【文徒】2014年(平成26)12月1日(第2巻225号・通巻427号)

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1)【記事】日販とトーハンが中間決算を発表
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】日販とトーハンが中間決算を発表

日販グループ(連結子会社数:20社)の2014年度中間決算(4-9月期)の連結売上高は316,525百万円で前年に対し3.9%減、 12,945百万円の減収。中間純利益は639百万円、対前年で61.4%減、1,016百万円の減益。
雑誌全体では大幅な減収。シェアの高い月刊誌が大きく落ち込んだ結果である。また書籍ではシェアが最も高い文庫が1点あたりの売上規模を前年から大きく縮小させてしまっている。
http://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2014/11/kessan_20141128.pdf
トーハンの上半期決算は減収増益。総合売上高は220,807百万円で前年比94.2%、送品前年比97.4%、返品前年比102.2%、 返品率は41.8%で前年より1.9ポイント上昇。営業利益は2,503百万円、前年比79.5%、経常利益1,743百万円 前年比84.5%。前年同期の特別損失にトーハンロジテックスへの転籍者の退職加算金を計上していた影響で、特別損失が減少し、中間純利益は1,080百万円、前年比109.6%の増益決算。
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/post_362/

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2)【記事】【本日の一行情報】

◎フリューは、はずれなしのキャラクターくじ「みんなのくじ」の最新作として「みんなのくじ TERRAFORMARS」を2015年3月上旬に、サークルK、サンクスの一部店舗およびその他書店などで発売する。「TERRAFORMARS」はテレビアニメも放映中の「週刊ヤングジャンプ」に連載されている人気マンガである。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000402.000005167.html

◎ニールセンの調査によれば、10月の時点でニュース・キュレーションアプリの利用者が3900万人となった。通勤電車から「紙」が消えてしまったはずである。SmartNewsやグノシーは年初に比べて二倍以上もユーザーを増やしている。
http://markezine.jp/article/detail/21458
週刊誌もスマホという土俵にあがる必要があるということだ。

◎岡部えつの「残花繚乱」(双葉社)がTBSでドラマ化が決定。
http://mysterytuusinn.seesaa.net/article/409515902.html

◎ブログ「超音速備忘録」に次のような一文を発見した。
「まず滅ぶのは、おそらく『雑誌(=雑多な情報が掲載されている紙のメディア)』なんじゃないかと僕は思う」
http://wivern.exblog.jp/23795358/

◎宝島社の女性ファッション誌「otona MUSE」1月号の附録はフェラガモ書類ケースだ。
http://treasures.tkj.jp/category/otonamuse/2893/

小学館の女性ファッション誌「Oggi」の附録は ESTNATION ステーショナリーセットだ。
http://kikra.ldblog.jp/archives/4915196.html

◎「エキレビ」が「Pen」の雑誌特集号を取り上げている。次のような結論に私も肯いた。
「世の中の不意を突く雑誌を作るには、大勢で会議するよりも、個人のパッションで突っ走ってしまったほうがいいんじゃないかと昨今考えている」
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20141127/E1417017480746.html

学研ホールディングス凸版印刷とシニア向けマーケティング調査事業に取り組む。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ27I0Z_X21C14A1TI0000/

主婦の友社は、乳幼児向け絵本の電子版シリーズの第二弾5冊を配信開始した。8月に配信した第一弾を加えて、ラインナップは合計14冊となりました。今後も『主婦の友社の電子版絵本シリーズ』として刊行を続け、第三弾は12月にリリースされる。アプリではなく「フィックス型電子書籍」としての絵本で、タブレット端末で読むのに最適なサイズである。
http://japan.cnet.com/release/30087568/

◎「講談社 冬☆電書2015」が2015年1月15日(木)まで実施されている。無料デジタル小冊子『2014年講談社電子書籍ベスト100』を各電子書店で配信。
http://fuyuden.kodansha.co.jp/
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000529.000001719.html

◎「BOOK☆WALKER」は講談社が主催する電子書籍フェア「講談社 冬☆電書」のスペシャル企画として、「冬☆電書王 決定戦」を開催する。講談社作品を最も多く購入した方1名に、冬☆電書期間中いつでも講談社の作品を50%オフで購入できるクーポンをプレゼントする。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000605.000001227.html

朴裕河の「帝国の慰安婦」(朝日新聞出版)を購入。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=16443
高橋源一郎朝日新聞の論談時評で取り上げた本だ。高橋はツイッターに次のように投稿している。
朴裕河は『同胞の罪』を問うたために、韓国内では激しく批判されました。ちょうど、ハンナ・アーレントが『イェルサレムアイヒマン』で、ナチスユダヤ人を強制収容所に連行する際、ユダヤ人社会が協力したことの罪を問い、ユダヤ人社会の激烈な反発を招いたように、です」
https://twitter.com/takagengen/status/537765038887411712

◎意外な拾い物と言っては、著者に失礼なのかもしれないが、中山千夏の「芸能人の帽子 アナログTV時代のタレントと芸能記事」(講談社)が面白い。芸能人から遠く離れてしまった中山が、古い芸能記事を手がかりに芸能人・中山千夏を描きだしているのだが、それは「1968」の痕跡が濃厚に漂っている時代を浮かび上がらせて、私には興味が尽きなかった。500頁以上に及ぶ大著だが、あっという間に読めてしまう。竹中労も出て来るよ。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062192224

