【文徒】2015年(平成27)7月8日(第3巻127号・通巻572号)

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1)【記事】弁護士ドットコムが「YOMIURI ONLINE」と業務提携
2)【記事】紙の雑誌である必然性が問われている
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】弁護士ドットコムが「YOMIURI ONLINE」と業務提携

弁護士ドットコムは、「YOMIURI ONLINE」との間で業務提携が成立。この業務提携により、「YOMIURI ONLINE」の主要コーナーである「大手小町」と「弁護士ドットコ ム」との共同企画「小町の法律相談」を開始する。読売は良いところに目をつけたものだ。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80401/a275e8c2/7962/4f04/89d7/930daed2ea55/140120150703441118.pdf
ニューヨークタイムズマーティン・ファクラー東京支局長の次のような発言を「弁護士ドットコム」で発見した。
「記者にとって権力との距離は、遠すぎると、ただ敵対的に批判するだけの立場になる。近すぎると、名前を言わないが、野球チームをもっている新聞のようになってしまう。つまり、事実上の機関紙になってしまう。そのあいだが大事だが、これは非常に難しい。別に、ここまでという印があるわけでもない。正直なところ、どの国でも難しいところだ」
http://www.bengo4.com/other/1146/1307/n_3345/
マーティン・ファクラー言うところの「野球チームをもっている新聞」と「弁護士ドットコム」は業務提携したということだ。やがて、こういう記事は掲載されなくなるのだろうか。

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2)【記事】紙の雑誌である必然性が問われている

天皇の料理番 公式レシピブック」がぴあから刊行される。TBSで放映中の同名のドラマの中で中心となる「料理」に焦点を当て、ドラマの場面写真をふんだんに使用しているのが特徴だ。1,404円(税込)。レシピ本も簡単に作れるだけでは売れないし、話題にもなるまい。エッジの効かせ方が重要である。というよりもレシピ本といえどもエッジが必要なのだ。エッジこそ紙の出版物である根拠なのである。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000011710.html
安く、簡単に、おいしく作れるレシピで一世を風靡した「オレンジページ」が7月2日号で創刊30周年を迎えた。杉森一広編集長が産経のインタビューに応じて次のように語っている。
「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で『今日は家でうどんを作ってみました』とつぶやく。昔は家庭で料理を作っても家族しか褒めてくれなかったけれど、今ではSNSで周囲の友達に『すごい』『おいしそう』と言ってもらえる。食は絶好のネタになるんです」
その通り。だから「クックパッド」が全盛し、「オレンジページ」や「レタスクラブ」が苦境に立たされているのである。「オレンジページ」や「レタスイクラブ」は紙である必然性が見当たらないのである。それが私の視力の悪さに起因しているのであれば良いのだろうが、そうではないことに当事者たちも気がついているのだろう。だから、こうした発言になるのである。
http://www.sankei.com/life/news/150705/lif1507050012-n1.html

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3)【本日の一行情報】

徳間書店の「月刊コミックゼノン」に連載中のマンガ「ワカコ酒」のTVアニメ放映がTOKYO MXで始まったが、これを記念してコンビニエンスストアのスリーエフが、「ワカコ酒」とのコラボ企画をスタートさせた。
http://natalie.mu/comic/news/152895

凸版印刷は、古文書(江戸時代以前の"くずし字"で書かれた古い書物)の文字を判別し、テキストデータ化するOCR光学文字認識)技術を開発。この技術を使った古典籍(内容・形態の優れた古い書物のこと)のテキストデータ化サービスを、夏から試験的に開始する予定だ。歴史学に貢献すること大である。
http://www.toppan.co.jp/news/2015/07/newsrelease150703_2.html

◎ビデオニュースが次のように指摘しているが、その通りだと思う。
「日本は世界で最も発行部数の多い2大新聞を抱えながら、未だにこれを再版制度の下で読者が本来の価格に上乗せをした金額を支払うことで、保護し続けているのだ。
しかし、そうして得られた利益が他の産業と比べても法外に高い社員の給料水準や不動産事業やスポーツ、文化事業といった他の分野の事業、そして全国の系列放送局の出資に回り、そこに新聞社のOBたちが軒並み天下りをしている。
こんな生温いことをやっていながら、メディアコントロールに躍起となっている政治権力と対峙するということの方が、もともと無理筋なのだ」
http://www.videonews.com/commentary/150704-01/

