【文徒】2015年(平成27)1月29日(第3巻18号・通巻463号)

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1)【記事】主婦の友社のWEBマガジン
2)【記事】共同通信記者の官僚体質を垣間見た
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】主婦の友社のWEBマガジン

経絡リンパマッサージ協会がWEBマガジン「ベツバラ」の「ビューティー、メンタル、不調改善にも!あなたの知らない経絡リンパマッサージ」を監修している。「ベツバラ」を運営しているのは主婦の友社である。
http://klma.or.jp/publicity_betsu/
「ベツバラ」は、こんなWEBマガジンである。
http://vitaminef.jp/
主婦の友社には他に「暮らしニスタ」「主婦の友キッチン」「ナチュラル生活」「親・家・片」といったWEBマガジンを擁している。
http://kurashinista.jp/
http://www.shufunotomo.co.jp/kitchen/
http://natural-life.shufunotomo.co.jp/
http://o-ya-kata.com/
あくまで私の評価だが、最も出来が良いのが「ベツバラ」である。「親・家・片」や「ナチュラル生活」の視点は良いのだが、もっとオーディエンスが積極的に関与できる「広場」があっても良いと思う。これは「主婦の友キッチン」についても言える。これも私の持論であるが、WEBマガジンは、オーディエンスをオーディエンスにとどめておくべきではないのである。いかにオーディエンスにアンガージュマンさせるかがとても重要なテーマであると思うのだ。WEBマガジンもまたソーシャルメディアとしての機能が求められているのではないだろうか。
いずれにしても、デジタル絵本や電子新書に取り組むなど、電子書籍の領域においても新機軸を打ち出している主婦の友社という老舗出版社のデジタル戦略に注目していきたい。
これは主婦の友社に限らないことだが、「紙からデジタルへ」を実現しつつ、「デジタルから紙へ」も実現することが出版社には問われているのである。

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2)【記事】共同通信記者の官僚体質を垣間見た

東京新聞が1月21日付朝刊で掲載した「ビデオ映像 加工・合成の疑い 『影不自然』『ピントずれ』専門家指摘」のなかで映像編集者の田巻源太による「太陽光では原則こうした影はできない」というコメントは、「太陽光でもこうした影ができることはある」の間違いだった。まるで逆じゃないの!共同通信による配信記事とのことである。東京新聞は1月27日付朝刊で「訂正」を出した。この「訂正」も共同通信の配信だろう。
http://gohoo.org/15012703/
田巻は自らのブログに次のように書いている。
「さすがに、自分の発言と乖離した文章が一人歩きしていることに、合点がいかず、共同通信社の記者さんに電話しました。
『あのー、僕、太陽光でもああいった影出る可能性あるっていいましたよね?』
と。
回答は
『そうですよね、おっしゃっていましたよね。
でも、あのあと政府関係者からも合成の疑いがってコメント出ましたよね。なので、それに沿わない部分は書く必要なくなっちゃいまして。
それに、ちゃんと"原則"って追加したんで、太陽光下で100%出ないってことには読めない文章になってますんで』
はい?
政府の発表と違う部分は削除?
『原則』ってつければ、違う場合も許容される?
もう、なんか悲しくなってきました。
ただ単に、噂に真実味を持たせるためだけに、映像作っている人間なら誰でもよかったんでしょうね。
肩書きと実名が欲しかった。合成の疑いを否定しないコメントだけ載せる。
なんのための取材なんだろ。
悲しくなって、TwitterFaceBookではすぐに、この記事の俺の発言おかしいからね、という趣旨のことは書きましたが、
日を置いて、やっぱりやるせないので、このブログにも残しておきたいと思いました」
http://metasan.blogspot.jp/2015/01/blog-post_23.html
共同通信のこの記者は「官僚の作文」をもって記事を書くのがお得意なのだろうが、私に言わせれば、これは明らかにコメントのデッチ上げである。そういう認識が記者の側にないことが問題である。田巻のブログによれば「共同通信は取材記者と執筆記者が別であり、
記事の内容が膨らんでいくなか、文章量をへらす編集を行った最終段階で、情報の伝達が不十分な状況で書き換わり、また取材対象者である田巻に確認を怠ったことから来るミスである」と説明したようだが、要するにあらかじめストーリーありきの記事であったということだろう。
http://metasan.blogspot.jp/2015/01/blog-post_27.html

