【文徒】2015年(平成27)11月10日(第3巻205号・通巻655号)
Index------------------------------------------------------
1)【記事】代官山蔦屋書店は図書館ではない!
2)【記事】「お別れ会」で配布された「日刊ゲンダイ 川鍋孝文会長追悼号」を読んで
3)【本日の一行情報】
4)【発表】弊社再生計画案のご案内(栗田出版販売株式会社)
5)【発表】栗田出版販売株式会社との「統合」に関しまして(株式会社大阪屋)
6)【深夜の誌人語録】
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- 2015.11.10 Shuppanjin
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1)【記事】代官山蔦屋書店は図書館ではない!
CCCに代官山蔦屋書店はできても、公立図書館の運営を任せるのは間違いだと私は思っている。確かに代官山蔦屋書店は一部の図書館関係者には魅力的に映るのだろうが、残念ながら代官山蔦屋書店は図書館ではないのだ。これからオープンが予定されている「ツタヤ図書館」は次の通りである。
宮城県多賀城市 16年3月開館予定
岡山県高梁(たかはし)市 16年12月開館予定
宮崎県延岡市 17年度開館予定
山口県周南市 18年度開館予定
http://mainichi.jp/select/news/20151107k0000m040045000c.html
河北新報が来春三月にオープン予定の「多賀城市立図書館」 を取り上げている。多賀城市 は「代官山蔦屋書店」(東京)をモデルに誘致に動いた ようだけれど…。
「東日本大震災で被災した多賀城市が復興の象徴として整備する文化交流拠点の中核施設、再開発ビルが来年3月、JR仙石線多賀城駅前に完成する。目玉は、レンタル大手TSUTAYA(ツタヤ)の運営会社を指定管理者とする市立図書館。一緒に入るカフェや書店との相乗効果による新たな人の流れに期待が集まる一方、同社が関わる先行事例には運営面の課題が噴出する。新図書館をめぐる試行錯誤が続いている」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151108_13010.html
周南市では住民団体が計画の是非を問う住民投票を求めて署名活動を開始するそうだ。
http://www.sankei.com/politics/news/151108/plt1511080005-n1.html
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2)【記事】「お別れ会」で配布された「日刊ゲンダイ 川鍋孝文会長追悼号」を読んで
日刊現代の川鍋孝文会長が亡くなったのは9月17日のことだったが、「お別れ会」が11月9日、帝国ホテルで午前11時より開かれた。その際「日刊ゲンダイ 川鍋孝文追悼号」が配布された。これによれば川鍋会長がつけた最後の見出しは今年6月4日号の「筋書き通りの国会審議の茶番 裏の真相を全く報じないこの国のタレ流し新聞記事の罪」であったそうだ。
創刊以来、「流されゆく日々」を連載しつづけている五木寛之も文章を寄せている。こう書き出されている。
「川鍋さんは、いつも独特の気配を漂わせていた。その気配を言葉にするのはむずかしい。あえていうなら、『自由』の風が吹き過ぎる雰囲気なのである」
「『自由』の風が吹き過ぎる雰囲気」を、たとえば「韜晦」と言い換えても良いのかもしれない。川鍋会長が社内報で発表した、いくつかの文章も収められていた。こんな部分を引用しておこう。
「編集者は洒落者でなければならない。いつもGパンにうす汚れたシャツでは優秀にはなれない。精神のオシャレが服装に反映するからだ。し好は一流好み、バーは銀座、ぜいたくが好きというのも必要条件だろう」
長男の川鍋淳も寄稿している。
「父は早大仏文科卒でプルーストが一番だと言い、ソ連が崩壊しようが何しようがマルクスは正しいと言っておりました」
私も川鍋会長と同じ認識である。
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3)【本日の一行情報】
◎Webマガジン「ぽこぽこ 」で連載されていた「本が好き子さん」(なるあすく)が太田出版より刊行された。これ、傑作だよ。
http://www.poco2.jp/comic/hongasukiko/
◎もともとは「ジャンプ改」(集英社) に連載されていたが、同誌の休刊に伴い、2月より白泉社の「メロディ」に舞台を移して連載中の斉木久美子 「かげきしょうじょ!!」 だが、白泉社版のコミックス第一巻が発売された。「かげき」って「過激」じゃなくて「歌劇」のことなんだけれど、「歌劇」と書かないのは「過激」でもあるからなんだろうなあ。1巻の帯には「ベルサイユのばら」の池田理代子がコメントを 寄せている。白泉社としては、これは当てたいマンガだろう。映像化も視野に入れられるしね。
http://natalie.mu/comic/news/165045
https://twitter.com/Psy93/status/662087393118261248
