【文徒】2016年(平成28)3月25日(第4巻56号・通巻743号)

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1)【記事】ハースト婦人画報社の後塵を拝して恥ずかしくないのだろうか
2)【本日の一行情報】
3)【人事】4月1日付ダイヤモンド社人事
4)【人事】4月1日付スターツ出版人事と組織改編
5)【人事】4月1日付日経BP人事
6)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.3.25.Shuppanjin

1)【記事】ハースト婦人画報社の後塵を拝して恥ずかしくないのだろうか

AR(拡張現実)でもハースト婦人画報社が先陣を切った。
「エル・ガール」5月号は一冊まるごとARアプリと連動。スマホでアプリを起動し対象ページにかざすと、写真が動いたり、コンテンツと連動した動画やサイトが現れるというAR機能をほぼ全ページに搭載する。例えば表紙にかざし、セルフィーをアップロードすると、「エル・ガール」のバーチャル・カバーガールに変身できというように!そうして変身した写真を #EllegirlCover のハッシュタグをつけてツイッター、または、インスタグラムへ投稿すると、抽選で豪華プレゼントが当たるSNSキャンペーンも展開するという凝りようだ。
更にスマホ専用のデジタルマガジン「エル・ガール デジマグ」を同時に公開している。リッチな縦長アニメーションでメイキングムービーや誌面で紹介しきれなかった情報を見ることが出来、着せ替えゲーム、自分に似合うフレグランス診断、好きなアイテムやセレブの着こなしに投票できるおしゃれバトルなど、春夏トレンドをインタラクティブに楽しむオリジナルコンテンツを提供している。
http://www.hearst.co.jp/whatsnew/Corp-160322-ELLEgirl-with-AR-feature
日本の女性ファッション誌は何をやっているんだ!と憤ったところで紙の雑誌が大好きで出版社に入って来た連中が紙原理主義を振りかざして幅を利かせている限り、時代に置いてけぼりを喰っても何も感じないのだろう。言っておくが歌舞伎役者になれるのは、ほんの一握りだぞ。最悪なのは雑誌のデジタルシフトを担っている編集者のなかにも、紙原理主義者が潜んでいることだ!そんなことは、ものの10分も話を聞いていればわかるというものである。
アメリカではニューヨークタイムズがグーグルとの提携により、VRコンテンツ提供プロジェクト「NYT VR」を立ち上げ、昨年11月5日に専用アプリを無料公開し、全購読者にVRビデオ用のカードボードを無料配布し、紙面を動画と連動させるという試みがなされているのだ。こと雑誌のデジタルシフトに関していえば、日本は「後進国」にほかならない。

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2)【本日の一行情報】

◎私は不勉強にして藤岡真の名前を知らなかった。TOKIOが出演する「鉄腕ダッシュ」で、世界で一番おいしいラーメンをつくるという企画が二年をかけて3月20日に大団円を迎えたが、このラーメンに福島産小麦粉が使われていたことに藤岡はツイッターに「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し」などと投稿し、炎上していた。
このツイートは私も確認していたが、「文徒」では報告しなかった。その後、このツイートは削除されて一件落着と思われたが、藤岡はブログで再掲載してしまったことから、火に油を注いでしまったのだろう。ツイッターではアカウントを削除し、ブログも一般公開は止めてしまった。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/03/23/twitter-of-fujioka_n_9528146.html?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
http://otakei.otakuma.net/archives/2016032301.html
ツイートからしても、その言語感覚はネトウヨ同様に酷いものではあったが、そのアカウントを全面的に削除してしまうところに藤岡真の作家としての限界があるのではないだろうか。私に言わせれば、筆で立つ矜持に欠けているのだ。

◎アニメ「おそ松さん」人気に頼ったのはアニメ雑誌ばかりではなかった。「週刊朝日」はおろか、「anan」も3月16日発売号で特集を組むと同時に5月11日発売号では表紙に「おそ松さん」が登場することを予告している。
http://matome.naver.jp/odai/2145862451004049801
http://youpouch.com/2016/03/21/343426/

