【文徒】2014年(平成26)12月15日(第2巻235号・通巻437号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】さわや書店が「さわベス」を発表
2)【記事】百田尚樹の反撃
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】さわや書店が「さわベス」を発表

盛岡のさわや書店の「さわベス」の趣味は悪くない。書籍部門の第1位「奇跡の人The Miracle Worker」(原田マハ著、双葉社)。以下、
2位「謝るならいつでもおいで」(川名壮志著、集英社
3位「かたづの!」(中島京子著、集英社
4位「手のひらの音符」(藤岡陽子著、新潮社)
5位「田舎でロックンロール」、(奥田英朗著、KADOKAWA
6位「鬼はもとより」(青山文平著、徳間書店
7位「冬を待つ城」(安部龍太郎著、新潮社)
8位「夏のキグナス」(柴崎竜人著、講談社
9位「走れ、健次郎」(菊池幸見著、祥伝社
10位「音わざ吹き寄せ」(奥山景布子著、文芸春秋)。
http://morioka.keizai.biz/headline/1747/
「奇跡の人The Miracle Worker」は表紙カバーに横山大観の「生々流転」が使われている。ヘレン・ケラーの「奇跡の人」をものの見事に換骨奪胎して、日本の風土に着地させている。原田マハの兄は同じく小説家の原田宗典。「クロワッサン」(マガジンハウス)では「ビジンサマ便り」を連載している。
http://haradamaha.com/profile/

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2)【記事】百田尚樹の反撃

「殉愛」の百田尚樹が「週刊文春」「週刊新潮」を舞台に大反撃。何だかなあと思ってしまうのは私だけであろうか。片や大宅壮一ノンフィクション大賞を擁し、片や新潮ドキュメント賞を擁する版元であるということを忘れないで欲しい。「殉愛」はノンフィクションとしては明らかにルール違反を犯していると思われる個所が多すぎるのではないか。検証も甘い。
「その真実を見極めることこそがジャーナリズムの仕事であって、『寄り添う』ことが最初の目的ではない」
「文藝春秋」1月号に朝日新聞元記者の植村隆の独占手記を掲載するにあたって、同誌編集部が「我々はなぜこの手記を掲載したのか」という文章を発表しているが、そのなかの一節である。「文藝春秋」1月号は発売翌日に8万部の重版を決めた。これは高倉健効果だろう。
http://lite-ra.com/2014/12/post-697.html

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3)【本日の一行情報】

◎「EMODAネイルカラー4色セット」を附録とした「JELLY」(ぶんか社)1月号が売れた。
http://mdpr.jp/gal/detail/1452688

不正アクセスによる改ざんを受けて閉鎖していた健康情報サイト「産経health」が1ヶ月半ぶりに再開した。
http://www.security-next.com/054393

電子書籍ストアの「eBookJapan」は宝島社の「このマンガがすごい!」とタイアップし、過去9年分のランキングを1位から10位までオトコ編・オンナ編一挙に掲載している。
http://www.ebookjapan.jp/ebj/special/konomanga.asp

KADOKAWAは「ゲームの電撃 感謝祭2015」「電撃文庫 春の祭典2015」「電撃コミック祭2015」を、2015年3月15日(日)、東京・ベルサール秋葉原秋葉原UDXで同日開催する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001159.000007006.html

Instagramの月間ユーザーが3億人を達成。2億8000万人のツイッターを追い越した。
http://jp.techcrunch.com/2014/12/11/20141210not-a-fad/

◎「Twitterの2014年」が公開された。日本で盛り上がったのは「#Sochi2014」「増税の瞬間のレシート」「#いいとも最終回」「#STAP細胞」「#コミケ」「#広島土砂災害」「#KeiNishikori」「#御嶽山」「#スーパームーン」「ダルビッシュ選手の交際宣言」「#高倉健」という11項目であった。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1412/10/news173.html
https://2014.twitter.com/moments/japan

