【文徒】2015年(平成27)1月28日(第3巻17号・通巻462号)

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1)【記事】ハースト婦人画報社について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.01.28 Shuppanjin

1)【記事】ハースト婦人画報社について

ハースト婦人画報社は、ファッション通販サイト「ELLE SHOP」において、1月23日よりメンズ商品の取り扱いを本格的に開始した。
http://www.hearst.co.jp/whatsnew/20150126_elleshop_men
「メディア業界全体を揺さぶっている大波は、当面おさまらないでしょう。むしろ、これが常態となるのだと思っています」と語るハーストマガジンズの社長デイヴィッド・キャリーではないが、雑誌が生き残るためには発想を「Months」から「Moments」に転換しなければならないはずだ。「Moments」を欠如した月刊誌などあり得ないのだ。瞬間を捉えることができるのはインターネットであり、これを閲覧するのは机上のパソコンではなく、路上のスマホなのである。この程度の認識は共有しなければなるまい。月刊誌で取り上げたことをインターネットで配信しても意味がないということだ。
http://www.hearst.co.jp/whatsnew/150120-Corp-David-Carey-New-Year-Message
そうそう「Harper's BAZAAR」が月刊化された。
http://mdpr.jp/review/detail/1463064
しかし、私がハースト婦人画報社に不満を抱くのは、一誌としてABC考査を受けていないことである。日本の広告業界が舐められていると言わざるを得まい。アメリカでは当然、ABCに加わっているのだ。このダブルスタンダードに対して私は決して黙認できないのである。

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2)【本日の一行情報】

千趣会は「ベルメゾンマンスリークラブ」で、ハンドメイドキットの新カタログ「まなびば」を日本ヴォーグ社とのコラボにより創刊した。「まなびば」はA4版12ページで初版130万部を発行。白い器に転写紙を貼って絵柄を付ける「ポーセラーツ」や、ステンドグラスのような作品がより簡単に作れる「グラスアート」など5種類のコースがあり、顧客が好みのコースを選んで申し込みむと当該コースのハンドメイドキットとテキストが毎月1回(全12回)届けられる。
http://www.senshukai.co.jp/main/top/press/release/20150113/index.html

紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!2015」が発表された。
【1位】『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』(佐々涼子早川書房
【2位】『殺人犯はそこにいる−隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(清水潔、新潮社)
【3位】『鹿の王  上・下』(上橋菜穂子、KADOKAWA)
【4位】『サラバ! 上・下』(西加奈子小学館
【5位】『帰ってきたヒトラー 上・下』(ティムール・ヴェルメシュ/森内薫(訳)、河出書房新社
【6位】『マップス』(アレクサンドラ・ミジェリンスカ ダニエル・ミジェリンスキ、徳間書店
【7位】『れもん、よむもん!』 (はるな檸檬、新潮社)
【8位】『窓から逃げた100歳老人』(ヨナス・ヨナソン柳瀬尚紀(訳)、西村書店
【8位】『殺人出産』(村田沙耶香講談社
【10位】『あしたから出版社』(島田潤一郎、晶文社
ベスト30まで発表されているが、出版社別でいうと新潮社が圧倒的な存在感を見せてくれた。何と7点がランクイン。次は講談社の3点となる。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201501237100/

◎第30回梓会出版文化賞が、あけび書房に決定した。
http://www.sankei.com/life/news/150126/lif1501260019-n1.html
社会福祉社会保障関連をテーマにした企画が多いという印象のある版元だが、「NHKが危ない!」や「これでいいのか!日本のメディア」といったメディアにかかわる書物も刊行している。あけび書房は次のような「あけび憲章」を掲げていることでも知られている。
・あけび書房の出版活動は、読者・筆者とともに「今日を生きる勇気と明日への夢を広げる共同事業」である。
・私たちは、「人間の幸福」につながる出版活動のみを追い求める。
・私たちの出版物は、明るさとのびやかさと骨太な素朴さに満ちあふれた「国民的な読み物」であるように努める。そのために、「手にとりやすく、読みやすく、わかりやすく、おもしろい」出版物を創り出すことに筆者等とともに努める。
・私たちは「だれのために、何のために出版するのか」を常に自らに問い続ける。そして、私たちは出版物を通じて、幸福と平和と自由のための闘いに参加する。
・私たちは「読者が主人公」の精神を堅持する。そして、私たちが最も大切にする読者は、「苦悩から歓喜へ」(ベートーヴェン)を希求する人々である。
・私たちは、その読者の生活の現実と彼らの出版物への必要性のみに依拠し、その他の一切の権威からは自由であり、その他の一切の誘惑からは無縁である。
・私たちは、私たち自身の良心と出版人としての理想にのみ忠実であり、その他の一切の束縛からは自由である。
・そのためには、私たちは学ばなければならない。生きた現実から、生活する人々から、幸福と平和と自由のための闘いから謙虚に学ばなければならない。
・私たちの出版理念を阻害する自らの怠惰と自らのうすっぺらな感性と、そして外からの抑圧には、真正面から闘わなければならない。
・「謙虚に学ぶことと、真正面から闘うこと」に対する私たち自身の確信の拠りどころは、出版人としての理念の原点にもどる以外にない。
・私たちの合い言葉は、「科学とヒューマニズム」「熱い心と冷めた頭脳」である。
・あけび書房が理念を持ちつづけ、その出版活動を発展させることのできる物質的条件は健全経営である。
・私たちは「あけび憲章」にかなった出版活動を「アジタート・マ・ノン・トロッポ(激しく、けれど穏やかに)」で追求する。
http://www.akebi.co.jp/
志あってこその出版である。

