忌花学廃人篇 其の六

紅葉且つ男塗れのワンピース
鈴虫の噎び泣く夜の善がり声
誰からも愛され誰も知らぬ秋
星月夜二人を捨てて言葉だけ
流星や裏切りばかり嘘ばかり
墓石に刻むその名は曼珠沙華
抱きしめて世界を消して無月かな
天高しされど淋しき右手の詩
手遅れの出会ひもあれば原爆忌
芋茎むく他人を招き入れるため
散りきれずまた死に切れず夜なべして
快楽の走り抜けたる菊枕
二度三度交わる虫の厭離穢土
夜のたびに役に立たねど威銃
不知火のいつかはいつもなかりけり
壊すほど自由は君に神無月
やがて死ぬ誰もが出会ふ枯木立