【文徒】2014年(平成26)1月30日(第2巻18号・通巻220号)

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1)【記事】雑誌をどう売るか、どこで売るかをもっと真剣に考えよう
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌をどう売るか、どこで売るかをもっと真剣に考えよう

駅のホームから売店が次々に消え始めている。雑誌やスポーツ新聞がかつてのように売れなくなったから売店が撤去され始めた一因なのかもしれない。しかし、雑誌やスポーツ新聞の側からすれば部数の縮小に拍車をかけることになるだろう。目を地方に転ずるならば街の小さな書店が次々に閉店していくことも雑誌を読者から遠ざけている。
一昔前であれば、それでもコンビニがあった。雑誌はコンビニの主力商品の一つであったが、ここでも異変が起きつつある。まずコンビニにおける雑誌の売上が減少傾向に転じてしまった。にもかかわらずコンビニの店舗数は拡大傾向にある。そこで何が起こりつつあるかと言えば、コンビニの雑誌売り場の荒廃である。
雑誌の売り場をどうするのか?出版社は真剣に考えなければならない局面に立たされているのではないだろうか。ひとつには定期購読をもっと充実させる方策をとらねばなるまい。例えば紙の雑誌とそのデジタル版を紙の雑誌を年間購読するのと同じ金額で提供するというアプローチも検討するべきなのではないかと私は思っている。
更に言えば書店、コンビニ、即売に販路を限定するのではなく、新たな売り場の開拓も重要なテーマなのではあるまいか。例えば女性ファッション誌であれば、女性ファッションを扱う小売店で売ることも検討してしかるべきではないのか。その雑誌ならではの売り場を独自に開発するのだ。スポーツクラブでダイエットにかかわる雑誌やムックが売られていても少しもおかしいことではない。特集によって雑誌の売り場が変わっても良いではないか。出版社は「読者のために」とよく言うが、ならば「より読者の近くに」を実現する努力をして欲しいものである。
そうすることが雑誌の広告媒体としての価値を高めることにも繋がるはずだ。販売における創造力が出版社には問われているのである。取次や書店から上がってくる数字に一喜一憂するのが販売の仕事ではないのだ。

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2)【本日の一行情報】

日本電子出版協会はアマゾンのキンドル・コンテンツ担当者を招いたセミナーを2月20日に開催する。
http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=5190

ジェフ・ベゾスがアマゾンという「エブリシング・ストア」を構想したのはグーグルが創業される4年前の1994年だった。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140124/258739/?ST=manage

凸版印刷は電子出版コンテンツを読みやすくする新書体を開発しているが、これを「凸版文久体」と命名し、第一弾として、本文用明朝体「凸版文久明朝 R」を、2014年2月上旬から提供開始する。同社は2016年春までに計5書体の提供を目指す。
http://www.toppan.co.jp/news/2014/01/newsrelease140127.html

◎2月8日、9日に「第16回にいがたマンガ大賞フェスティバル」が開催される。
http://award.manganime-niigata.jp/p01_1389843122291.html?&n=10&s=1&c=all

小学館不動産が新築する「小学館ビル」の新築は鹿島の施行で3月初旬に着工する。設計は日建設計が担当し、2016年5月中旬に完成予定。
http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/140127500032.html

佐賀県とのコラボレーションをつづけている宝島社が何と有田焼付きのブランドムック「LOVE!佐賀」を発売する。定価は「1400円+税」。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000005069.html

トーハンのc-shelf加盟書店で「Num_ro TOKYO」(扶桑社)3月号を購入した読者に、特別デジタル版を無料提供するというのだが、一回こっきりではインパクトがあるとはいえ限定的だと思う。というよりも、こういうアプローチでは、電子雑誌は所詮キワモノという扱いだ。やるのであれば毎号、無料提供すべきなのではないか。
http://media.yucasee.jp/r/detail/240805

電子書籍版の画集か。ゴマブックスが「ムンク 名画集」を500円でリリース。この出版社は英訳版だけれどドイツでは出版が禁じられているヒトラーの「わが闘争」もiBooks Storeでリリースしている。
http://japan.cnet.com/release/30062625/
http://japan.zdnet.com/release/30062602/

◎「with」3月号の付録は「ルナソル セルフネイルキット」!
http://www.yomiuri.co.jp/adv/enterprises/release/detail/00075554.htm

