忌花学廃人篇 其の十

棺桶の並ぶ芒野ゼロの中
熱病を肌に埋め込む阿弥陀仏
ままははの地下にひろがる恋の空
放浪の罪を奏でる雪月花
ぼんくらの閨の底辺のまつさを
木枯やすでに存在常に虚無
言の葉のまつ白の初日記の死
花散る夜は真空泣かず笑はず
存在も非在も隣あはせの死
どんな死も所詮は夏の他人の死
腸を盗む速度の紅葉風
ほらそこの殺風景の枯葉かな
国ぐるみ産み流しては雪女郎
冷血の仏陀火達磨花盛り
もののふのげんこつ灼くる平和かな
空想を裸で泳ぐ羊飼ひ
明日あらば紅葉とともに余を去りぬ
凍傷の大地に肌を重ねたり
子宮よりたましひよりも揚雲雀