【文徒】2018年(平成30)5月16日(第6巻88号・通巻1262号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「現代ビジネス」が野間家と講談社をテーマにした魚住昭「大衆は神である」連載開始
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                                • 2018.5.16 Shuppanjin

1)【記事】「現代ビジネス」が野間家と講談社をテーマにした魚住昭「大衆は神である」連載開始

これは話題を呼ぶことになるだろう。魚住昭が「現代ビジネス」で「大衆は神である」の連載を開始した。何と講談社の歴史を描く。「講談社が歩んだ五十年史」を編纂するに際して関係者への聞き取りを行った膨大な速記録をベースにしてのことだそうだ。
「そこに描かれているのは、講談社にとって都合の良い話ばかりではありません。しかし、それもきちんと書いていきたいと思っています。初代・野間清治、二代目・恒、三代目・左衛、四代目・省一と続く講談社創設50年までの経営者の歴史、そして現在に至る講談社の歩みを描きながら、オーバーラップする日本の近代史を書いていきたい。タイムラインを同じくする歴史的な登場人物についても追っていきたいと思っています」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55560
魚住は「数奇な運命をたどった野間家の人びとの赤裸々な姿と、そこから見えてくる、日本における『マスメディアの時代』の幕開けと展開」を描くと宣言している。トラブルが起きなければ良いのだけれど。むろん、現経営陣はトラブルが起きないと判断したから連載をスタートさせたのだろう。連載第一回目には「社長室長・高橋明男」「週刊現代編集長・鈴木崇之」「編集担当役員の渡瀬昌彦」といった名前が登場しているし、魚住なりの予防線は張っている。
「それから58年がたった。講談社の機密に属するさまざまな事柄を、私のような部外者の目にさらすことまで、笛木や野間省一が想定していたかどうかわからない。
ただ、ふたりには、良いことも悪いことも事実は事実として残すことで、日本を代表する総合出版社としての歴史的・社会的な責任を果たさなければならないという意識があったと思う。
その精神は今の7代社長・野間省伸や、編集担当役員の渡瀬昌彦らにも受け継がれているのだろう。彼らのバックアップがなければ、私はこの資料にアクセスできなかったのだから」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55519
講談社OBの佐渡島庸平は連載に期待しているようだけれど、ただし、そういうOBばかりではあるまい。
野間清治がどんな人なのか、前から興味があったから、この連載はかなり楽しみ!
野間さんのキャラクターは『実は意外なほどいい加減な』という記述があるけど、創業者って勢いが大切だから、きっちりしてる方が意外だと思ったけど」
https://newspicks.com/news/3020726?ref=user_101663&u=mSI8Zx1
かつて「ミスターマガジン」がタイガーモリを主人公にしたマンガを掲載し、トラブルとなったことを私などは思い出してしまう。また、これは担当編集者に聞いておきたいのだが、魚住が発見したという講談社労組の元委員長である笛木悌治が残した極秘資料は、社史編纂を担当していたことがある故鷲尾賢也は気が付くことはなかったのか。極秘資料が「極秘」であったのは、社内事情によるものではなかったのか。
いずれにしても、魚住の先の記述からすれば編集を担当するのみならず広報も担当する渡瀬常務が根回しを済ませているということなのだろうし、総ての責任は渡瀬常務が負う覚悟なのであろう。言うまでもなく魚住昭講談社で「渡邉恒雄メディアと権力」や「野中広務差別と権力」を発表して来た作家である。

                                                                                                          • -

2)【本日の一行情報】

◎信州人の創業した版元が多いだけに書店が存在しない市町村の割合が最も高いのが長野県なのは驚きであった。毎日新聞の5月13日付長野版が次のように書いている。
「出版取次業大手『トーハン』(東京)の2017年7月の調査によると、売り場を持つ書店が存在しない市区町村数は長野県が41市町村で、県内の市町村に占める割合は53%と全国の都道府県で最も高かった。全国平均の22・1%と比べると2倍以上」
https://mainichi.jp/articles/20180513/ddl/k20/040/089000c

徳間書店は初沢亜利の写真集「隣人、それから。 38度線の北」を刊行する。北朝鮮の普通の人々が切り取られている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000141.000016935.html
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1711072122308664&set=a.352062568209633.80817.100002176782756&type=3
私も「火鍋屋」が大好きである。

