【文徒】2014年(平成26)2月17日(第2巻29号・通巻231号)

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1)【記事】講談社に「風」が吹いている
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】講談社に「風」が吹いている

百田尚樹強し!「海賊とよばれた男 上」が遂に100万部。講談社にとってミリオンセラーは2000年に刊行された大平光代の「だから、あなたも生きぬいて」以来、14年ぶりの快挙。上下巻あわせて190万部を超える。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000341.000001719.html
周知のように百田の文庫「永遠の0」は文庫の販売記録を塗り替えて、今尚売れつづけている。マンガ「進撃の巨人」の「進撃」もまだまだ続きそうだし、講談社に「風」が吹いていることは間違いあるまい。
山口百恵赤いシリーズDVDマガジン」全38巻は2月25日創刊に創刊されるが、この企画も売れそうな予感がする。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000342.000001719.html
これも「風」なのだろうか。「遮光」で野間文芸新人賞を、「土の中の子供」で芥川賞を、「掏摸<スリ>」で大江健三郎賞を獲得した中村文則ノワール(暗黒)小説に貢献した書き手に贈られる米文学賞「デイビッド・グディス賞」を獲得。米ホラー作家協会が現在選考中の「ブラム・ストーカー賞」の候補にもなっているという。大江健三郎賞の威力なんだろうなあ。大江は「掏摸<スリ>」の本質を「レシ」であることを見抜いていた。創立100周年を記念して大江健三郎賞を立ち上げた講談社の「深さ」が中村文学を世界に羽ばたかせたと言えるのかもしれない。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140212/art14021221220005-n1.htm
そんな講談社の役員人事が2月20日に発表される。第三編集局の森田浩章局長が取締役に新任される見通し。第三編集局は「進撃の巨人」を生んだ編集局である。2011年11月のインタビューを読んでおこう。
http://www.fujisan.co.jp/yomimono/articles/5144
退任はないが、大竹深夫取締役が非常勤となり、大阪屋社長に就任するようだし、入江祥雄取締役も非常勤となり、キングレコード社長に就任する模様。年初に大阪屋本社で開かれた「おでんの会」に森武文専務が出席した頃から、この社長人事は動き出していたと見て良いだろう。いよいよ大阪屋が動き出す。取次業界に波紋を巻き起こすような一手を大竹社長には打ってもらいたいものである。またライツ関連の仕事をしてきた入江取締役のキングレコード社長就任は、講談社キングレコードの「距離」を小学館小学館集英社プロダクションのようにすることが狙いなのかもしれない。

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2)【本日の一行情報】

◎書店には親韓本(韓流スター関連の出版物など親韓本の典型である)もあふれているのだが、そこは見ようとしないのが、朝日新聞の報道=隠蔽であり、そのような記事に踊らされてしまうのが、昔から変わらない進歩的文化人の性である。例えば「これじゃただヘイトスピーチに加担するだけじゃないですか」とか言って、「呆韓論」(産経新聞出版)や「悪韓論」(新潮新書)、「侮日論」(文藝春秋)を在特会あたりのヘイトスピーチと一緒くたにしてしまうのは、「知」の劣化以外のなにものでもあるまい。次のような書店員の発言も一見すると妥当であるかのようだが、こうも簡単に「ヘイト本」と言い切ってしまうのは、同じ「進歩ムラ」の住人だからであろう。
「少なくとも『売る』という一点においてヘイト本の著者たちは誠実だし真剣だと思う。『呆韓論』っていうタイトル、これ以前に『悪韓論』が売れたからだろうし。そして呆韓論ヒットの後は間を置かずに『侮日論』が出た(これもちゃんと売れてる)。そういうマーケティング、ちゃんとやってるの?」
http://togetter.com/li/629099

舛添要一の「憲法改正のオモテとウラ」(講談社現代新書)が刊行される。都知事選挙がパブリシティ!
http://www.amazon.co.jp/dp/4062882515/
自民党石破茂幹事長は「日本人のための『集団的自衛権』入門」(新潮新書)を刊行。
http://www.asahi.com/articles/ASG2F4S99G2FUTFK009.html

高野真之の漫画「BLOOD ALONE」は「イブニング」(講談社)の連載がこの春で終了するが、引き続き同人誌と電子書籍で書き続けると高野自身がツイッターで発表した。
「新刊の11巻は2月末から3月頭を目処に同人ショップなどで販売される見込み。5月開催のコミティアでも販売を行う予定です。書籍は既刊と並べても違和感がないよう、B6版カラーカバーという体裁で製本するとのこと。さらにその後の続刊も、書店委託等での販売を続ける計画です。
既刊についても電子書籍で「比較的安価で手に入りやすくしたいと思っています」とのことで、今後は高野さんバージョンの電子書籍がストアに並ぶと考えられます。また、ファンからの要望次第では紙の書籍の少部数での印刷も検討する考えです」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1402/13/news069.html
雑誌での連載が打ち切りになっても、デジタルメディアを利用すれば作家個人の力で連載を継続できるということだ。

