【文徒】2014年(平成26)7月28日(第2巻139号・通巻341号)

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1)【記事】一にアイデア、二にアイデア、三にアイデア
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】一にアイデア、二にアイデア、三にアイデア

客 書籍も雑誌も販売では前年を割っている。本当に底が見えないよね。
主 市場規模で言うと縮小は止まらないかもしれないけれど、だからといって縮こまっては駄目だと思う。特に雑誌広告関係者はそう。
客 攻めの姿勢が必要だと言うのだろ。
主 むやみに攻めろとは言っていないさ。まだまだ雑誌の広告媒体としての存在感はあると思う。ただ4色1頁をセールスするだけの攻め方では駄目なことは目に見えている。立体的な広告スキームをつくりあげることが求められていることは言うまでもあるまい。編集力を商品開発に生かしたり、物販やサービスの提供を試みたり、大小様々なイベントを仕掛けたり、新聞やテレビ、ラジオといった他メディアと組んだり、雑誌同士でコラボしてみたり、インターネットに橋頭保を築いたり、雑誌の概念を拡張し、雑誌広告を誌面にとどめず立体化することが攻めだと思う。そして、そうした試みの成功事例集を雑誌ごとに用意してクライアントにアプローチすることは重要だ。
客 それはそうかもしれないね。最近だとクライアントの出稿担当者が雑誌を読んでいないというケースがある。
主 マンガ誌がキャラクタービジネスを成立させているけれど、女性ファッション誌ももっとこれを見習うべきだ。専属モデルを使うにとどまらず、専属スタイリストや編集者もキャラクターとして使えるはずさ。雑誌は基本的に全国誌なのだから、その全国に通じるブランド力を地方と掛け合わせても面白いことができるはずさ。雑誌広告マンも編集力をもって営業できるようにしなけりゃね。
客 一にアイデア、二にアイデア、三にアイデアだということなんだろうね。
主 雑誌広告の話を聞いていると、マーケティングの参考になるとクライアントから言われるくらいになりたいものだ。それこそ立体的に展開する雑誌広告そのものが世の中を動かすスクープであって良いんだよ。もともと雑誌は世の中を驚かすことは得意にんだからさ。
客 スクープ広告って語感が良いね。
主 オレは冗談で言っていないからな。雑誌の強さは、すべからく雑誌広告の強さとすべきだと考えているんだよ。例えば雑誌は書籍をスピンオフできるけれど、その書籍に広告が関与しても良いはずだよね。

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2)【本日の一行情報】

◎ビール戦争。キリンの一人負けか。一方、アサヒは絶好調。両社のシェアの差がグッと広がった。「東洋経済ONLINE」は次のように書いている。
「キリンの販売数量に占める発泡酒、第3のビールの割合は65%と高く(アサヒは35%)、その9割以上を家庭用需要が占める。増税後の駆け込み重要の反動減は業務用よりも家庭用のほうが大きく、その影響を受けて他社よりも落ち込んだ」
しかもキリンにはプレミアム商品がないのである。アサヒは2月に投入した「ドライプレミアム」が好調である。
http://toyokeizai.net/articles/-/43499

フジテレビジョンは、8月20日から東京で決勝ラウンドが開催される「女子バレーボール ワールドグランプリ2014」を5夜連続で、19時から生中継するが、フジテレビのスポーツ中継では初となるLINE公式アカウント(アカウント名「フジテレビWGP2014」)や番組連動データ放送などを駆使し、視聴者と一体となって番組を盛り上げる。
http://japan.cnet.com/release/30076597/

サイバーエージェント連結子会社サイバー・バズが運営する「ポチカム」の会員数が7月22日に50万人を突破した。「ポチカム」はブログ、FacebookTwitterなどのソーシャルメディアキャンペーンを同一管理画面上にて安価で簡単に実施することができるソーシャルメディアキャンペーンサービスである。
https://pochicome.jp/
http://www.cyberbuzz.co.jp/info/2014/07/-50.html

◎米Facebookの2014年第2四半期(4〜6月)の決算。広告による売上高は前年同期比67%増の26億7600万ドルで、総売上高の92%を占め、モバイル広告が広告売上高の62%を占める。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/24/news036.html

