【文徒】2014年(平成26)7月7日(第2巻125号・通巻327号

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1)【記事】榊一郎が「アーク・ブラッド」の著者を降りる!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】榊一郎が「アーク・ブラッド」の著者を降りる!

例えば司馬遼太郎が「竜馬がゆく」の著者を降りてしまうなどということは、絶対にあり得なかった。
そんなことがラノベ業界では起きるんだな!ライトノベル作家として売れっ子の榊一郎中央公論新社C-NOVELSシリーズ化されている「アーク・ブラッド」の著者を降りることになった。とはいえ榊は原案のクレジットを掲げ、別の著者が「アーク・ブラッド」の刊行をつづける。
http://otapol.jp/2014/07/post-1171.html?utm_source=nikkan&utm_medium=red&utm_campaign=ctr
榊によれば「大人の事情」があったということたが、榊の連続ツイートを読む限り、編集部とのトラブルがあったわけではなく、「製作工程上の問題」があったらしい。しかし、それが何であったのまではかわからない。ただ推測するに売れっ子のラノベ作家だけにラノベとしては後発のC-NOVELSの原稿がどうしても遅れがちになり、編集者と相談のうえ、このような形にしたと、そういうことなのだろうか。いずれにしても、榊の次のような連続ツイートで事態は発覚した。
「【謝】中央公論新社C-NOVELSにおいて展開中である小説シリーズ『アーク・ブラッド』について。この度、編集部との相談の結果、私・榊一郎は著作者の立場から退く事となりました。(続く)」
「(承前)具体的には以下の通り編集部から要請され、これを私が受け入れた形になります。
1.『アーク・ブラッド』シリーズは著者として榊一郎以外の者を配し、榊一郎は原案の立場に退く(事実上の、ノベライズの様な形態)」
「2.榊一郎は『アーク・ブラッド』シリーズの世界観、キャラクター、ないしこれに酷似の設定を使った小説を今後数年間は書かない(事実上の、別レーベルでの再出発、『リブート』的な作品を書く事などを行わない)」
「――この様な、およそライトノベルとしては前代未聞に近い事態に陥った事について、詳細は『大人の事情』でありまして、読者の方々にお伝えする事は出来ません。申し訳無い。ただ編集部と私が揉めた、という訳ではありません」
「元々『アーク・ブラッド』に関しては1巻の段階から製作工程上の問題を抱えておりまして、これを何とか解決しようと私も編集部も努力したのですが、2巻の段階でも解決は出来ず、3巻の執筆に入る段階で完全に破綻してしまいました」
「実の処、1巻と2巻の間が一年ばかり開いてしまったのも、この製作工程上の問題によるものなのですが、これについてもやはり詳細に公の形でご説明申し上げる事は出来ません。どうか御容赦ください」
「ただ、繰り返しますが、私と編集部が揉めたという訳ではありません。その証拠に私は現在C-NOVELSにおいて新作を準備中です。単に、私が『アーク・ブラッド』の3巻以降を直接執筆する事は無くなった、という事です」
「つまりは『アーク・ブラッド』のシリーズそのものが打ち切られた訳ではなく、あくまで『著者だけが交代する』という事です。同時に、私が提出していた3、4巻のプロットも踏襲されるかどうかは分かりません」
https://twitter.com/ichiro_sakaki
ラノベの場合、従来の文芸出版の常識が通用しないのかもしれない。書店に行けばラノベ出身の有川浩の「三匹のおっさん」は文春文庫版と新潮文庫版が同じ装丁で並んでいるしね。

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2)【本日の一行情報】

小学館の女性ファッション誌「AneCan」と光文社の男性ファッション誌「Gainer」が出版社の垣根を越えて、スタージュエリーの提案する「LOVE STAR’S DAY」の今夜、開催されるクルーザーイベントで手を組んだ。このところ話題の多いコスモ・コミュニケーションズの仕切りだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000010551.html

◎「過度の肉体及び精神活動時」「徹宵、夜間作業、その他睡気除去を必要とする時」「各種憂鬱症」に効能があるのだという。若林宣の「戦う広告 雑誌広告に見るアジア太平洋戦争」(小学館)を見ればわかるように大東亜戦争期にあって覚醒剤は「疲労の防止と回復にヒロポン錠」として普通に(=合法的に)売られていたのである。
http://www.the-miyanichi.co.jp/kuroshio/_6639.html

