【文徒】2017年(平成29)年3月8日(第5巻44号・通巻973号)

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1)【記事】「さわや書店フェザン店」の次なる一手は「ひとさらいの夏」(双葉文庫)の復刊
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「さわや書店フェザン店」の次なる一手は「ひとさらいの夏」(双葉文庫)の復刊

「文庫X」に次ぐ次の一手だ。
「さわや書店フェザン店」の長江貴士による同書店の公式ツイッター・アカウントを使っての呼びかけで、富士本由紀の「ひとさらいの夏」(双葉文庫)の復刊が決まったという。長江は「文庫X」の発案者として知られる書店人だ。
ツイッターで呼びかけたのは1月29日。こんな具合だ。
「【皆さんのお力を借りたいなぁ(1)】
当店でちょっと前から店頭に置き始めた、冨士本由紀『ひとさらいの夏』っていう本があるんです。良い本なんですよ、これ。誰もが、こういう未来にたどり着けるかな、って思ってる人生の道筋みたいなのってあるじゃないですか?でも、そんなスムーズには行かない」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/825540176478822400
「【皆さんのお力を借りたいなぁ(2)】
あの時ああしてたらとか、何がダメだったんだろうとか、そんなちょっとした後悔が積み重なって人生って作られる。そういう人生を、生きなきゃいけない。そんな背景を持つ、人生にこれ以上広がりがないと自覚してる女性たちに射し込む濁った光を描き出す短編集です」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/825540292644265992
「【皆さんのお力を借りたいなぁ(3)】
それでね、写真を見てもらったら分かるんですけど、パネルに『出版社の在庫、全部もらいました』って書いてあるんです。そう、この本、さわや書店で売り切っちゃったらもう手に入らないんですよ。結構売れてて、あと在庫12冊なんです」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/825540822724521985
「【皆さんのお力を借りたいなぁ(4)】
こんなに売れてるのに、追加も出来ないしもったいなぁって思ってるんです。だから、ちょっと気になる!って書店員の方、双葉社に『ひとさらいの夏』ありませんか?って電話してくれません?注文殺到!ってなったら、重版してくれるかもしれないじゃないですか(笑)」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/825540957563031552
「【皆さんのお力を借りたいなぁ(5)】
書店員じゃない方も、書店で『ひとさらいの夏』ありませんか?って問い合わせしてくれると、なんか分からんけど問い合わせがいっぱいや!とか、さわや書店がわけわからんこと言ってるけど、実際問い合わせきたしやっぱ双葉社に電話しよう!ってなるかも(笑)」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/825541087548674050
「【皆さんのお力を借りたいなぁ(6)】
みたいな悪巧みをこっそりと考えてるので、なんか面白そうだなーと思ってくれる人がいたら、さわや書店と一緒に悪巧みをしましょう(笑)
『文庫X』の時、さわや書店の“共犯者”になってくださった皆さんなら乗っかってくれるかなー、とこっそり期待してま〜す」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/825541209020002304
「さわや書店フェザン店」のタイムラインを見ているとわかることだが、こうした呼びかけに読者や書店が反応を始める。
「悪巧み大好きです(笑)なんか、じゃなくて絶対面白いに決まってる。関東在住なので書店に問い合わせだー!出版社に電話だー!」
https://twitter.com/joyflutia_21/status/825548928858755073
「ボス。盛岡市内の東○堂って書店さんに「『ひとさらいの夏』ありますか」って聞き込みしてきました。『取り寄せもできない状態だ』って話でした。これで私も共犯ですかね(笑)
ちなみにそこの書店さん、文庫ランキング2位に『殺人犯はそこにいる』がありましたよ」
https://twitter.com/nonono_music/status/828870455041748992
「さっき聞いたけど、ほんとに在庫なかった!」
https://twitter.com/honya_arai/status/829583364650737664
長江は2月9日には、こうツイートしている。
「『ひとさらいの夏』の”こっそり部隊”がちょっとずつ増えてて嬉しい。後は双葉社さんの男気次第!(勝手に双葉社さんを男性と決め付けてしまった 笑)」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/829588392631377922
2月17日には重版が決まる。
「【緊急速報!】先日このアカウントで、富士本由紀『ひとさらいの夏』を重版させるために皆さんの力をお借りしたい!ってツイートをしたじゃないですか。な、な、なんと!さっき双葉社さんから連絡があって、復刊が決まったそうです!!!!うおぉ〜」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/832489282497454080
「【緊急速報!】皆さんが書店や出版社に問い合わせてくれたお陰です!本当にありがとうございます〜(ホントに、絶版寸前だったみたいです。危ない危ない)。
いつどんな風に店頭に並ぶのか、みたいな話はちょっとまだ決まってないみたいなので、また分かり次第お伝えしますね〜」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/832489469013921793
「さっき聞いたけど、ほんとに在庫なかった!」とツイートしたのは三省堂書店の書店員であったことが次のようなツイートからわかる。
三省堂書店チェーン全ての棚を探しても、1冊もなかった文庫『ひとさらいの夏』が奇跡の復活を遂げるのだ!!
みんなに連絡しておかねば」
