【文徒】2014年(平成26)2月18日(第2巻30号・通巻232号)

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1)【記事】ネットジャーナリズムの行方
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ネットジャーナリズムの行方

ニューヨークタイムズの元編集長が非営利で(寄付によって運営する)、インターネットのベンチャーメディア「The Marshall Project」に移籍する。「The Marshall Project」はアメリカの刑事司法制度に関する報道を行う。専門性に依拠したジャーナリズムがネットメディアで増える傾向がアメリカにはある。果たして、こうした潮流が、どのような形で日本的着地を果たすのか。
http://blogos.com/article/80335/
日本では新聞記者よりも雑誌周辺の記者や編集者がどう動くかだ。アメリカでは新聞がインターネットの脅威に最も曝されているが、日本では新聞よりも雑誌のほうがインターネットの脅威に曝されているといって良い。実際、「田中龍作ジャーナル」の田中龍作や「IWJ」の岩上安身は新聞ではなく雑誌の出身と言って良いだろう。
http://tanakaryusaku.jp/
http://www.ustream.tv/channel/iwakamiyasumi
雑誌を母胎に活躍していたフリージャーナリストは次々にネットを活用しはじめている。しかし、「非営利」を前提にはしていないようである。もちろん、ほとんどが儲かっていないから、結果的には「非営利」なのだけれど。
「営利」ということで言えば出版社もネット・ジャーナリズムの世界に橋頭堡を築きつつある。講談社の「現代ビジネス」、小学館の「NEWSポストセブン」、ダイヤモンド社の「ダイヤモンドONLINE」、東洋経済新報社の「東洋経済ONLINE」などが記事を充実させてきている。この辺りが更にユーザーを増やしてゆけば面白いことになるのではないだろうか。しかし、「親雑誌」を離れてメディアとして自立するには何かが足りないのだ。それは何かを各メディアが各様に模索している最中なのであろうが、私が思うに紙の新聞や紙の雑誌を歯ぎしりさせるような専門領域におけるスクープが必要なのではないだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎ソウルで暮らす地元の人たちしか知らない食の穴場90店を紹介するファン・スンジェの「ソウル食べ尽くし リターンズ!」(実業之日本社)から刊行された。「民団新聞」が太鼓判を押している。
http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=3210&corner=6

◎「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」の3月8日公開の公開を前に、六本木のテレビ朝日本社1Fのアトリウム&カフェ「シェ・マディ」で、「映画ドラえもん大魔境探検ランド」が開催されている。高さ約5メートルの謎の巨神像を目指してスタンプラリーが楽しめる。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/movie_anime/141342.html

◎アニメ「クレヨンしんちゃん」とテレビ朝日のマスコットキャラクター“ゴーちゃん。”が、2月28日放送の番組内でコラボする。
http://news.thetv.jp/article/44459/

紀伊國屋書店は、日本財団主催で2月28日から3月9日まで開催される「東京国際文芸フェスティバル2014」に全面協力する。ジュノ・ディアス、本仮屋ユイカ市川真人西加奈子松家仁之、ネイサン・イングランダー、
アレクサンダー・ヘモン、エトガル・ケレットらが出演し、「物語の生まれる場所」について語り合うオープラングイベントは紀伊國屋サザンシアターで開催されるが、紀伊國屋書店紀伊國屋サザンシアターを無償で提供する。
http://tokyolitfest.com/program_detail.php?id=33きょ
競艇が文学に貢献しているのだろう。日本財団競艇の収益金の2.6%が入る。

◎飯塚浩一郎は博報堂のコピーライターであるとともにダンスユニッ「DAZZLE」のダンサー/脚本家である。
http://news.mynavi.jp/articles/2014/02/13/ic/
その昔、逢坂剛は小説家であるとともに博報堂の広報マンであったことがある。逢坂は大河スパイ小説イベリアシリーズを第7作の「さらばスペインの日日」(講談社)で完結させたばかりだ。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20140204-OYT8T00926.htm?cx_text=05&from=yoltop

角川文化振興財団東京大学大学院情報学環に1億500万円の寄付し、3年間の寄付講座「東京大学大学院情報学環 角川文化振興財団 メディア・コンテンツ 研究寄付講座」を開設する。推進メンバーには「角川ブランド」の批評家・大塚英志が名前を連ねる。
http://ascii.jp/elem/000/000/863/863326/
民俗学者としては大塚よりも大月隆寛のほうが上だと思うのだが、大塚は「角川」に食い込んだことが功を奏している。これが人生というものなのだろう。

サントリー食品インターナショナルの2013年通期決算。売上高は13%増の1兆1213億円、営業利益は24.4%増の727億円。コンビニをのぞけばわかるように「伊右衛門」「BOSS」が好調だし、イギリスの飲料ブランド「ルコゼード」「ライビーナ」の業績が上乗せされた結果である。
http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000021497.html

