【文徒】2014年(平成26)3月11日(第2巻45号・通巻247号)

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1)【記事】雑誌情況への提言 「やり過ぎ」は雑誌にとって正しい
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言 「やり過ぎ」は雑誌にとって正しい

客 いよいよ消費増税か。雑誌にとっては逆風だよね。
主 年収300万円以下の層が増え、「中流」がガタガタになってしまったことが、雑誌にとっちゃあ痛かったんだよね。雑誌は「中流幻想」に支えられていた典型的な商品だったわけさ。書店に行くとわかるけれど、雑誌売り場に人だかりができなくなっている。立ち読み客すら減っている。しかし、オレはだからといって悲観的にはならないよ。
客 それはどうしてだい?
主 要するにバブル読者が減ったわけでしょ。逆に言えば雑誌は今、本物の読者に支えられていると思うんだよね。
客 そういう言い方もできるか。
主 昔のサクセスストーリーにすがりつくよりも、販売収入や広告収入の厳しさも含めて、まずは現状をありのまま引き受けなければ駄目だよ。そのためにも「雑誌」と一括りにするのではなく、それぞれの雑誌が個別に、どうすれば生き延びるかを考えれば良いのだと思う。もちろん、雑誌総体で考えなければならない問題もあるけれど、個々の雑誌にかかわる編集者は、自分が担当する雑誌のことだけを考えていれば良いんだ。それは言い訳を禁じるということでもあるけどさ。
客 雑誌はネットと違ってタダじゃないんだから、読者についていけない雑誌は市場から脱落するしかないと思うんだ。
主 それから熱気の伝わって来ない雑誌も駄目だね。
客 毎年、同じようなことを繰り返して成立してきた雑誌は次々に休刊するんじゃないだろうか。
主 ここまでやるのかよ!と読者に思われてこそ存在価値があるというものだよね。やり過ぎるくらいでちょうど良いんだよ。そのくらいやらないと世の中を刺激できない。
客 切り口にある種の「偏り」が求められているんだと思う。
主「ニッチ」で専門的な存在であるかどうかであり、「ェッジ」が利いているかであり、「徹底的」であるかどうかが問われている。そもそも雑誌の原点はゲリラ性だからね。週刊誌でも、女性ファッション誌だって同じだよ。

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2)【本日の一行情報】

◎ベネッセの「いぬのきもち」や「ねこのきもち」が成功しても、大手出版社が競合誌を出さなかったのは、広告媒体として美味しくなかったからだと思う。しかし、時代は大きく変わりつつある。「いぬのきもち」「ねこのきもち」のベネッセが電通と共同して新しいペット産業の創出を企図した異業種参加型のコンソーシアム「Design with Pet Project」を4月から立ち上げることになった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/pdf/2014022-0310.pdf

KADOKAWAの「オトナファミ」は「エンタミクス」に誌名変更されたインドアエンタメ情報誌だが、契約社員を募集している。裁量労働制/みなし労働時間9時間で「月給26万円以上」。上場企業のKADOKAWAにとって契約社員は人的リストラに際して「調整弁」の役割を果たせるから重宝なのである。しかもKADOKAWA契約社員ではなく、KADOKAWAグループのebクリエイティブの契約社員である。もともとebクリエイティブはエンターブレインの子会社として発足した同社専属の編集プロダクションであった。KADOKAWAを支えているのは、こうした雇用形態の多重構造である。
http://tenshoku.mynavi.jp/jobinfo-135626-4-1-1/

◎大阪のバー「十三トリス」が還暦を目前にして火事で焼けてしまった。
http://www.asahi.com/articles/ASG375HPCG37PTIL02W.html?iref=com_fbox_u02
開業は1956年。こういう店だった。
http://13torys.web.fc2.com/index.html
「高度成長期時代、サラリーマンは昇進とともに呑むウイスキーの銘柄が決まっていました。『いつかだるま(オールド)を呑んでやるぞ』と、若いうちはトリス、そして給料が上がればレッドやホワイト、課長になったら角を・・・と呑んでいったものです」
初代の奥さんが昨年、亡くなったばかりだった。
http://www.asahi.com/national/update/0412/OSK201304120133.html

経営コンサルタント宋文洲NHK会長が理事全員に辞任届を提出させた件で次のように言っているが、その通りだと思う。
「…この人は本当に部下を愛し部下の重要性を認識したことのない、つまり本当の経営の苦労をしたことのないサラリーマンだと思いました。貴重な人材だと思うとそんなことは思い付かないのです。本当に愛している人との結婚式で日付のない離婚届を強要するようなものです」
http://www.soubunshu.com/article/390694636.html

◎アマゾンが「オールタイムベストコミック100」を発表。
http://www.amazon.co.jp/b/ref=amb_link_69726649_2?ie=UTF8&node=3055731051&pf_rd_m=AN1VRQENFRJN5&pf_rd_s=center-2&pf_rd_r=1H7SZR0KYGHSQF5DRHPH&pf_rd_t=1401&pf_rd_p=166765029&pf_rd_i=3077908666

任天堂Amazon Web Servicesを利用している。
http://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/nintendo/

凸版印刷が提供する電子チラシポータルサイトShufoo!」と、凸版印刷の関連会社マピオンが提供するモバイル位置情報ゲーム「ケータイ国盗り合戦」を利用したネットとリアルを結ぶシームレスな販促活動を支援する次世代ロケーションベースソリューションを共同で開発することになった。
http://www.toppan.co.jp/news/2014/03/Newsrelease140304.html
O2O」は雑誌にとっても決して無縁ではないはず。