◎LINEは「連絡手段」、Twitterで「情報収集」、Facebookは「連絡手段」&「近況報告」。私もそのように使い分けている。
http://www.rbbtoday.com/article/2014/07/24/121927.html

日本経済新聞によればタカラトミーエンタメディアで「2012年4月以降に手掛けた取引の中に、実態を伴わないものがあったことが判明」した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL24H5R_U4A720C1000000/?n_cid=TPRN0004
こういう会社である。
https://www.t-entamedia.com/

オリコン「2014年上半期書籍マーケットレポート」。BOOK部門は1位「KADOKAWA」、2位「学研パブリッシング」、3位「講談社」、4位「宝島社」、5位「小学館」、6位「昭文社」。
文庫部門は1位「KADOKAWA」、2位「講談社」、3位「新潮社」、4位「文藝春秋」、5位「集英社」、6位「小学館」。
コミック部門は1位「集英社」、2位「講談社」、3位「小学館」、4位「KADOKAWA」、5位「スクウエアエニックス」、6位「白泉社」。
http://www.oricon.co.jp/news/photo/2040134/3/

講談社ノンフィクション賞は24日、清武英利の「しんがり 山一證券 最後の12人」(講談社)。講談社エッセイ賞末井昭の「自殺」(朝日出版社)、講談社科学出版賞は大栗博司氏の「大栗先生超弦理論入門」(講談社)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014072400923

小学館ノンフィクション大賞は該当作品なし。優秀賞は宮下洋一の「産めない先進国-S世界の不妊治療現場を行く」と角岡伸彦の「ゆめいらんかね-やしきたかじん伝」の二作。
http://jp.wsj.com/news/articles/JJ10604039356699043523916405065011692318708?tesla=y&tesla=y&mg=reno64-wsj

◎門田隆将の次のような指摘はもっともなことである。
「私は、朝日新聞には一刻も早く『吉田調書』の全文を公表して欲しい、と思う。そして、吉田所長と彼ら現場の人間を貶めるために、作為的な編集作業をおこなったのか否か――ジャーナリズムの検証を是非、受けて欲しい。私はそのことをまず、朝日新聞にお願いしたいのである」
http://www.kadotaryusho.com/blog/2014/07/post_763.html

◎「食べものだけで余命3か月のガンが消えた 全身末期ガンから生還した、私のオーガニック薬膳ライフ」(幻冬舎)の高遠智子に虚偽・経歴詐称疑惑が持ち上がっているが、テレビ朝日の朝の情報番組「情報満載ライブショー モーニングバード!」が高遠を大々的に取り上げたことについて、「リテラ」は幻冬舎見城徹社長がテレビ朝日放送番組審議会の委員になった2003年以降、幻冬舎テレビ朝日の関係は非常に緊密になっていると指摘したうえで次のように述べている。
「『モーニングバード』には幻冬舎取締役で見城氏の右腕といわれる舘野晴彦氏がコメンテーターとして出演。同番組や昼のワイドショー『ワイド!スクランブル』ではやたら、幻冬舎の本やその著者が取り上げられるようになっているのだ」
http://lite-ra.com/2014/07/post-271.html
果たしてテレビ朝日は本当に幻冬舎の「宣伝機関」と化しているのだろうか?

主婦の友社が刊行した「筋肉男子」は「たくましさや男らしさを感じる筋肉や、男性の美しいカラダが見たい!」という女子たちに向けて企画されたそうだ。肉食系女子か。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2040283.html?iref=comtop_list_andw_f01
バート・レイノルズが「コスモポリタン」でヌードになったのは1972年のことだったよなあ。
http://www.queerty.com/6-celebs-who-have-recreated-burt-reynolds-naked-cosmo-pose-20130411/

◎「電子コミックビジネス調査報告書2012」(インプレスR&D インターネットメディア総合研究所)によれば、有料電子コミック利用者の「電子コミックの購入先」(複数回答)で最も利用者の多い電子書店はマンガだけで10万冊に到達したeBookJapanだった。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1407/25/news005.html