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3)【本日の一行情報】

◎「東洋経済オンライン」がこの5年間で広告宣伝費を増やした企業のベスト100をランキングしている。1位から20位までを紹介しておこう。1位「武田薬品工業」、2位「日産自動車」、3位「ソニー」、4位「イオン」、5位「ファーストリテイリング」、6位「トヨタ自動車」、7位「三菱自動車」、8位「キリンホールディングス」、9位「山崎製パン」、10位「住友化学」、11位「セブン&アイ・ホールディングス」、12位「富士重工業」、13位「コカ・コーラウエスト」、14位「マツダ」、15位「フジ・メディア・ホールディングス」、15位「NTTドコモ」、17位「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」、18位「バンダイナムコホールディングス」、19位「コカ・コーライーストジャパン」、20位「ユニ・チャーム」。
http://toyokeizai.net/articles/-/58992

日本通信販売協会の調査によれば、過去1年間で書籍購入に利用したことがあるチャネルは、「リアル書店」が73.7%、「ネット書店」(電子書籍以外)が44.8%であり、「ネット書店」を最も利用しているのが40代だそうだ。
http://internetcom.jp/wmnews/20150126/research-about-online-and-physical-bookstores.html

◎「紀伊國屋じんぶん大賞2015――読者と選ぶ人文書ベスト30」フェアが2月6日(金)より開催される。こういう大賞の存在は嬉しい限りである。
【大賞】 『弱いつながり――検索ワードを探す旅』(東浩紀幻冬舎
【2位】 『視覚文化「超」講義』(石岡良治、フィルムアート社)
【3位】 『九月、東京の路上で――1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹、ころから)
【4位】 『ラインズ――線の文化史』(ティム・インゴルド、左右社)
【5位】 『セラピスト』(最相葉月、新潮社)
【6位】 『大杉栄伝――永遠のアナキズム』(栗原康、夜光社)
【7位】 『思考の取引――書物と書店と』(ジャン=リュック・ナンシー岩波書店
【8位】 『反逆の神話――カウンターカルチャーはいかにして消費文化になったか』
(ジョセフ・ヒース/アンドルー・ポター、NTT出版
【9位】 『哲学入門』(戸田山和久ちくま新書
【10位】 『街の人生』(岸政彦、勁草書房
【11位】 『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』(宮沢章夫NHK出版)
【12位】 『アンチ・モラリア――〈器官なき身体〉の哲学』(江川隆男河出書房新社
【13位】 『『ボヴァリー夫人』論』(蓮實重彦筑摩書房
【14位】 『理不尽な進化――遺伝子と運のあいだ』(吉川浩満朝日出版社
【15位】 『明治の表象空間』(松浦寿輝、新潮社)
【16位】 『映画とは何か――フランス映画思想史』(三浦哲哉、筑摩選書)
【17位】 『うつの医療人類学』(北中淳子、日本評論社
【18位】 『人類が永遠に続くのではないとしたら』(加藤典洋、新潮社)
【19位】 『文体の科学』(山本貴光、新潮社)
【20位】 『魂のレイヤー――社会システムから心身問題へ』(西川アサキ、青土社
【21位】 『月の裏側――日本文化への視角』(クロード・レヴィ=ストロース中央公論新社
【22位】 『借りの哲学(atプラス叢書)』(ナタリー・サルトゥー=ラジュ、太田出版
【23位】 『現代社会の存立構造/『現代社会の存立構造』を読む』(真木悠介大澤真幸朝日出版社
【24位】 『平等の方法』(ジャック・ランシエール、航思社)
【25位】 『日本思想全史』(清水正之、ちくま新書
【26位】 『浮浪児1945――戦争が生んだ子供たち』(石井光太、新潮社)
【27位】 『帝国の慰安婦――植民地支配と記憶の闘い』(朴裕河朝日新聞出版)
【28位】 『鑑の近代――「法の支配」をめぐる日本と中国』(古賀勝次郎、春秋社)
【29位】 『生き延びるための世界文学――21世紀の24冊』(都甲幸治、新潮社)
【30位】 『日本型排外主義――在特会外国人参政権・東アジア地政学』(樋口直人、名古屋大学出版会)
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201501237103/
たった10冊しか読んでいない自分が恥ずかしい。救いはベスト3を読んでいることか。皆さんは何冊ぐらいお読みですか?