◎テレビ東京ホールディングス は絶好調だ。2016年3月期の連結純利益が前期比36%増の42億円となる見通し だという。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1297959
対照的なのはフジテレビ。フジ・メディア・ホールディングスが10月30日、16年3月期第2四半期の決算を発表したが、フジテレビ単体では、営業利益、経常利益、当期純利益と全てがマイナス。初の赤字を計上してしまった ことになる。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/46760/7ee4e337/69bb/47b4/b4b1/2839263bceab/140120151104435320.pdf
日枝久代表取締役社長という経営者は経営責任を少しも感じていないのだろうか。
◎ホーチミン市1区のGEMセンターで11月14日(土)、日本文化を紹介するイベント「Feel Japan with Kilala 2015」が日本のライフスタイルやトレンドを提案するベトナム語雑誌「キララ」(Kilala)と集英社の女性ファッション雑誌「ノンノ」(non-no)の共催 により開催される。
http://www.viet-jo.com/news/event/151102084228.html
◎米アマゾンの「アイテム別売り上げが、程度の差こそあれロングテール型の分布をしている 」そうだ。
http://biz-journal.jp/2015/11/post_12297.html
◎学研プラスのマルチメディア商品「LOVE・Cinnamoroll プレミアムBOX」(10月2日発売)に付属の絵本「A STORY OF CINNAMOROLL」内の10ページ目において、本文内容に「イラレデータなし」という文言が印刷されている不良品が一部、誤って混入していたことが判明した。この商品はサンリオからライセンス許諾を受けて製造・販売したものだが、今回の不良品発生に関してサンリオには責任が一切ないそうだ。
http://gakken-plus.co.jp/news/info/20151106.html
◎KDDI、沖縄セルラーは、 電子書籍サービス「LISMO Book Store」 の提供を2016年4月30日をもって終了することになった。これにともなって電子書籍専用端末「biblio Leaf SP02」と、その専用料金プラン「biblio Leafプラン」も2016年4月30日をもって終了 する。
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2015/11/06/1433.html
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2015/11/06/1434.html
◎電子雑誌「月刊群雛」を手がける NPO法人日本独立作家同盟は、「群雛文庫」を創刊していた。同誌の掲載作 から編集長の鷹野凌がセレクトし、解説や作者のあとがきを加え再編集、毎月5日に刊行 するという。電子版が各200円(税別)、文庫本サイズのプリントオンデマンド版が各840円(税別・送料別) 。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20151106_729331.html
http://www.gunsu.jp/p/books.html#Pocket
◎映画「劇場版 MOZU」(羽住英一郎監督)が11月7日に公開されたが、同日に逢坂剛による原作小説をマンガ化した「百舌の叫ぶ夜−MOZU−」が「少年ジャンプ+」にアップされた。
http://mantan-web.jp/2015/11/07/20151106dog00m200014000c.html
◎マガジンハウスの女性誌「anan」の読者モデルで構成される「anan総研」は日本フットサルリーグ(Fリーグ) と提携し、Fリーグ公認サポーターとなった。
http://spobiz.info/?p=2904
◎主婦の友社は、11月20日(金)に「mina」の人気連載「田辺誠一さんがお答え!ゆるめの人生相談。」の拡大版 として俳優にして画伯の田辺誠一の『ゆるめの人生相談。』を刊行する。11月23日(月・祝)に、東京・渋谷「パルコブックセンター 渋谷店」 で、田辺を招いて、田辺がその場で描く、ゆるめイラストが入ったスペシャルバージョンを提供するイベントを開催する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000457.000002372.html
◎電通総研が実施した「就寝直前の映像視聴実態調査」によれば、3人に1人は習慣的に映像を視聴し、10代では約半数に上っていることがわかった。また若年層ほど映像視聴が活発で、10代では動画共有サイトが最も習慣的に利用されていたという。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/1105-008436.html
◎いやあ、これ、講談社から出るの!マンガボックスに連載されている「こんな編集者と寝てはいけない」(なかまひろ)がコミックスとして刊行された!!