◎大阪の書店員や取次の社員が選んだ「第2回Osaka Book One Project(OBOP)」は、三浦しをん文楽に情熱を傾ける若手大夫の奮闘を描いた「仏果を得ず」(双葉文庫)に決まった。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/140725/20140725032.html

◎ベネッセ「進研ゼミ」の「赤ペン先生」が在宅での外注だと騒ぎたてているが、そんなの私が大学生であった頃から(35年前だ!)そうだったよ。あれはマニュアル通り赤ペンを入れるし、講評に関してもパターンがあるから、誰でもできたんだよな。私の知り合いの女性がせっせとやっていた。
http://npn.co.jp/article/detail/64070036/

ブックオフコーポレーション は、連結子会社のブラスメディアコーポレーションがFC加盟店として運営する「TSUTAYA」31店舗(売上約89億円)を承継する新設会社の株式の80%を、10月1日付で「TSUTAYA」44店舗を運営する日販に譲渡することになった。
http://www.bookoff.co.jp/info/2014%2007%2024_bunkatu.pdf

◎8月8日(金)から「トランスフォーマー/ロストエイジ」が公開、8月9日からは神奈川・パシフィコ横浜にて世界史上最大規模となる「トランスフォーマー博」が開催される。これにあわせて「トランスフォーマー」30年の歴史を詰め込んだ「トランスフォーマーぴあ」が刊行される。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201407240006

重野なおきの歴史マンガ「信長の忍び」の連載150回を記念し、西尾維新が同マンガを題材に全9ページの書き下ろし短編小説「りぽぐらの忍び」を執筆し、25日発売の「ヤングアニマル」(白泉社)に掲載された。
http://mantan-web.jp/2014/07/25/20140724dog00m200065000c.html

◎米アマゾンの2014年4〜6月期決算は、1億2600万ドル(約128億円)の最終赤字!アマゾンは赤字など気にせずに膨張しつづけているから恐い。アマゾンは、とんでもないバブル企業でもある。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL25H07_V20C14A7000000/

◎2014年上半期(1〜6月)の出版物販売額(推定)は、前年同期比5・9%減の8267億円。落ちこみ幅としては1950年の集計開始以来最大。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20140725-OYT1T50106.html

集英社は氏名や住所、年齢など46万人の会員の個人情報を取り扱う女性向けポータルサイト「HAPPY PLUS」のセキュリティ対策に、トレンドマイクロの「Trend Micro Deep Security」を導入した。安全、安心に投資を惜しまずという集英社の姿勢である。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1407/25/news107.html

◎「ビッグコミック」でスタートした倉科遼&ケン月影の「万華鏡 〜抒情と緊縛〜」には期待したい。私はシュベール文庫から刊行されていたケン月影の時代劇シリーズの大ファンであった。
http://big-3.jp/bigcomic/tameshiyomi/saisin/20140725/mangekyo/index.html
http://comic-soon.shogakukan.co.jp/blog/news/big-20140725-kaleidoscope/

◎ソウルで延期になっていた「ワンピース展」が開催に漕ぎつけた。
http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014072501000946.html

◎「倫理的思考を更新するための50冊+α」と題された國分功一郎によるフェアが開かれていたというが、こうした「硬派」のフェアはとても重要だと思う。
http://ameblo.jp/philosophysells/entry-10963687243.html

◎ジャーナリストのジェイク・アデルスタインは「USAトゥデイ」で「日本がダブルスタンダードだということ。男性にとっては言論の自由にかかわる問題も、女性がやると、そうではなくなる」と発言すれば、米ニュースサイト「グローバル・ポスト」は、東京は「心配なしで変態的娯楽に浸れる街」と指摘している。「ニュースフィア」である。
http://newsphere.jp/national/20140725-6/?utm_content=bufferdc9d2&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

東京堂書店1階で「ほんのみらいをつくる ひとり出版社の100冊とそれをつくった100冊」が開催されている。夏葉社・タバブックス・DECO・共和国・土曜社・インスクリプト・菊谷文庫・港の人・群像社・クレイン・景文館書店の協賛だ。
http://www.tokyodoshoten.co.jp/blog/?p=6647

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3)【深夜の誌人語録】

できる限り仕事を遊びたい。遊べない仕事は失敗が待っているのだから。