◎学研グループのデジタル事業会社であるブックビヨンドは、BS-TBSと電子出版事業について業務提携し、同社の放送番組を電子書籍ライブラリーとして配信する。第1弾は音楽番組「SONG TO SOUL」の中から視聴者に好評だった回をセレクトし、時代を超えて愛された名曲が生まれた背景と時代を辿る読み物として電子書籍シリーズ化した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000009949.html

電通の海外本社「電通イージス・ネットワーク」は、ブラジルのOOH領域を専門とする広告会社「OOH Plus Participacoes Ltda」の株式100%を取得することについて、同社株主と合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/1212-003901.html

電通11月度単体売上高。雑誌が頑張っている。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2014109-1205.pdf

文藝春秋は、「文春e-Books 週刊文春ミステリーベスト10 2014」を無料配信している。
http://www.atpress.ne.jp/view/54894

◎読売出版広告賞の大賞は小学館「連載20周年名探偵コナン」に決定。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141211-OYT1T50142.html?from=ytop_ylist

中村文則「教団X」(集英社)の刊行を記念して、中村のサイン会が1月9日に丸善日本橋店で開催される。
http://blog.shueisha.co.jp/event/index.php?ID=237

講談社とエキサイトが共同で配信中のアプリ「週刊Dモーニング」は、ヴァル研究所が提供中の乗り換え案内アプリ「駅すぱあと」とのコラボキャンペーンを開始した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000434.000001346.html

洋泉社江戸川乱歩生誕120周年を記念して「江戸川乱歩映像読本」を刊行。洋泉社は宝島社の子会社である。
http://www.yosensha.co.jp/book/b185677.html
洋泉社といえば2010年に亡くなった石井慎二の名前を思い出す。石井は宝島社社長の蓮見清一の片腕であったわけだが、実は石井のほうが一歳年上である。蓮見とのコンビは、革マル派の拠点であった早稲田大学新聞会以来、石井が死ぬまでつづく。
二人とも「週刊現代」のデータマンをつとめていた。「週刊ボスト」創刊に際しては、蓮見のみが移っていくが、これも石井との合意のうえでのことであったそうだ。講談社出身の山田洋が「クオリティ埼玉」に次のように書いていた。
「私が途中入社した出版社で週刊誌の編集部に配属されたが、少し前まで蓮見氏が契約記者として在籍していたというではないか。後に宝島社で彼の片腕的存在になる石井慎二氏(故人)は記者として残っていた」
http://www.qualitysaitama.com/?p=26087

◎日販は、ディズニー映画「ベイマックス」公開を記念し、日販オリジナル企画としてイラストコンクールを実施。また1月31日まで、「ベイマックス」関連書籍の書店店頭フェアを全国624店舗にて展開する。講談社5点、KADOKAWA2点、偕成社1点という内容だ。
http://www.asahi.com/and_M/information/pressrelease/Cdpress000104242.html

ドワンゴが新サービス「ニコキャス」を正式公開した。15分限定、タイムシフトなしのライブ動画配信サービスである。「ニコキャス」はniconicoアカウントを必要とせず、有料のプレミアム会員でなくても無料で配信できる。またニコ生と違って視聴画面にコメントが流れないそうだ。
http://jp.techcrunch.com/2014/12/12/jp20141212nicocas/

◎雑誌もEC通販に積極的に関与していく必要があるはずだ。
http://news.mynavi.jp/news/2014/12/12/120/

◎原宿にLINE公式キャラクターグッズショップ「LINE FRIENDS STORE」がオープンした。
http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1412/11/news105.html

インフォレストの負債総額は関連2社も含めて39億2200万円。
http://www.asahi.com/articles/ASGDC66JTGDCULFA036.html?iref=comtop_list_biz_n01

