【文徒】2014年(平成26)2月19日(第2巻31号・通巻233号)

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1)【記事】ソニー敗れたり
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ソニー敗れたり

ソニー電子書籍事業の北米からの撤退を決めたが、日本では電子書籍事業は継続することになった。こうした中途半端な決断に私は違和感を禁じ得なかったが、さすがにソニー社内も意見は割れていたようだ。「日経ビジネスオンライン」にアップされた「楽天の提案を蹴ったソニー電子書籍事業の未来は?」は次のように書いている。
「…このとき、ソニー社内は意見が真っ二つに分かれていた。野口不二夫事業部長率いるデジタルリーディング事業部は日本での事業継続にこだわり、ビジネスディベロップメント部門は北米だけでなくグローバルの電子書籍事業すべての売却を望んでいた」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20140217/259856/?ST=manage&rt=nocnt
ビジネスディベロップメント部門の判断は正しく、デジタルリーディング事業部の判断は間違っている。しかし、「正論」が選択されなかったいうところにソニーの病理が見え隠れしている。
ソニーの「病理」とは一消費者に奉仕する姿勢を失った「過信」である。
日本のユーザーはアメリカのユーザーとは違って合理的ではないが、ソニー神話がまだ通用する程度に情緒的であり、ソニーリーダーを撤退させる必要がない、まだ売れる。デジタルリーディング事業部の認識は、こういうものではなかったのか。消費者に奉仕するということは消費者を不自由から解放すること(消費者の自由を実現すること)にほかならないが、ソニー電子書籍事業はアマゾンや楽天に比べて自由を実現していないのだ。
つまり、ソニーにとって電子書籍事業は電子書籍を売るビジネスというよりも、電子書籍を読める端末を売るための、仲俣暁生の言葉を借りるならば「釣餌」という程度の位置づけなのである。その点、アマゾンや楽天が扱っている端末の価格を見ればわかるように、端末を売ることは「従」にしかすぎない。しかもアマゾンも楽天電子書籍のみならず、紙の書籍も販売しているし、アマゾンに至ってはKDPで誰もが電子書籍を出版できる環境を整えている。様々な自由を実現している。ソニーのリーダーストアは、この2社に比べれば明らかに劣っている。
ソニーリーダーの北米における事業はkoboが継続するというが、せめて日本において楽天koboで買った電子書籍ソニーリーダーでも読めるようにしてもらいたいものである。

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2)【本日の一行情報】

◎日経BP社が「日経ビッグデータ」を3月10日に創刊。こういうフットワーク良さが日経BP社の持ち味だ。
http://special.nikkeibp.co.jp/as/201401/bigdata/

KDDI講談社auスマートパス会員向けに「進撃の巨人for au スマートパス」の提供を開始した。
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1402/17/news023.html

アメリカやイギリスでは「社会科学分野の電子書籍のほうが利用率は多く、自然科学分野は章単位で読まれたりプリントアウトされるケースが多い」らしいが、日本では社会科学分野の電子書籍は、まだまだ少ないのではないだろうか。
http://hon.jp/news/modules/rsnavi/showarticle.php?id=5247

◎ 「B.L.T」(東京ニュース通信社)4月号には篠山紀信ももいろクローバーZのメンバーを撮影した「メモリアル生写真」が附録なんだそうだが、「生写真」の定義を知りたいものだ。表紙を飾るのはメンバーは地区ごとに違う。
http://momoclozamurai.xxxblog.jp/archives/36431919.html

電通デジタル・ホールディングスは印刷通販サービスを手がけるラクスルに出資した。
http://www.asahi.com/tech_science/cnet/CCNET35043959.html
私の名刺はラクスルで作った。

◎安倍首相はメディア好きなのか!専修大学山田健太教授は「琉球新報」は次のように書いている。
「こうしたメディアと政治の関係の象徴的な事例が、首相と経営・編集幹部との会合の多さだ。安倍首相は政権発足から1年間で、延べ50人を超えるメディア関係者と、主として夜に高級レストランで会食を重ねている。最も頻繁に会っている読売から始まり、産経がそれに続き、以下は朝日、毎日、中日、日経、共同、時事などが並ぶ。テレビ局も新聞系列に符丁を合わせ、フジテレビと日本テレビが回数としては多い。しかし多少の凹凸はあっても、総じて満遍なく各社の経営陣が会っていることがわかる。
また、論説・解説委員や政治部長クラスとの会合も存在する(専修大学山田研究室の調査による。詳細は『エディターシップ』3号で公表予定)」
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-219627-storytopic-229.html

2ちゃんねるのオカルト系スレッド「死ぬ程洒落にならない話を集めてみない?(通称:洒落コワ)」で人気の高かった「ウニ」の師匠シリーズが「師匠シリーズ 師事」として書籍化されたが、発売1週刊で重版が決定したというから、ひょっとしたら化けるかもしれない。双葉社はネットから作品を見つけてくるのが上手だ。
http://www.pronweb.tv/modules/newsdigest/index.php?code=3140

フジテレビジョンCS放送フジテレビNEXT ライブ・プレミアム」の同時放送をベースに24時間ライブストリーミングで実施するインターネット有料チャンネル「フジテレビNEXTsmart(フジテレビネクストスマート」を4月1日から立ち上げる。視聴料は月額税抜1200円。バカ高い価格設定をしたものだ。
http://www.fujitv.co.jp/otn/nextsmart/index.html

東洋経済新報社による「女性部長ランキング」の第1位はトレンダーズ。第2位がアニコムホールディングスニチイ学館、第4位がリニカル、第5位がアジアグループ、第6位がパソナグループ、第7位がベネッセホールディングス
http://toyokeizai.net/articles/-/30763

◎大ヒット商品となった「フルメーク ウォッシャブル ベース」を生んだ資生堂の川上登美子は現在、国際事業部アジアパシフィック営業部に所属している。
http://toyokeizai.net/articles/-/30801

◎ネットでは山梨の大雪による災害をマスメディアが報じないという声が次々にあがっていた。上杉隆は次のように書いている。
「その最大の理由は、ソチ・オリンピックにある」「仮に、オリンピックの時期でなければ、甲府放送局初のNHKニュースは遊軍などの力も借りて、もっと充実したものになっていただろう」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140216-00010002-noborder-soci

博報堂クール・ジャパン推進室ビジネスディベロップメントディレクターの宇都宮毅が紹介されている。インド版「巨人の星」を仕掛けた人物である。宇都宮は記事のなかで次のように語っている。
「広告会社は当時、“超”内需産業でした。しかし僕には、これからは少子高齢化で国内市場は小さくなるのだから、国境の枠を越えて考えなければダメだという信念があったのです」
http://diamond.jp/articles/-/48786?page=2

◎ソーシャルメティアウィークにおけるスマートニュースの藤村厚夫の発言。「アンバンドル化が進むとどうなるか。読みやすい形(デザイン)で読みたい、関心のある記事だけを読みたい、抱き合わせではなく単体で購入したい、...などなど、どんどん細分化していきます。この流れはもう止められません」
http://togetter.com/li/631092

サントリーホールディングスの2013年12月期連結決算は、売上高が2兆4 02億円と過去最高、純利益も前期比約5・3倍の 1955億円で過去最高を更新。
http://www.47news.jp/movie/general_politics_economy/post_10536/

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3)【深夜の誌人語録】

営業の極意は借り物の言葉ではなく、自分の言葉で表現することだ。