http://kc.kodansha.co.jp/product?isbn=9784063954708
とことん編集者がクズに描かれている。こんな感じだ。
https://www.mangabox.me/reader/346/first/?tracking_code=aff_code%3Dsat0000080
◎NHKの報道番組「クローズアップ現代」で「やらせ」があったとされる問題(「週刊文春」のスクープにより明らかにされた!)で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は、「重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表した。
このなかで高市早苗 総務相がNHKを厳重注意したり、自民党が事情聴取したことを「政府が個別番組の内容に介入することは許されない」「政権党による圧力」と批判した 。しかし、読売新聞は「クローズアップ現代」に「重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表したことしか報じなかった。最近では朝日新聞よりも読売新聞のほうが、偏向は激しいのではないだろうか。読売新聞は、政治まで野球と同じ扱いを始めているということなのだろう。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015110601001860.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/20151106-OYT1T50110.html
政府や政権与党がBPOに反論を始めると、読売新聞は報じるんだよね。
「菅官房長官は記者会見で、『放送法に抵触する点が認められたから、必要な対応を取ったということだ』と述べ、総務省の対応は適切だったとの認識を示した。『BPOは、放送法に規定する番組編集の際の順守事項を単なる倫理規範だと誤解している』とも指摘した。
自民党の谷垣幹事長も記者会見で、『NHKの調査後、やらせがあるかどうか、結論を聞いた。事前に『こうしろ』『ああしろ』と申し上げたわけではない』と述べ、対応は問題ないとの認識を示した」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151109-OYT1T50062.html
◎博報堂DYホールディングスのグループ横断型組織である博報堂DYグループ・次世代オウンドメディア・マーケティングセンターは、グループ企業であるアイレップと共同で、アクチュアルデータを起点にしたオウンドメディアのコンテンツ開発ソリューション「HACC(ハック:HakuhodoDY Actual-data Content Creator)」の提供を 開始した。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/23897
◎博報堂はマーケティングツールとして利用可能な会話エンジンを開発し、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)のLINEビジネスコネクトに対応した同社のサービスDialogOneと連携させることでLINE公式アカウント上でも利用できるマーケティングサービスの提供を開始した。既に一部クライアント企業が運用するLINE公式アカウント向けに自動応答アンケート調査ができる機能の提供を開始して いるとのことだ。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/23917
◎野坂昭如の「マスコミ漂流記」(幻戯書房)はTV草創期の舞台裏を知ることができる。野坂は三木鶏郎の門下生であった。野坂にとって永六輔が目の上のたん瘤であったそうだ。
http://www.genki-shobou.co.jp/
三木鶏郎がいかに天才であったかはエノケンと組んだ「武器ウギ・無茶坊弁慶」や「これが自由というものか」を聞いてもらいたい。シールズを先取りしているでしょ。
https://www.youtube.com/watch?v=p3hBzXaMlEA