ジュンク堂書店が「安彦良和書店」を企画しているぞ!安彦がどんな選書をするか楽しみである。私は安彦の熱烈なる支持者である。右手に「虹色のトロツキー」、左手に「満州国演義」だからね。
http://www.junkudo.co.jp/mj/news/detail.php?news_id=38

講談社は台湾のハイテク企業であり、体感型シミュレーションシステムで知られているブロージェント・テクノロジー合弁会社を高雄に設立し、デジタルコンテンツの開発などに取り組むという。
http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201501260004.aspx
http://taiwantoday.tw/ct.asp?xItem=226764&ctNode=1772

電子書籍レンタルサイト「Renta!」は女優・麻生久美子を起用したテレビCMの放映を開始した。
http://www.papy.co.jp/info/index.php?page=/release/150126.htm

◎「『マッサンの妻』竹鶴リタが大切にしたもの」が集英社から刊行された。著者の竹鶴孝太郎はマッサンの孫。
http://www.dreamnews.jp/press/0000105622/

カタール航空が米国の旅行業界専門メディア「SKIFT」のベスト・エコノミー・ロングホール・エクスペリエンス賞(最優秀長距離エコノミークラス体験賞)を受賞した。今度はエミレーツではなくカタール航空を利用しよう。
http://response.jp/article/2015/01/27/242657.html

◎gumi、双葉社、浅草ゲームズは、スマホ向けジャンプアクションゲーム「クレヨンしんちゃん for KAKAO」の韓国における配信を開始した。
http://www.4gamer.net/games/999/G999904/20150127016/

日経編集制作センターの堤雅一担当部長が東西線車内における痴漢の容疑で逮捕された。堤容疑者は日本経済新聞社からの出向社員だそうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASH1W3629H1WUTIL004.html
朝日新聞出版の契約社員谷本雅彦容疑者(50)は盗撮の容疑で逮捕された。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150128-OYT1T50077.html

フェイス・ワンダワークスは、15秒間の声の投稿によるスマホ向けSNS「eeCoe(ええこえ)」のサービスを開始した。
http://www.giga.co.jp/gaia_htdocs/release/20150127_eeCoe.pdf
ちょっと無理があるような気もするけれど。アイドルとかお笑い芸人、AV女優が参加すればフォロワーは増えるだろうけれど、オレなんかは使わない。

◎ニールセンの調査によれば2014年に最もユーザーの増加率が最も高かったSNSは「Instagram」であったという。
http://hbol.jp/22701

◎王様書房の柴崎繁が共同通信の取材に「雑誌は書店の命。その売り上げが減ったらやっていけない」「雑誌は店の呼び水。最新号が来ればお客さんが来る。でも最近は週刊誌が手に取られにくくなっている」と語っている。
http://www.47news.jp/47topics/e/261427.php

◎水曜日の夜10時から放映されている日本テレビのドラマ「○○妻」が大ヒットしている。主演は柴咲コウ、脚本は「家政婦のミタ」の遊川和彦。これ流行語になるな。
http://toyokeizai.net/articles/-/58840?utm_source=gunosy&utm_medium=http&utm_campaign=link_back

名古屋大学の19歳女子大生が77歳の老女を斧で数回殴り、マフラーで首を絞めて殺害した。「幼い頃から人を殺してみたかった」と供述しているそうだ。新聞は当然、この女子大生の氏名も、顔写真も公開していない。一昔前であれば、「週刊新潮」なり、「週刊文春」が新聞では報道しなかった実名や顔写真を公開して大騒ぎとなったものだが、今や「週刊新潮」や「週刊文春」が報じる前に実名も、顔写真も、更には動画までもがネットによって暴露されてしまう。
http://miroku.ldblog.jp/archives/43105131.html
ツイッターの自己紹介欄には「上中_聖ウルスラ名古屋大学理学部一年(今ここ)→名古屋大学大学院→自宅警備員→刑務所→拘置所」とある!「名大出身死刑囚ってまだいないんだよな」なんていうツイートをしている。「12月4日、今日は新宿区歌舞伎町で17歳の少年が手製の爆弾でビデオ店を破壊した日です。(2000年)キレる17歳世代です(^^)妹は彼の大ファンです」とか「ブラームス酒鬼薔薇はほぼ同じ時期に知った」「教職レポートで1ヵ所『生徒』が『聖斗』と誤変換されていたので書き直しである」というツイートも残している。

三省堂書店スマートフォン向けアプリ「クラブ三省堂」をダウンロードし、神保町本店、海老名店、名古屋高島屋店の3店舗の特設コーナーにてアプリのキャンペーンボタンをタップすると、仲間りょう「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」(集英社)の描き下ろしエピソードが読めるキャンペーンが、2月4日から28日まで実施されている。
http://natalie.mu/comic/news/137106

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4)【深夜の誌人語録】

斜めに構えて実力の無さを隠蔽してはならない。実力がなくとも正面から向き合うことで仕事は前進するのだ。