【文徒】2014年(平成26)5月22日(第2巻93号・通巻295号)

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1)【記事】地方紙の社説も、韓国紙も「美味しんぼ」に言及
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】地方紙の社説も、韓国紙も「美味しんぼ」に言及

神奈川新聞も「美味しんぼ」を社説で取り上げた。タイトルは「『美味しんぼ』問題 『不安封じ』で解決せず」。
「政治、行政がすべきは不安の声を封じるのではなく、誠実に不安と向き合い、放射能の問題に対峙することだ」
http://www.kanaloco.jp/article/71507/cms_id/81346
社説で「美味しんぼ」を取り上げた地方紙は他にもある。北海道新聞の社説は「『美味しんぼ』 議論深めるきっかけに」。
民主党政権時代の2012年4月、自民党参院憲法審査会で『毎日鼻血が出る』との前双葉町長の言葉を引用し『重い発言』と健診の充実を求めた経緯がある。政権交代で一転、正反対の立場に回るのでは、被災者を政治利用したと言わざるを得ない」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/540267.html
信濃毎日新聞の社説は「美味しんぼ 漫画に抗議するよりも」。
「表現に配慮の足りない面があったのは否定できないとしても、国や県が自分のやるべきことを棚に上げて漫画の中身を非難することには違和感も感じる」
http://www.shinmai.co.jp/news/20140520/KT140519ETI090002000.php
神戸新聞も社説「美味しんぼ放射能の情報が足りない」を掲載していた。
「復興に当たる自治体が漫画の表現を心配するのは分かるが、行き過ぎると自由な表現を萎縮させる恐れがあり、弊害の方が大きい。情報の出し渋りや都合の悪い事実隠しこそが、復興の妨げになる。放射能を理解する知識や情報の重要さを、あらためて思う」
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201405/0006960489.shtml
京都新聞の社説は「美味しんぼ問題 議論を深めるきっかけに」。
「根拠のない『安全神話』の下で原発政策が進められ、福島の事故につながった。不都合な事実を隠したり、表現の自由を萎縮させては、真の復興につながらない。感情的な非難に走らず、問題提起の一つとして、冷静に受け止める態度を養いたい」
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140519_4.html
韓国のメディアも「美味しんぼ」を取り上げている。朝鮮日報の記事のタイトルは「マンガで安倍・極右に抵抗する雁屋哲氏」。しかし、次のような記述は事実と違うのではないだろうか。
「騒ぎが収まらない中、『ビッグコミックスピリッツ』の発行元である小学館は、事実上の白旗を上げた。小学館は19日号で、編集長の名で『ご批判、お怒りは真摯(しんし)に受け止めて、表現のあり方を今一度見直していく』という文章を掲載する予定だ」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/05/19/2014051901430.html
中央日報はコラムの噴水台で取り上げている。タイトルは「日本漫画『美味しんぼ』、福島の事実を問う」。<韓国語版ですでに発刊されている『美味しんぼ(韓国タイトル:味の達人)』の110巻「福島の真実−1編」で作家は問うた。「真実を知らせたくない人間、全て適当にごまかし通したい人間、そしてその嘘に肉付けして助長したメディア」に日本人らがだまされているのではないかと。放射能と鼻血の関連性についての科学的真実とは別に、著者の問いに耳を傾けなければならない理由はある。世の中を変えることは、こうして質問を投げかける誰かによって始まるのだから>
http://japanese.joins.com/article/500/185500.html?servcode=100§code=140
韓国で「美味しんぼ」は翻訳され「味の達人」というタイトルで売られている。

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2)【本日の一行情報】

松本市の「たつのこ書店」が紹介されている。絵本専門の書店だ。店主は中川風太。言わずと知れた中川六平の弟さんである。
「もともとたつのこ書店は児童書の行商からスタートしたお店で、長年行商として培ってきたつながりがあるからこそ、大型店にはないレア絵本が並んでいるのです」
http://news.ameba.jp/20140520-113/

チャゲ&飛鳥のベスト盤がアマゾンで19日午後7時台で第6位!
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/05/20/kiji/K20140520008197050.html
回収前の大ヒット!ユニバーサルミュージックはCDや映像の出荷停止と、市中在庫の回収を決定している。
http://news.tbs.co.jp/20140519/newseye/tbs_newseye2204843.html

朝日新聞社は、デザイナーやクリエーターを養成する専門教育機関を運営するバンタンと協力し、レコールバンタン東京校で学ぶ26人が授業で、朝日新聞社保有する不動産を対象として地域活性化につながるカフェなどの事業計画づくりをする実験的な取り組みを始めたそうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASG5G4T4MG5GULZL001.html

