【文徒】2014年(平成26)10月31日(第2巻206号・通巻408号)

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1)【記事】ABC部数が発表された
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】ABC部数が発表された

客 ABC公査が発表されたね。
主 前期比で100%を超えた雑誌で主だったところは、「サンデー毎日」「週刊プレイボーイ」「フライデー」「ターザン」「ブルータス」「日経おとなのOFF」「週刊ダイヤモンド」「プレジデント」「日経PC21」「日経ソフトウエア」「ニコラ」「ピチレモン」「ViVi」「S Cawaii!」「mina「アール」シュプール」「andGIRL」「クラッシー」「日経ウーマン」「フラウ」「ストーリー」「マリソル」「クロワッサン」「毎日が発見」「ゆうゆう」「ヴォーチェ」「マキア」というところだね。週刊誌全体で前期比95.4%、月刊誌全体で前期比92.7%だからね。
客 前期比100%、前年同期比100%を超えた雑誌となると、「フライデー」「ブルータス」「ニコラ」「アール」「andGIRL」「日経おとなのOFF」「プレジデント」「ストーリー」「マリソル」「毎日が発見」「ヴォーチェ」「マキア」「クラッシー」となる。「マリソル」が大きく部数を伸ばしている。
主 そういう問題じゃないと思うんだよ。例えば女性誌出版社としてはナンバーワンを誇る宝島社にしても既存誌は部数を落としているわけだしね。しかし、雑誌社は、このまま指を銜えて部数減に耐えているだけで良いのかといえば違うと思うんだよね。読者が雑誌よりもスマホを選択しているのであれば、雑誌が積極的にスマホに出て行く必要があるのではないだろうか。
客 君が講談社のデジタルファースト戦略を支持しているのはわかるけれど、「オキュパイド・スマートフォン」は、それほど簡単なことじゃない。
主 でも紙の雑誌を立ち上げるよりもカネはかからないよね。数を撃てるわけだよ。これは大きいはずさ。アメリカの雑誌は凄い速度でデジタル戦略に取り組んでいるけれど、これを見習う必要がある。アシェット婦人画報社やコンデナストジャパンは、そういう手法を日本に着地させて成功しているよね。しかも、日本の市場を舐めているのか、バカにしているのかABC公査を全く無視している。そういう輩に反撃するくらいの根性を日本の雑誌社には見せてもらいたいものだ。
客 俯いているばかりじゃダメなんだよね。
主 守りたいのであれば攻めることだよ。

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2)【本日の一行情報】

山下智久の一件で「書類送検」ではなく、「書類送付」っていう言葉が使われたのも驚いたけれど、私が見たニュース番組ではジャニーズ事務所所属ということも報じられていなかったんだよね。この記事にしても「ジャニーズ事務所所属の山下智久」とは書いていない…てなことが場末の酒場で話題になっていた。
http://www.news-postseven.com/archives/20141028_283746.html

◎「妖怪ウォッチ」のミラクルヒットに影響されて出て来た企画なんだろうな。ところが、という話。KADOKAWA は、iOS版「妖怪百姫たん!」の配信を10月から11月に延期することになった。二匹目の泥鰌を狙うのも大変だ。
http://www.gamer.ne.jp/news/201410290019/

◎お笑いタレントのいとうあさこの言い分が正しいとなると「フライデー」の誤報ってことになる。一緒にいたのはイケメン男性ではなく、ショートカットの女の子といとうは主張している。こういう場合、現場では当てないのかなあ。当てていたとすれば、いとうあさこがウソをついていることになる。
http://cyclestyle.net/article/2014/10/28/15527.html
「フライデー」は紙をやめろとは言わないけれど、発想をデジタルファーストに転換するのであれば(「フライデー」でなく、「エブリデー」「エブリタイム」だ!)、もっとチャレンジングな仕掛けを用意できるはずだ。何故、そうしないのか私には不思議でならない。

◎「つるとはな」のような野心的企画は応援したくなる。岡戸絹枝編集長は「オリーブ」時代から「オイール」を創りたかったと読売新聞の取材に答えている。何故、こういう雑誌をマガジンハウスで企画できなかったのだろうか。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20141028-OYT8T50301.html

ゴダールより他に神はなし!だって名前に神が埋め込まれているでしょ。何と新作は3Dで撮った「さらば、愛の言葉よ」である。必見!
http://eiga.com/news/20141029/5/

