【文徒】2014年(平成26)4月3日(第2巻61号・通巻263号)

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1)【記事】これは広告代理店の雑誌外しなのだろうか?
2)【記事】「元都知事猪瀬直樹のお詫びツイート
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】これは広告代理店の雑誌外しなのだろうか?

博報堂DYメディアパートナーズとアドスタッフ博報堂は、国内各エリアのマスメディアが発信した情報を紹介するスマホ向けアプリ「地域情報プラットフォームアプリ」の実証実験を開始した。「地域情報プラットフォームアプリ」は、その地域において発信されているニュース、グルメ情報、ショッピング情報、観光情報など、それぞれの地域に根差したメディアから発信されるコンテンツをまとめて紹介する。実証実験の第1弾として配信されるアプリ「おきコレ」では、沖縄県内に本社があるメディア8社(RBC沖縄テレビ放送、琉球朝日放送沖縄タイムスFM沖縄琉球新報RBCラジオ、ラジオ沖縄)と協力している。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/03/HDYmpnews20140331.pdf
かつて情報のプラットフォームの役割を果たしたのは雑誌であった。「ぴあ」や「東京ウォーカー」は地域に根ざした情報プラットフォームそのものであった。しかし、インターネットが定着すると情報ゼロ円という究極のデフレバイアスが働き、情報誌は今や青色吐息状態にあるわけだが、この博報堂DYメディアパートナーズが実証実験をはじめたアプリは情報誌を更に苦況に追い込むことになるだろう。
博報堂DYメディアパートナーズのリリースには「地域のテレビ・新聞・ラジオ・雑誌などのメディアが発信する情報を、1つのプラットフォーム上で紹介するスマートフォン向けアプリ」と書かれているが、「おきコレ」に協力するメディアは新聞、テレビ、ラジオであって、そこに沖縄の出版社の名前もなければ、東京の出版社の名前もなかった。そもそも実証実験を沖縄で始めたのは雑誌外し、出版社外しが狙いではなかったのかと勘繰りたくもなる。
かつてリクルートは、いわば新聞広告を母胎にして数々の情報誌を立ち上げていったが、それと同じようなことがインターネットの世界を舞台に起きようとしているのかもしれない。情報誌の領域がインターネットに次々によって次々に浸食され、死に至らしめられる。しかも、その音頭を取るのが、本来は出版社にとってパートナーであったはずの広告代理店なのである。博報堂の広告代理店としての原点が出版広告であったことを考えれば、隔世の感を禁じ得ない。

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2)【記事】「元都知事猪瀬直樹のお詫びツイート

トホホの猪瀬直樹ツイッターで4月1日に次のような謝罪をした。
「お詫び/一昨年10月、私は、伴一彦氏脚本のテレビドラマ『ストレートニュース』に関し、私原作の劇画『ラストニュース』を盗作したとツイートしました。確たる根拠がないのに、『アホ脚本家』『盗作』とツイートし、伴一彦氏及び同ドラマの名誉を毀損したことにつき、心よりお詫び致します。猪瀬直樹
https://twitter.com/inosenaoki
問題となったツイートは猪瀬が2012月10月22日に投稿した次のようなツイート。
「『ラストニュース』(弘兼憲史画、猪瀬直樹作)は報道のありかたを描いた作品だがアホ脚本家が日テレで換骨奪胎し安っぽい報道ドラマにした。原作にヒントを得たと言いつつ独自作品と自慢していた。佐野眞一ハシシタ問題が現れたので盗作に触れた。日本の知財意識は中国を笑えないレベルなのだ」
これに対して伴一彦は次のようなメンションを送り続けた。
「10月22日に、あなたの原作漫画『ラストニュース』を“アホ脚本家が日テレで換骨奪胎し安っぽい報道ドラマ”にしたとツイートされていますが、これは拙作『ストレートニュース』のことですか? そう受け止めている人も多く迷惑しています。ドラマ名を教えて下さい」
猪瀬からは全く返信がないどころか、猪瀬は次のようにツイートしている。
ツイッターでデマを流さないこと。伝聞は噂と同じ、ふつうジャーナリズムでは「裏を取る」と言いますが、根拠となる事実がなければ安易にRTしないこと。前後の文脈を無視すると誤報。参考「ラストニュース」(弘兼憲史・画、猪瀬直樹・作、電子書籍版あります)」
伴はツイッターのみにせず、猪瀬のホームページに質問書を送付。これも無視。伴は諦めずに内容証明で公開質問状を送る。それでも猪瀬は無視。遂に伴は訴訟を起こしたというのが、これまでの経緯である。
http://matome.naver.jp/odai/2136447584451880601?&page=1
裁判は猪瀬が伴に100万円を支払い、ツイッターに謝罪文を掲載することで和解していた。
http://mainichi.jp/select/news/20140327k0000m040035000c.html

