【文徒】2015年(平成27)1月20日(第3巻11号・通巻456号)

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1)【記事】KADOKAWAの大リストラにもの申す
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】KADOKAWAの大リストラにもの申す

1月17日付読売新聞は、KADOKAWAのリストラについて次のように書いている。
「KADOKAWAは出版社などの買収を繰り返してきたため、業務内容に対する人員の偏りなどがみられるという。人員の適正な配置で収益性の向上を目指す」
持ち株会社のもと、出版社の買収を繰り返し、そのうえでKADOKAWAのもとに統合したのであれば、当然「業務内容に対する人員の偏り」が発生することは、角川歴彦にも、佐藤辰男にも、松原眞樹にもわかっていたはずだ。
それを承知のうえでの統合であったということである。リストラの対象となった社員は、この「三馬鹿トリオ」による従業員の人生よりも、株価対策を優先する「新自由主義的」経営の犠牲者であろう。人員の適正配置など念頭に置かず、買収を繰り返した果てに経営統合したことで、単体としての売上高は出版業界第1位となったものの、その内実は「張子の虎」に過ぎず、遂には莫大な赤字を記録し、ドワンゴに吸収されることがなければ、「経営破綻」を招かざるを得なかったであろう経営者の適正配置が先である。
「三馬鹿トリオ」の総退陣を求めないKADOKAWAの社員が不思議でならない。各ブランドカンパニーごとの売上高からしても、リストラという名の首切り合理化政策が300人にとどまることなどあるまい。
http://www.yomiuri.co.jp/job/news/20150117-OYT8T50034.html
KADOKAWAで大リストラを発表した「三馬鹿トリオ」と違って、川上量生の読書センスは悪くない。斎藤環「ヤンキーと精神分析」、与那覇潤「中国化する日本」、ニコラス・G・カー「ネット・バカ インターネットが人間の脳に与える影響」を読んでいる。
http://blogos.com/article/103655/
蛇足ながら記せば、あれは今から15年ほど前の出来事であったろうか、「角川日本地名辞典」などを刊行していた角川文化振興財団が編纂室を解散し、14名を解雇した。このうち10名が労働組合を結成し、財団と親会社に雇用の継続を求める裁判を起こし、職場を占拠した。最終的には和解が成立し、このときは組合員2名の雇用が確保されたと記憶している。

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2)【本日の一行情報】

三省堂書店有楽町店は、発売前の女性作家による小説のプルーフを無料提供して作者が誰かを当てる企画「誰本」を実施している。文芸書担当の新井見枝香は銀座経済新聞で次のようにコメントしている。
「普段は注文数の目安を把握したり感想を集めるために書店員に配布される『プルーフ』を、販促や来店促進に使えないかと講談社の方が提案してくださったことをきっかけに、3カ月の準備期間を設けて実施にいたった企画」
これは良いアイデアだ。講談社、やるじゃないか。
http://ginza.keizai.biz/headline/2689/

◎個人情報大量漏洩で揺れたベネッセも必至だ。小学校入学を控えた児童を対象に「チャレンジ 1 年生 入学直前準備号」を書店で発売した。添削ゼミを書店店頭で販促しなければならないほど、ベネッセは追い込まれているということである。
http://blog.benesse.ne.jp/bh/ja/news/m/2015/01/16/docs/20150116release.pdf

ヤマハミュージックメディア、CLINKS、小学館は、リリース予定のスマホ向けゲームアプリ「オオカミ姫」に登場するキャラクターをユーザーから募集する「オオカミ姫プロジェクト 新キャラコンテスト」を小学館が運営する無料漫画サイト「裏サンデー」で実施する。
http://urasunday.com/okami-hime/index.html

デアゴスティーニ・ジャパンは「映画クレヨンしんちゃんDVDコレクション」を2月17日に創刊。双葉社じゃないんだ。創刊号は鬼才・原恵一の傑作「嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」が780円。イーストウッドの「ガントレット」に対するオマージュが嬉しかったよね。ともかく泣ける映画だった。
http://deagostini.jp/cys/

◎「BookLive!」が双葉社フェアを開催している。人気マンガ10作品の第1巻を無料で配信すると同時にクーポンを利用すると、双葉社のマンガ全作品を表示価格の20%OFFで買える。
http://booklive.co.jp/release/2015/01/161130.html

日本女子プロゴルフ協会は、不正アクセスによって選手の顔写真などが流出したと発表。流出データは2万件に及ぶそうだ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/011600197/

徳間書店のファッション誌「LARME」は、プリントシール機 「USAGI」とコラボ。
http://tokyofrontline.com/archives/29610

◎「Car of the DIME 2014」が発表され、ベストバリュー賞にマツダの「デミオ」が選ばれた。
http://dime.jp/genre/174010/
「@DIME」と「NEWSポストセブン」が合体したら、凄いマスメディアがネットに誕生することになると私は思っている。

◎日本代表MF香川真司の公式ツイッターのフォロワー数が100万を突破。日本のサッカー選手としては初めての100万オーバーである。
http://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20150116/271909.html

◎ハーレクインって33言語・110カ国で展開しているのか。女性向け乙女系ライトノベルのコミカライズの新レーベル「乙女ドルチェ・コミックス」を創刊した。「公爵様の読書係〜手探りの愛撫〜」はヴォイスドラマCD付で798円。
http://dolcecomic.jp/special/

◎「夜のオネエサン」こと鈴木涼美が受験について語っている。
http://www.asahi.com/articles/ASH1J4CHSH1JUEHF009.html
鈴木の文章は何故かオレを勇気づけるんだよね。「夜のオネエサン」は屈折を抱えながら生きているオトウサンの味方だ。

ドワンゴニワンゴが運営する動画配信サービス「niconico」が主催し、1月31日と2月1日に幕張メッセで開くゲームのイベント「闘会議2015」に任天堂が特別協賛している。昔の任天堂であれば特別協賛などしなかったのではないだろうか。これは任天堂の危機意識の現れでもある。花札の大会もやるんだって!
http://www.sankeibiz.jp/business/news/150118/bsj1501180700003-n1.htm

朝日新聞記者有志による文春新書「朝日新聞 日本型組織の崩壊」を興味深く読む。要するに「週刊文春」が指摘した朝日新聞の「売国のDNA」は、「極めて日本的な組織の病」によって育まれたということなのだろう。この「極めて日本的な組織の病」は、私見を言えば、かつての陸軍参謀本部とも相似形をなす。官僚的組織、エリート主義、派閥、事なかれ主義…どうやら朝日新聞に「敗戦」はなかったようである。「朝日新聞記者有志」ってのは、青年将校ということになるのかなあ?
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610150

◎「進撃の巨人展」の延べ入場者が25万人を突破し、大入り袋が配られた。
http://animeanime.jp/article/2015/01/18/21628.html

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3)【深夜の誌人語録】

無理はするものである。そこで逡巡してはならないのだ。