【文徒】2014年(平成26)10月10日(第2巻192号・通巻394号)

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1)【記事】雑誌ビジネスのあり方を変えよう!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌ビジネスのあり方を変えよう!

客 君はあちこちに顔を出しては「出版社はお宝の山だ!」って吹聴しているらしいな。
主 15年も前から言っているよ。厳密に言えば「広告代理店にとって材料の宝庫だよ」って言っているんだよ。雑誌の4色1頁も重要な材料だけれど、出版社を見渡せば、広告の材料がゴロゴロしている。横文字好きであれば「材料」をコンテンツと言うんだろうな。
客 不思議なのは当の出版社が鈍感たったってことだよね。
主 4色1頁を売る方が簡単だし、利益率も高いから、視界に入っていても、出版社から広告会社なり、クライアントに積極的に売ろうとはしなかったんだよ。雑誌広告市場が半減して、漸く重い腰を上げ始めた。4色1頁が今からすると飛ぶように売れていた時代に広告の材料の拡大を図っていれば、休刊せずに済んだ雑誌もあるとさえオレは思っている。講談社なんか典型的にそうだよなあ。今日は女性ファッション誌を中心に話させてもらうよ。
客 雑誌広告業界を支えているのは女性ファッション誌だよね。雑誌広告の黄金時代を築きあげたのは女性ファッション誌だったと言って良いものね。
主 だから逆に材料の開発に遅れてしまったんだよ。女性ファッション誌は「コロコロコミック」や「少年ジャンプ」を学び尽くす必要があると思うんだ。マンガ誌の玩具メーカーと一体になった取り組みやイベントは物凄く参考になるはずさ。
客「コロコロコミック」は広告収入もバカにならない。
主 女性ファッション誌は意識的に広告代理店にとって魅力的な材料を拡大していく必要があると思う。雑誌のロゴ、専属モデル、スタイリスト、そして編集者に至るまで「材料化」すべきだ。イベントにしても「材料」にすべきだし、雑誌の垣根を越えることで、思いもしなかった「材料」を開発することもできるはずさ。デジタルへの本格的な投資も必要だろう。紙の雑誌のオマケがデジタルじゃないからね。
客 そういう意味で、一番、進んでいるのは集英社だよね。
主「週刊少年ジャンブ」が莫大な利益をもたらしているから、デジタル領域にどんどん投資できる余裕があるんだろうね。ただ、オレが大雑把に計算してみると、利益をちゃんと出している雑誌は「バイラ」ぐらいだろうから、安閑とはしていられないよ。とはいえ、ちゃんと時代と向き合った考え方をしているよね。スマホ対応も素早く進めているしね。スマホ戦略抜きに「雑誌の未来」は語れないよな。
客 「紙の雑誌」があったればこそのデジタルじゃないというのも君の持論なんだよね。
主 オレだって「紙の雑誌」が全滅するとは思っちゃいないさ。発想を「紙」に狭めてしまうのって、想像力においても、創造力においても「貧困」だよと、そう言っているわけ。
客 そこいら辺すら理解していない編集者もいるんだよなあ。
主 つまりさ、デジタルファーストのビジネスもあり得るということさ。デジタルで立ち上げて、デジタルで人気を博することで「紙」をスピンオフするというビジネスがあっても良いじゃない。デジタルから紙へ、紙からデジタルへと、どっちもありの自由自在で良いんだよ。もともと雑誌がゲリラ性を武器にしていたことを忘れてはならないよね。

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2)【本日の一行情報】

◎新潮社の倉庫が新商業施設「la kagu(ラカグ)」に生まれ変わって、今日オープン。
http://www.fashionsnap.com/news/2014-10-08/lalagu-open/

読売新聞東京本社は10月7日、ニュースサイト「YOMIURI ONLINE」に、読売中高生新聞の特設サイトを開設した。読売中高生新聞の編集を担うのは、小学館である。
http://resemom.jp/article/2014/10/07/20778.html

Facebookで関西弁が使えるようになった!「いいね!」が「ええやん!」。このアイデア、ええやん!
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1410/08/news061.html

アップリカは女性ファッション誌「VERY」とコラボしたハイシートバギー「スティック リミテッド」(税抜5万円)と、腰ベルトタイプの抱っこひも「コランハグ <リュクス>」(税抜1万8500円)を、10月24日より全国のベビー用品専門店・百貨店・アップリカ直営店などで発売する。
http://getnews.jp/archives/679397

◎復刊「Boon」編集長の山口一郎編集長の弁。
「…私は今年42才になりますが、私より7、8才下の世代になると、『Boon』を読んでいたという人はぐっと少なくなります。
ということで、特定の年齢層にはかなり強いブランド力があることは分かっていましたから、『Boon』という冠をつけて40代向けに雑誌をつくってみたらどうだろうかと。懐かしいと思って手にとってくれるかもしれないので、新しい雑誌を立ち上げるよりは、アドバンテージがあるだろうと考えたんですね。これはすごく短絡的な考え方なんですが(苦笑)」
http://www.sinkan.jp/news/index_5084.html