◎「DIME」(小学館)の付録は良い。バッテリーを充電できる「3WAY USB CHARGE SPINNER」だ。
https://dime.jp/genre/542171/
最初は付録に釣られて買って、それでファンになってヘビィな読者になるという時代は終わったように思う。付録で買う。それで雑誌の内容が面白ければ読む。しかし、その後も続けて買うというヘビィな読者にはならない。実は、私もそうだ。

◎ディーエムソリューションズは、小学館のポスト・セブン局が運営するマネー情報サイト「マネーポストWEB」と共同で、不動産売却サービスの比較サイトを4月26日にオープンした。今回の連携は、妊活・育児の応援サイト「たま Goo!」から「NEWS ポストセブン」への記事配信に続く第2弾となる。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1578393
広告会社はポスト・セブン局のデジタルシフトにもっと注目してしかるべきだろう。小学館のデジタルシフトにおいてポスト・セブン局はエンジンの役割を果たせる潜在力を持っていると私は認識している。

◎「平安時代から明治時代に至る日本医学史を渉猟した富士川游(ゆう)(1865〜1940)の約9千冊に及ぶ医学書のコレクションを、京都大付属図書館が電子化して公開を始めた」(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20180513000109

◎元毎日新聞というよりも「日活ロマンポルノ全史―名作・名優・名監督たち」(講談社)の松島利行が亡くなった。
https://mainichi.jp/articles/20180514/ddm/041/060/136000c

講談社が運営する「コミックDAYS」に掲載されているオリジナル連載作品が、5月14日12時より「ほぼ」全作品が無料で公開されている。具体的にはアプリは最新1話(WEBは最新2話)を除き、無料公開。期間は単行本1巻発売月の前々月末までとなる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001703.000001719.html

◎日販が発表したゴールデンウィーク(4月28日〜5月6日)の書店売上動向調査によれば前年比で雑誌が89.9%(前年92.0%)、書籍が97.7%(前年99.3%)、コミックが94.3%(前年86.5%)、開発品が121.0%(前年116.8%)、期間合計が95.2%。
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2018/05/gw_2018.pdf

◎日販と富士通は、売場のコンセプトや客層など書店の特徴に合わせてAIが自動で選書を行う選書サービス「SeleBoo」(セレブー)を共同開発し、2018年夏より、日販から全国の取引書店向けに提供を開始する。
https://www.nippan.co.jp/news/seleboo_20180514/
この手のシステムに投資するよりも人を育てるべきだろう。いや本当にこの世界は寒い!・・・「世界は寒い」(祥伝社)は高野雀か。

◎「CanCam」(小学館)7月号の表紙を飾るのは韓国発の9人組ガールズグループ「TWICE」だが、全国版と関西版の2バージョンが同時発売される。
https://mantan-web.jp/article/20180513dog00m200025000c.html

◎LINEは、名刺管理アプリ「myBridge」(iPhoneAndroid対応/無料)のサービス提供を開始した。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2018/2195
LINEは人々の生活のあらゆる局面に入り込んで来る。

フェイスブックが仮想通貨に乗り出す?!「ギズモード・ジャパン」は次のように書いている。
「The Vergeによりますと、Facebookは自身のプラットフォームでの支払いに使用できる仮想通貨を計画しているんだとか。同時に、仮想通貨のバックボーンであるブロックチェーンをプラットフォームで活用することも考えています」
https://www.gizmodo.jp/2018/05/facebook_is_planning_its_own_cryptocurrency.html

シトロエンプジョーシトロエン・ジャポン)は、女性向けファッション誌「ELLE」とコラボした限定車「C3 ELLE」を150台限定、価格245万円で発売した。
http://web.citroen.jp/c3-elle/?_ga=2.166819067.459547467.1526348756-1768670953.1526348756

◎NNNドキュメント「南京事件Ⅱ〜歴史修正を検証せよ〜」が放映された。5月20日には再放送される。清水潔チーフディレクターである。
https://www.facebook.com/nnndocument/
http://www.dailymotion.com/video/x6jhn9a
https://togetter.com/li/1227500

                                                                                                          • -

3)【深夜の誌人語録】

常識と非常識を使い分けなければプロとは言えない。