【文徒】2015年(平成27)7月2日(第3巻123号・通巻568号)

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1)【記事】「東京国際ブックフェア2015」初日レポート
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「東京国際ブックフェア2015」初日レポート

第22回目となる恒例「東京国際ブックフェア」が7月1日、東京ビッグサイトにて開幕した。
名誉総裁を務める秋篠宮殿下と紀子様が2年振りにご臨席のうえ朝10時から始まった開会式では、主催団体の一つ・日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館社長)が実行委員長として開会の挨拶をした
「本年は1994年にスタートして以来22回目です。この間、おかげさまで出展社数(注:今回は同時開催の第19回国際電子出版EXPOと合わせて計470社)・来場者数(注:電子出版EXPOと合わせて4日間で70000名を予定)とも順調に増加し、本年は世界20カ国から70社をお迎えして開催することになりました。今年は30校の小学校・中学校・高校から児童生徒と先生方が学校単位で来場されるとのことです。
若い世代に読書の喜びを知ってもらうため、このブックフェアが役に立てればと思っております。また、次回は2016年9月に読者向けイベントに特化した形で開催することを、このたび決定いたしました。権利取引など商談の要素は今後も7月に開催される『コンテンツ東京』で行っていただくことになります。この結果、ブックフェアは本が好きな人のための、そしてますます本が好きになる場として、その意義をさらに深めるものと確信しております」
会場(西1ホール)に軒を並べた出展社、およびそのブースの位置は概ね前年と同じ。ただ、出版社でも展示内容をデジタル系に特化したところと、逆にあくまで純"紙"系で貫くところとのコントラストが、昨年よりもさらに鮮明になった印象だ。
また、さすがに印刷会社や電子出版の版元・取次のブースは広くて華やかで、通路に面して設けられたイベントスペースで開催されるセミナーやトークセッションには大勢の来場者が参加のうえ熱心に聞き入っていたのが印象的だった。
本誌記者がまず参加したのは「出展社による無料公開セミナー」の第1弾として11時から開催された「電子書籍の新たな形!? 出版社が期待する電子図書館サービスの役割について」だった。
(株)日本電子図書館サービス(JDLS)が昨年10月から半年間の実証実験を経てこの4月より本格的にサービスを開始した電子図書館サービス「LibrariE(ライブラリエ)」をふまえ、海外での調査データも叩き台にして、湯浅俊彦(司会:立命館大学教授)、山口貴(JDLS社長)、井上伸一郎KADOKAWA代表取締役専務)、高井昌史(紀伊國屋書店社長)、吉井順一(IDPF=国際電子出版フォーラム=理事。元講談社デジタル事業局長)の5氏がパネルセッションを行った。
アメリカでは全米の公共図書館の約95%で導入されているという電子図書館だが、日本におけるそれは現在わずか2.3%に過ぎない。とはいえ巷にスマホがこれだけ普及し、最近では学校など教育現場でもタブレットを導入するケースが増えるなど、ハード面では今後市場が拡大していくための素地は確実に固められてきているという。
JDLSの山口氏は実証実験の成果に手応えを感じたとのことで、特に電子図書館で閲覧した利用者の半数以上が、これをきっかけに「本を買いたい」、さらにそのうちの32%が実際に購入に踏み切ったとのデータも示しつつ「今後は電子図書館のサイト上に読んだ本の購入につながるボタンを設けていきたい」と語った。
紀伊國屋書店の高井氏は、「日米でこれだけ電子図書館の普及率に開きがある背景の一つに、出版社が電子図書館向けの電子書籍を出すのにまだとまどっているということがあるのではないか」と指摘。その上で、次のように訴えた。
「図書館の役割は本来、普通の読者が値段的に手に届かない高額な書籍や事典に触れる機会を設けて、それを市民が調査や学習のために利用できるようにすることが第一。しかし昨今の図書館は市民のリクエストに応じて新刊書やベストセラーを何十冊も購入して貸し出すという貸本屋的なサービスに傾いており、これが書店および出版社にとっては本を売る機会の喪失と捉えられるようになっている。
2014年には図書館の貸し出し冊数が約7億2000万冊と、(注:全書店での)実売冊数である約6億冊を超えてしまっている。また、図書館にとっても貸りたまま返却しない人への督促電話が、ある政令指定都市では年間に約2万5000回にも上っており、これが図書館員の仕事上も大きな負担になっています。出版社にとっても本の部数が減ることで著者に払う印税も減らさざるを得なくなった結果、新たな作品を生み出す力が減退します。こうした図書館にとっても出版社にとっても死活的な問題を解決するためにも電子図書館の普及を進める必要がある」
これを受けてKADAKAWAの井上氏は「高井さんのおっしゃる通り、著者の方に印税をきちんと払い、図書館で借りられた場合も著者が潤う仕組みが必要という意味からもこのJDLSのサービスを支持したい」と表明。
「書店さんの減少は我々も非常に危惧するところ。既に書店がない町村も多いが、そうした地域の住民の方々は隣町まで本を買いに行ったりせず、そのまま本の読者としては消失してしまう。一方でSNSや動画視聴サービスの台頭ということもあり、これに負けないように我々も取り組んでいきたい。もっとも我々も系列化にニコニコ動画を持っているのでそれらを『敵』とは呼べないのですが」と、最後は場内の笑いを誘っていた。
IDPFの吉井氏も、「アメリカの出版社には『著者に最大の利益を戻すのが我々の役割』という意識が強い」と説明。
「その意味では紙もデジタルも、あるいは貸し出しも含めて利益を出してほしいとの著者からの要求が今後ますます強くなっていくでしょう。日本でも昨年の著作権法の改正によって今後はデジタルでの市場の形成がさらに進みますし、図書館も書店もなくなった地域を新たなマーケットとして開拓していく必要がある」と述べた。
全体では1時間と短い時間ではあったが、版元と書店がデジタル時代における「図書館」の役割とコピーライツの本質を論じるという妙味も含めて、スリリングな内容のセッションだった。
こうした企画がブックフェア初日の公開無料セミナーとして、立ち見も出るほどの盛況の中で行われるようになったことも、ある意味で今のブックフェアの位置づけをよく表しているのではないかと思えた次第だ。(岩本太郎)

