【文徒】2014年(平成26)5月21日(第2巻92号・通巻294号)

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1)【記事】書籍キュレーションサービス「情報工場」だって!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.5.21 Shuppanjin

1)【記事】書籍キュレーションサービス「情報工場」だって!

書籍キュレーションサービスの情報工場は、「紀伊國屋書店 大手町ビル店」で、書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」とコラボレーションしたビジネス書のフェア「SERENDIP厳選書籍フェア」を開催している。
http://japan.cnet.com/release/30071167/
情報工場?しかも書籍キュレーションサービスだって。そんな会社があるとは知らなかった。しかし、実際に存在している。
http://www.joho-kojo.com/bu_top
代表取締役の藤井徳久は「1980年生まれ。ソラン株式会社(現・TIS株式会社)にてクレジットシステムの開発エンジニアを経て、株式会社ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチでは日本株担当アナリストとして企業調査、産業分析などの業務に従事。その後、当社を創業し代表取締役社長に就任」という経歴。
取締役で編集・メディア開発担当の近谷浩二は「1967年生まれ。SAG(米国映画俳優組合)メンバーとしてハリウッド映画に出演する一方、日系企業のコマーシャルフィルムの制作に従事。その後、英系出版社のネイチャー・ジャパンを経て、書籍翻訳の株式会社トランネットでは取締役として海外版権や事業開発を担当」というキャリア。
経営管理・コミュニケーション担当の冨岡桂子は「1972年生まれ。米系通信大手スプリント日本法人にてオフィスマネージャーを経て、仏系ブランドのエルメスではLeica Camera日本法人の立上げに従事。その後、日系データセンターの株式会社ブロードバンドタワーにて広報業務、独系流通大手メトログループ日本法人の広報責任者としてコーポレートコミュニケーション業務を担当」というキャリア。
こうした手合いに書籍のキュレーション能力があると紀伊國屋書店が判断したのであれば、紀伊國屋書店も終わりだろう。そもそも書店(員)の本質はキュレーション能力ではないのか。紀伊國屋書店は自らのキュレーション能力にそれほど自信がないのだろうか。
私などは情報工場のホームページを閲覧していると吐き気さえもよおしてくる。断言しても良い。情報工場とやらのキュレーションよりも、私たちのキュレーションのほうが桁違いに優れているだろう。こういうおのぼりさんに大手を振って歩かせては絶対にならないはずである。

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2)【本日の一行情報】

◎東京書籍は、教科書の内容をもとにした早押しクイズで、楽しく学習することができるiPad向けクイズアプリ「教科書クイズファミリー」を開発。制作を担ったのは凸版印刷。6月中旬に東京書籍よりリリースされる。価格は500円。ちなみに教科書出版の最大手たる東京書籍は凸版印刷グループの連結対象企業である。
http://www.toppan.co.jp/news/2014/05/Newsrelease140516.html

ジャストシステムの「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2014年4月度)」によると、15〜69歳までの男女1,100名の15.8%が電子書籍を利用していると回答。35〜39歳の男性が30%、50〜54歳の男性は26%が電子書籍を利用している。ビジネス書やマンガのまとめ買いを支えているのも、この層と見て良いだろう。
http://www.venturenow.jp/news/2014/05/18/1505_022294.html

◎「そして、星の輝く夜がくる」(講談社)を上梓した真山仁と、IT起業家ながら被災地である宮城県山元町で高級イチゴビジネスを成功させ、その奮闘を記録した「99%の絶望の中に『1%のチャンス』は実る」(ダイヤモンド社)を上梓した岩佐大輝の対談。
岩佐が言う。
「震災直後に中学生のキャリア教育に取り組んだとき、全員が全員、『自衛隊になりたい』『消防士になりたい』と言ったんです。自衛隊や消防士に助けてもらっているわけですから、感謝したり憧れたりするのは当然かもしれません。しかし、世界は広いわけです。いろんな選択肢がある。震災が子どもを狭い世界に閉じ込めてしまったのかもしれないと思いました」
真山が応じる。
「強い大人が周りに自衛隊や消防士しかいなかったからでしょう。被災地で子どもが元気にふるまったり、大人がのぞむような答えを言うのは、大人に立ち直ってもらいたいというメッセージなんですよね。大人が弱ってしまうと子どもは生きていけないので、本能的にそういう行動をする」
http://diamond.jp/articles/-/52670

