【文徒】2015年(平成27)7月9日(第3巻128号・通巻573号)

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1)【記事】国土社が「連鎖」倒産
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.7.9 Shuppanjin

1)【記事】国土社が「連鎖」倒産

国土社が7月3日、東京地裁民事再生法の適用を申請し、倒産した。
国土社は昭和12年厚徳書院として創業され、その後社名を国土社と改め、昭和23年より、雑誌「数学教室」「月刊社会教育」等の民間教育団体編集により雑誌を発行するとともに教育図書、児童書を手がけている出版社であった。「児童図書十社の会」にも加わっていた児童書出版の名門と言って良いだろう。
栗田出版販売倒産の影響を受けての連鎖倒産であるようだ。「東京商工リサーチ」は次のように書いている。
「ピークとなる平成10年8月期には売上高約11億9000万円を計上したが、近年は出版不況や少子化の影響を受け、26年12月期(決算期変更)の売上高が約3億円にまで減少。27年12月期も停滞が続き、6月26日には取次店の栗田出版販売(株)(TSR企業コード:290047668、千代田区)が東京地裁民事再生法の適用を申請し、351万円(申立書ベース)の焦げ付きが発生した。業績回復の見通しが立たないなか、自力再建を断念し今回の措置となった」
http://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20150708_01.html
民事再生を選択したこともあり、販売・業務に関しては通常通り営業しているようだ。
http://www.kokudosha.co.jp/
「ウラゲツ☆ブログ」は次のように書いている。
「栗田の債権者集会を待たずに申立をせざるをえなかった情況を思います。栗田の例の名簿では国土社さんより債権額が大きい会社は約400社あります。国土社さんより小さくて、100万円以上の債権を持っているのは約300社。
会社の経営状況というのは様々ですから、こうした連鎖がどこまで広がるのかは一概には言えませんけれども、出版社と付き合っている印刷製本所や流通倉庫、デザイナーさんやライターさんにとっては『あれ、うちの取引先大丈夫か』と不安感が増したニュースだったかもしれません。版元に何かあった時に取次さんからお知らせをもらっているよ、という書店さんもいらっしゃることと思います。
出版社の終わり方には、倒産、民事再生、廃業、取引中止、出版活動停止、連絡先不明、など色々あります。出版社の倒産は今までは書店さんにとってさして珍しいことではなかったろうと拝察しますが、今回のような集団的規模で、この先どうなるのか分からないという情況は初めてではないでしょうか。栗田ドミノの怖ろしさ」
http://urag.exblog.jp/d2015-07-08/

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2)【本日の一行情報】

◎宇都宮ケーブルテレビは電子書店「電子書籍 星の砂文庫」を月額278円(税別)の定額読み放題にするとともにリニューアルオープンした。ケータイ小説投稿サイト「星の砂」で入賞したオリジナル作品に挿絵や音声を付けてリリースする。挿絵・音声は、提携する宇都宮ビジネス電子専門学校、宇都宮アート&スポーツ専門学校の学生が担当。
https://hoshi-suna.com/
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1507/06/news127.html

集英社の「ジャンプSQ.」から新増刊「ジャンプSQ.CROWN」誕生。「ジャンプSQ.CROWN」の特設サイトでは、同誌に掲載される新人作家の読み切りマンガを発売前に読めるリツイートキャンペーンを実施している。「ジャンプSQ.」の公式アカウントをフォローし、7月17日まで順次公開される作品のうち続きが読みたいと思った作品をリツイートすると、合計ツイート数が1万を超えた作品の全ページを無料公開するというものだ。
http://jumpsq.shueisha.co.jp/contents/sq_crown/

◎「クレヨンしんちゃん」が25周年を迎えることを記念して、双葉社が「ジュニア版クレヨンしんちゃん」を刊行したことやフォトコンテスト「うちのしんちゃんを探せ!!」を実施していることは既に報告したが、他にも双葉社は「ニコニコ静画」とコラボし、原作キャラクターの人気投票を開催しているし、単行本第4巻の表紙及び巻頭カラー描き下ろしにきゃりーぱみゅぱみゅを登場させるなどの取り組みを行っている。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000014412.html

安倍晋三首相ってテレビからパージされている?!産経ニュースによれば、安倍首相は6日の自民党役員会で「本当はテレビ番組に出たいのだが、どこも呼んでくれない」と本音をもらしたという。ニコニコ生放送には出演したが視聴者は11730人だった。
http://www.sankei.com/politics/news/150706/plt1507060045-n1.html

◎松岡修造が小学館の女性ファッション誌「AneCan」8月号の表紙を専属モデルの有村実樹とともに飾った。松岡はブログで次のように書いている。
「今後、このような女性ファッション雑誌で自分が表紙を飾ることはノ一生ないでしょう」「この20年、僕の奥さんである惠美さん以外、あれほど女性と接近遭遇したことはない!といってもいいでしょう」
http://www.shuzo.co.jp/blog/2015/07/column_1009.html

西武池袋本店書籍館・別館のリブロ池袋本店跡地に三省堂書店池袋本店が出店することになった。三省堂書店西武池袋本店9階にも出店しているが、池袋では2店体制で臨む。
http://ryutsuu.biz/store/h070705.html
リブロが日販の直営店でなければ、撤退する必要はなかったということだ。

◎宝島社の女性ファッション誌「sweet」8月号でAKB48小嶋陽菜が、「ほぼ全裸」ショットを披露して話題になっている。表紙のみならず、表4までも占拠している。
http://www.nikkansports.com/entertainment/akb48/news/1503283.html
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/culture/176149.html
小嶋の男性ファンにも買わせようという魂胆なのだろう。

博報堂DYホールディングスの戦略事業組織「kyu」は、カナダ、オランダ、フランス、アメリカと世界4カ国6都市に拠点をもつ「Sid Lee International」(シドリー社)の株式100%を取得した。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/22064

◎7日、富士山マガジンが東証マザーズ市場に新規株式公開(IPO)した。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR20R46JIJUS01.html

KADOKAWAの電子文芸雑誌「小説屋sari-sari」が、7月配信号からキャラクター小説専門誌にリニューアルされ、価格も100円+税(希望小売価格)となった。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001604.000007006.html

サントリーホールディングスは世界的指揮者の佐渡裕芸術監督が率いる「スーパーキッズ・オーケストラ」の活動に総額1億5000万円を寄付する。いいね。
http://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20150707-OYTNT50363.html

トーハン調べの6月期月間ベストセラー。トーハンのリリースには1位の書物に対する言及がない。1位は「絶歌」である。
http://www.dreamnews.jp/press/0000115446/

◎NHK放送文化研究所の「日本人とテレビ 2015」調査によれば「テレビ離れ」の傾向が顕著になりつつある。
「ふだんの日にテレビを見る時間(ビデオやDVDの再生は除く)は、1985年から2010年までは"長時間化"の傾向が続いていたが、この5年で「ほとんど、まったく見ない」人と「短時間」(30分〜2時間)視聴の人が増加、「長時間」(4時間以上)視聴の人が減少し、全体の視聴時間は初めて "短時間化"する傾向に転じた」
http://mainichi.jp/select/news/20150707k0000e040246000c.html
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/broadcast/pdf/150707.pdf

◎50年の歴史をもつ南青山の洋書専門店・嶋田洋書が2015年9月23日(水・祝)をもって閉店することになった。
http://imaonline.jp/news/0707/?utm_source&utm_medium&utm_campaign

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3)【深夜の誌人語録】

面倒臭いといって投げ出してしまっても、問題は何ら解決されないどころか、むしろ深刻度を増すものである。