◎このマンガは駄菓子屋が舞台である。コトヤマの「だがしかし」は小学館の「週刊少年サンデー」に連載されていて、コミックスの第1巻が刊行されたが、コトヤマのツイートによれば、累計発行部数10万部に達したそうだ。
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20150125-00040225-r25
オレも読んでみたんだけれど、確かに面白い。しかも映像向きの作品だよね。
週刊少年サンデー」は新たなマンガ賞「超!サンデーOPEN」の募集も開始している。優秀な作品は「サンデーS」で即連載され、連載が決まれば…連載漫画の単行本1巻分確約され、連載準備金として30万円が進呈される。
http://websunday.net/open/

◎KADOKAWAは、電撃のゲームメディアによるゲームユーザー感謝イベント「ゲームの電撃 感謝祭2015」と、エンターテインメント・ノベル「電撃文庫」のファン感謝イベント「電撃文庫 春の祭典2015」、電撃のコミックが集結したイベント「電撃コミック祭2015」を、3月15日(日)、東京・ベルサール秋葉原秋葉原UDXで同日開催するが、イベント内容の詳細を発表した。
http://asciimw.jp/info/release/pdf/20150126.pdf
ラノベにはリアルイベントとメディアミックスが欠かせないことが理解できる。また、ラノベ、コミック、ゲームが「電撃」という同一ブランドのもとに結集していることの強みもあるだろう。

◎このマンガ、同性カップルがバレエを始めるという作品なのだけれど、何とBGM付きだぜ。チャイコフスキーの「くるみ割り人形」を聞きながら読める。実業之日本社WEBマンガサイト「COMICリュエル」で連載の始まった胡原おみの「アヒルのバレエ」だ。コミックスには当然、CDをつける?
http://j-nbooks.jp/comic/original.php?oKey=19

◎宝島社のメンズファッション誌「smart」がヌードグラビアを約3年ぶりに復活させる。
http://matome.naver.jp/odai/2142215883614709501?page=2
若者の雑誌離れは、雑誌が嫌いでそうなったわけではないことを理解しておく必要がある。雑誌を買いたくても雑誌を買うお金がないのである。スマホ代を払わなければならないからね。実はラノベにしても、中心読者は実態的に言えば30代のはずである。

◎スタバがニューヨークタイムズに出稿した広告。アルファベットを逆から書きはじめ、「MLK」の部分を赤字にしている。「マーティン・ルーサー・キング」のイニシャルというわけ。コピーは「It's time to look at things differently. Again.」。
http://adgang.jp/2015/01/86134.html

KADOKAWAの「角川oneテーマ21」の編集長・原孝寿はCS放送シアター・テレビジョンの番組「新書座談会」で次のように語ったという。
「…僕が編集方針でよく言うのは、正論や一般論ではお金は取れないということ。それは公共性があるものだから、読者の方が700〜800円を出してまで買ってくれない。では、何であればお金を払ってもらえるかと言うと、自分の体験を経てその内容に信頼性があるかどうかということ。外交をテーマにした本などを見てもらうとその意味がよく分かると思う。新書では外交官だった方が書かれた本が多いが、外交の現場の生々しい話は普通外には漏れ伝わらないので貴重感がある。だからお金を出してでも読んでみたいという方が多いのだろうと思う」
http://news.walkerplus.com/article/54664/

実業之日本社女性誌「body+」は、4月号よりリニューアルを断行し、誌名を「nice things.」に変更する。雑誌としての間口を広げるべくeat(食)、grocery(日用品)、skincare(スキンケア)、clothes(ファッション)、 green(植物)などをキーワードに掲げ、「意識のある生き方、おしゃれなライフスタイル」を提案するそうだ。
http://mdpr.jp/news/detail/1463116

毎日新聞社は26日、出版事業を4月1日付で分社化し、「毎日新聞出版株式会社」を設立する。朝日新聞同様に出版事業を独立させる。毎日新聞の体力を何とか維持するためのリストラということなのだろうが、利益をちゃんと出せるのだろうか。
http://mainichi.jp/select/news/20150127k0000m040075000c.html
サンデー毎日」の創刊は大正11年(1922)。週刊誌の歴史は「サンデー毎日」で始まった。

文藝春秋の敗訴が確定した。一審では幸福の科学の請求を棄却したのだけれど。
http://www.sankei.com/affairs/news/150126/afr1501260029-n1.html

大日本印刷とトゥ・ディファクトは、ハイブリッド書店サービス「honto」で、会員向けの中古買取サービスを開始した。買取の対象になるのは、中古本、CD、DVD、ゲーム。
http://www.e-logit.com/loginews/2015:012606.php

朝日新聞による慰安婦報道で「日本の国際的評価が低下し、日本国民の名誉と信用が棄損された」として、渡部昇一上智大名誉教授やジャーナリストら8749人が朝日新聞社に1人1万円の慰謝料と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150126-OYT1T50109.html

◎「ハイキュー!!」が映画化されると「週刊少年ジャンプ」が発表。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/26/news046.html

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3)【深夜の誌人語録】

誰かに評価されることは簡単だが、みんなに理解してもらうことは難しい。