【文徒】2014年(平成26)12月11日(第2巻233号・通巻435号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】技術評論社のウエブサイトが不正アクセスにより改竄される
2)【記事】産経よお前もか!東京よお前もか!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.12.11 Shuppanjin

1)【記事】技術評論社のウエブサイトが不正アクセスにより改竄される

恐い話である。しかし、デジタル戦略と同時にセキュリティ確保も最重要課題となっているのは、どの出版社にとっても同じである。
技術評論社のウエブサイトが一時改竄されてしまった。12月6日午前11時から午後2時の間に、外部サイトに転送されるように改竄されていたという。この期間中にアクセスしたユーザーに対して、技術評論社はセキュリティソフトを最新の状態にし、不正なプログラムの感染確認・駆除を行うよう呼びかけている。技術評論社が発表した「経緯説明」には目を通しておいたほうが良いだろう。
「・12月5日11時過ぎ,弊社契約管理会社のドメイン上にあったフィッシングサイトに引っかかってしまい,その直後,コントロールパネルに不正アクセスされてしまった。
・12月5日11時10分過ぎからgihyo.jpのサーバがダウン。
・検知後,管理会社へ報告。
・12月5日13時20分頃サーバ復旧。その後,管理会社の確認により収束したと判断。
・ところが,別のログインルートがあり,その点を管理会社に報告・確認してはいたものの,結果的に双方の認識の相違により処置されないままとなっていた。
・そのため,別ルートがふさがれないままになっており,12月6日11時過ぎ,OS入れ替え/Webサイト改ざんをされてしまった。
・その後,管理会社への連絡,対応を行い,12月6日14時,不正アクセスへの対処完了。その後,サーバ復旧作業を始める。
12月6日19時27分,サーバ本復旧作業に入り,12月7日時点で完全に復旧」
http://gihyo.jp/news/info/2014/12/0801?page=2

                                                                                                                        • -

2)【記事】産経よお前もか!東京よお前もか!

産経新聞も「報道機関としてはあってはならないこと」ばかりやっているように思えてならない。
ネットジャーナリストを自称し、9.11同時多発テロオウム事件などの大事件を陰謀と結びつける有名な陰謀論者として知られるリチャード・コシミズの書籍広告で、「ユダヤ独裁国家アメリカの謀略を暴く」と題した全面広告を掲載したのだ。これに、サイモン・ヴィーゼンタール・センターから「真実を追求するジャーナリズムの責任を売り飛ばした」と抗議を受けている。
さらに今度は、江川紹子の談話をツイッターから流用して本人への確認もせずに書いた記事「6日付朝刊社会面の記事「木村前社長処遇 なぜ二転三転」を取り消すことになった。発行部数でいうと世界第5位の新聞がこのザマである。私は産経新聞の読者であるだけに本当に腹が立つ。「天敵」朝日に学んで検証委員会を立ち上げるべきではないのか。
http://gohoo.org/14120802/
http://www.asahi.com/articles/ASGD87FBKGD8UTIL052.html
イデオロギーの違いはあっても、新聞が抱えている「病」は同じなのだろう。私が定期購読している東京新聞にしても、似たように取材不足からの誤報をしている。
12月1日付朝刊一面なのだが、東電は福島第一原発付近の海域で放射能調査について、低精度の「日常分析」しかしておらず、「詳細分析」はしていないと報じたのだが、5日付朝刊で「『不検出』実際は汚染 詳細分析 7割からセシウム」と、東電が「詳細分析」していて、結果を公表もしているという続報記事を掲載している。
そして、「結果は公表はされているとはいえ、約一ヶ月遅れで、データのありかも分かりにくい」と、取材不足ではなく公表の仕方が悪いという趣旨にすり替えて報じているのだ。誤報でしたという告知も検証もいまだない。
http://gohoo.org/14120901/

                                                                                                                        • -

3)【本日の一行情報】

ラノベ「芸人ディスティネーション」の著者である、お笑いコンビ「天津」の向清太朗が原作、声優の柚原有里が画を手がける4コママンガ「てんしんらん漫!」は「月刊まんがタウン」(双葉社)に連載されていた作品だが、そのコミックスが新作ドラマCD入りで発売される。もちろん声優をつとめるのは、柚原であり、向である。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1412/08/news115.html

橋本紡の恋愛小説「流れ星が消えないうちに」(新潮文庫)が波瑠の主演で映画化される。橋本はラノベ出身の作家だが、実力派との評判だ。
http://eiga.com/news/20141209/2/

民主党のテレビCM、オレも見たけれど、「攻め」の姿勢がないよね。
http://news.livedoor.com/article/detail/9553780/

ドワンゴは「ニコニコ超会議」の海外出張版「ニコニコ国会議」をシンガポールで開催した。
http://japan.cnet.com/news/offtopic/35057600/