https://www.youtube.com/watch?v=EFU5XziZBTw
野坂の代表作「エロ事師たち」が「小説中央公論」に掲載されたのは1963年のこと。中央公論社出身の水口義朗が「マスコミ漂流記」の書評を産経に書いている。
http://www.sankei.com/life/news/151108/lif1511080025-n1.html
そこにこんな一文を発見した。
「本書の版元幻戯書房は『21世紀断層 野坂昭如単行本未収録小説集成』(全5巻+補巻)を出している。中学時代に野坂に魅入られた村上玄一という研究者の大仕事だ」
村上玄一は読売新聞の元記者だ。読売時代から野坂を担当していた。自身で小説も書く。学研の文芸誌にも編集者として深くかかわっていた。私が関与していた「サンカ研究会」のメンバーでもあった。
http://blog.livedoor.jp/g4486m/
◎オレなんか、よくぞ言ってくれたものだと思ったが、時事ドットコムが11月5日に投稿した次のようなツイートは削除されてしまったようだ。
「『E.T.』を書いた米国の女性脚本家が亡くなった。作品のエンディングで映画館からすすり泣きが聞こえ、『泣くほどのものか』とあきれた記憶が甦る。優れた邦画を書く脚本家も増えた。てなわけで『脚本家・私が書いたあのドラマ』」
http://www.j-cast.com/2015/11/07250007.html
まあ炎上するのは当然か。
◎プレジデント社の「dancyu」がアプリになった。これは人気となるだろう。
http://aplista.iza.ne.jp/r-iphone/249823
◎日本ハムが北海道・新千歳空港の出発ロビーに掲げる巨大バナー広告のコピー「北海道は、開拓者の大地だ」に対して、アイヌ民族の最大組織「北海道アイヌ協会」が球団側に配慮を求める申し入れをし、巨大バナーはすみやかに撤去された。
http://www.asahi.com/articles/ASHC92V8FHC9IIPE004.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150303-00000005-wordleaf-pol
◎有斐閣の「著作権判例百選」改訂版が、東京地裁から著作権侵害で出版の差し止めを命じる仮処分決定を受けた件は、まさに「著作権に関する代表的な書物が「著作権侵害」で出版できなくなるという異例の事態」である。「著作権判例百選」の執筆者の一人で、著作権にくわしい桑野雄一郎弁護士は「弁護士ドットコムNEWS」で次のように語っている。
「大渕(哲也・東京大学教授)先生が、他の編者とともにこの一新された編集内容を決めたのであれば、第4版の編集著作権者の一人ということになります。そして、第5版が第4版を基本的に踏襲し、編集内容に本質的な変更がなかったとすると、大渕先生の編集著作権は第5版にも及ぶことになります」
https://www.bengo4.com/houmu/17/1263/n_3909/
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4)【発表】弊社再生計画案のご案内(栗田出版販売株式会社)
弊社が去る6月26日、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを致しましたことにより、お取引出版社様をはじめ多くの関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけすることとなり、改めて心よりお詫び申し上げます。加えまして、株式会社大阪屋様(以下「大阪屋様」といいます。)を経由する二次卸スキームなど、弊社からの要請にもお取引先出版社様はじめ多くの皆様のご理解とご協力を賜り、重ねて厚く御礼申し上げます。
皆様方からのご理解とご協力を賜り、またお取引先書店様からも多大なるご支援を戴きましたことで、弊社再生の足取りも軌道に乗りつつあるところでございます。このような中、11月2日に東京地方裁判所による付議決定を経て、大阪屋様をスポンサーとする再生計画案を送付差し上げるに至りました。その中にも記載ございます通り、より詳細な説明を差し上げるべく、下記に今般の再生計画案の内容に至った経緯などを記載致しますとともに、再生計画案に記載の弁済率に加え、別紙にて各社様における返品相当額の返還等を加味した実質的な弁済率を参考情報として添付させて戴きました。
