【文徒】2014年(平成26)8月29日(第2巻165号・通巻367号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】8月28日付朝日新聞をめぐって
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】

                                                                            • 2014.8.29 Shuppanjin

1)【記事】8月28日付朝日新聞をめぐって

文藝春秋は「週刊文春」9月4日号の広告掲載を拒否した朝日新聞社に対して社長室名義の抗議文を出した。
朝日新聞週刊文春9月4日号(8月28日発売)の新聞広告をすべて掲載しませんでした。
当該号には慰安婦問題に関する追及キャンペーン記事が掲載されています。新聞読者が当該記事のみならずその他の記事の広告まで知る機会を一方的に奪うのは、言論の自由を標榜する社会の公器としてあるまじき行為であり、厳重に抗議します」
http://www.bunshun.co.jp/info/140827/index.htm
これに対して朝日新聞社広報部は、毎日新聞の報道によれば次のようなコメントを出している。
「当該の広告は論評の範囲を著しく逸脱し、本社の社会的評価を低下させるものであり、広告掲載基準に基づいて掲載に応じられないと判断した」
http://mainichi.jp/select/news/20140828k0000m040150000c.html
平たく言えば商売の邪魔をするなという言い分なのであろう。
私は思う。文藝春秋朝日新聞に対する出稿を総て止めてしまえば良いのだと。その方が抗議文を出すより遙かに効果的だと思う。「週刊新潮」も同じように広告掲載を拒否されたのだから、新潮社と共同戦線を組めば、両社に従うクライアントも出て来るのではないだろうか。「週刊文春」の論調を支持する読者からすれば「売国のDNA」が脈打つ新聞に有り難がって広告を掲載すること自体、不思議な光景なのではないだろうか。
ちなみに朝日新聞の8月28日付紙面には幸福の科学出版の全面広告が大川隆法の写真付きで掲載されていたが、たとえ出版社とはいえ、こうしたカルト教団に近い宗教絡みの広告こそ朝日新聞社は掲載を拒否すべきではないだろうか。
ついでに言っておくとこの日の一面を占めたのは「アマゾン、出版社を『格付け』」なる記事であった。
「ネット書店最大手のアマゾンが、電子書籍の販売条件で出版社を『格付け』し、アマゾンに有利な条件で契約した出版社の書籍を、読者に優先的に紹介する新たな仕組みを導入したことが分かった」
アマゾンを云々する以前にこんなことは紙の出版物を売る書店だって報奨金などを含めて取引条件が良い商品は優先的に目立つ場所に置いてきたし、結果的にそれが版元を「格付け」することに繋がっていたと思うのだが、その辺りを守真弓記者はどう考えているのだろうか。物凄く違和感を覚える記事であった。
http://www.asahi.com/articles/ASG8P5RP8G8PUCVL01F.html

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎「ERIS/エリス」は無料のデジタル雑誌で、紙版はない。電子雑誌としては異例の購読者数を獲得しているというが、購読申込者数は1万4000名である。音楽評論家の萩原健太が編集長に就任した。鷲巣功も書いている。
http://www.musicman-net.com/business/38792.html

芸能レポーターとして知られる井上公造ダイヤモンド社から「一瞬で『本音』を聞き出す技術」を刊行する。
http://www.kozo-creators.co.jp/category/facebook

島本和彦の同名マンガが原作のテレビドラマ「アオイホノオ」(テレビ東京)はDVDでも売れるだろうなあ。
http://togetter.com/li/707542

◎昨日、紹介した江川紹子の記事がサイト「保守速報」を介して曲解されている。ネットの怖さは、こういうところにある。
http://togetter.com/li/711692

◎日販が「書店経営指標」2014年版を発行した。これによるとBook売上高前年比96.6%、レンタル同94.0%、セル同90.0%、前年数値を上回ったのが文具同103.3%、飲食料品・雑貨同103.4%、ゲーム・トレカ同105.3%。出版物も含めてパッケージ系メディアは総てマイナス傾向にある。
http://www.nippan.co.jp/news/
平安堂との裁判の行方はどうなるのだろうか。
http://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2014/08/News-Release_20140820.pdf