紀伊國屋書店は、カリフォルニア大学出版局とカリフォルニア大学出版局刊行の学術雑誌の日本国内向け販売について、2014年11月13日付けで販売総代理店契約を締結し、紀伊國屋書店を販売総代理店として日本国内の販売活動を行うことに合意した。カリフォルニア大学出版局は人文社会科学及び自然科学分野で毎年約200タイトルの新刊書籍と約40タイトルの年間購読学術雑誌を刊行しているそうだ。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201412086145/

◎私は経験しようとさえ思わないけれど、こうした話題づくりがあっても良いだろう。「楽天Kobo電子書籍ストア」と連携するデジタルサイネージ三省堂書店神保町本店1階奥の電子書籍オンデマンドセンター付近に設置された。この前に立つと服装の色から判断して10冊程度のオススメ電子書籍が表示されるそうだ。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20141209_679437.html

スマホ小説投稿サイト「E★エブリスタ」で累計売上100万円超の個人作家が25名となった。ちなみに印税率は49%である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000009132.html
これを「凄い」と見るのか、「こんなものか」と見るのか。「こんなもの」であるにもかかわらず、小説投稿サイトが大繁盛しているのは「凄い」と私は考えている。

◎「本屋図鑑」を刊行した夏葉社から「本屋会議」が刊行される。出版社の販売にかかわる人は、こういう本に目を通しておいたほうが良いと思う。私だって読むのだから。
http://natsuhasha.blog54.fc2.com/blog-entry-136.html

◎ロイターによれば米アマゾンは美術品やコレクター商品に関して、ユーザーによる値引き交渉を可能にする機能「メーク・アン・オファー」を追加した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0JN0RP20141209
消費者のあらゆる購買行動にアマゾンは応えてゆくつもりなのだろうか。だとすれば、赤字体質はまだまだつづくと私などは考えてしまうが、そんな異常事態を株式マーケットは認めてしまうのだろうか。

◎日本出版者協議会の「新刊選」12月号で、会長の高須次郎は次のように書いている。
「…小学館の相賀昌宏社長が、アマゾンジャパンの渡部一文バイスプレジデント兼ハードライン事業本部・書籍事業本部部門長事業部門長らに対し、Amazon Studentポイントは大幅な値引きであり再販契約に違反しているので、自社出版物を同サービスから除外するよう口頭で申し入れた。
席上、相賀社長はアマゾンジャパンでは責任ある対応ができないのであれば、アマゾン・ドット・コムのベゾス会長に直接、要望してもよいと述べ、また、『Amazon Studentポイントサービス』とは違う方法による学生読者開拓を、担当者レベルで期間を区切って研究することを提案したという」
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/

◎ピエール・ルメトールの「その女アレックス」(文春文庫)が宝島社の「このミステリーがすごい!2015」で第1位となった。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/2747
一方、「このマンガがすごい!2015」ではオトコ編第1位に「聲の形」(大今良時 講談社)、オンナ編第1位に「ちーちゃんはちょっと足りない」(阿部共実 秋田書店)が選ばれた。
http://mantan-web.jp/2014/12/10/20141209dog00m200062000c.html
講談社は「聲の形」の受賞を記念して大今良時の特設ページを開いた。
http://comic-sp.kodansha.co.jp/topics/koe/
聲の形」は、こうした受賞によって、読者の裾野を広げる作品である。

◎一年が過ぎるのは本当に早い。しかし、一方で佐村河内事件はずいぶん前の出来事のように感じてしまう。いったい何だろうね、この感覚は。神山典士の「ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌」が文藝春秋から刊行される。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163901848

◎「美味しんぼ」第111巻「福島の真実篇 2」(小学館)が刊行された。雁屋哲のブログによれば「例の『鼻血問題』に対する私の意見は、本にして来年の一月に発行します」とのことだ。
http://kariyatetsu.com/
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141210-00000065-jij-soci

◎マンガ家をサポートするための投資ファンドを立ち上げたかと思えば、マンガ家が自由に作品の配信・販売ができるプラットフォーム「マグネット」を立ち上げるなど、コルクの佐渡島傭平は時代に正面からしっかりと向き合っている。
小説やノンフィクションの世界でも、こういう試みはやってみるべきなんだよなあ。佐渡島は12月8日放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)に出演したそうだ。
http://otapol.jp/2014/12/post-2091.html

紀伊國屋書店は、東芝が12月中旬に発売するWindowsペンタブレットdynabook Tab S90・S80」(10.1 型)と「S68」(8.0型)に電子書籍アプリ 「Kinoppy for Windows Store Ver.2.0」 をプリインストール提供する。
http://www.kinokuniya.co.jp/c/company/pressrelease/20141209141529.html

                                                                                                                        • -

4)【深夜の誌人語録】

リーダーシップとは孤独に耐えられる力量のことである。。