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2)【本日の一行情報】

本日の一行情報

主婦の友社は「コミックCawaii!」を漫画投稿サイト「COMICAWA」(コミカワ)」としてリニューアルオープンした。アダルト、2次創作は投稿不可だが、他の制限は一切ない。カラーでも白黒でも、短編でも連載でも、1コマ作品でも良く、青年、少女といったコミックジャンルによる制限もない。
投稿は三つのステージからなる。投稿作品がアップされた時点から「チャレンジ作品」となり、ここで注目を集めると「エール作品」にステップアップし、ボーナス金も出るそうだ。「ベストコミカワ作品」になると編集担当からプロデビューのオファーがあり、投稿ごとに原稿料が支払われる。
また、投稿作品は電子書籍と一般書籍の同時販売も可能で、販売価格も自分で決定できるというから、「COMICAWA」は、確かに「WEB版のコミックマーケット」にほかなるまい。
投稿が可能になるのは8月からであり、現在は「迷うは君の世界」(史群アル仙)、「CLAPTRAP」(徳永サトシ)、「働く! バス娘」(犬吠あか太)といった作品が無料で公開されている。
http://comicawa.com/Guide2
http://comicawa.com/
マンガのジャンルでは「編集力」をここまで解放する試みがなされようとしている。こうしたアプローチはマンガに限らず可能だということを私は声を大にして主張しておきたい。女性ファッション誌の領域においても、小説など文学の領域においても、編集力を解放することで様々なウエブメディアを立ち上げることが可能になるはずである。