https://twitter.com/honya_arai/status/832748542313652225
ダイハン書房高槻店も次のように反応する。
「重版おめでとうございます。
このPOP見たら読みたくなってしまったので、もう、注文するしか、ない」
https://twitter.com/booksDAIHANtaka/status/832797281266982912
もっともダイハン書房高槻店に配本はないかもしれない。「さわや書店フェザン店」の2月21日の連続ツイートには、こうあった。
「【『ひとさらいの夏』続報!(1)】皆さんのお陰で復刊が決定した『ひとさらいの夏』の続報が入ってきました!と言っても、ちょっと残念なお知らせもあります…。
店頭に並び始めるのは、3月上旬だそうです。ただちょっとですね、手に入れられる書店に限りがありまして…」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833968193114759168
「【『ひとさらいの夏』続報!(2)】復刊すると言っても、はじめから大きな部数では刷れないようで(どれぐらい売れるか未知数ですからね)、双葉社さんはまず、ツイートを見て反応してくれたり、一緒にやりたいと手を挙げてくれた一部書店で置いてもらうように考えているようです」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833968302720380930
「【『ひとさらいの夏』続報!(3)】ホントは双葉社さんももっといっぱい刷って多くの方に手に取ってもらえるようにしたいのですけど、こればっかりは仕方ないですね。というわけで、3月上旬頃に店頭に並ぶ書店名を今からツイートします」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833968385452957699
こうして3月上旬頃に店頭に並ぶ書店名が明らかにされる。
TSUTAYA北松本店、紀伊國屋書店名古屋空港店、サクラ書店ラスカ平塚店、さわや書店本店、ジュンク堂書店ロフト名古屋店、ブックスタジオ大阪、ブックスタジオ新大阪、ブックファースト二子玉川店、ヤマト屋仙台三越店、丸善ラゾーナ川崎店、丸善名古屋本店、紀伊國屋書店グランフロント大阪店、紀伊國屋書店横浜みなとみらい店、紀伊國屋書店横浜店、札幌弘栄堂書店パセオ西店、星野書店近鉄パッセ店、三省堂書店東京駅一番街店、三省堂書店有楽町店、三省堂書店札幌店、三省堂書店成城店、三省堂書店池袋本店、三省堂書店神保町本店、精文館書店中島新町店、大盛堂書店、文苑堂書店鳴和店、文苑堂書店富山豊田店、文苑堂書店福田本店、文教堂北野店、平和書店TSUTAYAアル・プラザ城陽店、堀江良文堂書店、紀伊國屋書店梅田本店。
ねっ!ダイハン書房高槻店の名前は入っていないのである。もちろん、「【『ひとさらいの夏』続報!】として次のようにツイートされているけれど。ちなみにダイハン書房高槻店は「文庫X」の公式取扱店であった。
「【『ひとさらいの夏』続報!(8)】ひとまず今挙げたお店の店頭に並びます。お近くの方は是非お立ち寄りください〜。近くじゃない!という方、すいません、ちょっと今は我慢してください。ただ、皆さんのお力次第では、展開店舗がもっと増やせるんじゃないかと思います!」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833968812554809344
「【『ひとさらいの夏』続報!(9)】前回と同じく、お客様は書店さんに、そして書店員の方は双葉社さんにじゃんじゃん問い合わせれば、「ヤバイ!もっと刷らないと!」って思わせられるかも!そうすればもしかしたら、復刊発売を待たずに『復刊前重版』なんてのもあり得るかも…」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833968871677710340
「【『ひとさらいの夏』続報!(10)】恐らく日本では過去、『復刊前重版』という言葉が使われたことはないはずなので(普通の状況ではあり得ませんからね…)、皆さんのお力で『復刊前重版』を実現させて、出版界に新しい歴史を刻もうではありませんか!」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833968938492891136
「【『ひとさらいの夏』続報!(11)】 すべてのお客様にすぐに手に入れられる状況が作れなくて申し訳ありませんが、仮に「復刊前重版」が無理でも、最初の展開書店で売って、『これだけ売れるならすぐ重版だ!』と思ってもらえるように頑張ります!応援よろしくお願いします〜」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/833969002950979585
2月22日のツイートからは展開店舗が増えたことがわかる。新たに追加された書店は次の通りだ。
明文堂書店金沢野々市店、明文堂書店金沢ビーンズ店、明文堂書店富山新庄経堂店、明文堂書店TSUTAYAレイクタウン越谷店、明文堂書店TSUTAYAKOMATSU店、三省堂書店名古屋郄島屋店、三省堂書店品川駅南店、三省堂書店品川駅店、三省堂書店大宮店、三省堂書店大垣店、三省堂書店京都駅店、三省堂書店一宮店、三省堂書店小田原店、三省堂書店経堂店、三省堂書店アトレ秋葉原店、三省堂書店カルチャーステーション千葉店、三省堂書店SOGO千葉店、好文堂書店、ブックポート大和店、小田急ブックメイツ新百合ヶ丘店。
ここにもダイハン書房高槻店の名前はなかった。2月27日にも展開店をツイートしているが、ここにも入っていない。
「来週頭に入荷する書店もあると思いますけど、何にしてもしばらくの間は、全国でも70店舗弱の書店でしか手に入らない本です!見つけた方、あなたはとてもラッキーです。この70店舗で売れるかどうかで、扱う書店が増えるかどうか決まります。みんな、書店にGOやで!」
https://twitter.com/SAWAYA_fezan/status/837914395401297920
盛岡経済新聞が「盛岡・さわや書店が一冊の本を復刊へ導く ツイッターで呼び掛け」を掲載している。
http://morioka.keizai.biz/headline/2294/
本音を言うとすると、私の「好み」からすれば、こういうやり方はあまり好きじゃないんだけどね。個人的には群れない書店が好きだ。