講談社で編集者として「ホットドッグ・プレス」「ソフィア」「チェックメイト」「TOKYO1週間」の編集にかかわってきて2006年に退社した山田五郎(武田正彦)は「爆笑問題の日曜サンデー」で「明日、ママがいない」の騒動に触れて次のように語っていることがネットで話題になっている。
「自分が仕事してて、1989 年がターニングポイントかなって思ってて」「昭和天皇崩御の時。それまでは、人権的な問題だったりして、『これは言ってはいけない』ってことはあったわけ」
「だけど、『何故言ってはいけない』ってことと、誰に対して、どう配慮すべきかってことはハッキリしてたわけ。ところが、昭和天皇が御病気になられて自粛が出た時には、誰に対して、何をどこまで自粛して良いのか、まったく基準が無かったわけ」
「だから、業界中、なんだか分からないけど自粛した方が良いんじゃないかって空気が、日本のマスメディア史上、初めて流れたんですよ」
「そしたら、その直後に92年くらいにバブルの崩壊があって、メディアから広告が一斉に減ったでしょ。それまでも広告はこちら(出版社)としては大事だけど、読者のことを考えてやってるから、スポンサーと意見が食い違っても、最後は目的は同じだから、戦おうよってことになってたけど、自粛ブームがあり、広告が減ったら、全面的にスポンサーの言うことを聞くようになっちゃったんだよね」
http://numbers2007.blog123.fc2.com/blog-entry-3137.html

◎お笑い系のバイラルメディア「CuRAZY」が公開16日で累計150万PVに到達した。
http://curazy.com/
運営するのはBitGather。「たてよみマンガCOSMIC」もここの仕事である。代表取締役は伊藤新之介。伊藤はBBT大学の出身。BBT大学は大前研一が学長をつとめるオンライン大学である。
http://bbt.ac/opencampus/#excellence

講談社の現代新書から刊行される瀬木比呂志の「絶望の裁判所」はブルーパージという大規模な左派裁判官排除工作に裁判官出身最高裁判事の半分が関与していたことを明らかにしているらしい。買うことにしよう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38171

◎「ぴあ」調査による1月24日、25日に公開された映画の初日満足度ランキングで山田洋次の「小さいおうち」を退けて韓国映画「7番房の奇跡」が1位となった。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201401270006
ちなみに私は山田洋次嫌いなんですよ。「馬鹿が戦車でやって来る」しか認めていない。

◎テレビとネットとの連携が本格化しそうだ。番組の放送波とともに、ネット上からも同時に情報が送られてくるハイブリッドキャストの実験番組を在京テレビ局など7社が3月までに放送する計画が進行しているようだ。
http://itnp.net/story/555

◎「楽天ブックス」の読者投票によるランキング「2013年隠れた名作No.1決定戦」で総合1位に輝いたのは押切もえの「浅き夢見し」(小学館)だが、これを記念したトークイベントが2月15日に開催される。1136票で1位となったわけだが、この数字が「楽天ブックス」の実力を如実に物語っている。
http://npn.co.jp/article/detail/51403399/

◎「mixi」にログインしなくとも「mixiニュース」を閲覧することが可能になった。厳しい見方をすれば「mixi」の悪あがきである。
http://mixi.co.jp/press/2014/0128/12123/

◎…だとすれば誇大広告ではないのか?
「『KDDIはプラチナバンド』と盛んに宣伝しているものの、実は都市部だとほとんどのケースでプラチナバンドではない2.1GHzで通信しています」
http://news.livedoor.com/article/detail/8474246/

小学館の「小コレ!」店頭装飾コンテストの第1位は今井書店出雲店に決定。小学館のキャラクターが全員ゴルゴ13なんですよね。ドラえもんまでも!2位が本のがんこ堂唐崎店、3位が三省堂書店神保町本店。
http://natalie.mu/comic/pp/shocolle#!/

KADOKAWAの調査によれば「ニンテンドー3DS」の国内販売台数が1500万台を突破したそうだ。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2014/01/28/kiji/K20140128007476030.html

◎缶コーヒー「セブンプレミアム×サントリーボス『ワールドセブンブレンド』」は100円!セブン&アイ・ホールディングスサントリーの共同開発だ。
http://www.sanspo.com/geino/news/20140128/eco14012815000003-n1.html

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3)【深夜の誌人語録】

現状に満足などしていては未来に希望を抱けまい。希望が人を前進させるのであれば、現状に対する不満を大切にしなければならないはずだ。