡してほしい」 という発想は良いじゃないか。ジャーナリスティックな付録は「週刊ビッグコミックスピリッツ」の得意とするところ。
http://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00e/040/120000c

集英社の「マリソル」4月号(3月7日より発売中)の付録は「ネコポーチ付き!上品ビッグトート」。
http://www.oricon.co.jp/article/134668/
「マリソル」は創刊10周年を迎え、4月7日(金) に日本橋三井ホールスペシャルイベント「働く女っぷりパーティー」を開催する。
http://www.oricon.co.jp/article/134941/
3月11日発売 「BAILA 」 4月号の付録は「オデット エ オディール × BAILAコラボポーチ&ヘアゴムセット」。
https://baila.hpplus.jp/blogs/takayama_sakiko/9615

◎宝島社も猫だ。「リンネル」4月号(宝島社)の付録は、リサ・ラーソンとコラボした「猫のマイキーデイリーリュック」だ。
http://ddnavi.com/news/358370/a/

◎ニュース閲覧アプリ「SmartNews」チャンネルプラスにおいて、光文社が提供する「SmartFLASH」チャンネルが開設された。
http://about.smartnews.com/ja/2017/03/07/20170307flash/

TSUTAYAは、「TSUTAYAが『本との出会い』を変える。」をコンセプトに、すでに絶版となった本を全国のTSUTAYAの書店スタッフが中心となり、出版各社とともに新たに復刊にむけプロデュースするプロジェクト「復刊プロデュース文庫」を昨年2月より開始しているが、第5弾は太田忠司の「僕の殺人」(徳間文庫)に決まった。TSUTAYA築館店(宮城県栗原市)の齋藤公理の推薦とのことだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000231.000018760.html

◎宅配ネットクリーニング「リネット」を運営するホワイトプラスの新社屋移転を記念して、マガジンハウスの女性ファッション誌「GINZA」の中島敏子編集長とベイクルーズの森秀人取締役をゲストに ホワイトプラスの井下孝之代表がモデレーターを務めるトークセッションが開催された。
http://fashion-hr.com/hr-talks/hr-talks_real/13609/

◎女優・のんが朝日新聞で開始したコミック書評の第1回目で取り上げられたのが涼川りんの「あそびあそばせ」(白泉社)だったそうだ。
http://ddnavi.com/news/358047/a/
LINEモバイルは、同社初となるテレビCMを放映すると発表したが、このCMに「のん」が起用された。
http://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1048027.html

◎日販の第4回実用書ブックフェスタ大賞は 「世界一やさしい!栄養素図鑑」(新星出版社)、準大賞は「白崎茶会のあたらしいおやつ」(マガジンハウス)、「藤井恵さんの体にいいごはん献立」(学研プラス) に決まった。
http://www.nippan.co.jp/news/jitsuyoshobookfesta_2017/

◎女子プロレタリアートのための「CLASSY.」(光文社)4月号 !
http://youpouch.com/2017/03/06/418939/

◎「本のフェス」が3月12日に日本出版クラブ会館で開催される。
https://honnofes.com/

電通有価証券報告書における「当期包括利益合計額」は342億円の赤字だという。これはどういうことなのか。「HARBOR BUSINESS Online」の「あの電通も赤字、三菱商事の利益は実は半分!?『包括利益』とは何か?」は、こう書いている。
「売上から原価を引いた『売上総利益』ベースでは海外事業の割合が約54%に達し、2017年度には55%にするという目標を達成することがほぼ間違いないほど、海外展開に積極的な電通だが、海外子会社の資産には多額の含み損が出てしまっているということだ。その結果、昨年度期には1.1兆円を超えていた自己資本は1兆円を割り込み、9820億円ほどとなっている」
https://hbol.jp/132127

◎堀内善太がザ・ゴールの代表取締役社長に就任する。堀内は創業時にも社長をつとめた。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017034-0307.pdf

電通の2月度単体売上高。雑誌が前年比84.1%。新聞は前年比103.8%、ラジオは前年比103.9%。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017033-0307.pdf

◎ワコールのノンワイヤーブラを中心とした新ライン「Date.」(デイト)は光文社の「VERY」とコラボした。
http://www.wacoalholdings.jp/news/files/4ebe6bf350f3b8589afffa9a6a62dcdc.pdf

◎「PLEASE」最新号が発売された!北原徹は今一番ノッている編集長のひとりである。「WWDジャパン」は次のように書いている。
「北原編集長が1人で編集、撮影など全てのディレクションを行い、毎号『コム デ ギャルソン』の撮り下ろしが組まれ、スタイリングは自身が手掛ける。北原編集長はフリーの編集者として活動する傍ら、レイ・アンド・ラブロック(Ray And Loverock) 名義でフォトグラファーとしても活動している」
https://www.wwdjapan.com/397977
「PLEASE」は北原の個性丸出しの雑誌である。

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3)【深夜の誌人語録】

待ち時間は何もしなくて良い無駄な時間ではない。待ち時間こそ攻めなければならないはずだ。