朝日新聞社は「吉田調書」報道で、記者2人を減給処分、上司ら4人を停職1カ月〜2週間の処分とした。
http://www.sankei.com/life/news/141128/lif1411280023-n1.html

学研ホールディングスは11月27日、100%出資の新会社「学研教育アイ・シー・ティー」を設立した。学研グループ各社が持つコンテンツ、システム、ノウハウを集約し、「学校・塾・家庭」向けの教育ICT事業に本格的に取り組む。
http://ict-enews.net/2014/11/28gakken-ict/

矢作俊彦が「フィルムノワール/黒色影片」(新潮社)を刊行。宍戸錠が実名で登場しているそうだ。リブロ池袋本店で矢作の25年ぶりのサイン会が12月10日に開催される。
「サイン会だって!断れないらしい。さんざん苦労かけた担当が断れないというのだからこっちも断れない。25年ぶりだよ。いい恥さらし。人が来なくて本屋の片隅に捨ておかれ、仕方なく書店員とその知り合いが何度も何度も繰り返し並ぶんだ。トラウマだよ、あれは。当日、腸捻転でも起こすしかないのか」
https://twitter.com/orverstrand/status/537423863601057793
http://www.shinchosha.co.jp/book/377507/
http://www.libro.jp/blog/ikebukuro/event/yahagitosihiko.php
ついでに。船戸与一の「満州国演義」が遂に完結した模様。来春、新潮社から刊行される。また「週刊ポスト」で昭和天皇をテーマにした連載も開始されるらしい。

松本健一が死んだ。私は松本の著作の大半を読んでいる。
http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014112801001123.html
「思想としての右翼」「孤島コンミューン論」「不可能性の『日本』から可能性の『国家』へ」「谷川雁 革命伝説」「評伝北一輝 」(全5巻)が好きだった。松本の吉本隆明論が読みたかった。毎日新聞特別顧問の松田喬和がツイッターで次のように書いている。
松本健一君が亡くなった。実は彼とは学生時代、群馬県が経営していた東京世田谷区にある上毛学舎で、3年間ともに過ごした。当時の彼は学究肌 とは程遠く、麻雀などに明け暮れていた。大手硝子メーカーに就職したのち、思想史研究の第一人者、橋川文三法政大学教授門下生となり、頭角を現した」
https://twitter.com/matsudata1/status/538225332369633280
橋川は法政ではなく明治だけれどね。

糸井重里による画期的な取り組みだ。「ほぼ日」が吉本隆明の1964年から2008年までの183回の講演、合計21,746分の音声を2014年12月より、無料、無期限で順次公開することになった。
http://www.1101.com/yoshimoto_voice/index.html
筑摩書房が刊行する「吉本隆明<未収録>講演集」全12巻は買う必要がないということだろう。

◎AFPは次のように書いている。
フェイスブックの共同創設者、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は11月上旬に開催されたフォーラムで、フェイスブックのニュースフィードを『世界の個人個人に向けパーソナライズされた完璧な新聞』にすることが目標だと語った」
http://www.afpbb.com/articles/-/3032970

朝日新聞出版と東洋経済新報社が「経営統合」を模索しているらしい。
http://corp.toyokeizai.net/what-we-do/
http://publications.asahi.com/company/index.html

講談社は刊行部数200万部を超える佐野洋子の名作「100万回生きたねこ電子書籍版をリリースした。講談社の絵本作品が電子書籍化されるのは、これが初めてのことである。
http://www.narinari.com/Nd/20141129038.html

文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞は近藤ようこの「五色の舟」(原作・津原泰水 KADOKAWA)に決定。
http://news.mynavi.jp/news/2014/11/28/521/

◎読売新聞発行の英字紙「デイリー・ヨミウリ」(以下DY、現ジャパン・ニューズ)が1992年2月から2013年1月にかけて、「従軍慰安婦」報道で「性奴隷」(sex slave/servitude)など不適切な表現を計97本の記事で使用していたことが社内調査で明らかになり、不適切な表現であったことをお詫びするとともに「記事データベースでも該当の全記事に、表現が不適切だったことを付記する措置」を取る。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141127-OYT1T50116.html
この読売新聞の「お詫び」について、イギリスの「ガーディアン」は次のように書いている。
保守系の読売新聞によるこうした動きは、日本の戦時の歴史を書き換え、アジアにおける日本の行為をより好意的に描こうとする日本政府のキャンペーンに、日本のメディアの一部が加わったのではないかという懸念を煽った」
http://www.theguardian.com/world/2014/nov/28/japan-newspaper-sex-slaves-wartime-coverage-yomiuri-shimbun?CMP=share_btn_tw

◎TBSは年末の「大型ドラマ特番」として、宝島社の“「このミステリーがすごい!」大賞”受賞作家たち4人(海堂尊・中山七里・乾緑郎・安生正)による“書き下ろし短編小説”を「オムニバスドラマ」として12月29日(月)放送する。
http://www.tbs.co.jp/konomys/

◎映画カメラマンとして世界的に有名な大津幸四郎が死んだ。「三里塚に生きる」が遺作となった。
http://www.asahi.com/articles/ASGCX4GM8GCXUCVL00J.html

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3)【深夜の誌人語録】

仕事には楽観も、悲観も禁物である。