電通サイバー・コミュニケーションズは、アニメ有料放送局「アニマックス」を運営するアニマックスブロードキャスト・ジャパンと共同で、「アニマックス」が提供するアニメ動画コンテンツ配信サービス「アニマックスPLUS」におけるインターネット動画広告事業を8月1日から開始する。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0703-004088.html

電通は、デジタルとクリエーティブを融合させたアイデアで、顧客企業の新しい商品・サービスの開発に貢献するアイデア・ショーケース・サイト「TOPPA!」(http://dentsutoppa.com/)を立ち上げた。

◎ママ編集長として復帰した「VERY」(光文社)の今尾朝子編集長はやる気満々である。
「皆が、産休前の「ヴェリィ」を大切にしてきてくれました。ただ、“明日の『ヴェリィ』”の舵取り役としての私が不在だったため、守りの期間だったと思います。ある意味優等生的になってしまった部分があると思うので、戻ってきた以上は、大胆に自由に、今までの『ヴェリィ』から一皮むけたものにしたいと思います」
http://www.wwdjapan.com/focus/interview/editor-in-chief/2015-07-06/6366

主婦の友社は、「S Cawaii!」がプロデュースしたセルフィスティック(自撮り棒)を発売した。スマートフォンのセルフタイマーを利用する「マイセルフィーコンパクト」と、手元でシャッター操作ができるスイッチがついた「マイセルフィースイッチ」の2種類。むろん、これは書籍やムックではなく、純然たる雑貨(特品)である。価格は2000円+税。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000002372.html
いろいろな使い道がありそうだ。

フジテレビジョンは、民放初の4K動画配信として、世界遺産となったことで脚光を浴びている「軍艦島」のドキュメンタリー番組「タイムトリップ軍艦島」を、「フジテレビオンデマンド」で公開した。新設した4K動画コーナー「FOD LABO」で視聴できる。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1507/06/news078.html

◎フジテレビが2月17日に放送した情報バラエティー番組「カスペ!『あなたの知るかもしれない世界6』」で名誉を傷つけられたとして、自転車による死亡事故の被害者遺族が放送倫理・番組向上機構BPO)放送人権委員会に申し立てた。
http://mainichi.jp/select/news/20150706k0000m040031000c.html
視聴率が低迷するフジテレビだけに視聴者のウケを狙ってバラエティ番組での「やり過ぎ」が増えているのではないだろうか。

◎「広告戦争 デジタル空間の覇権めぐる人脈と金脈」を特集に掲げる「週刊ダイヤモンド」7月11日号は雑誌関係者にとっても必読だ。
http://diamond.jp/articles/-/74404

◎劇場版「ラブライブ!The School Idol Movie」の累計観客動員数が、公開から23日たった7月5日に100万人を突破した。
http://www.cinematoday.jp/page/N0074655

なでしこジャパンが準優勝したワールドカップ女子サッカー勝戦の試合中に160万の関連ツイートが投稿された。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1507/06/news091.html
見ているだけでは飽き足らない視聴者は、読んでいるだけでは飽き足らない読者なのである。

◎「楽天市場」で購入した商品が、ヤマト運輸と契約のあるコンビニエンスストアヤマト運輸の直営店で受け取りが可能となる。
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKCN0PG0MT20150706

◎「小さい書房」は、安永則子がTBSを辞めて起業した一人出版社。「青のない国」「二番目の悪者」「歩くはやさで」という3冊の大人向け絵本を刊行している。
http://toyokeizai.net/articles/-/75563

◎産経ニュースによれば「ロシア研究の専門書やロシア語学習本を発行してきた出版社の東洋書店(東京都新宿区)が、営業成績の悪化で事業の継続を断念したことがわかった」そうだ。
http://www.sankei.com/world/news/150704/wor1507040033-n1.html

凸版印刷は、印刷書籍と電子書籍など、ワンソースから同時に複数媒体の書籍制作が可能なクラウドサービス「TOPPAN Editorial Navi」を開発した。紙と電子のハイブリッド出版のように、用途や読者の環境に最適なフォーマットの作品提供が求められる出版業界を中心に、2015年8月上旬より提供を開始する。
http://www.toppan.co.jp/news/2015/07/newsrelease150706_2.html

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4)【深夜の誌人語録】

自分に厳しくなければ他人に優しくできないはずだ。