【文徒】2014年(平成26)11月12日(第2巻213号・通巻415号)

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1)【記事】日経とエバーノートが資本業務提携
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】日経とエバーノートが資本業務提携

日本経済新聞社は米エバーノートと資本・業務提携することになった。日経電子版が便利になることは間違いない。
「今回の提携により、エバーノートの利用者が文書を作成する際、内容に応じて関連する日経電子版の記事を自動配信するほか、日経電子版の読者が記事を閲覧する際には、エバーノートで過去に作りためた文書から、記事の内容に関連する情報や名刺などを検索無しで表示する」
もっと具体的に言うのであれば「エバーノートのユーザが作成するノートの内容に応じて、関連する日経電子版のコンテンツを自動的にエバーノート上に配信するサービス」である。これは便利だ。
ただし、日経電子版の有料会員であり、かつエバーノートの有料会員でないと、このサービスの恩恵を享受できない。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79482730Q4A111C1I00000/
新聞社のなかでもっともデジタル戦略に熱心であると同時にデジタル文化を理解しているのは日本経済新聞社であると私は思っている。

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2)【本日の一行情報】

◎アマゾンは、ローソンの店頭端末「Loppi」から商品を注文し、最短で2日後に店頭で受け取りができるサービスを静岡ではじめた。ローソンからすれば、これまでの商品受け取りサービスから一歩踏み込むことで自前主義のセブン−イレプンに対抗するためには最良のパートナーがアマゾンだったということだろう。アマゾンからすればローソンで、このサービスが成功すれば、既に商品受け取りサービスまでは行っているファミリーマートなどにも広げていくつもりだろう。
http://www.bci.co.jp/netkeizai/general/2014/805.html
楽天も負けてはいられまい。いち早く大阪屋を手に入れた成果をあげたいところだろう。

◎東京でも開催してくれれば良いのに!光文社古典新訳文庫紀伊國屋書店の電子書店KinoppyとコラボレーションするReaders Club読書会が11月29日に紀伊國屋書店グランフロント大阪店で開催される。ヘミングウエイの「老人と海」の小川高義が新訳の読みどころを駒井稔編集長の司会進行のもと1時間半にわたってじっくりと語る。小川は原著を「聖典」ではなく「楽譜」と捉え、翻訳を演奏と考えている。研究社から刊行されている「翻訳の秘密 翻訳小説を『書く』ために」はオススメである。「さゆり」なんか小川が翻訳しなかったら、単なるクズ本で終わっていたことだろう。
http://www.kinokuniya.co.jp/c/store/Grand-Front-Osaka-Store/20141109210000.html

池内恵「文藝春秋」12月号に登場。ブログで次のように書いているが、同感である。
「15年後も『うちの墓はどうなった』『声に出して読んでもらいたい美しい弔辞』『あの世に行ったら食べたいグルメ100選』とかいった特集をやって雑誌を出していられるとは、若手編集者もまさか考えてはいないだろうから、まず書き手の世代交代を進めてほしいものだ」
http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-226.html
このところ池内のブログから目が離せない。

集英社は、「NARUTO-ナルト-」のアニメ全220話を毎週2話ずつ、マンガ全700話を一日一話ずつ無料で見られるアプリ「NARUTO-ナルト- 無料マンガ連載&アニメ放送公式アプリ」をリリースした。「少年ジャンプ+」「ジャンプBOOKストア!」「マーガレットBOOKストア!」の共通アカウントで利用できる。
http://www.phileweb.com/news/hobby/201411/10/1482.html

◎ファッションアプリ「iQON」は、電通と連携して女性向けブランディング広告事業を本格的に開始。
http://markezine.jp/article/detail/21336

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は本日付で、英国のモバイル・エージェンシー「Fetch Media Limited」の株式80%を取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/1106-003857.html

◎NEWSYは「かっこ」と共同でビッグデータの解析結果を記事化し、コンテンツマーケティングを支援するサービス提供を開始する。NEWSYは博報堂DYグループとゲインが共同で設立し、ニュースサイト「しらべぇ」を運営している。こういうビジネスにも本当は出版社が噛むべきなんだよな。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000010565.html

朝日新聞出版社もライトノベルに参入。11月20日朝日エアロ文庫を創刊。
http://www.asahi.com/and_M/information/pressrelease/CPRT201430096.html
http://publications.asahi.com/original/bunko/aero/

毎日放送が主催し、日販が運営を担当する「大阪の陣 歴史検定」が2015年5月31日に開催される。検定もここまで種類が増えると有難味が薄れる。検定料金が3級4800円、2級5800円。本を地道に売るよりも、日販からすれば儲かるということなのだろうけれど。
http://www.kentei-uketsuke.com/osakanojin/

集英社App Storeの電子雑誌リーダー「Newsstand」アプリ内で「non・no12月号 中文簡体字 特別版」を11月1日にリリースしていた。日本版の12月号から一部を抜粋し、スマホに最適化したうえで提供している。価格は200円。
http://youpouch.com/2014/11/10/236698/

ドワンゴが「読書メーター」を運営するトリスタを買収し、「読書メーター」を開発した同社の赤星琢哉が代表取締役を辞任し、同時に退職した。
http://akahoshitakuya.com/archives/5277

◎ヤフーがカカオジャパン資本提携解消に向けて交渉中。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1411/10/news066.html

◎以前にも紹介したが、これは売れると思うよ。光文社のファッション誌「VERY」とコラボした「リカちゃん」。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1411/10/news082.html

講談社は「『なかよし』60周年 名作総選挙」を実施する。投票は「なかよし」60周年パートナー書店で受け付ける。講談社は書店を忘れていませんよ!というアピールにもなる。総選挙で票数の集まった作品は当時のコミックスそのままに復刻出版する予定だそうだ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1411/10/news103.html

サントリーの「山崎シングルモルトシェリカスク2013」が世界最高のウイスキーに選ばれたことに海外メディアも敏感に反応している。日本のシングルモルトは「レクサス」で、スコットランドのそれは「じゃじゃ馬」だという評価は、その通りだ。私は家で「山崎」を飲み、酒場で「ラフロイグ」を飲む。
http://www.gizmodo.jp/2014/11/post_15851.html

毎日新聞10月18日付朝刊トップに掲載された「最高裁『隔離法廷』を検証/ハンセン病患者95件」。私は見出しに「差別」と打つべきだったと思う。
http://mainichi.jp/journalism/news/20141110org00m040009000c.html
実は先週、草津の重監房資料館を訪れ、少なからず衝撃を受けた。
http://sjpm.hansen-dis.jp/
沢田五郎の「とがなくてしす 草津重監房の記録」(皓星社)を読まなくてはなるまい。
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA57493910

ライトノベル作家の真慈真雄と一迅社が揉めていた。
http://otapol.jp/2014/11/post-1908.html

◎米アマゾンは月額9.99ドルで、約70万冊の電子書籍を無制限に読める読み放題サービス「Kindle Unlimited」を開始した。
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/trend/20140925/1143504/?rt=nocnt

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3)【深夜の誌人語録】

手抜きは諦めのはじまりである。