◎結婚式を3カ月後に控えた岡山県の女性が原因不明の病に襲われた。心肺停止、長い昏睡状態に陥ってしまう。何とか6年をかけて徐々に意識を取り戻した女性は当初、目の前にいる男性が結婚を約束した相手だとさえ認識できなかったそうだ。現在、ようやく自らの足で歩けるまでに回復した女性の奇跡と、婚約者の回復を信じ、支え続けた男性の献身的な純愛は絶対に泣く動画として、YouTubeでは60万回以上再生されたそうだ。
この奇跡の純愛を主婦の友社が「8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら」として書籍化した。この手のホンは化ける可能性があるんだよね。病に倒れる前の結婚予定日は「3.11」なんだよなあ。
http://corporate.shufunotomo.co.jp/newsrelease/8416/

◎メディアドゥは、194か国・月間8,000万人のユニークユーザーのもと、電子書籍の定額制読み放題サービスを展開するScribdに対して、ハーレクインコミックスほか、電子書籍コンテンツの提供を開始した。
http://www.mediado.jp/service/1208/

◎キュレーションアプリ「グノシー」は、7月から無料マンガ配信をスタートさせた。第1弾として、講談社ディー・エヌ・エーの運営するマンガ雑誌アプリ「マンガボックス」の10作品を無料配信している。
https://gunosy.co.jp/news/43

丸善ジュンク堂書店は、京都地区最大級のカフェ併設の大型書店「丸善 京都本店」を8月21日(金)、京都BALの地下1階と地下2階にグランドオープンする。京都に丸善ブランドが10年ぶりに復活するというわけだ。
http://www.junkudo.co.jp/mj/news/detail.php?news_id=67
京都・三条通麩屋町に構えていた店舗は、言われるまでもなく梶井基次郎の「檸檬」にも登場する。
丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう。
私はこの想像を熱心に追求した。『そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉みじんだろう』
そして私は活動写真の看板画が奇体な趣きで街を彩っている京極を下って行った」
梶井は近藤直人に宛てた手紙の中で次のように書いている。
「僕は最近自分の文體を研いてゆくのにマルクスのそれ、和辻譯のストリントベルヒのそれ、吉江喬松譯のモーパッサンの『水の上』のそれを手本だと思つてゐます、マルクスは非常に魅力の多い文體です」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/424_19826.html

資生堂は、「AYURA」ブランドを展開する子会社アユーララボラトリーズの全株式および関連資産を調剤薬局で国内シェア1位を誇るアインファーマシーズに譲渡する。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-06-30/shiseido-ayura/
資生堂は、ブランドのリストラを進めているが、その一環である。国内シェアの低下が資生堂を苦しめている最大の要因だが、資生堂という社名のブランド力に比べ、商品のブランド力が弱いことである。

◎フジテレビは、6月5日放映の「池上彰 緊急スペシャル!」のインタビューVTRで、2カ所合わせて約10秒、翻訳テロップ並びに日本語吹き替えナレーションの内容と異なる映像を、誤って使用していたとお詫びしたことは既に書いた通り。私がフジテレビに不信を抱くのは、お詫びをもっと早く出すことができたはずなのにそうしなかったことだ。フジ・メディア・ホールディングス株主総会が6月25日に開催されるというスケジュールを踏まえて、総会後の発表となったのではないだろうか。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/29/ikegami-korean-girl_n_7684826.html
ブログ「村野瀬玲奈の秘書課広報室」は「池上彰氏のフジテレビの番組における『きれいな嫌韓差別』こそ、第三者委員会を設けて徹底検証しなさい」をアップし、次のように書いている。
朝日新聞社が受けた批判と検証をフジテレビも受けないのなら、フジテレビは自己中心的で幼稚で卑劣なメディアであることを自ら証明することになります」
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6479.html

