忌花学廃人篇 其の十二

凍蝶の黄泉は髑髏の裸踊り
淡雪に誘はれ男の液放つ
凍死せし原稿用紙上の愛を焼く
実存を寝取られ遂に雪女郎
神ひとり犯す言葉の落葉焚
降る雪に肉弾戦の未来死す
冬薔薇の棘にイエスの反り返る
人は死ぬばかりなりけり冬の蠅
マフラーを汚すマリアの嘔吐かな
言霊の凍てつく冬の貞操
虚無を林檎のやうに齧る友は死す
凩や望むは変死ただの夢
変態のうふふと泣くは恋の猫
死神の叫びの凍る暗夜行路
狼も人も死ぬるは一度きり