◎日経によれば「千人を超える作家が自作について語った録音テープを新潮社が保管していることが、23日までに分かった」そうだ。新潮社の公式サイトで4月1日から順次、公開されるというから楽しみだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG23H32_T20C16A3000000/
そう言えば今週の「週刊新潮」は「参院選自民党』最強の切り札の背徳的生活! 一夫一婦制では不満足 『乙武クン』5人との不倫」と「週刊文春」に一矢報いているが、文体がなあ…私は「週刊新潮」を貫徹する衒学趣味が嫌いではないけれど、大衆性ということでは「週刊文春」に軍配が上がるのだろうなあ。「週刊新潮」は女性読者なんて意識していないものね。
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/

◎「堀江貴文という生き方」の版元は宝島社。紙版だけの刊行で、電子書籍としてはリリースされていない。アメリカ在住のツイッターユーザーが電子書籍版が出ていないことを嘆くとこれに対し「商売重視で紙限定に拘るクソ宝島社の経営陣。さっさと滅びろ」と応答したうえで、堀江は次のように宝島社をツイッターで批判した。
「せっかく良い本つくる編集力あるのに滅びるのは勿体無いけどね。金儲けの事しか頭にないからこんなクソ考え方になるんだよな宝島社」
https://twitter.com/takapon_jp/status/711967334060072961
http://news.livedoor.com/article/detail/11324037/
堀江の気持ち、わかるなあ、オレ。読者ファーストを考えないと出版市場の縮小に歯止めをかけることはできないのではないだろうか。

◎30年以上にわたって連載がつづいた「美味しんぼ」が大団円を迎えることになった。雁屋はブログで次のように書いている。
「しかし、いくら何でも連載30年は長すぎだ。
そろそろ終わりにしたいと思っていますが、どんな形で終わらせるか。
今までの登場人物総出演で、美味しい食べ物の話でどんちゃんどんちゃん楽しく騒いで大団円。
そう考えています」
こうも書いている。
「たとえどの方面から、どのような圧力がかかろうとも、スピリッツ編集部、小学館は勿論、作者である私も、それに屈することは絶対にありません。
美味しんぼ』は、これまでにいくつかの企業、団体から、気にくわないことを書いたと言うことで、攻撃を受けて来ました。
美味しんぼ』一つのために、小学館の発行する雑誌の全てに対する広告の出稿を止めて圧力を掛けてきた企業もあります。
広告の出稿停止は、出版社にとって大きな痛手です。
それでも、私も、スピリッツ誌も、小学館も、そのような圧力に屈することなく、必要であれば、政府、大企業、各種団体を遠慮なく批判してきたという実績があります」
http://kariyatetsu.com/blog/1762.php
「バズフィード・ジャパン」では毎日新聞出身の石戸諭が取り上げている。
http://www.buzzfeed.com/satoruishido/sayonara-oishinbo#.fjrejvl74D
「男組」に始まり、「野望の王国」を経て、「美味しんぼ」に至る雁屋哲の軌跡もまた硬派の宿命を負っているのかもしれない。

◎「バイオハザードぴあ」が発売された。発売日は、このゲームのちょうど20年めにあたる3月22日だった。加山雄三が「バイオハザード」のファンであったとは知らなかった。
http://hatenanews.com/articles/201603/23824

◎ぴあは、広島東洋カープへの密着取材で知られる「Athlete」と組んで公認ファンブックの第4弾「WE LOVE CARP 2016」を発売。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201603220015

◎フジテレビの社員が酔って女性の住居に侵入した疑いで逮捕された。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/03/23/kiji/K20160323012266250.html

ベイエフエムは千葉県館山で獲れたサザエの貝殻を使用した「SAZAE RADIO」(サザエラジオ)を3980円(税込み)で抽選販売する。限定100個!
http://www.bayfm.co.jp/sazaeradio/

◎LINEはグループトークや複数人トークのメンバーと同時に音声通話ができる「グループ通話機能」の提供を開始した。
http://news.mynavi.jp/news/2016/03/23/326/
風俗好きは昔パーティーラインというサービスがあったことを思い出す。