◎米国の第1四半期の広告費は前年同期比4%減の374億ドル(約4兆6000億円)。「ウォールストリート・ジャーナル日本版」は次のように書いている。
「大企業の多くはコスト削減と複雑なデジタル広告市場のかじ取りに奮闘しており、広告費や代理店の見直しを進めている」
http://jp.wsj.com/articles/SB12090554170328684804804581077442051881376

朝日新聞ツイッター記者のひとりである抜井規泰が次のようにツイートしている。
「【おわび】 昨日投稿いたしました、新幹線車内での女性の涙に関連した計8本のツイートに対し、不快である、といったご指摘を多数いただきました。 当該ツイートは適切な内容ではありませんでした。 一連のツイートを削除の上、ご不快にさせました皆様におわびいたします。申し訳ありませんでした」
https://twitter.com/nezumi32
「新幹線車内での女性の涙に関連した計8本のツイート」を確認しておこう。顔は写っていないとはいえ、抜井が女性の写真まで投稿しているのには呆れるしかない。
「男は女の涙に弱い、とか言いますけどねえ。それは、男にとって女が泣くのは猛烈なストレスなので、そのストレスを回避するために無条件で泣き止む手段を探しているだけであって、少なくとも僕は、泣いて何とかしようとする女のことを心の底から軽蔑しているので、軽々しく泣かない方がいいと思う」
この記者のこの物言いを支えているのは、女性に対する差別意識ではないのだろうか。朝日にも百田尚樹と五十歩百歩の記者が大手を振って歩いているということなのだろう。
http://alfalfalfa.com/articles/123085.html
http://hosyusokuhou.jp/archives/44616716.html

◎宝島社の女性ファッション誌「オトナミューズ」の2015年上半期の販売部数は前期比130%となる見込みだそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000170.000005069.html

日清シスコは光文社の「Mart」との共同開発品 「シスコーン × Mart 焦がしキャラメル味」を7月6日に新発売する。
https://www.nissin.com/jp/news/4387

KADOKAWAの2014年の新刊書籍発行点数は4456にも及ぶ。講談社が1957、宝島社が1182、小学館が904、学研パブリッシングが804、集英社が766。講談社小学館集英社の3社を合算しても3627点にしか過ぎない。KADOKAWAは「壮大な自転車操業」に陥っているとしか私には思えない。
http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/20150701/1435676403

博報堂は事業創造アクセラレーターを運営するゼロワンブースターとともに企業の新製品やサービスなどのアイデアシーズの普及戦略をオープン・イノベーション・スタイルで構築する「ストラテジアソン」プログラムの提供を開始した。
「ストラテジアソン」は、「コトの共創ラボ」の会員であるニフティのサービス「スマート・サーブ」の普及戦略をテーマに、博報堂、ゼロワンブースター、ニフティの3社が議論を積み重ねる中で発案され、去る5月に「コトの共創ラボ」の取組みとして開催した「スマートサーブ・ストラテジアソン」にて実践された。
そこで手応えを感じたことから、博報堂がプログラム化を検討、提供開始にいたったという。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/21964

PHP研究所は、ボカロやゲームのノベライズ作品に特化した文庫レーベル「VG文庫」を8月7日に創刊する。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1506/30/news119.html
あの世の松下幸之助は腰を抜かしているのではないだろうか。

日経BPコンサルティングの「Webブランド調査2015-春夏」によれば、1位「サントリー」、2位「アサヒビール」、3位「キリン」、4位「じゃらんnet」、5位「ヤマト運輸」、6位「CLUBpanassonic」、7位「日本郵便」、8位「パナソニック」、9位「Tサイト」、10位「味の素 商品情報サイト」となっている。
http://news.mynavi.jp/news/2015/06/30/336/

トーハンは、取引先書店との共催で児童書を中心に計20,000点、50,000冊を集め、7月24日の岡山から京都、札幌、福岡の4会場において「2015こどもの本ブックフェア」を開催する。
http://www.tohan.jp/news/20150629_546.html

