【文徒】2014年(平成26)7月25日(第2巻138号・通巻340号)

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1)【記事】女性週刊誌の芸能記事は読者に見透かされている!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】女性週刊誌の芸能記事は読者に見透かされている!

東京スポーツ」「フライデー」「週刊女性」が取り上げた赤西仁山下智久錦戸亮の「深夜六本木」での携帯窃盗事件。「サイゾーウーマン」で「東京スポーツ」「週刊女性」が赤西を主犯のように取り上げていることについて神林広恵が次のように指摘している。
「今回の『週女』ではなぜか書かれていないが、赤西は激怒する錦戸と山Pをとりなし、場をおさめようとしていたらしい。しかも後に携帯電話を返却すべく麻布署を訪れたのも赤西。一方、『俺は何もやっていない!』と記憶喪失のように主張しているのが携帯を盗んだ張本人の山Pだというのだから――。いくら赤西軍団のリーダーだったからって、いくらジャニーズを辞めてるからって、まるで主犯のような赤西の取り扱いはひどい」
http://www.cyzowoman.com/2014/07/post_12975.html?utm_source=nikkan&utm_medium=topic&utm_campaign=ctr
神林のみならず読者もこうした事情をお見通しなのである。だから女性週刊誌の類は信用できないと考え、部数は減る一方なのである。安易に芸能に依拠したメディアは読者から見捨てられよう。芸能であればこそ問われているのはジャーナリズムの質なのだ。
例えば、「週刊文春」は同じジャニーズ系のアイドルを取り上げても迫力が違う。ジャニーズJr.の森田美勇人が16歳の少女に妊娠させ、中絶にも立ち会わず、ポイ捨てにしたと、タレントの所属事務所に対する配慮など一切なしに報じている。しかも、「週刊文春デジタル」では、森田とのやりとりを収めた録音データと直撃の模様を収めた動画まで公開している。
週刊女性」が他の女性週刊誌に比べ、ジャニーズネタにタブーがないと言っても、ジャニーズ事務所に配慮しているとしか思えないような記事しか書けないのであれば勝負になるまい。かつての女性週刊誌の読者は間違いなく「週刊文春」に流れてしまったと言って良いだろう。「女性自身」の「シリーズ人間」にしても読者眼にはエキスキューズにしか映らないのである。ジャーナリズムとしての牙を頽廃させた芸能記事を売りにしている限り、女性週刊誌は束になっても、「週刊文春」には敵うまい。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4203
「女性セブン」でも、「女性自身」でも、「週刊女性」でも良いから「大刷新」「新装刊」とか「リニューアル」と大々的に謳うのではなく徐々にでも良いから、芸能に依拠しない誌面に変えていく挑戦をしないかなあ。こそこそっとリニューアルした雑誌のほうが、生き残る確率が遙かに高いと私は考えている。いずれにしても女性週刊誌はこのまま座して死を待つか、あるいは変わって生き残るのかが問われている局面に立たされていることに間違いはないだろう。

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2)【本日の一行情報】

◎「こねこのヨメ入り」(実業之日本社)が「まとめ」サイトで話題になっている。
http://matome.naver.jp/odai/2138613756516636801/2140600579671060003

◎「数分前に週刊プロレス佐藤正行編集長からクビ通告を受けました」というツイートを発見。
https://twitter.com/Fumihikodayo/status/491455649025245186

◎「CHANTO」創刊3号の校了を終えてなお「すてきな奥さん」編集長の肩書にこだわる。よほど「すてきな奥さん」に対する愛着が強いのだろう。
http://profile.ameba.jp/suteoku06/
http://www.setuyaku.jp.net/

◎在米ジャーナリストの菅谷明子が次のように指摘している。
「ジャーナリストの給料はアメリカでは非常に低いので、共稼ぎしているカップルが非常に多いんです。逆に言うと、会社が嫌になったときでも、『じゃあちょっと悪いけど、あなた、私が再就職するまでちょっと家計見てね』っていうことが可能です。夫婦で交代できることが結構大事なポイントじゃないかと思います」
http://www.huffingtonpost.jp/jcej/journalism_b_5583257.html

集英社の「Cocohana」で連載中の藤村真理のマンガ「きょうは会社休みます。」が日本テレビで連続ドラマ化される。主演は綾瀬はるか
http://mantan-web.jp/2014/07/23/20140723dog00m200002000c.html

◎葉室鱗の「蜩ノ記」が映画化されて10月4日からロードショー公開されるが、これを記念して「あなたの人生、愛する人に残したい言葉はなんですか?」に葉書で答えると、全員に映画「蜩ノ記」オリジナルポストカードがプレゼントされるそうだ。最優秀賞には旅行券だ。この映画は原作者の葉室からも絶賛されている。
http://www.shodensha.co.jp/higurashinoki_m/

◎日販は、でんぱ組.incの全国ツアー「CUPNOODLE presents でんぱ組.incスペシャルライブ〜2014年ボクらは、FUJIYAMAのある国で現代のSAMURAIと出会う!〜」会場で販売されるフォトブックの電子書籍版を制作し、7月23日よりイオングループ未来屋書店が運営する電子書籍ストア「mibon」で先行配信している。
紙版と同じ内容を先行配信し、公演後に電子版限定のコンテンツを追加配信する電子書籍ならではの取り組みだという。電子書籍の時代において取次が版元を指向しはじめたということだろう。
http://mibon.jp/c-dempa01.php

NHKが新潮社を提訴した。毎日新聞はこう書いている。
「NHKは22日、『週刊新潮』4月24日号に掲載された籾井勝人会長の健康状態に関する記事で名誉を傷つけられたとして、出版元の新潮社に対し、NHKと籾井会長にそれぞれ1000万円の損害賠償の支払いと謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地裁に起こした」
裁判にかかるカネもまた国民から集めた受信料だということに籾井会長の想像力は及ばないのだろうか。
http://mainichi.jp/select/news/20140723k0000m040073000c.html

