讀賣新聞の社説「消費税と新聞 軽減税率の議論を再開したい」を読んで怒りが込み上げてきた!

讀賣新聞の10月18日付社説を読んで怒りが込み上げてきた。「お前ら!何様のつもりだ」と。社説のタイトルは「消費税と新聞 軽減税率の議論を再開したい」だってさ。私の記憶する限り、讀賣新聞をはじめ、朝日新聞毎日新聞の全国紙、これに日経を加えて4大新聞は、野田政権のすすめた消費増税について「異論」を差し挟むどころか、社説を含め消費増税を後押しする論調で足並みを揃えていた。「政治とカネ」による小沢一郎批判と消費増税賛成では全国紙に主張の違いはなかった。首都圏に住んでいると、「最左派」の東京新聞を別にすれば、「最右派」の産経新聞に至るまで「消費増税、やむなし」の記事しか読めなかったことは記憶に新しい。そんな新聞が自分たちの商品(=新聞)だけは消費増税から逃れて当然だと、讀賣新聞は堂々と、いや厚顔無恥にも社説で主張しているのだ。
讀賣新聞の社説は、その書き出しからして不愉快なものであった。

新聞は民主主義と活字文化を支える重要な基盤だ。

私は新聞が民主主義と活字文化を支える重要な基盤、社会インフラであって欲しいと念願している。だから、国家権力のイデオロギー装置としての役割しか果たしていないような新聞のあり方に批判的な文章も書いてきた。それをまるで問題などないかのように新聞は民主主義を支える重要な基盤だと言い切ってしまうのは、新聞ならではの傲岸不遜なのではないだろうか。活字文化を支えるという意味でも、やはり新聞は重要な基盤として機能すべきだと私は思っている。しかし、これについても疑問を抱かざるを得ない。国会記者会館問題にしても、新聞が活字文化を支える重要な基盤であると本気で認識しているのであれば、新聞記者ではない記者たちに解放して然るべきだろう。新聞は活字文化を支えるというよりも、活字文化を独占するシステムを新聞は温存したままではないのか。新聞にとっての「言論の自由」とは新聞による記者クラブ制度を通じての「言論の独占」にほかなるまい。新聞ジャーナリズムは個々の記者の思惑を超えて、根っこの部分で「自由な言論」に敵対しているのである。日本の新聞の現状からすれば「新聞は民主主義と活字文化を支える重要な基盤」ではないのである。しかし、新聞自身は、このことに気がつこうともせず、讀賣新聞の社説であれば、次のようにつづけるのである。

消費税率引き上げでは、新聞に対する税率を低く抑える軽減税率を導入すべきである。

新聞は商品として既に他の商品と一線を画している。新聞は法定再販商品なのである。法定再販商品であることによって、定価販売が法律で義務付けられているから、価格面では市場原理に左右されずに済む、言ってみれば「国家社会主義商品」である。新聞は自由主義とは無縁な商品であるということだ。法定再販制度に守られていることだけでも他の商品と違った特権を享受しているにもかかわらず、消費増税で新聞に軽減税率という特権が導入されるのは当然だと胸を張っているのである。確かに讀賣新聞が「欧州各国では、日本の消費税に当たる付加価値税の税率は20%前後だが、新聞に適用される税率は、フランス2・1%、スペイン4%、ドイツ7%と軒並み低い。イギリス、ベルギー、ノルウェーのように0%の国もある」と書くのは事実である。しかし、ヨーロッパの新聞は讀賣新聞をはじめとした日本の新聞のように法定再販制度に守られているのだろうか。私の古い記憶からすれば新聞という商品に再販が適用されているのはOECD(経済開発協力機構)加盟中では、日本とドイツの二カ国だけであったはず。この辺りの事情を一切説明せずに、ヨーロッパ諸国の低い税率を持ち出すのは、フェアな書き方とは言えまい。
讀賣新聞の社説によれば「軽減税率導入」を求める声は政界でもあがっている。

公明党の井上幹事長が、軽減税率導入を求める約600万人の署名を城島財務相に提出し、税率8%時からの実施を要請した。これを機に議論を再開すべきだ。
自民党も安倍総裁、石破幹事長が総裁選公約で、ともに軽減税率導入を訴えていた。

私にしても消費増税をどうしても断行するというのであれば軽減税率は生鮮食料品など、民衆の生活に切実にかかわる商品には導入すべきだと思う。そういう意味で「公明党の井上幹事長」や「自民党も安倍総裁、石破幹事長」が軽減税率の導入を訴えるのも理解できる。しかし、新聞は民衆の生活に切実にかかわる商品ではないし、既に法定再販制度の恩恵を享受しているのだから、新聞に軽減税率を導入する必要は絶対にないと思っている。新聞は、はっきり言おう、役に立つという意味では私にとって新聞はトイレットペーパーよりも劣る商品である。トイレットペーパーがなくなって困るほど、新聞を読まなくても困るということは、私のみならず、大半の民衆の生活においてはないはずである。
日本新聞協会が青森市で開催した新聞大会で、「新聞を含む知識への課税強化は民主主義の維持・発展を損なう。新聞には軽減税率を適用するよう強く求める」決議を採択したという。讀賣新聞に限らず新聞界には自分勝手な連中しかいないのだろうか。民衆は新聞に対して、もっと怒りの声をあげるべきである。