【文徒】2014年(平成26)12月16日(第2巻236号・通巻438号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「いま語らねばならない戦前史の真相」刊行記念イベントに参加した
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.12.16 Shuppanjin

1)【記事】「いま語らねばならない戦前史の真相」刊行記念イベントに参加した

去る12月14日、紀伊國屋書店新宿本店の紀伊國屋ホールで開かれた、孫崎享鈴木邦男、岩上安身の三氏によるトークセッション「2014−2015 ニッポンの分かれ道」に出席した。このイベントは孫崎、鈴木の二人が黒船から敗戦に至るまでの日本の歴史を縦横無尽に語る「いま語らねばならない戦前史の真相」の刊行を記念してのものであった。
この日はちょうど衆議院選挙の投票日であり、午後2時からの開演ということもあって、清き一票を投じて開場にかけつけた観客も多かったのではないだろうか。私もその一人であった。はっきり言って憂鬱な選挙であった。前日、私は酔っ払いながらフェイスブックに次のように書いた。
「理屈じゃなくて、一票を大切にしようと思えば思うほど選挙に行きたくなくなる。有権者が選挙区を選べれば良いんだけど」
結局、私は、小選挙区で棄権し、比例代表のみ投票した。トークセッションの冒頭で孫崎が今回の選挙について触れていたが、本来であれば自民党が大敗すべき選挙であるにもかかわらず、自民党が大勝してしまうことは私にも予想ができた。
前回の総選挙で自民党を圧勝させたアベノミクスなる経済政策は破綻し、景気は明らかに後退期に入ったにもかかわらず、である。歴史にイフは禁物だが、日本の近代史を辿ると不思議なことだらけである。そんな歴史の不思議に孫崎と鈴木は立ち向かっていったのである。そんな二人に岩上が噛むトークセッションが面白くないはずはない。実際、会場を後にするに際して、私の憂鬱な気分は少しばかり晴れた。
それにしても、だ。「いま語らねばならない戦前史の真相」を一読して思ったし、この日のトークセッションでもそう感じたのだが、私にはかつて「新右翼」と呼ばれた鈴木邦男がどうしても「リベラル」に見えてしまうのである。半藤一利など「左翼」に見えてしまうほど、社会を覆う空気は変わってしまっていると言うべきか。世の中の空気が悪性のナショナリズムに汚染され始めているということなのかもしれない。しかし、孫崎享が「いま語らねばならない戦前史の真相」の「まえがき」で書いているように「いま、問題山積の日本で愛国的であるならば、その人は憂国的でもあるはずだ」と私も思う。
http://www.gendaishokan.co.jp/article/T00053.htm
ちなみに版元を同じくする拙著「三角寛『サンカ小説』の誕生」の隠れたテーマもナショナリズムである。未読の方は是非!
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-5658-3.htm
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011111400015.html
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011122500009.html
http://homepage1.nifty.com/kybs/prize01.html

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

有吉弘行ツイッターフォロワー数が12日時点で371万2815人となり、横浜市の人口を超えた。
http://news.livedoor.com/article/detail/9570360/

◎米アマゾンはプライム会員向けのプライベートブランドAmazon Elements」を立ち上げた。
http://economic.jp/?p=44121

◎全国の丸善書店ジュンク堂書店の書店員が、「今年、読みのがしたくない本」として、強力におすすめしたい1冊を選んだ「本の収穫祭2014-今年読み逃した本はありませんか-」。
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=7468
このリストを私はオススメできない。

日本作曲家協会が主催する「第56回輝く!日本レコード大賞」の各賞が発表されたのは11月19日のことだが、何と高倉健に「特別栄誉賞」が贈呈されることになった。ところが、高倉の所属事務所から辞退の申し出があり、急遽、贈呈が取り止めとなった。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20141212-OYT1T50139.html?from=hochi
日本レコード大賞」の権威が地に墜ちたというよりも、「日本レコード大賞」が高倉健を利用しようという魂胆を高倉サイドに見透かされたということだろう。

◎「ブルータス」(マガジンハウス)の特集は「読書入門。」。
http://magazineworld.jp/brutus/brutus-792/

自民党の熱狂的な支持者はマスコミ嫌いであることがわかる。格差社会が生み出した現象であろう。
http://blogos.com/article/101183/

◎nendoの佐藤オオキと雑誌「Pen」が「まったく新しい革製品」を公募しプロダクト化するプロジェクト「JAPAN LEATHER INNOVATION」は「まったく新しい革製品」のアイデアを12月25日まで募集している。1月中旬に特設サイトと「ペン」の誌面で審査結果を発表し、グランプリ作品は、3月下旬に阪急百貨店で展示される。
http://www.jli2015.jp/

◎「GIVENCHY」は、2015年春夏広告キャンペーンにジュリア・ロバーツを起用。
http://www.fashionsnap.com/news/2014-12-14/givenchy-2015ss-add/

日本雑誌協会 デジタル国際委員会が12月27日から1月4日まで実施する「NEXT MAGAZINE」に講談社の「with」も加わった。
http://www.nextmagazine.jp/

主婦の友社の「電子版絵本シリーズ」から安西水丸の「りんごりんごりんごりんごりんごりんご」、松園直美+伊藤正道の「いとしのリトルブルー」がリリースされた。この「電子絵本シリーズ」はタブレットに最適だ。その存在を知らしめるための工夫が必要だろう。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000351.000002372.html

◎創刊35周年を迎えた女性マンガ誌「BE・LOVE」がロゴを一新した。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1412/15/news081.html

◎書店員にとって迷惑な客のランキングを掲載しているサイトを発見した。
1位「注文する本のタイトルすらわからない客」
2位「他の店では置いてたぞっていう客」
3位「万引きする奴」
4位「文具破壊する客」
5位「子供を放置する客」
6位「コミックのビニール勝手に開ける客」
7位「文具確認しないで買って返品しにくる客」
8位「大声で騒ぐ客」
9位「立ち読みしてずっとどかない客」
10位「商品棚荒らす客」
http://girlsvip-matome.com/acv/1015508731.html

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

おしゃべりは話し上手ではない。話し上手は聞き上手なのである。