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2)【本日の一行情報】

小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載の眉月じゅん恋は雨上がりのように」がアニメ化され、2018年1月よりフジテレビ「ノイタミナ」ほかで放送されることが決まった。
http://www.koiame-anime.com/
http://www.oricon.co.jp/news/2086824/full/

トーハンは、世界文化社の協力のもとPB企画商品としてオリジナルムック「3分で自律神経が整うCDブック」を3月6日より取引先書店で販売開始した。累計77万部を突破したアスコムの「聞くだけで自律神経が整うCDブック」でお馴染みの順天堂大学の小林弘幸の名前を前面に出した企画である。
http://www.tohan.jp/news/20170306_932.html

トーハンが運営支援する「Cafe nota nova」(カフェ ノータ・ノーヴァ)KaBoS宮前平店にて、学研プラスが運営するワークショップ「Hour of Code マインクラフト プログラミング体験」を3月12日(日)、19日(日)に開催する。
http://www.tohan.jp/news/20170306_933.html

高橋一生が女性と裸で抱き合うスキャンダラスなモノクロ写真を表紙にした「anan」(マガジンハウス) 3月1日発売号が案の定、話題になっている。売切れ店も出ているようだ。「官能の流儀」というタイトルも悪くはない。
http://youpouch.com/2017/03/05/418837/

週刊ヤングジャンプ」(集英社)連載の坂本拓による「潔癖男子!青山くん」がテレビアニメ化され、この夏より放送される。
http://eiga.com/news/20170305/17/

