【文徒】2014年(平成26)12月2日(第2巻226号・通巻428号)

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1)【記事】オリコン「2014年年間“本”ランキング」が発表された
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】オリコン「2014年年間“本”ランキング」が発表された

オリコンが発表した「2014年年間“本”ランキング」(集計期間:2013年11月18日〜2014年11月16日)。
「BOOK総合」で1位に輝いたのは、予想通り「妖怪ウォッチ2元祖/本家 オフィシャル攻略ガイド」(小学館)であった。
2位「人生ニャンとかなる!」(文響社)、3位「長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい」(アスコム)、4位「妖怪ウォッチ オフィシャル攻略ガイド」(小学館)、5位「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて」(KADOKAWA)、6位「まんがでわかる七つの習慣」(宝島社)、7位「銀翼のイカロス」(ダイヤモンド社)、8位「村上海賊の娘 上」(新潮社)、9位「嫌われる勇気」(ダイヤモンド社)、10位「アナと雪の女王」(偕成社
妖怪ウォッチ」で小学館が2冊ランクインさせている。「妖怪ウォッチ」が小学館にとってカミカゼであったことがわかる。何しろ小学館が刊行した「妖怪ウォッチ」関連本は13作230.3万部にも及ぶ。出版の面白さは文響社が他の大手出版社を押しのけて2位にランクインしていることだ。ダイヤモンド社が2冊、ベスト10にランクインさせていることも特筆すべきだろう。アスコムは相変わらずタイトルが上手だ。そうそう2014年はミリオンセラーがゼロとなったことも忘れてはなるまい。
http://www.oricon.co.jp/entertainment/ranking/2014/bookrank1201/index01.html
コミック総合は「ONE PIECE」と「進撃の巨人」の2強が際立っている。1〜3位を集英社の「ONE PIECE」が占め、4〜6位を講談社の「進撃の巨人」が占める。7位、8位、10位は再び集英社の「NARUTO」が占める。9位の「君に届け」も集英社。11位になって小学館が顔を出す。「銀の匙」だ。14位はKADOKAWAの「坂本ですが?」。ベスト20のうち集英社が13を占め、講談社が3、小学館が3、KADOKAWAが1ということになる。
http://www.oricon.co.jp/entertainment/ranking/2014/bookrank1201/index05.html
文庫総合は「永遠の0」(講談社)が1位。2位「白ゆき姫殺人事件」(集英社)、3位「幸福な生活」(祥伝社)、4位「マスカレード・ホテル」(集英社)、5位「下町ロケット」(小学館)、6位「海賊とよばれた男 上」(講談社)、7位「マスカレード・イブ」(集英社)、8位「疾風ロンド」(実業之日本社)、9位「Nのために」(双葉社)、10位「海賊とよばれた男」(講談社
文庫のランキングを見ていると日本に作家は百田尚樹東野圭吾池井戸潤湊かなえの3人しかいないのかと思わず嘆きたくなるのは私だけだろうか。コミックスでも、文庫でも限られた作品、限られた作者にかぶる傾向が顕著である。
http://www.oricon.co.jp/entertainment/ranking/2014/bookrank1201/index07.html

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2)【記事】【本日の一行情報】

◎「Chikirin日記」が自らの電子書籍体験を踏まえた「電子書籍って儲かるの? 一年後の収支決算」。次のように指摘している。
「今後の印税率に関しては、テキスト作品をマネタイズするためのプラットフォームが、独占状態に陥らないことが(書き手にとっては)非常に重要です。もしも独占状態になれば、印税率は紙の本と同じくらいまで下がる可能性があります。
もしくは、『一ヶ月の定額料金を払えば、電子書籍は読み放題』といったサービスも始まるはずで、こういった新しい価格構成の中で、著者がどれくらいの配分を受けられるかは、ひとえにプラットフォーム側の判断にかかっています。
換言すれば、書き手は自分にはコントロールできない要因に、今後の収入を大きく左右されるということです」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20141129

鴨川つばめの「マカロニほうれん荘」が電子書籍化された。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1411/27/news107.html

◎12月1日から実施されている小学館のマンガフェア「小コレ!」は「妖怪ウォッチ」や「ドラえもん」など人気キャラクターのピンバッジがもらえる。
http://mantan-web.jp/2014/11/29/20141129dog00m200012000c.html