今般の再生計画案のご送付に至りますまでの皆様方のご協力に改めて深く感謝申し上げますとともに、本日ご案内差し上げました内容につきましてご高覧賜り、ご理解とご協力をいただきますよう伏してお願い申し上げます。
1.今般の再生計画案に至りました経緯につきまして
民事再生申立と同時にご案内差し上げました各アナウンス文書におきましては、大阪屋様を経由いたします二次卸スキームと将来的な同社との統合、またそれを前提に出版共同流通様とその親会社である日本出版販売株式会社様とは、従来からの返品での協業に加え、今後の新刊でも協業を進める重要な物流パートナーであり、また出版共同流通様が当社も出資社であった経緯や業界インフラ的な存在でもあることから、大阪屋様との統合に至るまでの一定期間におけるスポンサーをお願いするスキームとなっておりました。
今回の再生計画案では、二次卸スキームでのご提案に際して出版社様をはじめ多くの皆様にご理解とご協力戴けております現状に鑑み、大阪屋様との統合を平成28年3月末日ましくは4月1日とし、お取引先書店様へのサービス拡充を最短で実現していくことを骨子とした内容とさせていただきました。そのために、出版共同流通様のスポンサー期間を経ずに、大阪屋様に直接のスポンサーとなっていただくスキームとなっております。具体的には、弊社事業を会社分割の手法によって、大阪屋様が設立する子会社に移管することが柱となっており、原則として事業に関連する資産、民事再生申立日以降の買掛債務や契約関係等につきましては、包括承継(個々の契約を再度締結し直す様な手続きを経ることなく)されることとなります。一方で、承継の対象外となる資産としての現金預金の残余額や有価証券等を、同じく承継の対象外となる共益債権や再生債権の弁済原資とする内容となっております。
再生期間の短縮による書店様向けサービスの強化と迅速化のためのスキーム変更となりますが、日本出版販売様グループとの間での連携関係は今後より緊密なものとしてまいります。出版共同流通様には弊社再生手続き下においても返品業務の委託について全面的なサポートを戴いており、今後もこの関係を継続して参ります。また、大阪屋様との新刊物流の共同事業である株式会社OKCへの資本参加、及び新刊物流の協業につきましては、すでに出版共同流通様からの人材派遣を得て、平成28年2月頃の実現に向けて協議を進めております。加えまして、大阪屋様との統合後も、日本出版販売様グループとの協力関係をより有効に機能させるべく、大阪屋様との間で進める統合準備に際しても、日本出版販売様には都度ご相談しながら進めたいと考えております。
2.大阪屋様との統合を通じて目指していきたい取次像につきまして
大阪屋様とは、大手2社とは異なる存在としての新たな出版インフラ構築への想いを共有できることに加え、取引先に所謂「街ナカ」の書店様も多く存在することも共通しており、同社はその活性化に向けて新しい取組に先んじてチャレンジしておられます。具体的には、大阪屋様における出資者の協力を得ながら、街ナカの書店様が自立的に経営を行えるサービス環境の提供とその実現に向け、簡易にいつでも在庫とリードタイムを確認いただけるPOSシステムの構築や、スピード物流、ポイント活用など、多岐にわたり書店様を支援できる新しい取次像を描いておられます。
弊社においても、従前より出版社様の在庫を活用した注文の仕組み(SSS)の構築や、配本を実需に整合させるロジック等、大阪屋様同様の考え方の下、書店様支援に直結する施策に取り組んできております。同社への合流=統合は、弊社としても書店様支援のために実現したい取組にスピード感を持って対応できる大きなチャンスであり、書店様のメリットについてもご理解いただきやすいものと考えております。例えば、大阪屋様において進めているオープンなPOSの仕組みをいつでも使っていただける体制の構築や、新たに拠点拡充をされる注文物流機能の活用に加え、大阪屋様が得意とする複合商材の取り扱いを進める等、今後スピードを上げて統合に向けた取組を進めて参ります。
