【文徒】2014年(平成26)10月15日(第2巻194号・通巻396号)

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1)【記事】大手広告会社はデジタルで儲かるのか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】大手広告会社はデジタルで儲かるのか?

客 インターネット広告費は、テレビには未だ及ばないものの、新聞、雑誌、ラジオの既存3媒体の広告費を凌駕してしまったよね。
主 インターネット広告が厄介なのは、「広告代理業」を中抜きしてしまう力学が絶えず働いていることだよね。
客 マス4媒体であれば、言葉は悪いかもしれないけれど、スペースなり、時間なりを売買する「不動産業」をやっていれば良かったけれど、そうはいかなくなってしまったということだよね。
主 インターネット広告で存在感を示すには、投資が求められるようになってしまった。しかもデジタライゼーションとグローバリゼーションは表裏一体の関係にあるから、これまでの常識が通用しないことも多いよね。結局、この時代の大きなうねりに耐えられる広告会社は電通博報堂の二社だけだと思うんだよ。テレビとデジタルを柱にできるということになると電博ということになる。
客 ADKあたりだと苦しくならざるを得ないというわけだね。
主 何とかADKには頑張ってもらいたいけれど、デジタルは投資しつづけなければならないからね。電通だって、博報堂だって、大変だと思うよ。そりゃインターネット広告まわりの扱いは増えているけれど、マス4媒体のようにキチンと利益を確保できているかといえば、難しいんじゃないのかな。マス4媒体の場合は、マージン率がきっちりと決まっているから良いけれど、デジタルの世界はそうはいかないところがある。だから、デジタルを駆使して、テレビに落とし込むという形にして利益を確保しなければならないはずさ。
客 デジタル領域における投資が成功したとしても、長続きしないということがあるらしいね。
主 主役が入れ替わるんだよね。新しいプレイヤーが次々に生まれて来る。技術革新がそれを後押しするだろうしさ。今はスマホが主役だけれど、iPhoneが誕生したのは2007年だから、まだ10年も経っていないわけだよ。やがてウエアラブルだとか、ゆくゆくはインプラントという事態もあり得るだろう。そのたびごとに何らかの投資が迫られることは間違いない。
客 売上高がそれなりにあっても、本質的にカバン代理店のようなところは、時代の流れについていけないよなあ。
主 そうは言っても隙間は必ず残るし、そこを上手に捉えて「個性化」してゆけば、ブティック型広告会社として評価される余地なり、フロンティアはまだまだあることも忘れてはなるまい。ブティック型広告会社はエッジを利かせることができるかどうかだと思うよ。

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2)【本日の一行情報】

Facebookの「関西弁」機能は予想通り大反響を呼んでいる。
http://news.aol.jp/2014/10/09/facebook/

◎選挙にSNSは欠かせない。金沢市長選挙で圧勝した山野ゆきよしの勝因は水平軸のコミュニケーションに依拠したFacebook戦略にあり。
「…山野氏の投稿されたコンテンツを見ていくと、画像や動画などはクオリティが高く、コミュニケーションも積極的。コメントに対しては小まめに返信をしていく丁寧な取り組みであることが伺えます」
http://www.huffingtonpost.jp/katsuseijika/online-election-campaigns_b_5956584.html?utm_hp_ref=japan-politics

◎エリエールブランドの大王製紙は、宝島社の女性ファッション雑誌「sweet」と大王製紙「elis(エリス)Megami」のコラボ商品を発売。
http://www.daio-paper.co.jp/news/2014/pdf/n261010.pdf

主婦の友社は、「GISELe」を母胎にして、1万円以下のハッピープライスのアイテムをメインで構成された「GISELe Happy vol.01」を発売した。編集を担当した金山智行は次のように語っている。
「憧れブランドのアイテムはもちろん素敵ですが、正直現実的には手が届きにくいということもあるでしょう。しかし、かわいい、欲しいと思っても手に入らなければ楽しくない。そんなファッション誌のある種の『ストレス』を解消し、読者の方々が本当に見たいもの、欲しいもの、リアルに役立つファッション情報だけをお届けしたい。そうした思いでこのGISELe Happyの企画を立ち上げました」
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000338.000002372.html

ラフォーレ原宿は、徳間書店のファッシン誌「LARME」とコラボしたハロウィンイベントを開催する。
http://news.livedoor.com/article/detail/9345995/
http://www.larme-magazine.jp/topics/archives/299

◎「福島アニマガフェスタ!」が10月18日と10月19日の2日間にわたって、eBookJapanのサポートで開催される。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/special/st/f-animaga_ebookjapan.asp

KADOKAWAは、2014年10月10日、10月25日、11月8日発売の「レタスクラブ」に3号連続でSNOOPYの付録をつける。10月10日発売号は「SNOOPY家計簿」が附録。いち早く家計簿商戦に名乗りを上げた。10月25日発売号は「SNOOPYカレンダー」、11月8日発売号は「SNOOPYキャンバストートバッグ」。オレンジページの社長が熱烈なSNOOPYファンであったことを思い出す。まだファンなのだろうか。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000994.000007006.html

◎企業ものは、「週刊実話」の得意とするところだ。「“新”大株主の幻影に怯える疑心暗鬼の西武王国」は、こう書いている。
西武鉄道プリンスホテルを傘下に置く西武ホールディングス(HD)が10月20日、大きな岐路に立つ。同社株の35.48%を保有する筆頭株主の米投資会社サーベラスが、今年4月の再上場に当たって証券会社と契約していたロックアップ条項が解除され、この日から株式の売買が自由になるためだ」
http://wjn.jp/article/detail/1495194/