◎学研グループのブックビヨンドはFacebook上の電子書籍ユーザーグループ「ネット出版部」の有志が企画・寄稿・制作したという「LAPIS」を期間限定で無料配信している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000009949.html

◎電子辞書は、言ってみれば最初の電子書籍だったのかもしれない。1987年に電子辞書ビジネスを立ち上げたセイコーインスツルが電子辞書からの撤退を決めた。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1410/07/news102.html

丸善と京セラ丸善システムインテグレーション株式会社は、2014年10月より福井大学大学図書館向け電子図書館サービスを導入した。
http://www.kmsi.co.jp/press/2014-10-08.html?0011

◎「ゆかしメディア」によれば、山口組の「元大幹部は旧リクルート株3万株を保有する株主と認めることを求め、現リクルートホールディングスを相手取り東京地裁に提訴」しているそうだ。
http://media.yucasee.jp/posts/index/14356/1
実は、この件は「週刊金曜日」が報じている。
http://outlaws.air-nifty.com/news/2014/09/post-6c7c.html

◎「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「日本リアルタイム」で「慰安婦問題、米国は吉田証言や朝日の記事に影響を受けず」を発表。
「米国の専門家らは安倍首相が朝日新聞の役割を過大評価していると話す。また、事実を注意深く見ると「朝日新聞が報じた吉田証言が、慰安婦の悲劇にまつわるあらゆる見識に影響を与えたとする歴史修正主義者と安倍政権の見方に反論することができる」とも述べた。さらに専門家らは「安倍政権がこの見方に固執しているように見えることに、私たちはさらに困惑している」と付け加えた」
米国の専門家とは「ジョンズ・ホプキンス大学のデニス・ハルピン氏、アジア・ポリシー・ポイントのミンディ・コトラー氏、ジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ氏、戦略国際問題研究所のラリー・ニクシュ氏」の4氏である。
http://www.google.com/url?q=http%3A%2F%2Fgunosy.com%2Fredirect%3Fa%3D14613951%26c%3DcomrWih0wfjJU%26url%3Dhttp%253A%252F%252Frealtime.wsj.com%252Fjapan%252F2014%252F10%252F07%252F%2525E6%25259C%25259D%2525E6%252597%2525A5%2525E3%252581%2525AE%2525E5%252590%252589%2525E7%252594%2525B0%2525E8%2525A8%2525BC%2525E8%2525A8%252580%2525E5%25258F%252596%2525E3%252582%25258A%2525E6%2525B6%252588%2525E3%252581%252597%2525E3%252580%252581%2525E7%2525B1%2525B3%2525E5%25259B%2525BD%2525E3%252581%2525AE%2525E6%252585%2525B0%2525E5%2525AE%252589%2525E5%2525A9%2525A6%2525E3%252581%2525B8%2525E3%252581%2525AE%2525E8%2525A6%25258B%2525E6%252596%2525B9%252F%26p%3D1662902164%26u%3D186439%26t%3D3&sa=D&sntz=1&usg=AFQjCNHifa8AISXA8W1mtbH4WQ4IBf9Ojg

双葉社が「身につけるだけでカラダが変わる 大人のランジェリーBIBLE」を刊行。昼顔族がターゲットなんだろうね。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-45485-7.html

◎AKB48版「気分はもう戦争」。やるっきゃない!21世紀日本の軍歌なんだろうな。
https://www.youtube.com/watch?v=bQqLKCg-UgA
私は「抜刀隊」のほうが性に合う。敵にここまで賛辞を捧げる軍歌はあるまい。古今無双の敵の大将とは、大西郷である。
https://www.youtube.com/watch?v=Kaz0S6uMdNY

◎「イスラム国」に渡航しようとした北大の学生を支援したとして事情聴取と家宅捜索を受けた同志社大学高等研究教育機構客員教授中田考Wedge編集部がインタビューをしている。
中田は「イスラム国」を目指す日本人が増えるに違いないという。
「日本にいて何かいいことがあるだろうか。毎年3万人も死んでいくような国。自殺するよりまし。『イスラム国』へ行けば、本当に貧しいが食べてはいける」
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4290?page=1
当の北大生には常岡浩介がインタビューをしている。
「僕は今日本の中で流通しているフィクションというものにすごく嫌な気持ちを抱いていて、向こう(シリア)のフィクションの中に行けばまた違う発見があるのかなと、まあ、それぐらいですね」
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20141008?utm_content=buffer6bfc0&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

◎電子版「DIME」がAndroidアプリでも読めるようになった。
http://dime.jp/genre/160553/

◎10月8日に発売の「週刊少年マガジン45号」(講談社)では、マガジン作家から描き下ろしイラストを使用した年賀状が届く応募者全員サービスを実施。ただし150円分の切手が必要となる。
http://natalie.mu/comic/news/128088

松村沙友理は新宿の紀伊國屋書店にある漫画コーナーでナンパされ、意気投合したのか。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20141008-OHT1T50371.html

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3)【深夜の誌人語録】

人生における様々な問題の解答は必ずしも一つではない。