【文徒】2015年(平成27)7月1日(第3巻122号・通巻567号)
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1)【記事】栗田出版販売倒産について考える
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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- 2015.7.1 Shuppanjin
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1)【記事】栗田出版販売倒産について考える
客 栗田出版販売が倒産した。
主 栗田が危ないということは、わかっていた。オレがわかっていたんだから、大手出版社も当然わかっていたことだろう。オレは今年2月に大阪屋の大竹深夫にインタビューしたときの裏のテーマは「栗田をどうするか」だったしね。「出版人」3月号を読み返してみてほしいんだけれど、そういうニュアンスは感じてもらえるはずさ。
客 大阪屋の場合は、倒産する前に大手出版社が経営を支えたよね。最終的には楽天の資本を入れて乗り切った。
主 大阪屋の場合は再建のための見取図が描きやすかった。本社も売却できたわけだからね。しかし、栗田出版販売の場合は、そうはいかない。既に本社は売却しちゃっている。いくら大手出版社といえども、大阪屋のように救済するわけにはいかなかったんだと思うよ。もちろん、この間、昨年くらいから色々な形で支援しつづけて来たけれど、経営が簡単に好転するわけはないからね。早い段階で栗田出版販売に民事再生法を申請してもらったほうが、栗田を支援せざるを得ない講談社、小学館、集英社といった大手出版社からすれば、傷口が小さくて済むことは間違いない。
客 そうか、民事再生法となれば、栗田出版販売に口座を持つ総ての出版社が取引額に応じて売掛債権を抱えることになる。
主 ボロボロのままで大阪屋に経営統合はできないけれど、一度、更地にしたうえでの経営統合であれば、大阪屋にもメリットが生じる。大阪屋は東京首都圏に地盤はないけれど、そこに栗田帳合の書店が加われば、全国取次として機能することになる。そのためにも栗田帳合の書店の動揺を最小限に抑える必要があった。栗田からの文章とともに大阪屋からの文章も同時に配られたのは、そのためでもあったはずだ。
客 ただ、そうは言っても取次業界の歴史を振り返るのであれば、大取次がちょっかいを出すというケースは考えられるよね。
主 出版共同流通が支援するということは、日販が手出しするというわけにはいくまい。日販は出版共同流通の最大株主だからね。しかし、トーハンとなれば事情は違う。既に帳合変更の噂の出ている書店もあるらしい。トーハンがちょっかいを出してくる可能性は大だとオレは思っている。
客 大阪屋再建でともに汗をかいている講談社、小学館、集英社も出版共同流通の株主なんだよね。
主 しかし、KADOKAWAは株主として加わっていなかったんじゃないのかな。会社案内の株主欄にKADOKAWAの名前はないもの。栗田問題でも、KADOKAWAを引き摺り込めるかどうかが問われている。
客 最終的には大阪屋との経営統合を図るわけだよね。
主 栗田倒産を栗田問題と狭くとらえるのであれば、そういうことになるのだろうけれど、何年後かには、今度は太洋社が経営危機を迎えるというような事態を想定すれば、出版共同流通に結集している太洋社、日教販までを含めた経営統合を考える必要があると思うんだよ。太洋社だって本社を売却することで、当面、危機を乗り越えてはいるけれど、現在の出版マーケットからすれば、単独での生き残りは難しいと思うよ。
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2)【本日の一行情報】
◎インプレス総合研究所によれば、2014年度の電子書籍市場規模は推計1,266億円。2013年度の936億円から330億円(35.3%)増加した。電子雑誌市場規模は145億円(対前年比88.3%増)。電子書籍と電子雑誌を合わせた電子出版市場は1,411億円。
http://www.impress.co.jp/newsrelease/2015/06/20150629-02.html
この数字は、あくまでも「販売収入」に限ってのこと。これに加えて広告オンリーで運用されているウエブマガジンなどの電子「雑誌広告」市場もあり、この数字は統計上、インターネット広告費に数えられている。出版社で雑誌にかかわる関係者は、「販売+広告」の電子出版市場の大きさを想像してみるならば、雑誌のデジタルシフトは避けては通れない課題であることが理解できるはずだ。
◎朝日新聞社は、犬や猫などペット関係の情報を集めた無料の総合情報webメディア「sippo」(シッポ)を6月29日に本格オープンした。
http://sippolife.jp
首都圏1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)で約3400ある動物病院の住所、電話番号といった基礎データに加え、約600の動物病院の診療実績、得意な診療科目、不妊手術・予防接種等の料金、夜間対応やしつけ指導、駐車場の有無など41項目にわたる詳細データを検索、閲覧できる。
朝日新聞、アエラなどグループメディアのペット関連の記事を掲載するとともにオリジナル連載コラムも充実している。
そればかりではなく、オークラ出版(「BUHI」「うちの猫ら」)、辰巳出版(「Shi−Ba」「プードルスタイル」「猫びより」)、マガジンランド(「うさぎと暮らす」)、ONE BRAND(「ONE BRAND」)、集英社(「路地裏しっぽ診療所」)、NPO法人「地球生物会議(ALIVE)」、NPO法人「動物実験の廃止を求める会(JAVA)」、動物愛護団体「PEACE」、公益社団法人「日本動物福祉協会」という5社4団体と提携し、それぞれの媒体が発信するペット関連の記事を掲載している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000104.000009214.html
これは成功しそうだ。
◎電通は、企業Facebookページに対する生活者リアクションを拡大するコンテンツプランニングツール「D-SCOOP」(ディー・スクープ)を活用したサービスの提供を開始した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0630-004081.html