アメリカではモバイル広告が新聞、ラジオ、雑誌を上回るのが確実だそうだ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140703/568682/?top_tl1

ナカバヤシは女子中学生をターゲットとした学研教育出版のファッション誌「ピチレモン」とコラボした高機能ノート「スイング・ロジカルノート ピチレモンコラボノート5色パック」を7月中旬より発売する。
http://www.nakabayashi.co.jp/service/news/detail.html?news_id=530&mode=view
ステーショナリーと雑誌ブランドの相性は良い。

サザビーリーグは、新潮社が所有する東京・地下鉄東西線神楽坂駅前の「北倉庫」の開発と運営を受託し、アパレル・雑貨・家具のショップや、カフェ、ブックスペース、レクチャーホールで構成される商業施設「ラカグ」を今秋、開業する。不動産事業をもって「文学」を守ろうというわけである。
http://www.senken.co.jp/news/sazaby-league-shinchosha-rakagu/

◎「PFFぴあフィルムフェスティバル)」が第32回(2014年度)川喜多賞を受賞。ぴあが黒澤明今村昌平大島渚と並んだ。
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=20858
2011年の「PFF」で準グランプリとなった「春夏秋冬くるぐる」と観客賞(福岡)の「PICARO」の撮影&照明は今井哲郎だが、彼もこれで自信をつけた。
http://pff.jp/jp/award/2011.html
https://www.youtube.com/watch?v=Tr8hjp1rGnA
https://www.youtube.com/watch?v=bPgc5uDVEno

アメリカの旅行雑誌「トラベル+レジャー」の読者投票による観光都市の人気ランキングで京都が第一位となった。
http://matome.naver.jp/odai/2140435085459791501/2140435398762012503

◎「ウソ発見器つき ヒミツのこうかん日記」!?「なかよし」8月号の付録なんたせけれど。話題にはなるよなあ。
http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/01033/

◎これは売れるし、ビジネス書として話題にもなるな。ドラッカーの「マネジメント」と孔子の「論語」という組み合わせは、編集者による腕力に他ならないとしても、安富歩なくしては、このような暴挙は実現不可能であったかもしれない。東洋経済新報社が安富歩の「ドラッカー論語」を刊行した。東洋経済新報社からすればダイヤモンド社に一矢報いたかったに違いない。
http://store.toyokeizai.net/books/9784492045381/

◎30年近く前から刊行が予告されていた蓮實重彦の「『ボヴァリー夫人』論」。850頁にして税抜き6400円!蓮實の本は8割方、読んできたけれど、今日のところは買わなかった。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480838131/
柄谷行人あたりが書評を担当するのだろう。

中島岳志の「アジア主義 その先の近代へ」の版元は創価学会系の潮出版社であった。中島のやりたいことはよくわかる。
http://www.usio.co.jp/html/books/shosai.php?book_cd=3861
国柱会の田中智学を取り上げているのだから、「天皇とプロレタリア」(1929)の里見岸雄あたりにも触れてもらいたかった。里見は田中智学の三男である。

加藤典洋の「人類が永遠に続くのではないとしたら」(新潮社)を読んでいる。加藤は原発を駄目だと簡単に切り捨てるのではなく、吉本隆明が強調してきた自然史的な過程を踏まえながら、「することも、しないこともできる」という選択肢において「しないこともできる」選択において、つまり「有限性」を足場にして「原発」を葬り去ろうとしている。
http://www.shinchosha.co.jp/book/331212/

紀伊國屋書店富山店とこども図書館がコラボして「こどものこころとからだをかんがえる」をテーマにフェアを開催する。第一回は、紀伊國屋書店富山店では「てでたのしむえほん・・・点字付き絵本フェア・・・」、こども図書館では「こどもっていろいろ」をテーマにフェアを開催している。
http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Toyama-Store/20140703171520.html