◎「Amazon アプリ」が新機能「タイムセールお知らせ通知」の提供を開始した。アマゾンが不定期に開催する1日1商品限定のタイムセール「本日の特選商品」情報をスマホのプッシュ通知機能でタイムリーに表示するというものだ。
http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3211799051

◎テレビアニメが放送中の「ヤマノススメ」などが連載中のマンガ誌「月刊コミック アース・スター」(アース・スター エンターテイメント)が11月12日発売の12月号で休刊し、デジタル版に移行するという。アース・スター エンターテイメントはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ企業だ。
http://mantan-web.jp/2014/10/11/20141010dog00m200069000c.html

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、赤ちゃんとの今をおもいきり楽しみたいお母さんのためのWebマガジン「MamAsobi」(ママソビ)を創刊した。
https://www.jnj.co.jp/group/press/2014/1010/index.html

鈴木涼美日本経済新聞出版社から刊行された島田雅彦の小説「往生際の悪い奴」の書評を「文學界」11月号に発表している。
https://twitter.com/Suzumixxx/status/520312284296404992

◎ 集英社の「JUMP j BOOKS」編集部がホラー作品を対象にした小説新人賞「ジャンプホラー小説大賞」を創設する。
http://mantan-web.jp/2014/10/10/20141010dog00m200063000c.html

仙台市青葉区のファッションビル「イービーンズ」に入るジュンク堂書店(神戸市)の仙台本店が31日に閉店する。河北新報は次のように書いている。
東日本大震災後、同社はJR仙台駅西口で最大3店舗を展開。閉店は仙台ロフト店に続き2店目で、ヤマダ電機LABI仙台(TRビル)に入る店舗は存続する」
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201410/20141011_12002.html

◎日本エンタープライズは、ドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」最新シリーズ(第3期)の放映開始を記念して、スマートフォンタブレット端末向け総合電子書籍サービス 「BOOKSMART」で、同作品のコミカライズ版「Doctor-X」の無料配信を開始した。
http://www.dreamnews.jp/press/0000101100/

小学館のライフスタイル誌が附録で勝負だ。「サライ」11月号の附録は「アクアスキュータム特製万年筆」。「ビーパル」11月号の附録は「妖怪ウォッチ親子バンダナ」。
http://kikra.ldblog.jp/archives/4882899.html
http://kikra.ldblog.jp/archives/cat_122669.html

学研ココファンホールディングスは、高齢者住宅の企画・設計やコンサルティングを手掛けるシスケアグループを子会社化した。2020年9月期には売上500億円を目指す。
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43975.html
ビジネスの高齢社会化シフトは加速するだろう。

時事通信社の「新聞に関する世論調査」によれば、新聞を購読している人は、2008年の86%からすれば、12ポイント落としているとはいえ、未だ74%もいるのか!
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014101000625

◎ VASILYが運営するファッションアプリ「iQON」は、シチズン時計が展開するレディスブランド「シチズン xC(クロスシー)」、宝島社の30代女性向けファッション誌「InRed」とともに「シチズン クロスシー」をテーマとしたコーデコンテストを実施する。
http://dmm-news.com/article/892983/

毎日新聞の東京本社編集編成局長・小川一は、次のように発言している。
「今までは「自分たちだけが大切なことを世の中に伝えられる手段を持っている」という意識を持って新聞を作っていましたが、そうした新聞のひとりよがりの時代は終わったと思っています。現代は記者が現場に駆け付けるより先に、一般市民の方が撮った写真がTwitterにアップされ反響を呼ぶ時代です。報道に携わる人間だけでなく、全員が記者でありカメラマンなのです。
これからはみなさんの力を借りて新聞を作る。みなさんの情報の価値を高めるお手伝いをするという発想に転換し、報道を考えなければならないと思っています」
全くもって同感である。
http://blogos.com/article/96329/

◎「週刊文春」2011年10月27日号に掲載された「衝撃スクープ 池田大作創価学会』名誉会長 担当していた元看護師が語る『厳戒病室』本当の病状」が誤報であったことを初めて知る。この「お詫び文」が出た号を私は読まなかったのだろう。
http://getnews.jp/archives/680901

◎中村淳彦がウエブサイト「幻冬舎プラス」に連載している「ルポ中年童貞」の第8回「ネット右翼と中年童貞」が炎上しているという。
http://www.gentosha.jp/articles/-/2632
http://togetter.com/li/730456

◎「あさりちゃん」(小学館)の室山まゆみが「1つのコミックシリーズにおいて最も発行巻数の多い二人組女性著者」として、ギネス世界記録に認定された。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1273491

◎「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載し9月に最終回を迎えた石田スイの漫画「東京喰種トーキョーグール」の続編が「東京喰種トーキョーグール:re」として10月16日発売の46号より連載開始。TVアニメも2015年1月よりオリジナル原案で第2期が放送される。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1410/11/news008.html

白泉社からキャラクター時代小説シリーズ「招き猫文庫」が11月5日に創刊される。イラストがつくことからしても、カバーデザインからしても、ラノベ時代小説と言えるだろう。招き猫文庫時代小説新人賞も立ち上げる。既存のエンターテイメント小説のラノベ化に先鞭をつけるつもり挑戦である。
http://www.hakusensha.co.jp/manekineko/

◎10代の若者のPC離れが急加速している一方で、タブレットはシニア層に人気。若者はスマホ、老眼にはタブレットということなのだろう。
http://ascii.jp/elem/000/000/942/942386/

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3)【深夜の誌人語録】

できないことをできると錯覚してしまうほど馬鹿なことはない。