朝日新聞デジタルの有料会員6万人(select会員を含む)。無料会員と合わせた総会員数は148万人。この数字が何を意味するかといえば、新聞というメディアの未来の昏さだ。創刊3年で、こんなに少ないとは!新聞が読者とのコミュニケーションにおいて垂直軸で商売できる時代が終わるのにそれほど時間はかからないのかもしれない。
http://markezine.jp/article/detail/20021

講談社青い鳥文庫として刊行されている、はやみねかおる「名探偵夢水清志郎」シリーズが創刊20周年を迎えた。全17巻で累計370万部。児童書の世界には隠れたベストセラーが多い。出版社の経営を安定化させるためにはロングセラーをいかに育てるかである。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20140510-OYT8T50100.html?from=ytop_ymag

◎ワールドカップ開催に歩調を合わせて、高橋陽一キャプテン翼」シリーズの新作「キャプテン翼 ライジングサン」1巻(集英社)が刊行された。
http://natalie.mu/comic/news/116971
大久保が反動蹴速迅砲を本当に実演している映像が凄い。
http://dreamshoot.net/

MF文庫J「夏の学園祭」が7月20日(日)、東京・秋葉原UDX、AKIBA_SQUAREで開催される。秋葉原KADOKAWAにとっての今や聖地である。
http://bc.mediafactory.jp/bunkoj/fes2014/
ラノベに限らず、雑誌も「聖地」を持つべきだ。

◎「美味しんぼ」騒動で書店やコンビニで「週刊ビッグコミックスピリッツ」の売り切れが続出した。
http://www.47news.jp/news/2014/05/post_20140519170205.html

電通が運営する電子雑誌書店「MAGASTORE」の電子雑誌一冊が、ギフトサービス「giftee」のギフトとして贈ることができるようになった。
http://www.dreamnews.jp/press/0000093140/

◎ぽっちゃり系ファッション誌「la farfa」7月号は衝撃の附録で勝負。股ズレ軽減&解消! 魔法のグッズ「momozrenne(モモズレンヌ)」!
http://www.bunkasha.co.jp/book/b177525.html
ぽっちゃり女子を「股ずれ」の痛みから守る前代未聞の附録という評価が出始めている。
http://ameblo.jp/cheese-in-nao/theme-10069055591.html

◎光文社は「ロコモサイズ 美筋ダイエット」で勝負。綾戸智恵のジャズに合わせて行う次世代のラジオ体操という触れ込みだ。発売を記念して6月1日に代官山蔦屋書店で綾戸を招いてのイベントが開催される。
http://tsite.jp/daikanyama/event/003758.html

電子書籍書店「honto」は、ネット系ジャーナリストとして知られている津田大介の有料メールマガジン「メディアの現場」をまとめた「津田本シリーズ」(全7巻)の第1弾を価格500円で5月20日(火)より限定配信している。
http://honto.jp/cp/ebook/2014/tsudadaisuke

関西テレビ放送は2「iOS7」に搭載された近距離無線通信機能「iBeacon」を利用したアプリを開発、5月23日深夜0時50分放送予定のバラエティー番組「ジャルやるっ!」の新コーナー「ジャル大センター試験」で使用するという。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140519/557763/

白泉社がフリーペーパー「野生動物(ヤセイアニマル)」を創刊した。創刊号では「サバイバル」を特集。
http://www.cinra.net/news/20140520-yaseianimal

◎ロイターによれば フランスの広告大手ピュブリシス・グループ と米フェイスブック が5億ドル規模の複数年にわたるデジタルマーケティング契約で合意したという。オムニコムとの合併が破談したピュブリシスが打った一手である。
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPL3N0O604820140520

リクルートホールディングスは、海外のベンチャー企業に限定して出資を行うコーポレートベンチャーキャピタル合同会社RGIP」を設立した。同ファンドの第一号案件として、バケーションレンタル領域におけるアグリゲーションサイト「Tripping」を開発、運営するカリフォルニアのTripping International, Inc.への出資を実施した。
http://www.recruit.jp/news_data/release/2014/0520_7599.html
東京IT新聞の分析は冴えているなあ。
「リアルの営業網を持つリクルートが、連動するウエアラブル端末や決済機器を持てば、ネットとリアルの販売現場をつなぐ『O2O』を制する道筋が見えてくる。そのためのIoTファンドの新設だ」
「上場を控えた同社は、近年インターネット関連事業の拡充を急いでいる。1兆円とも言われる時価総額を維持し、さらに高めていくには、業績を実際に成長させること。そして、成長しそうだと投資家に思わせることが不可欠だ。
その際、ネット企業であるか、従来型の“営業会社”であるかは、大きな違いを生む。ネット企業の方が株式市場の評価は高くなる。
外部への投資と並行して、内部からのネット関連新規事業の育成も重視している」
http://itnp.net/story/771
変わり身の早さはリクルートのそもそもの持ち味である。

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3)【深夜の誌人語録】

誰もが一度は死ぬ、一度しか死ねない。人間にとって経験として語れないのが自らの死である。