トーハン学研ココファングループと業務提携して、平成27年4月に横浜のトーハン神奈川支店跡地でサービス付き高齢者向け住宅を開業する。
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/post_321/

アメリカではラーメンブーム。ニューヨークではラーメンマップが刊行された。海の向こうで生まれたアメリカンラーメンを食べてみたい。
http://news.mynavi.jp/news/2014/02/13/593/

◎ロイターの記事に従えば百田尚樹は「売国奴」なのかもしれない。
「世界中のメディアで軍国主義の復活だと宣伝する中国に対し、日本も反撃を試みているが、過去の戦争をめぐるNHK経営委員の発言も飛び出し、中国に攻撃材料を与えている」
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2014/02/120045.php

◎米アマゾンの2013年12月期業績によると、日本での売上は前期比2.1%減の76億3900万ドル。減収は円安の影響。年間平均為替レートで換算すると、約7400億円となり、前期比20.3%増の増収となる。
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2014/02/14/16937

講談社の中国通として知られる近藤大介(年初には必ず新潮社版の「源氏物語」全八巻のうちの一冊と小倉紀蔵の「韓国は一個の哲学である」を読み返しているそうだ)が講談社から「日中『再』逆転」を刊行した。近藤は「講談社現代ビジネス」(日本語)、「経済観察報」「看天下」(中国語)、「アジア・インベスター」(韓国語)というように日中韓で連載を持つ。
http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2188058

◎ニューヨーク在住の大原ケイはソニーの北米電子書籍市場からの撤退について次のように書いている。
「結局、ソニーは『ガジェット屋』で、Eブックというコンテンツを売るビジネスなんてそもそもムリだった、ということに尽きると思います」
http://www.dotbook.jp/magazine-k/2014/02/14/sony_leaves_from_ebook_market_in_north_america/
「いずれにしろ、アマゾンがやらない分野や、アマゾンにできないことをつねに意識しないと、出版業界に限らず、この先リテール業界や製造業で生き残っていくのは難しいでしょう」
しかし、アマゾンはエブリシングの帝国を目指しているからなあ。

ウォール・ストリート・ジャーナルは14日付の社説で日本は韓国の経済政策を学ぶ必要があると主張したそうだ。アベノミクスは円安を誘導したが、韓国はウォン高にもかかわらず、国際市場で競争力を高めている。
http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014021501000951.html
安倍首相の強気はアベノミクスと呼ばれている経済政策が支えているのだが、ウォール・ストリート・ジャーナルはアベノミクスを評価していないようだ。
安倍首相は朝日新聞毎日新聞東京新聞のみならず、欧米の主要なメディアとも価値観を共有していないのだ。
http://irorio.jp/kawasemi_tubasa/20140215/112329/

◎確かに鑑定・診断系アプリには近づかないほうが無難なんだろうな。
http://blogos.com/article/80363/

資生堂ががんケアのメイク講座を開催する。とても良い資生堂ならではの企画だ。
http://www.alterna.co.jp/12593

ツイッターアメリカで月間アクティブユーザー数の伸び率を鈍化させていると同時に2億4100万人のアクティブユーザーによるタイムライン閲覧数が減少している。現状のビジネスモデルが頭打ちになりつつあるという厳しい指摘があるようだ。ネットメディアは進化を止められないのである。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/14/news102.html

◎不倫専門のSNS「アシュレイ・マディソン」の日本人ユーザー数が63万人を突破。「世界でも異例のペースで会員数が増加中」なんだって。
http://news.livedoor.com/article/detail/8537524/
日本は「官能の帝国」である。

◎「ノンノ」(集英社)がイマドキ男子を「仏男子」と命名
http://www.j-cast.com/2014/02/15196666.html
妻食主義者が今後増えるのかもしれない。

ウレぴあ総研による「売れっ子漫画家の黒歴史!?電子書籍で読める不遇の『打ち切りマンガ』4選」で紹介されているのは「世紀末リーダー伝たけし!」(島袋光年)、「どろろ」(手塚治虫)、「トライガン」(内藤泰弘)、「シャーマンキング」(武井宏之)。講談社には「打ち切り名作」がない!?
http://ure.pia.co.jp/articles/-/20785

◎児童書出版のブロンズ新社が主催する「書店大賞」に未来屋書店東松本店(長野県)が選ばれた。
http://www.shinmai.co.jp/news/20140216/KT140214GUI090025000.php

◎「Motilo」のような「ファッションコマースプラットフォームは日本でも力を持つようになるだろう。女性ファッション誌にとって最大の敵になることは見えているのだから、女性誌を擁している出版社が先に立ち上げてしまえば良いのではないだろうか。
http://techable.jp/archives/10625

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3)【深夜の誌人語録】

仕事において自己満足は現状維持しかもたらさない。飢えた狼だけが前進を許されるのだ。