◎小説家にして芸能プロを経営する新堂冬樹と視聴率20パーセントを超えるヒット番組を
数多く構成する放送作家の安達元一が「ハイパー作家養成講座」を立ち上げて、受講生を募集している。
http://www.shindo-adachi.com/author-lec/lp02.html
◎小林よしのりは百田発言について次のように述べている。
「沖縄の新聞は反戦平和の左翼臭が強くてわしも嫌いだが、産経新聞のように権力迎合じゃないから、ジャーナリズムの役割は果たしていることになる。もっとも醜いのは権力迎合する新聞だ。それでもわしは読売・産経の二紙を潰すべきだとは言わない」
http://blogos.com/article/119372/
◎LINEは、人気飲食店に特化した飲食店ネット予約サービス「LINE グルメ予約」を9都道府県で開始する。今夏に予定するサービス公開に先駆け、6月29日より「LINE グルメ予約」公式アカウントを登録したユーザーから順次限定公開するという。LINEは、このサービス公開に伴い、日本最大級実名グルメサービス「Retty」と業務提携を締結した。
「人気店舗の検索やマッチングだけでなく、店舗への面倒な予約手続きもLINE上で行うことが可能です。ユーザーが希望の店舗を選択後、オペレーターが予約手続きを行い、予約完了後は「LINE グルメ予約」公式アカウントより通知いたします。最大4店舗まで同時に予約依頼をすることができるため、自分で1店1店個別に電話連絡する必要なく、予約依頼から完了まで、最短10分以内で完結いたします」
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/1026
LINEは「生活インフラ」を構築しようとしているに違いない。
◎集英社の「少年ジャンプ」は「火ノ丸相撲」の連載1周年とコミックス第5巻の発売を記念して「マイナー部活応援キャンペーン」をスタート。Twitterで「マイナー部活の喜怒哀楽」を募集する。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1506/29/news075.html
◎乃木坂46の川後陽菜が雑誌「Popteen」の専属モデルになるそうだ。白石麻衣が「Ray」、西野七瀬が「non・no」、橋本奈々未と松村沙友理が「CanCam」、齋藤飛鳥が「CUTiE」の専属モデルをそれぞれつとめているから、川後で6人目ということになる。
http://mdpr.jp/news/detail/1497782
◎宝島社の女性ファッション誌「大人のおしゃれ手帖」は、地方新聞社でつくるインターネット通販サイト「47CLUB」とタイアップした編集長コラム「日本のおいしい、見つけました!」を連載している。
http://www.sannichi.co.jp/article/2015/06/29/80016636
◎シャープが開発した電子書籍ソリューション「EBLIEVAブラウザビューア」が、新たにNTTぷらら、三笠書房、フランス書院、東洋経済新報社、モビぶっくの5社が提供する電子書籍配信サービスに採用された。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150629-a.html
◎米サイトTaste of Cinemaが発表した「見る価値のあるディストピア映画の傑作20本」。「AKIRA」が3位に選ばれている!
1.「ブレードランナー」
2.「メトロポリス」(1926年)
3.「AKIRA」
4.「時計じかけのオレンジ」
5.「ダークシティ」
6.「トゥモロー・ワールド」
7.「マッドマックス2」
8.「華氏451」
9.「未来世紀ブラジル」
10.「ガタカ」
https://gunosy.com/articles/RKcm1
◎インプレスホールディングスは、同社連結子会社3社の栗田出版販売株式会社に対する売掛債権は6457万5000円であると発表した。大手ともなれば6億円〜7億円の売掛債権となるはずだ。
http://www.impressholdings.com/release/pdf/20150629.pdf
◎大日本印刷は、10 月 1 日より、同社が運営している電子書籍コンテンツ配信事業である「まんがこっち」、「よみっち」 及び「お約束写真館」を、会社分割により、同社子会社で「honto.jp」を運営するトゥ・ディファクトに移管する。
http://www.dnp.co.jp/topic/__icsFiles/afieldfile/2015/06/26/info_150626_3.pdf
◎「honto.jp」と3書店(丸善、ジュンク堂書店、文教堂)の両方で、電子書籍と紙の書籍の購入に使える「hontoポイントチャージ用チケット」が発売された。
http://www.dnp.co.jp/news/10112199_2482.html
◎メディアドゥは、Gunosyが運営する情報キュレーションアプリ「グノシー(Gunosy)」上で進めている「Gunosy Platform」において、7月より開始予定の新しいマンガ配信サービス「グノシーマンガ」に電子書籍コンテンツを提供する。
http://www.mediado.jp/service/1207/
◎メディアドゥと、楽天グループの子会社で電子図書館プラットフォームとして世界最大手の米国OverDriveは、OverDriveの電子図書館システムを、国内の公共図書館として初めて、茨城県の龍ケ崎市立中央図書館に提供、潮来市立図書館と協議、調整中だ。
http://www.mediado.jp/service/1210/
◎NTTドコモと民放連などが2012年に月額420円で始めた携帯端末向けのマルチメディア放送「NOTTV」(ノッティーヴィー)の3月期決算は、当期純損失が503億円、累損は996億円にものぼる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44180
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3)【深夜の誌人語録】
頂上は一つだが、登山道は一つではない。