◎8月26日にサザビーリーグと新潮社が東京・神楽坂で手掛ける新商業施設「ラカグ(la kagu)」プロジェクトの記者会見が開催されたそうだが、「WWD.COM」によれば新潮社の佐藤隆信社長は次のように語っている。
「我々は大家をやるだけで、事業をするわけではない。サザビーリーグさんにぜひ儲けてもらいたい(笑)。ただ、出版社が(こういった事業を手掛けるのは)珍しい。出版界の売り上げが落ちていく中で、倉庫を使って何かできないかと考えてきた。
いろんなアイデアがある中で、役員が鈴木会長と話をしたところ、コラボレーションで面白いことができる可能性があるということになった。最終的に、イベントスペースでかなりの部分をイベントさせていただくことになったが、いろいろな情報発信ができれば。今の時代、出版社にとっても、いたずらができる、面白いことを仕掛けるということは、思い出さなければならない肝心なところだ。
出版がビジネスになってしまってはダメだ。好奇心と面白い精神から初めて面白いものができる。直にお客様と接することができれば、本来の精神にプラスアルファがあると思う。サザビーリーグと新潮社は衣食住に対して志が高い会社で、哲学が重なっていると思う。キーは神楽坂という場所。共同でできることが可能になると思う」
http://www.wwdjapan.com/business/2014/08/26/00013519.html

◎「現代ビジネス」で高堀冬彦がテレビ朝日の「低迷」について書いているが、「低迷」の最大の原因は吉田慎一社長にあると私は考えている。吉田は落下傘社長だもの。
「新任の吉田慎一社長は朝日新聞で東京本社編集局長、常務取締役などを務めた立派な新聞人らしいが、(中略)新聞とテレビは全く違うメディアだ。テレ朝と朝日新聞の社風もかなり異なる。それでも資本の_合でトップは朝日新聞から招かなくてはならないというのであるなら、他局との激しい競り合いに勝つのは難しい気がする」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40247

学研教育出版が発行する女子中学生向けファッション誌「ピチレモン」は、カバヤ食品発売のロングセラー玩具菓子「ジュエルボックス」とコラボして、「ピチレモン ジュエルボックス」を発売する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000375.000002535.html

博報堂DYメディアパートナーズとデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムは、パナソニックのテレビ「ビエラ」上で動画広告の配信・掲載を開始した。
http://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/08/HDYmpnews201408263.pdf

◎プラットフォームの理想は「テーブル」だが、その中立性が損なわれることに注意を払う必要があるだろう。とても重要な指摘だ。
「例えば、一部ヘイトスピーチの巣窟となっている Yahoo! ニュースのコメント欄は、場は設けるが干渉はしないという意味で中立的なテーブルの役割を果たしている、とはまったく言えないでしょう。むしろ、ヘイトスピーチに対して何の干渉もせず放置している(ように見える)こと自体が一種の「意図」に思える、というのは穿った見方でしょうか」
http://wirelesswire.jp/yomoyomo/201408261600.html

◎第4回エキナカ書店大賞はKADOKAWAの「[図解]電車通勤の作法」(田中一郎)に決まった。この本、刊行はの2012年。えっ!そんな古い本なのと私は思ってしまった。調べてみるとエキナカ書店大賞はJR東日本の書店として知られるブックエキスプレス/HINT INDEX BOOKの書店員が、過去3年間で、自分で読んで「面白い」、「お客様にも薦めたい」と思った書籍のなかから選ばれるのだそうだ。
http://www.j-retail.jp/brand/bookexpress/info/detail.html?id=1587

◎元衆議院議員早川忠孝が「月刊日本」と「週刊金曜日」を激賞している。
「私は、参議院自民党幹事長を務めたことのある元参議院議員村上正邦氏が主宰する日本の司法を正す会を通じて月刊日本の編集者と週刊金曜日の記者双方との面識を得ることになったのだが、これも面白い。
右と左に立ち位置が異なるが、権力に阿ないで真実を追求しようという姿勢が共通しているから、同じ場で意見の交換ができ、また司法の在り方についてより深く学ぶことが出来るように思う」
http://blogos.com/article/93290/

◎千葉のバットマンが世界に羽ばたく!
http://www.seka-apps.com/archives/3199/

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

努力したからといって誰もが天才になれるわけではないが、努力をしない人生は味気ないものになるだろう。