また、取引先書店様のエリア分布性においても大阪屋様との統合によるメリットの大きさを認識しております。
3.今後のスケジュールにつきまして
今回お送り差し上げております再生計画案につきましては、上記内容も含めましてご高覧賜れれば幸甚です。内容のご説明等も含めて、ご連絡を差し上げることもあろうかと存じますが、何卒ご対応の程宜しくお願い申し上げます。尚、今後のスケジュール(予定)の概要につきましては、以下をご参照賜れればと存じます。
■債権者集会・・・・・・・平成27年12月24日
■再生計画認可決定・・・平成28年1月下旬
■吸収分割期日・・・・・平成28年2月1日
■合併期日・・・・・・・平成28年4月1日
■第一回弁済日・・・・・平成28年4月末日(認可決定から3か月後)
■第二回弁済日・・・・・未定
4.結び
お取引先出版社様におかれましては、この度の申立により多大なるご迷惑をお掛けしておりますこと重ねて深くお詫び申し上げます。
今後、皆様のご承認を賜り、大阪屋様の支援の下で「新しい出版取次」を目指して社員一丸となって進めて参ります。
従来同様のお取引のご継続に加えて、再建に向けた取組につきましても、ご支援ご協力の程よろしくお願い申し上げます。
本件に関するお問い合わせ先
栗田出版販売株式会社 書籍仕入部 Tel 03-3514-0640
雑誌仕入部 Tel 03-3514-0641
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5)【発表】栗田出版販売株式会社との「統合」に関しまして(株式会社大阪屋)
株式会社大阪屋
代表取締役 大竹深夫
謹啓 今般の栗田出版販売株式会社様(以下「栗田社」)の民事再生申立以降、弊社を経由する二次卸スキームでの仕入体制へ賜りました皆様のご理解とご協力に心より御礼申し上げます。
申立以降、現在に至ることができましたのは、ひとえにお取引先皆々様からのご支援とお力添えによるものと重ねて感謝申し上げます。
以下、栗田社民事再生申立に伴う弊社の仕入面でのサポート並びに今回のスポンサー引き受けに至った経緯と、経営統合後の会社が目指す目標等を記させていただきます。ご高覧賜り今回の再生計画案並びに今後の統合会社へのご理解、ご協力をお願い申し上げます。
1、栗田社と弊社の関係につきまして
6月26日の栗田社民事再生申立に際し「弊社見解」に記載いたしましたように、栗田社と弊社は2008年に包括的業務提携を締結し2009年に共同出資による新刊物流会社(株)OKCを設立、以降、共同で新刊物流の運営を行って参りました。(株)OKC設立当時は長年にわたる業界売上の漸減に加え大手への寡占化もあり、両社が第3極として経営基盤を堅持していくためには物流面の全面的協業や、その後の統合も含めた経営体制を検討することが必要な状況にありました。
しかしながらその後両社それぞれを取り巻く情況の変化により、本格的な協業・統合への進展が果たせない中、業界のマイナス幅拡大とそれに伴う競争の激化が加速し今回の事態に至ったものと受け止めております。
今回の民事再生申立に際しての仕入サポート並びに今後の統合にむけた両社の関係は、これまでの経緯からも、本来すでに実現しているべきであった姿へ改めて踏み出す第一歩であると考えております。そして弊社と栗田社の統合会社が経営基盤を強化し出版流通の第3極として信頼される存在となり、出版流通の多様性に寄与することが出版自体の多様性にも繋がるものと考えております。
民事再生申立時点では、出版共同流通株式会社様、並びに日本出版販売株式会社様との連携の下、再生期間においての弊社による仕入サポート体制と、統合までの期間の出版共同流通様によるスポンサーというスキームでご案内させていただきました。その後、皆様方からの並々ならぬご理解とご協力を賜ったことにより、同社を取り巻く環境が比較的安定した状態に短期間で回復しつつあることもあり、よりスピーディに、再生並びに第3極の実現を目指すため、出版共同流通様のスポンサー期間を経ずに直接弊社との統合を目指すスキームへと変更させていただいております。今回のスキームの件も含め、今後も日本出版販売様グループとは出版共同流通様を核として物流面での連携の強化を図って参ります。