◎「Messenger Bot Store」が発表されるかもしれない。「TechCrunch」は「FacebookがF8カンファレンスで『Messenger Bot Store』を発表すれば、2008年3月にAppleが『App Store』と『iPhone SDK』を発表して以来のビックニュースとなるだろう」とまで書いている。
http://jp.techcrunch.com/2016/03/23/facebook-bot-store/

講談社の女性ファッション誌「ViVi」5月号の付録は「美少女戦士セーラームーン ビニールポーチ&缶ミラー」だ。
http://www.narinari.com/Nd/20160336778.html
ちなみに「NET ViVi CC」はパイプドHDグループのウェアハートが運営している。5月号ではウェアハートがサイトニュース紹介ページを制作している。ここから更に一歩踏み込んだ「何か」をメイドインジャパンの女性ファッション誌の名誉にかけて実現して欲しいものだ。
http://wearheart.co.jp/2016/03/23/netvivicc0323/

読売広告社とマイボイスコムによる「タレントイメージ調査 2016」が発表された。「好きな男性タレント」の第1位は阿部寛。第2位がマツコ・デラックス、第3位が嵐、第4位が明石家さんま、第5位が大泉洋、第6位が福山雅治、第7位がタモリ、第8位が羽生結弦、第9位が堺雅人、第10位がイチロー
「好きな女性タレント」の第1位は綾瀬はるか、第2位が新垣結衣、第3位が北川景子、第4位が有村架純、第5位が天海祐希、第6位が石原さとみ、第7位が竹内結子、第8位が桐谷美鈴、第9位が深田恭子、第10位が浅田真央
http://www.yomiko.co.jp/news/item/old/pdf/20160323.pdf

◎化粧品ブランド「デジャヴュ」を展開するイミュは、集英社の「Seventeen」「non-no」「MORE」「BAILA」「MAQUIA」の五誌とタッグを組んで、各誌で活躍する人気モデルを起用した春のメイクキャンペーンを3月25日(金)より実施する。
https://www.atpress.ne.jp/news/95050

◎興行成績では「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」が圧勝した。「僕だけがいない街」や「ちはやふる 上の句」を寄せ付けなかった。しかもシリーズの興行収入記録を塗り替えそうだ。
http://otapol.jp/2016/03/post-6106.html

◎誠光社の堀部篤史にインタビューしているが、堀部が語ったことで重要なのは、次の二点だろう。
「規模を小さく、人件費も家賃も少なくし、出版社から直接本を買うことで、3割の利益を確保する。かつ本のセレクトもわがままがいえる。雑貨に頼らず、本だけで勝負したい」
「路地裏にすることで、敷居を高くしコアな人に来て欲しいですね」
http://www.haconiwa-mag.com/magazine/2016/03/seikosha/
書店としての「主体性」を持つということだ。

文藝春秋横山秀夫の「D県警シリーズ」の未収録作「刑事の勲章」を電子書籍オリジナルで配信する。価格は200円。D県警を舞台にした映画「64」の公開に先立ち、TBSで「月曜名作劇場特別企画 横山秀夫サスペンス」と題して、ドラマ「陰の季節」が4月18日(月)、「刑事の勲章」が4月25日(月)に放映される。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/1692030700000000000O
文藝春秋はデジタル領域で、探りを入れるのが上手だ。紙だけに依存するビジネスに危機感を持っているのだろう。

小田急電鉄は、小田急線の主要駅が所在する厚木市および藤沢市と連携し、地域の暮らしやすさや魅力を紹介するオリジナル冊子を制作する。小田急エージェンシーの総合監修のもと、ぴあが編集を担い、「厚木ぴあ」「藤沢ぴあ」として小田急線各駅と厚木市および藤沢市の一部の公共施設などで配布する。
http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/8395_4410202_.pdf

◎「東洋経済オンライン」は「モノ・マガジン」(ワールドフォトプレス)とのコラボによる「蘊蓄の箪笥」を掲載しているが、今回のテーマは「憲法」だ。
http://toyokeizai.net/articles/-/110478