◎周知のようにパナソニックとシャープは3年振りの黒字を達成したが、ソニー赤字経営の泥沼にはまったままだ。「ダイヤモンド・オンライン」の片田江康男は、こう評している。
パナソニックは連結海外売上高が現地通貨ベースで前年比91%と前年を上回っておらず、厳密には完全復活とは言えない。またシャープも液晶部門がアップルなどの他社の動向に左右されやすいというリスクはある。だが、パナソニックとシャープは、構造改革を乗り越え、ようやく“退院”間近といったところだ。その一方で、ソニーはいまだに成長戦略へ踏み出す前段階で、まだ脈も弱い状況だと言えるだろう」
http://diamond.jp/articles/-/53153
ソニー凋落の「戦犯」は出井伸之だと私は考えている。

◎「美ST」7月号の表紙を飾るのは辻仁成と離婚するかどうかで話題の中山美穂だ。こういうジャーナリスティックな表紙づくりが「美ST」の持ち味だ。
http://mdpr.jp/review/detail/1364209

◎AT&Tは米衛星放送最大手ディレクTVを490億ドル(約4兆9800億円)で買収すると「ウォールストリートジャーナル」が報じている。通信が衛星放送を買収するという事態は日本でも起こりうるはずだ。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303923004579570741931222708

◎この「東京IT新聞」の記事は私と同じ見方をしている。
「しかし、両社の統合だけでは、海外で成功するには役不足だろう。両社とも実績はそれほどない。海外メジャーとのさらなる統合が不可欠だ。存外、その時期は早いかもしれない」
http://itnp.net/story/770

博報堂DYホールディングス傘下のAD plus VENTUREはとリサーチ会社ゲインが立ち上げた「NEWSY」の最初の仕事はスマホ向けフリマアプリ「メルカル」のテレビCMだったようだ。広告のニュース化の成果について代表取締役社長の山田進太郎は「CNET Japan」で次のように語っている。
「開始直後なのでユーザー獲得へのインパクトは今後見ていく必要がありますが、Twitterにおいて好意的な意見で話題になったり、YouTubeに公開したCM動画が初日に再生回数10万回を超えたりするなど、反響は大きいです。放送前には出演者の話題性などから、フジテレビの「めざましテレビ」でも大きく取り上げられました。今後はこうしたCMへの関心がアプリへの関心へと移り、ユーザーが拡大していけば嬉しいですね」
http://japan.cnet.com/marketers/interview/35048090/

◎確かにKADOKAWA・DWANGOという社名よりもKADOKAWANGOという社名のほうがステキだと思うよ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1405/19/news122.html

◎「ベルサイユのばら」は死なず。何と40年ぶりとなるコミックス11巻が8月に発売されることになった。「マーガレット」に掲載されたエピソードシリーズをカラーページも含めて収録するとともに15頁が加筆される。この発売を記念して、1〜10巻の復刊も決定した。
http://margaret.shueisha.co.jp/news/index.html#news14

三陽商会の危機だ。バーバーリーのライセンス契約が2015年6月に終了する。派生ブランドからもバーバーリーの名前が消える。日本経済新聞によれば
「派生ブランドも含めると、バーバリー三陽商会の売上高の半分を占めており、今回契約を終了する商品は売り上げの2〜3割程度を占めるとみられる」
雑誌広告業界にも影響大であることは間違いない。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDZ1907E_Z10C14A5000000/

覚醒剤取締法違反容疑によって、大物ミュージュシャンのASKAが逮捕されたが、ことのはじまりは昨年8月に「週刊文春」が掲載したスクープ記事であったことは周知の通りだろう。そのタイトルからして秀逸な「シャブ&飛鳥の衝撃 飛鳥涼は『覚せい剤吸引ビデオ』で暴力団に脅されていた!」である。文藝春秋は、この昨年8月8日号の記事に加え、『ASKA vs.暴力団員メ盗撮ビデオモ交渉』(8月15・22日号)と、ASKA本人直接インタビュー記事『飛鳥涼独占告白3時間』(10月17日号)、全3本の記事を収録する電子書籍を「文春e-Books」レーベルで今日から配信している。価格は149円。
http://www.amazon.co.jp/%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%96%87%E6%98%A5%E3%81%8C%E5%A0%B1%E3%81%98%E3%81%9F%E3%80%8C%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%96%EF%BC%86%E9%A3%9B%E9%B3%A5%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A1%9D%E6%92%83%E3%80%90%E6%96%87%E6%98%A5e-Books%E3%80%91-%E3%80%8E%E9%80%B1%E5%88%8A%E6%96%87%E6%98%A5%E3%80%8F%E5%8F%96%E6%9D%90%E7%8F%AD-ebook/dp/B00KG0O3UW/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1400629813&sr=8-2&keywords=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%96%EF%BC%86%E9%A3%9B%E9%B3%A5

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3)【深夜の誌人語録】

たとえ歴史家の書く歴史に記述されなくとも、誰もが歴史を生きている。無数の、無名の歴史の総体こそ人類史の本流なのである。歴史家は自らの怠惰を自己批判すべきである。