◎謎の出版社「央端社」が話題になっている。実在が疑われる「央端社」の書物を出典としたコンテンツがウィキペディアを汚染し始めている。
http://blogos.com/article/119748/
http://getnews.jp/archives/1023665

エマニュエル・トッドの文春新書「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる 日本人への警告」が4刷8万部突破のヒットとなった。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610242
新書であれトッドの本が文藝春秋から刊行されるということ自体が私には驚きである。トッドはポール・ニザンの孫なんだよね。

小学館は7月1日に男性向け美容・健康サイト「Men’Beauty」と、ペットの総合ニュースサイト「PETomorrow」(ペットゥモロー)の二つのウエブメディアを立ち上げた。
http://beauty-men.jp/
http://petomorrow.jp/
出版社の雑誌部門のデジタルシフトについては度々言及してきたが、私は「編集者ひとりがウエブメディアひとつを立ち上げる」というイメージを持っているんだけれどね。

◎札幌のダイヤ書房本店は5月22日に、こだわりの本や雑貨をセレクトしたコーナー「ヒシガタ文庫」をオープンさせていた。
http://sapporo.keizai.biz/headline/2325/
書店の兼業化は加速度的に進むと思われるが、どの書店も金太郎飴のように同じような兼業化を進めると、早晩、行き詰ることになるのではないか。

◎アマゾンが住宅リフォームまで始めた。
http://www.asahi.com/articles/ASH6Z54W5H6ZULFA022.html
アマゾンはネットにおいて専業書店としてスタートしたが、兼業化を進め、今や何でも売る総合オンラインストアになったという言い方も可能だろう。

◎メディアドゥは、アマゾンが提供している「プリント・オン・デマンド(POD)」向けとして、コミックジャンルでの専属取次契約を締結した。
http://www.mediado.jp/service/1212/

◎「週刊現代」が報じた安倍首相のオフレコ発言について韓国のマスメディアは取り上げているが、日本の大新聞は一切取り上げられない。
http://japanese.yonhapnews.co.kr/society/2015/06/30/0800000000AJP20150630003200882.HTML
http://japanese.joins.com/article/502/202502.html?servcode=A00§code=A10
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/01/2015070100650.html

講談社のの森武文専務取締役、小学館の桶田哲男常務取締役、集英社の東田英樹取締役という3人が連名で「栗田出版販売とお取引書店の皆様へ」と題した以下の文書を6月29日付で書店あてに送っている。そこにKADOKAWAの名前はない。
《6月26日、栗田出版販売民事再生申し立てという事態をうけ、私どもは非常に驚いております。お取引書店の皆様におかれましても、驚きと同時にさぞかし不安がおありのことと思います。但し、破産ではなく事業継続ができ、書店の営業には支障がないと聞き、安心しております。
 発表によれば、仕入れ面で大阪屋の支援があり、商品物流及び返品実務においてはOKC及び出版共同流通の協業・支援をいただけるということで、事業継続、商品供給面においても心配ないとのことです。さらに、短期的には出版共同流通にはスポンサーとして再生再建をお願いしているとのことです。また、なるべく早い時期に大阪屋との統合を目指すということも聞いております。
 今回の「民事再生」は販売拠点である書店を守り、栗田事業の継続をはかり、債権者である出版社の被る実害を最小にするための措置であると理解しております。ということで、私ども3社は業界の健全な発展のためにも栗田の再建再生を全力で支援していくことをお約束いたします。
 栗田お取引の書店の皆様におかれましても、不安な面は多々あろうかと思いますが、関係者一丸となり業務に支障がないよう努力しておりますので、ご安心ください。7月9日の「首都圏栗田会」ではぜひ今後の栗田について熱く語り合いましょう。
「心ひとつ」に新生栗田創りにご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。》
 一方、予想通りトーハンあたりが妙な動きをしてきているという噂も出始めている。
(岩本太郎)

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3)【深夜の誌人語録】

日々の積み重ねを小事と思うなかれ。日々の積み重ねは大事にいたる導火線である。