今回の件では、(株)OKCを共同運営している関係からくる弊社新刊物流への影響といった側面もございますが、それ以上に、経営基盤のしっかりした出版流通の第3極を実現し、多様な出版物の流通や出版社様・書店様の取引の自由度といった面で寄与して参りたいとの思いに基づく両社統合計画であることをご理解賜れましたら幸甚です。
2、統合後に目指す姿につきまして
統合後の会社が果たすべき第一の役割は、出版流通の第3極として取引先出版社様と書店様に信頼いただける会社、価値あるサービスを利用していただける会社として存在し続けることにあると考えております。
現在、あらゆる業界において3極体制への動きが加速しています。人を育て、自由で民主的な社会づくりへの貢献といった出版社の使命を果たす上で、多様な出版物と読者の出会いの場を創造していくことは出版界の責務でもあると考えております。その意味でも出版流通においての第3極の存在は他産業以上に求められ、その役割を担い続ける事が統合後の会社の存在意義と考えており、以下の様な取組を進めて参ります。
■独自の小回り力と取引先(出版社・書店)に寄り添った視点で共に考える自由度と柔軟性に富んだ取次を目指します。そして読者と本の豊かな出会いの場として街ナカに本のある空間の創出にチャレンジングに取り組んで参ります。
*読者の欲しい本を、いつでも/どこへでも/どんな形でも、より速くお届けできるリアル書店へのサービスを実現し、日常生活の場における読者と本のタッチポイントを街ナカに残せるサービスの提供ができる取次。
*デジタルが不得手なリアルな本との様々な形態での出会いの空間とその演出を小さいスペースでも提供できる取次。
*そしてネットを超える心地よい街のコミュニティ空間、カルチャースペースとしてのリアル店舗を支え創造するための新商材や新サービスを提供できる取次像の構築を目指して参ります。
■人材活性化による企画力・MD力・提案力、そして新サービスと新商材の拡充を軸に、リアル書店の活性化に繋がる価値あるサービスの提案を通し、出版の活性化に寄与できる取り組みを進めて参ります。
*物流の業界インフラ化に積極的に関わり物流サービスの強化と効率化を図ることで、ネットに負けない充足スピードとそれによる店頭活性化や効率アップの実現。
*取引先書店・出版社の営業・経営に役立つPOS環境とシステムインフラの整備やPOSと連携した顧客サービスシステムと顧客情報管理システムの構築。
*他業種のスキル・ツール・人材・資本等との連携で多様な本のある空間の創造や、020/オムニチャネル/ネットワーク化等を推進し店頭の活性化の実現を目指して参ります。
栗田社と弊社は企業規模において互いの持ち味を生かしやすく、また所謂「街ナカ」でのコミュニケーションスペース的役割を担われている書店様も多いという共通性があります。更に取引書店様のエリア面での融和性が高く、東西2本足での立脚という環境となり大きな経営効果が期待できる関係にあります。また容易に可視化できる統合効果として以下のような点も挙げられます。
1、新注文物流センター(平成28年2月稼働予定)の共用による栗田社書店の利便性向上と弊社並びに出版社も含めた在庫活用効率の向上。
2、現在開発中の書店目線を取り込んだ「新POS」の共用による取引書店の経営効率アップとネットワーク拡大による出版社向け提供情報の充実、強化。
3、両社の人的リソース交流による人材活性化とMD、管理、システム部門等の強化と効率化や取引書店拡大による情報の多様化とそれに伴う発信力の強化。
以上、長文になりましたが統合後の会社の担うべき役割と目指す目標を記させていただきました。両社の統合を力に変え、出版流通の第3極として出版社様と書店様を安定的に繋ぎ、流通と取引の多様性を担うと共に、店頭の活性化を通し出版の活力と活性化に寄与できる会社となれるよう努めて参る所存です。
今回の経営統合を含む栗田社再生計画案への皆様のご理解とご協力並びにご支援を心よりお願い申し上げます。
謹白
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6)【深夜の誌人語録】
近づき過ぎても、離れ過ぎても、目は曇るものだ。