りそな銀行がCCCと手を組む。「蔦屋書店」と連携した店舗を枚方で開店する。
http://www.sankei.com/west/news/160323/wst1603230115-n1.html

アメリカ国内の1〜11月期の電子書籍売上高は前年同期比―12.7%。
https://hon.jp/news/1.0/0/8123

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3)【人事】4月1日付ダイヤモンド社人事

鹿谷史明
新役職:代表取締役会長
旧役職:代表取締役社長

石田 哲哉
新役職:代表取締役社長
旧役職:取締役

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4)【人事】4月1日付スターツ出版人事と組織改編

【組織改編】
・企画プロデュース室を新設し、新規ビジネスの開発、商品開発や販促ソリューションを総合的にプロデュースしていく。
・メトロミニッツ編集長の役割変更は5/20発行号より変更となります。

【人事異動】
倉持 志信
新:オズモール編集部長 兼 編集長
旧:オズモール編集部長

渡辺 弘貴
新:企画プロデュース室 プロデューサー
旧:メトロミニッツ編集長

野中 ゆみ
新:メトロミニッツ編集長
旧:メトロミニッツ副編集長

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5)【人事】4月1日付日経BP人事

【機構変更】
特別企画室を廃止する

【人事異動】
松村勝義
新:クライアントマーケティング局専任役兼グローバル事業戦略室専任役兼グローバル事業推進室専任役
旧:グローバル事業戦略室専任役兼グローバル事業推進室専任役

北村達也
新:グローバル事業本部チーフプロデューサー
旧:特別企画室長兼日経BPアメリカ社(副社長)

佐々木和哉
新:グローバル事業戦略室専任役
旧:特別企画室専任役

今田純
新:クライアントマーケティング2部専任役
旧:特別企画室専任役

高木温人
新:ビジネス局長補佐兼クライアントマーケティング局長補佐兼グローバル事業推進室
旧:統合マーケティング1部長兼グローバル事業推進室

諏訪竜志
新:クライアントマーケティング2部次長
旧:統合マーケティング1部

井村篤
新:イベント企画1部兼グローバル事業推進室
旧:統合マーケティング1部兼グローバル事業推進室

新里はるみ
新:統合マーケティング1部兼戦略企画部兼グローバル事業推進室
旧:統合マーケティング1部兼総研事業推進室兼グローバル事業推進室

平瀬正樹
新:統合マーケティング1部部長
旧:デジタルビジネス推進部長兼NIKKEI STYLE事業推進室

小林貴宏
新:デジタルビジネス推進部長兼NIKKEI STYLE事業推進室
旧:デジタルビジネス推進部次長

五十畑洋
新:クライアントマーケティング2部専任役
旧:イベント企画1部次長

今原秀一
新:統合マーケティング1部長
旧:クライアントマーケティング1部長

後藤優
新:クライアントマーケティング1部長兼総研事業推進室兼日経BPビジョナリー経営研究所副所長
旧:クライアントマーケティング1部次長兼総研事業推進室兼日経BPビジョナリー経営研究所副所長

平野恭子
新:クライアントマーケティング2部
旧:クライアントマーケティング1部

村澤真理子
新:クライアントマーケティング1部次長
旧:クライアントマーケティング1部

徳丸泰彦
新:クライアントマーケティング1部兼戦略企画部
旧:クライアントマーケティング1部兼総研事業推進室

鍵山朗
新:クライアントマーケティング2部長兼日経ITイノベーターズ事務局プロデューサー
旧:クライアントマーケティング2部次長兼日経ITイノベーターズ事務局プロデューサー

岸康利
新:クライアントマーケティング2部次長兼総研事業推進室
旧:クライアントマーケティング2部兼総研事業推進室

三宅賢一
新:日経BP未来研究所プロデューサー兼クライアントマーケティング局業務部
旧:日経BP未来研究所プロデューサー

及川知人
新:統合マーケティング1部次長
旧:日経BPコンサルティング出向

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6)【深夜の誌人語録】

区切りをつけることが大切だ。区切りをつけるに際しては、振り向かず、引きずらず、後悔せずが鉄則だ。