日本郵便が主催する2017年「全日本DM大賞」銅賞&審査委員特別賞クロスメディア部門を集英社のファッション通販サイト「FLAG SHOP」が受賞した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000011454.html
グランプリは大兼工務店の「ミニ新居」。
https://www.dm-award.jp/award-31/

池井戸潤の「空飛ぶタイヤ」が映画化される。「空飛ぶタイヤ」は、講談社実業之日本社から刊行されている。
http://www.j-n.co.jp/news/?article_id=404
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062764520

◎日販が組織改訂を発表した。輸配送改革推進室を新設した。また流通計画室に雑誌物流再構築PTを新設した。具体的には、王子流通センターに書籍送品物流再構築PT、開発品物流構築PTを新設する。
http://www.nippan.co.jp/news/jinji_2017/
また日販はグループ会社の役員人事も発表した。
http://www.nippan.co.jp/news/nippangroup_2017/

◎日販は、小学館、しまうまプリントシステムと日販ウキウキ研究所で共同制作した「Sho-Comiつくるイラスト集」の第1弾となる「杉山美和子 原画集」を、3月4日(土)より専用サイトにて販売開始した。「つくるイラスト集」は、専用サイトに掲載されたイラストの中から好きなイラストを選んでレイアウトすると、後日製本されたイラスト集が届けられるというサービスである。
http://www.nippan.co.jp/news/sho-comi_miwakosugiyama/
オーディエンスにとって「あなただけの『とっておきイラスト集』」が作れるということは編集力をオーディエンスに委ねるわけだ。

◎読売新聞によれば「CBCテレビ(名古屋市中区)は、6日未明の放送休止時間中に誤って緊急地震速報の音声を流したとして、同日昼のニュースで謝罪した」そうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170306-OYT1T50043.html

◎大ヒットしたアニメ映画「アナと雪の女王」が4日にフジテレビで放映され、平均視聴率19・7%を稼いだ。今年、テレビ放送された映画では最高の数字を叩き出したわけだが、エンディングに独自演出を施したことが物議を呼んでいる。ガジェット通信は「『ありのままを見せろ!』番宣を混ぜたフジ『アナと雪の女王』エンディングに批判殺到」を掲載している。
「『アナと雪の女王』日本語版のエンディングは、本来ならMay J.さんの歌う『レット・イット・ゴー〜ありのままで〜』にのせてスタッフロールが流れるはずのところ、フジテレビは『みんなで歌おう!』と題し、視聴者からの投稿映像と、よゐこ濱口優さんや青山テルマさん、自局のアナウンサーらが歌う映像を織り交ぜた独自編集のエンディングを放送したのだ」
http://getnews.jp/archives/1647876
フジテレビはデイリースポーツの取材に「エンディングへのご批判などのご意見は電話で19件、ネットは200件ほど頂戴しています」と答えている。
https://www.daily.co.jp/gossip/2017/03/06/0009973562.shtml

シュートボクシング世界女子フライ級王者RENAが、「MORE」、「SPUR」、「HB ハミングバーズ」の3誌に同時登場しているそうだ。
http://efight.jp/news-20170306_256539
RENAのブログを見てみよう。
http://lineblog.me/rena_official/archives/13105087.html
http://lineblog.me/rena_official/archives/13112876.html

ヤマト運輸が27年ぶりの値上げに踏み切ることになり、アマゾンジャパンとも交渉に入った。
http://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00e/020/170000c
アマゾンにとっての選択肢は三つ。
「ヤマトが本格的に値上げの交渉に入った場合、通販事業者には3つの選択肢がある。1つは値上げを受け入れ、そのコストを自社で負担するか利用者に転嫁するというやり方。もう1つは、他の運送事業者に配送を委託するというやり方。最後は、自社配送網の拡充である」
(ITmediaビジネスONLiNE)
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1703/07/news018.html
自社配送網の拡充において「シェアリング・エコノミーを使った配送業務の完全オープン化」をアメリカ同様に日本でも指向することになるのだろう。「アプリなどで配送業務を実施してくれる個人を広く募り、その個人に配送を委託するという」アプローチだ。

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3)【深夜の誌人語録】

信念は硬くとも、行動は柔らかく、だ。