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3)【本日の一行情報】

カルチュア・コンビニエンス・クラブカンパニー制を導入した。五つの事業分野でカンパニー役員会を意思決定機関として、執行のスピードアップを図る。
http://www.ccc.co.jp/news/2013/20130331_004460.html

西日本新聞は同社のウエブサイトが不正アクセスを受け改竄された件で「お詫びとお知らせ」を発表した。
http://c.nishinippon.co.jp/news/2014/03/post-13.html

◎4月30日から日経IDと日経BP社のIDを統合する。まだ統合していなかったことに驚く。
http://www.nikkei.com/lounge/info/id.html

STAP細胞論文の不正疑惑。発火点となったのは2チャンネルや匿名サイトであった。
「当初、2ちゃんねる生物板スレッドやブログ『世界変動展望』(@lemonstoism氏)、『論文捏造&研究不正』(@JuuichiJigen氏)などの匿名サイトで、論文画像の不正疑惑が取り上げられた。まだこの時点で関係者は取り違えミスと回答。しかし告発が呼び水になって、多くの研究者がSNS上で議論と検証を開始、疑惑が一気に広がった」
http://president.jp/articles/-/12193

リクルートの求人情報メディア「タウンワーク」におけるイメージキャラクター・ジョブーブのLINEスタンプはリリースから、わずか9日間で1000万ダウンロードを突破した。
http://newslounge.net/archives/121385

◎創業84年のノウハウが泣きますよ。ムサシノ広告社が運営する「雑誌広告ドットコム」の最新情報欄に「主婦と生活社のライフスタイル誌『主婦と生活社』が5月号をもって休刊になります」とあった。
http://www.zasshi-ad.com/

日本雑誌協会、日本雑誌広告協会は、ビデオリサーチの協力のもと、2013年10月に第一回目の「雑誌広告効果測定調査」を実施し、その結果を「M-VALUE(エム・バリュー)」として発表した。
「『純広・中面4C1P(表まわり・センター除く)』での広告注目率の平均は44.9%なのに対し、『表4』での平均は62.4%。同じ純広1Pでも、読者に広告を認知させる点においては、表4は中面のおよそ1.4倍の効果を示しています」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140401/prl1404011448090-n1.htm

小学館松本大洋「ピンポン」のTVアニメ化を記念し、雑誌サイズの新装版「ピンポン フルゲーム」全2巻を発売した。1巻には単行本初収録となる番外編「タムラ」が収録されている。
http://natalie.mu/comic/news/113465

ジーユー(GU)は3月31日、雑誌「ラルム(LARME)」(徳間書店刊)とのコラボレーションイベントを、「ジーユー」ビックロ新宿東口店で開催した。トークショーで中郡暖菜編集長は次のように発言したそうだ。
「読者アンケートによると、今年欲しいものの1位がギンガムチェック、2位がビスチェ、3位がトレンチコートだった。これがテッパンではないかと思います」
http://www.wwdjapan.com/fashion/2014/03/31/00011090.html

博報堂博報堂DYメディアパートナーズは、新ビジョン「未来を発明する会社へ。Inventing the future with sei-katsu-sha」を制定した。
http://www.hakuhodo-hatsumei.jp/
歴史をしかと踏まえたうえで未来を発明して下さいな。ちなみに、わが出版人は希望を創造する会社を目指しているんだけどね。

有斐閣判例百選シリーズなどを電子書籍化,電子書店VarsityWave eBooks(大学生協事業センター)で配信を開始した。
http://www.dreamnews.jp/press/0000090891/