◎元フジテレビアナウンサーの長谷川豊がブログで、フジテレビの上層部に辞めたほうが良いと進言している。
http://blog.livedoor.jp/hasegawa_yutaka/archives/39242254.html

ちくま新書の「日本劣化論」は笠井潔白井聡の対談から成立している。笠井は安倍首相の鈍感さ(=反知性主義)はネトウヨのレベルだと切って捨てている。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480067876/

東京新聞もデジタル版を8月1日からスタートさせる。月額3450円。
http://digital.tokyo-np.jp/pr/
新聞のデジタル版も記事のバラ売りをしてくれると有り難いんだけどね。バラ売りが無理であれば、せめて一部売りはできないものか。

◎「LINEマンガ」の累計ダウンロード数が7月20日に700万を突破した。
http://linecorp.com/press/2014/0723779

柄谷行人が「帝国の構造」(青土社)を刊行。日本の歴史の特性を「帝国」との比較ではなく(つまり中国との比較ではなく)、「周辺」(柄谷の言い回しに従えば「コリア」である)と比較しないとわからないというアイデアは面白い。柄谷にとって日本は「亜周辺」ということになる。
http://www.seidosha.co.jp/index.php?9784791767977

ツイッターで話題の「The Beetle Man」。全国あちこちに出没しているそうだ。「この謎のヒーロー『The Beetle Man』、実は大手自動車メーカーの『フォルクスワーゲン』が主催する全国キャラバンキャンペーンの一環として行われている」
http://yukan-news.ameba.jp/20140723-7845/

◎横手慎二の「スターリン」(中公新書)はタイトル通り、スターリンの「小伝」なのだが、ロシアから見たスターリンという視点で描かれている。
http://www.chuko.co.jp/shinsho/2014/07/102274.html

百田尚樹の「海賊とよばれた男」が文庫になってもまだ売れている。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/culture/150089.html

電通は、スマホ領域において、より専門的かつ統合的なマーケティングサービスを提供していく社内横断型のプランニング・ユニット「電通スマプラ」を7月24日付で立ち上げた。スマホを使った販売促進活動は増えるからなあ。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/0724-003786.html

◎ぶ厚い本が好きな私好みの一冊が藤原書店から刊行された。欧州復興開発銀行の初代総裁をつとめたジャック・アタリの「世界精神マルクス」がそうだ。
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1388
私の記憶に間違いがなければアタリはジム・モリソンのドアーズについて書いた文章もあったはず。「ノイズ 音楽・貨幣・雑音」(みすず書房)だったかな。

◎マンガ版「神聖喜劇」が幻冬舎によって電子書籍化され、第一巻が無料配信されている。
http://s.gentosha.jp/index.php?dispatch=products.view&product_id=1865

文藝春秋CREA WEBでWEBクリエイター、HTMLコーダーを募集している。フリーランス契約による出来高払いで月額30〜50万円。悪くない条件だ。私に能力があれば応募したいところだ。
http://crea.bunshun.jp/articles/-/5847

講談社AKB新書なんていうのが生まれるのか。第一弾は8月11日に発売される指原莉乃の「逆転力」。どうもタイトルの最後に「力」とつく新書は苦手だ。内山奈月もラインナップされているのだろうか。内山で「主義」のつく新書をお願いします!
http://ddnavi.com/news/201581/

講談社の「デザート」編集部は連載枠争奪ルーキーグランプリ2014を開催する。特設サイトにアップした読み切り6本を読者に読んでもらい、読者の投票によって決着をつける。このように編集力を解放する企画はマンガではチラホラ見られるのだが、女性ファッション誌で少ないのは何故だろうか。女性ファッション誌の編集者は読者に対して偉くなりすぎたのではないかという仮説を私は考えないわけにいかない。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000446.000001719.html

◎21歳の長女と小学生の次男を使って神戸市内の書店からマンガ本62冊を万引きした親父に有罪判決が下った。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140724-OYT1T50034.html?from=ytop_ylist

◎「話の特集」の編集長であった矢崎泰久が60年代の「文革者」の素顔を活写する「残されたもの、伝えられたこと」(街から舎)から刊行された。竹中労のところで、深沢七郎の逃亡日記(「流浪の手記 : 風流夢譚余話」、1963年)をアサヒ芸能出版(徳間書店)から刊行するに際してのことと思われる次のようなエピソードが書かれていた。出版が青春だった熱い時代の一コマである。
「竹中さんの紹介で徳間康快に会った私は前金として二百万円受け取り、徳間書店から刊行する。これが思いがけない大ベストセラーとなり、印税を要求したところ、徳間さんが『原稿は買い取ったものだから、追加はない』と言ったことでトラブルになり、私と一緒に交渉に行った竹中労は、その徳間の言い分を聞いて、いきなり殴った」
http://www.machikara.net/?eid=6
ちなみに、アマゾンでは書名が「残されたもの、伝えたいこと」と間違っている。

◎TBSの情報バラエティ番組「王様のブランチ」(毎週土曜9:30)と無料アプリ「TBSぶぶたす」が、日経BP社の「ソーシャルテレビ・アワード2014」で日経デジタルマーケティング賞を受賞。「TBSぶぶたす」は、「王様のブランチ」が生放送中に紹介する“ヒト・モノ・コト”に関する350〜400のアイテム情報を、視聴者のスマートフォンタブレットPCなどにリアルタイムで表示し、1タップでその詳細が閲覧できて、購入もできるというアプリだ。
http://news.ameba.jp/20140723-556/

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3)【深夜の誌人語録】

解釈なしに創造はあり得ない。