幻冬舎は40代独身女性をターゲットにした「DRESS」を発行するgiftを決済代行サービスの大手パスに株式81.5%を5090万円で売却。giftの2014年3月期の売上高は6億5000万円、営業損益は3億4400万円、純損益は3億4200万円だったそうだ。
「当社は、『DRESS』を情報発信の基盤として活用し、当社事業のEC事業、旅行事業と連携し、ビジネスの創出やサービス、商品を提供していくことにより、顧客ロイヤルティを獲得してまいります。
なお、当社が子会社化した後も株式会社幻冬舎は引き続き株式10%を保有し、同社が培った出版事業の強みを活かし、雑誌『DRESS』の出版で支援を受けてまいります」
http://www.pathway.co.jp/whatsnew/141127.pdf
こういう手を使うのは、いかにも見城徹らしい。しかし、「DRESS」が浮上するとは思えない。

トーハンは、リアル書店の店頭活性化を図るべく、KADOKAWAと、 オンライン書店、電子書店、リアル書店の3チャネルを融合した連携施策を実施する。全国約3,000軒のe-hon加盟書店店頭とe-honとが連携。書店とネットをつなぐ「KADOKAWA×e-hon祭り(仮)」を開催したり、トーハンの「Digital e-hon」と電子書店「BOOK☆WALKER」とで、電子本棚の連携も予定している。
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/kadokawa/

折口信夫の「死者の書」を近藤ようこが「コミックビーム」でマンガ化に挑戦する。版元は角川源義が創業したKADOKAWA。源義は折口の弟子であった。
http://natalie.mu/comic/news/133630

学研教育出版とブックビヨンドは、AppleiBooksで配信しているデジタル絵本「ぴよちゃんのおはなしずかん おてがみきたよ」の英語版「Little Piyo, You’ve Got a Letter!/Picture Book(Look,Listen and Learn)」をiBooksで先行無料配信する。
http://www.work-master.net/201410104

◎株式会社共同通信社の業務用パソコン2台が不正なプログラム(マルウエア)に感染、そのうちの1台から最大で1万7000件の個人情報が流出している可能性があることがわかった。株式会社共同通信社は「一般社団法人共同通信社」の子会社である。政財界の幹部を対象とした「きさらぎ会」会員向け情報誌「KyodoWeekly」の発送先リスト、2014年2月に開催した消費増税などに関するセミナーの参加者リスト、地域情報サービスの顧客リストが流出した可能性がある。
http://www.kyodo.co.jp/notice/2014-12-12_1307470/
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/121202232/

◎NADiff Galleryは、神藏美子の写真集「たまきはる」(リトルモア)の発売を記念した展覧会を2014年12月12日(金)から開催する。神藏によれば「世界のベストセラーである聖書を、キリスト教という宗教の世界からではなく、イエスの方舟の千石剛賢氏の聖書解釈に出会ったことから、探求してきました」。
http://ddnavi.com/news/218376/

未来屋書店×円谷プロによるリアル謎解きゲーム「謎解き体験ミステリー 破裂する電脳 inspired by 怪奇大作戦」が2015年1月10日からスタート。ストーリーを手がけるのはキバヤシ隊長(樹林伸)だ。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1412/12/news164.html

小学館の「ゲッサン」はネットラジオ番組「ゲッサンラジオ」はYouTube小学館公式チャンネル内で立ち上げた。毎月12日の深夜24時に公開される。これがそう。
https://www.youtube.com/watch?v=Af5ucIeqEKo&feature=youtu.be

双葉社と浅草ゲームズは、新規出版ビジネスの一環として、スマホ向け横スクロールアクションゲーム「クレヨンしんちゃん 空飛ぶ!カスカベ大冒険!」を公開した。
http://www.dreamnews.jp/press/0000104382/

◎日販は11月の雑誌・書籍・コミック売上動向を発表。雑誌・書籍・コミック合計売上は前年同月比2.2%減。雑誌は5.3%減、書籍は3.9%減、コミックは6.4%増。
http://ryutsuu.biz/sales/g121215.html

学研パブリッシングが2013年12月に刊行した「わたしはマララ」の発行部数が累計12万部となり、同社は「マララ基金」に8000ドルを寄付。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000096.000007512.html

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4)【深夜の誌人語録】

真剣をもって遊ぶのが仕事である。