◎LINE乗っ取り被害総額2800万円。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014102902000246.html

◎部数だけからすれば、宝島社は女性ファッション誌のリーディングカンパニーであることは間違いない。女性ファッション誌における宝島社のシェアは23.2%、次いで集英社18.4%、光文社11.7%、小学館8.4%、講談社6.9%となる。2014年1月〜6月のABC部数が発表された。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000005069.html

◎ライフメディアが読書に関する調査を実施した。これによれば45%が月に1冊以上本を読んでいるという。本の入手先は「総合的な品揃えの大型書店で購入(54%)」「インターネットで購入(45%)」「図書館で借りる(35%)」。最近1年間で電子書籍を利用した人は21%。電子書籍をどの端末で読んだかというと、「スマートフォン(57%)」「パソコン(32%)」「タブレット端末(25%)」。
http://www.value-press.com/pressrelease/133221

◎「NOヘイト! 出版の製造者責任を考える」(ころから刊)がトーハンの週間ベストセラーにランクインすることは可能だろうか。このタイトルだと出版関係者しか買わないように思えてならない。ヘイト本は読みやすいんだよな。
http://blogos.com/article/97552/

◎双子のライオン堂(竹田信弥)は、BOOKSHOP LOVERと共同で、少数精鋭でつくりあげる「あたらしい本屋」をつくるゼミ「本屋入門〜あしたから本屋さん〜」を開講する。第一回は2014.11.29(土)17:00〜19:00で、その後月2回程度計6回に開催する。
http://www.value-press.com/pressrelease/133201
双子のライオン堂についてはBOOKSHOP LOVERによる記事をお読みいただきたい。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1408/10/news006.html
店主の竹田信弥はもともとインターネットで古書を手がけていたというから、白山のリアル店舗も古書も扱っているのだろう。
双子のライオン堂の特徴は小説家をはじめ多彩な専門家に本を選書してもらって、これを販売していることだ。選書者はCSCD教授の小林傳司、作家の海猫沢めろん、三島邦弘@ミシマ社、思想地図βと100冊(ゲンロン)、批評家の岡和田晃、評論家の宇野常寛、小説家の辻原登、アナウンサーの秋沢淳子、批評家の山城むつみ俳人長谷川櫂といった顔ぶれである。選書者作品、及び、白山店店内にある選書本は高価買取を謳っている。
http://liondo.jp/?page_id=386

◎アマゾンはKindleダイレクトパブリッシングにKDPアワード「AUTHOR OF THE YEAR 2014」を創設。初代受賞者に選ばれたのは高城剛沢尻エリカの元亭主じゃないか。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1410/29/news092.html
またアマゾンは国立国会図書館が所蔵しウェブ上で公開している古書を電子書籍にして、「Kindleストア」において一冊100円で販売するサービスを開始した。今年中に1000冊以上を配信するという。ちゃんと税金を払っていないアマゾンだということを知っていて国立国会図書館は、こういうことを始めてしまう。これが日本低国の現実だ。
http://mainichi.jp/feature/news/20141029mog00m020019000c.html

◎出版関係者必読の一冊が現代書館から刊行された。江刺昭子の「『ミセス』の時代--おしゃれと<教養>と今井田勲」だ。「ミセス」の歴史が紐解かれ、今や伝説の編集者というべき今井田勲が蘇る。著者の江刺は今井田のもとで編集者として働いた経験を持つ。文化出版局には「局史」が存在しないだけに、これは消えてしまいかねない出版の歴史を拾い上げた貴重な労作である。ちなみに今井田は主婦の友社の出身であり、文化学園を支えていたのも主婦の友社である。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5750-4.htm
今井田は「ミセス」を専門誌でもなく、実用誌でもなく、教養誌と位置づけていたようだが、翻って現在、教養誌だと胸を張れる女性ファッション誌がいったい何誌あるだろうか。

◎アマゾンとは対照的にフェイスブックは笑いが止まらない。7〜9月期決算の純利益は何と前年同期比9割増の8億600万ドル(約870億円)だ。
http://www.asahi.com/articles/ASGBY3FGTGBYUHBI00K.html

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3)【深夜の誌人語録】

最初の一歩には勇気が必要だ。最後の一歩には胆力が欠かせない。