◎「デジモノステーション」(エムオン・エンタテインメント)増刊の「SIM PERFECT BOOK」は12月12日に発売されるが、特別付録には、プリペイドタイプのSIMカードだ。
http://www.appps.jp/138494/

ちくま学芸文庫、中公文庫、角川ソフィア文庫河出文庫講談社学術文庫が合同フェアを開催している。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20141127-OYT8T50055.html

◎赤羽で暮らす俳優の山田孝之を「リンダリンダリンダ」や「松ヶ根乱射事件」で知られる映画監督の山下敦弘が撮影し、「あんにょんキムチ」のドキュメンタリー映画監督・松江哲朗とともに作品化した連続ドキュメンタリードラマ「山田孝之東京都北区赤羽」が、1月9日より、テレビ東京で放映されることになった。
山田は清野とおるのマンガ「ウヒョッ!東京都北区赤羽」(双葉社)に影響を受けてというか、見失っていた自分を取り戻すべく、マンガに登場する赤羽に実在の住人たちと交流を始める。言ってみれば「ウヒョッ!東京都北区赤羽」が原作のドキュメンタリーなのである。傑作の予感がするなあ。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2045242.html?iref=comtop_list_andw_f01

◎「日経ビジネス」が発表した「社長が選ぶベスト社長」で第1位に輝いたのは日本電産永守重信だった。永守は創業社長。日本電産は産業用モーターの会社でグループ売上高が1兆円に及ぶ。特異なのは、日本電産の急成長を支えたのがM&A戦略であったことであろう。「Business Journal」で山田修は、こう書いている。
「1973年の創業以来、50社ほどを買収してきた。これは1年に1社以上という考えられないペースであり、それを40年も続けてきたというのは驚愕に値する」
http://biz-journal.jp/2014/11/post_7513.html

◎「男の人も泣いたりへこんだりするんだね」という台詞が良いんだよなあ。ハルミチヒロの「夜をとめないで」が白泉社から刊行された。ハルミは「エロ」出身の作家だが、こういう作品をしっかりと売っていくことが大切だと思う。
http://natalie.mu/comic/news/132365

徳間書店の「月刊コミックゼノン」に連載されている「ワカコ酒」がテレビドラマ化され、1月8日からBSジャパンで放送される。呑んべえの支持を受けることは間違いない。
http://www.cinemart.co.jp/wakako_zake/
http://www.comic-zenon.jp/magazine/wakakozake.html

◎大阪屋の経営体制が固まった。
http://www.shinbunka.co.jp/jinjilog.htm
早急に電子書籍を書店で売る事業を開始しなければなるまい。

朝日新聞社の中間期連結決算は減収減益。売上高が前年同期比5・1%減の2154億円、営業利益が同50・5%減の30億9900万円。吉田調書や慰安婦問題がどの程度、影響しているのだろうか。「夕刊フジ」は影響していると見ているけれど、誤報がなくても減収にはなっていたことだろう。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141129/dms1411291506007-n1.htm

上野の森美術館で「進撃の巨人展」が始まったが、上野マルイの店頭に巨人の頭部が出現し、話題になっている。
http://youpouch.com/2014/11/30/239788/

東浩紀の気持ちが私には理解できる。私の選挙区で言うと、日共は論外として非自民候補は野田佳彦なんだよね。
http://togetter.com/li/751718

◎手書きの家計簿が売れているのか。細野真宏の「つけるだけで『節約力』がアップする家計ノート2015」(小学館)が発売即10万部だって!
http://www.news-postseven.com/archives/20141130_289318.html
ま、手帳だって相変わらず売れるものね。

菅原文太も死んだ。東映の三角マークを背負った役者で生き残っているのは緋牡丹のお竜さんだけとなってしまった。私が好きな文太作品は「現代やくざ 人斬り与太」。監督は深作欣二。「県警対組織暴力」も良かった。中島貞夫の、やくざ映画にしてアナ系傾向映画の怪作ともいうべき「総長の首」は10回ほど見ている。岡本喜八の「ダイナマイトどんどん」も痛快まるかじりで好きだ。ちなみに私は「総長の首」で文太が言い放った台詞を今でも鮮明に覚えている。
「ボルじゃねえ。アナだ。オレの心の中には黒旗が翻っているんだ」
http://mainichi.jp/select/news/20141201k0000e040196000c.html

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3)【深夜の誌人語録】

どんなに努力しようとも人間が絶対に経験できないのは「死」である。