大日本印刷はフリーマガジン「honto+」をリニューアル。紙版を電子書籍版に合わせて月刊化し、電子書籍版には新コンテンツを加えた。紙版は、大日本印刷傘下の書店である丸善ジュンク堂書店文教堂で書籍を購入した人に配布し、電子書籍版は「honto電子書籍ストア」で無料配信する。紙版には「honto電子書籍ストア」で500円以上の電子書籍を購入すると利用可となる200円のクーポンがついている。また、サマンサタバサグループの店舗では、オリジナルコンテンツを加えた紙版「honto+サマンサタバサバージョン」が配布されるという。
http://mainichi.jp/bizbuz/news/20140307dog00m020010000c.html

城西国際大学メディア学部の学生が映画雑誌「ムービーバックパッカーズ」を刊行。経費は城西国際大学が全額負担している。
http://eiga.com/news/20140307/19/
出版社も「誰でも編集長」の時代に応えるビジネスを考えても良いのではないか。

◎国立循環器センターとセブン&アイ出版が「『かる塩』『かる糖』料理帳」を刊行した小学館に抗議した一件でセブン&アイ出版の言い分は、こうなる。<セブン&アイ出版によると、小学館が「『かる塩』『かる糖』料理帖」を発行することを発売前に知り、事前の承諾なく使用することに対して問い合わせたが、「商標的な使い方はしていない」として経緯説明に応じず、同書籍は出版された。そのため、国循に相談の上、今回の正式な抗議に踏み切ったという>
http://medicalcarenews.net/2014/03/07/8423

◎オプトは東証一部上場のインターネット広告代理店である。http://www.opt.ne.jp/
2013年の12月期の決算は減収減益となった。売上高が前期比14.3%減の67,624百万円、営業利益が同13.7%減の1,300百万円、経常利益が同18.5%減の1,105百万円、当期純利益が同26.5%減の610百万円。この原因は電通の仕事の大半を失ったことによる。電通との業務提携の内容が変更となったのである。
http://news.mynavi.jp/news/2014/03/07/486/
もともとオプトは2007年12月20日付で電通と資本・業務提携を行っていた。オプトは電通に社員を出向させ、電通のクライアントに対してインターネット広告提案に関与していた。電通とオプトはメディアバイイングの集約を行ってきたわけだ。しかし、インターネット広告ビジネスの流れが大きく変化するなかで、業務提携のあり方を見直したということなのだろう。ただし電通がオプトを切ったのではないようだ。インターネット広告関係者によればオプトが電通から自立できると判断してのことであるらしい。ちなみにCCCもオプトの大株主である。

◎オーストラリア政府観光局が文藝春秋女性誌「クレア」とタイアップしている。36頁にわたる別冊附録「極上の癒しを求めてオーストラリアへ」がそうだ。
http://www.sankei-kansai.com/press/post.php?basename=000000013.000004793.html

◎スクエアエニックスは「ドラゴンクエストX 冒険者のおでかけ便利ツール」を利用したリスト型攻撃で不正ログインが増加していると発表。
http://news.mynavi.jp/news/2014/03/08/040/

◎「マンガで気づく間違った日本語」(主婦の友社)。正しいと思って使っていても間違っているというケースは本当に多い!
http://www.yomiuri.co.jp/adv/enterprises/release/detail/00078887.html
「敷居が高い」って「相手に不義理をしたり、また、面目のないことがあったりするために、その人の家に行きにくくなる」ことを言うんだよなあ。高級料亭は敷居が高いという言い方は間違い!

上原善広が「差別と教育と私」(文藝春秋)を上梓した。
「従来のノンフィクションからすれば、やや実験的な構成をしています。その点もまた、注目していただければと思います」
http://u-yosihiro.at.webry.info/201403/article_4.html

◎ともに20周年を迎えたKADOKAWAの「電撃文庫」と森永製菓のチョコレート「ダース」のコラボ第三弾は「デュラララ!!」の成田良梧のショートストーリーを「ダース」のウエブサイトで公開する。
http://japan.cnet.com/release/30065746/

◎消費増税を前に多くの雑誌が発売日を前倒し。
http://www.asahi.com/articles/ASG3640ZGG36ULFA00S.html

◎ハードコアブルースバンドとして知られるKING BROTHERSが復活第一弾となる海外アーチストとのスプリット盤をKADOKAWAからリリースする。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000007006.html

◎こういうケースも増えるのだろう。
「ナミエさんが交際するのは、2歳年下(32歳)のカレ。同じ出版社に勤務する男性ですが、正社員の彼女に対し、カレはまだ非正規の身。年収は『300万円ちょっと』だと言います」
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/140306/ecc1403061630003-n1.htm

小学館集英社プロダクションは「千葉県立水郷小見川少年自然の家」の運営に関わっているのか。求人広告は色々なことを教えてくれる。
http://cone.jp/2014/03/07/2315/

朝日新聞と「VERY」(光文社)は横浜と神戸でイベント「おしゃれに“賢妻”始めませんか」を開催する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000009214.html
朝日と「VERY」の相性は抜群に良いと思う。

ビリー・ボブ・ソーントンが言い放ったそうである。
ツイッターFacebookなどは人を底抜けのバカにしている。おれは、あんなものは使わない。60年代には『人民に力を』と言ったものだけど、地球上のバカ全員が自分の意見をCNNにツイートするようなことを意味していたわけではない」
http://www.cinematoday.jp/page/N0060817
「運命の引き金」では主演するばかりか脚本も書いている。
http://cinema.pia.co.jp/title/s-5535

電通2月度売上高。前年比11.8%の伸びだ。オリンピック景気なのだろう。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/pdf/2014021-0307.pdf

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3)【深夜の誌人語録】

コツコツ、コツコツと積み重ねることが大切である。途中で放棄してしまうから徒労になってしまうのだ。