◎ぴあの14年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結経常損益は6.6億円の黒字。前年同期は4.7億円の赤字だった。
http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=k201402130009

◎「LINE:ディズニー ツムツム」が、サービス開始から2週間で国内400万ダウンロード。物凄い勢いだ。
http://www.gamer.ne.jp/news/201402120020/

◎ITジャーナリストの一条真人が選んだ「今年注目が集まりそうなスマホサービスTOP5」。第1位「サブスクリプション型音楽サービス」、第2位「サブスクリション型ゲームサービス」、第3位「Google+」、第4位「ツイキャス」、第5位「楽天でんわ」。
http://news.livedoor.com/article/detail/8532241/
私が最も注目しているのは「ツイキャス」である。

◎「ジ・エコノミスト」は、こういう見方をしているのか。
安倍氏自民党にとっては、メディアを再起動させることは戦略的な優先課題だ。彼らの考えでは、第2次世界大戦中に日本軍の宣伝媒体としての役目を果たしたジャーナリストらは、その後、対極へと走った(もっとも他の民主主義国のメディアの基準からすると、日本のメディアは既に不健全なほど従順だ)。
今年1月30日に抗議の意思を示してラジオ番組を降板した出演者によると、NHKは今は事実上、原発問題について一切議論しないよう命じられているという。
新会長による扇動的な発言について、他のマスコミから猛烈な批判を浴びるなか、NHKは3日間もそのニュースを報道しなかった」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39924

◎24日にスタートする「NOTTVブックス」は、「週刊ダイヤモンド」、「朝日NOTBOOK」、「DIME」、「CanCam」、「AneCan」、「Oggi」、「Domani」、「美的」という雑誌8誌の厳選したページを配信する。小学館女性誌が「NOTTVブックス」にノッた。雑誌本体の販売促進も狙っているのだろう。ドコモからすればドコモのスマホならではのサービスを強化したいのだろう。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20140213_635080.html

◎「コインスペース 東急プラザ 渋谷店」は1人10分100円で雑誌読み放題、ソフトドリンク飲み放題。
「10分100円の利用料で約300席を用意し、ドリンク飲み放題からキッズスペース、おむつ替え、授乳室、寒くない喫煙スペース、雑誌、iPad、会議スペースまでを提供するのは、必要とされているにもかかわらず、いまだ提供されていない“細かいすきまニーズ”を埋めるためだ」
http://news.livedoor.com/article/detail/8532288/

KADOKAWAはgooyaAdと提携し、MF文庫Jの公式インタビューをgooyaAdが運営する「ザ・インタビューズ」より発信する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000009355.html

文藝春秋は文春e-Books「文藝春秋 電子書籍ベスト100」(文藝春秋)をKindleストアで独占無料配信を開始。電子版図書目録というわけである。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140213/prl1402131708085-n1.htm

楽天は液晶ディスプレイ型のAndroid電子書籍タブレットKobo Arc 7」を日本でも発売開始。
http://kobo.rakuten.co.jp/tablets/koboarc7/

◎週刊誌のスクープをそのまま電子書籍化するという手法は、こういう記事では威力を発揮しよう。文春e-Books「堕ちた“現代のベートーベン”『佐村河内守事件』全真相」(神山典士+「週刊文春」取材班)は2月13日付のスクープ記事を電子書籍化。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140213/prl1402131638080-n1.htm

スターツ出版は5期連続増収、6期連続増益。もっとも10-12月期の経常利益は前年同期比56.0%減の6600万円に大きく落ち込んだことも付記しておかねばなるまい。
http://kabutan.jp/news/?b=k201402130285

◎アマゾンや楽天ジャニーズ事務所所属のタレントのCDを検索するとタレントが写っているジャケットは出て来ず、緑のジャケットなどに変更されている。ジャニーズ事務所がインターネットに写真掲載を一切認めていないのである。
http://news.ameba.jp/20140213-500/

電子書籍書店「パピレス」は購入方法を3月13日から「ポイント制」に変更する。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1402/14/news069.html

紀伊国屋書店神戸店が閉店した海文堂書店の海事書コーナーを引き継ぐことをまるで美談であるかのように書かれた記事だが、紀伊國屋書店神戸店がなければ海文堂書店は、まだ閉店していなかったことであろう。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140213-OYT1T00272.htm?from=ylist

◎このトートバッグ、確かにカワイイ。宝島社のファッション雑誌「sweet」3月号の附録は、ファッションブランド「Cher」とコラボした、「ミッキー&ミニー」リバーシブルトートバッグ。実はわが家にも、このトートバッグがあるのだが、雑誌は誰も読んでいない。こんなことで良いのかと憤ってくれるな。売れないよりは売れたほうが良いに決まっている。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140214/prl14021409420008-n1.htm

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3)【深夜の誌人語録】

自分を理解してくれないと嘆く暇があったならば、他者を理解することに全力を尽くすべきである。