◎KADOKAWAは広告売り上げの半分がカスタムマガジンと語るのは前社長の佐藤辰男だ。
「たとえば日本生命と組んで、保険の外交員の方が顧客にサービスで配布される『ザテレビジョン』日生版を制作しています。NEXCO東日本とは高速道路のサービスエリアなどに置かれている『ハイウェイウォーカー』を、あるいは地下鉄と組んで、駅で配るフリーマガジンを制作しています。こうしたBtoB的なビジネスが広告収入の基盤になっています。デジタルの世界で『週刊GEORGIA』という新たなカスタムマガジンの事例ができたのは、非常にうれしかったですね」
http://toyokeizai.net/articles/-/34295
こういう記事を読んでいると今回の社長交代が必ずしも既定路線ではなかったのではないかと思えて来る。

トーハンは、家庭での読書「うちどく(家読)」の推進にあたり、うちどく公式ホームページで自治体・団体の推進担当者向け実践ガイドを掲載しており、このほど取り組み事例を追加・更新した改訂版を作成し、公開している。う〜ん、こういう運動って、「朝の読書」にしてもそうなのだが、人々を逆に読書から遠ざけはしまいか。「大きなお世話」は得てして嫌われるものである。
http://www.dreamnews.jp/press/0000090915/

リクルートグループはITを前提とした新ビジネスモデル開発を目的とした「New RING ‐Recruit Ventures‐」を開始する。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140401/prl1404011211059-n1.htm

放送倫理・番組向上機構はフジテレビのバラエティー番組『ほこ×たて 2時間スペシャル』(2013年10月20日放送)で、出演者のラジコンカー操縦者が放送後、「対決内容が編集で偽造された」と指摘し、社内調査の結果、視聴者の期待と信頼を裏切ったとして、番組が打ち切られた件について、「ない対決を、ある」としたことや制作体制の組織的な問題などを指摘して、「番組の制作過程が適正であったとは言い難く、重大な放送倫理違反があった」とする意見を公表した。
http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/kensyo/determination/2014/20/dec/0.pdf

佐賀県武雄市の市立図書館は「TSUTAYA」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者として図書館の運営を委託した結果、昨年一年間の来場者数が改装前に比べ3.6倍の92万人となった。
http://jp.wsj.com/article/JJ12331228017188124115919375362172944103570.html
神奈川県の海老名市立図書館ではCCCとTRCの共同事業体が指定管理者となった。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1403/31/news091.html
このコンビは強力だ。

◎ 「BE・LOVE」8号(講談社)で、「週刊少年サンデー」連載の青山剛昌名探偵コナン」と末次由紀ちはやふる」のコラボイラストが実現した。「ダ・ヴィンチ」5月号(KADOKAWA)では、「名探偵コナン」連載20周年を記念し、青山と末次の対談を掲載されるというし、4月11日発売の「ちはやふる」24巻、4月18日発売の「名探偵コナン」83巻では、2作のコラボ企画も決定しているようだ。マンガで実現した出版社の垣根をこえた取り組みは他のジャンルでも試みる価値があるはずだ。
http://natalie.mu/comic/news/113473

◎さまざまな料理ジャンルのレシピを毎年200冊弱ほど刊行している(レシピ数にすると年間1万点以上になる!)という主婦の友社は、料理研究家のレシピをレンタル形式で企業に提供するBtoBのレシピ事業「主婦の友Kitchen」を立ち上げ、同WEBサイトをオープンいたした。本格稼働は今夏になるそうだ。
料理研究家パッケージ」と「用途別パッケージ」が用意されている。「料理研究家パッケージ」の基本料金は紙かウエブサイトのどちらか1媒体の使用で半年間45万円、1年間60万円、紙とウエブサイトのセットで半年間67.5万円、一年間90万円、更に料理家露出契約だと媒体セットで半年間105万円、1年間140万円となっている。
「用途別パッケージ」の基本料金は紙かウエブサイトのどちらか1媒体の使用で半年間30万円、1年間40万円、紙とウエブサイトのセットで半年間52.5万円、一年間70万円となっている。
http://www.shufunotomo.co.jp/recipe_service/

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4)【深夜の誌人語録】

他人の褌で相撲を取り始めたならば、その瞬間から堕落が始まる。