アニメイト電子書籍の配信を開始!
http://www.animatebookstore.com/

実業之日本社の電子オリジナル連載や電子書籍を読むことができる「実日ブックス」。完全無料・登録不要のwebコミックサイトもオープンする。
http://j-nbooks.jp/

◎本日もブログのタイトルは「『すてきな奥さん』編集長・ヤマオカのプチぜいたくな日々」。山岡朝子編集長の名刺の肩書も「すてきな奥さん」編集長なのだろうか。
http://ameblo.jp/suteoku06/entry-11888571155.html

学研パブリッシングから刊行された「ママだからできる 運動神経がどんどんよくなる子育ての本」に電通のSPOLUTIONが噛んでいる。著者の遠藤健太はSPOLUTIONが開発に携わった学研の新しい幼児体育事業「リトルアスリートクラブ(LAC)」の代表トレーナーなのである。SPOLUTIONとはスポーツコンテンツを、「メディア物件」として捉えるだけではなく、事業課題や、プロジェクト課題を解決するための「ソリューション」として捉え、企画する電通社内ユニットだそうだ。
http://dentsu-ho.com/articles/1383

伊勢丹本館2階TOKYO解放区では7月15日まで、音楽カルチャーマガジン「Nero」(リトルモア)とコラボしたイベント「acute grrrls Nero × TOKYO解放区issue」を開催している。
http://www.fashion-headline.com/article/2014/07/04/6812.html

◎KADOKAWAは和泉市と同市の魅力・情報発信の方法など、和泉シティプロモーション事業をトータル的に支援することを目的に、支援協定を締結した。
http://www.city.osaka-izumi.lg.jp/kakukano/kousitu/apiruka/gyoumu/citypromotion/1404022347594.html
ドワンゴとの経営統合の後、次はぎょうせいと何らかのカタチで「合体」するように思えてならない。

◎森永製菓は、人気の漫画・アニメ「進撃の巨人」とコラボしたパッケージデザインの「チョコボール」を発売した。
http://www.morinaga.co.jp/company/pdf/20140704_01.pdf

◎硬派だなあ!「週刊実話」が「福島原発『作業員6000人』の現実」を掲載。
「背中に昇り龍の刺青ある30代の男が仕事終わって着替えの最中、
『男の子ばかりだから女の子がほしいんだ』
と言ったら、両腕にこれまた刺青ある年配の男から、
『子供なんかつくれるわけないだろ。ただの子供じゃなくて手足がなかったら、これ以上の後悔はないだろ。親が死んでも子供はずっと苦しみ続けるんだ。国や東電が保証してくれるわけじゃないんだぞ!』
と、たしなめられていたね」
http://wjn.jp/article/detail/2984082/

小学館会津ラボと共同で開発・展開している、女子会お誘いサポートアプリ「Apoli」(アポリ)において、USENが運営するグルメ情報サイト「ヒトサラ」の店舗情報データと連携を開始した。
http://www.mobilenews.jp/release/37008.html

白泉社の「花とゆめ」に連載中の草凪みずほ暁のヨナ」がテレビアニメ化されることになった。
http://www.hanayume.com/hanayume/yona/

◎打ち切りとなった東京ガスのテレビCMがネットで話題になり、毎日新聞が取り上げた。
「就職活動中の女子学生の厳しい日々を題材にした東京ガスのテレビCM『家族の絆・母からのエール』編が、今年2月1日の放送開始から1カ月足らずで打ち切りになったことが話題となっている。(中略)最近になってツイッターなどでこの打ち切られたCMが話題となり、『感動的。見て泣いてしまった』など、打ち切りに疑問を呈する声も上がっている」
http://mainichi.jp/select/news/20140705k0000m040021000c.html
これがそのCM。
http://eqlair.jp/article/30880781673018443?utm_source=fb_share&utm_medium=sp&utm_campaign=fb_share

◎こんなブラウザゲームがあるとは知らなかった。「結衣ちゃんは革命家」!「このゲームは管理人が過去に所属していた、『戦旗・共産同』という政治党派における、活動家の日常生活をモデルとしています」とのこと。
http://bund.jp/modules/game/index.php?content_id=18

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3)【深夜の誌人語録】

行きがけの駄賃は正当な利益である。