【文徒】2015年(平成27)1月27日(第3巻16号・通巻461号)

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1)【記事】集英社が得意とする横串戦略
2)【記事】竹熊健太郎岡田斗司夫の「盗作」を告発
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.01.27 Shuppanjin

1)【記事】集英社が得意とする横串戦略

「セブンティーン」「ノンノ」の専属モデルでもあった桐谷美玲が「マキア」3月号に初登場した。「別冊マーガレット」に連載されていたマンガを原作とする「ヒロイン失格」では女子高生を演じるんだって。
http://kirei.mainichi.jp/kireinews/news/20150122dog00m100067000c.html
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp1-20150126-1426393.html
桐谷は「2014年 世界で最も美しい顔100人」に選ばれている。しかも日本人としてはトップの第8位だった。桐谷につづくのが石原さとみの25位だった。
http://www.danshihack.com/2014/12/28/junp/the-100-most-beautiful-faces-2014.html
また、集英社は「オレンジ文庫」の創刊で仕掛けた紀伊國屋・西武渋谷店を舞台にした「オレンジ書店」が大盛況だ!「メンズノンノ」のモデルが「書店男子」となって出迎えるという企画だ。
http://mdpr.jp/news/detail/1462739
集英社は縦割りではなく、横串をビシッと入れた企画が得意である。「少年ジャンプ」のキャラクターが女性誌の表紙を飾った頃からだと思われるが、今回も紹介したように女性誌の専属モデルがコミックスを原作とした映画の主演をつとめ、書籍部門での新しい文庫の創刊に男性ファッション誌のモデルを起用するということは別段、珍しいことではなくなってきている。
デジタルのマンガサイトで人気となった作品を男性ファッション誌に連載するという事例にしてもそうだが、こうした横串を刺しての編集部の枠を超えた発想が多いのである。これは他の大手出版社も、もっと学んだほうが良いのではないだろうか。

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2)【記事】竹熊健太郎岡田斗司夫の「盗作」を告発

おいおい今度は盗作疑惑かよ。竹熊健太郎ツイッターで暴露したのである。何と岡田の代表作といえる「オタク学入門」の盗作を竹熊は告発しているではないか!竹熊の次のような告発に対して岡田はしっかりと応答すべきである。筆をもって生きる者のそれが仁義というものだ。
岡田斗司夫氏の人間性については18年前から疑問を持っていた。彼の初期の代表作に『オタク学入門』があるが、これのマンガに関する章の9割が私が彼の東大講義にゲストで出て喋った内容なのだ。これを岡田氏は『竹熊さんの代わりに書いてあげた』と悪びれずに言い放ち、私に校閲までさせようとした」
https://twitter.com/kentaro666/status/558601072122417153
「当時、私は岡田氏を応援していた。なんと言ってもあのガイナックスを創業した人物だ。後になってガイナは岡田氏の力だけでつくられた会社ではないと分かったが、当時はわからなかった。単純に、オタクの利益擁護者として応援しようと考えていたのだ。だから、9割盗作されても彼を許してしまった」
https://twitter.com/kentaro666/status/558602453256372224
「盗作問題については腑に落ちないことがまだある。『オタク学入門』が出る直前、ロフトプラスワン岡田斗司夫主催のイベントがあり、私もゲストで呼ばれていた。岡田氏の東京大学講義で呼ばれた時にしゃべったマンガ史に関する話をやる予定だったが、当日になって、なぜか予定が消えていたのである」
https://twitter.com/kentaro666/status/558604276293836800
「当時は、せっかくロフトまで行ったのにプログラムから私の名前が消えていたことが腑に落ちなかったが、一応ゲストとして登壇はしたし、あまり深く考えなかった。しかし今にしてみれば、『オタク学入門』が出る以前に、そのマンガ編と同じ話をされたら困ると思ったのだと思う。狡っからい話である」
https://twitter.com/kentaro666/status/558605449621016576
「その後、私は岡田斗司夫氏と決定的に決裂するが、直接の理由はエヴァンゲリオン庵野秀明氏と私が交流を深めたことである。岡田氏には決定的にまずいことだったと思う。なぜなら、ガイナックスの人間関係に関して、岡田氏から聞いていた話とガイナの人から聞いた話が微妙に食い違っていたからだ」
https://twitter.com/kentaro666/status/558606992600616961
「要は、岡田斗司夫氏はかつての人間関係に関して虚実取り混ぜて語っていたのだが、そこには本当のこともあるし、嘘もあったということだ。それが本人に会えば簡単にわかってしまう。庵野氏に対しても、私は長い間『岡田フィルター』を通して理解していた。もちろん本人はそのような人間ではなかった」
https://twitter.com/kentaro666/status/558613129769144321
「当時私は庵野秀明監督に取材して『スキゾ・パラノエヴァンゲリオン』を執筆していた。岡田氏とも交流を持っていたが、岡田氏は何を狂ったか、私と岡田氏がエヴァ庵野氏の悪口を言って笑いあったとネットで書きふらしたのだ。もちろん事実無根。私は庵野さんの本を執筆中で、明白な営業妨害だった」
https://twitter.com/kentaro666/status/558614925782687744
「今思えば、私の講義を9割岡田氏の本に使われた時点で、中途半端に許さず徹底抗議するべきだった。その時点で岡田氏はまだ駆け出しライターで、それが物書きとして如何に許されざる行為か、よく分かっていなかったのかもしれないが、私も甘かった。結果として、私は舐められたのだと思う」
https://twitter.com/kentaro666/status/558616467990511616
今になって暴露する竹熊の悪趣味も指摘しておかなければなるまい。佐野眞一が「週刊朝日」問題を起こした際に、佐野の過去の作品について盗作疑惑があることツイートで告発した猪瀬直樹が気持ち悪かったように、である。

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3)【本日の一行情報】

◎雑誌も、書籍も底が見えないという出版マーケットにあって、コミックスは事情が若干、異なっている。当然、マンガを擁している出版社はコミックスの販売に関しては読者の関心を少しでも引こうと必死である。
例えば、講談社花田陵デビルズライン」4巻を1月23日に発売したが、アニメイトでは「安斎」、喜久屋書店では「ハンス(と止まれ)」、紀伊國屋書店では「安斎と菊原」、こみらの!提携書店では「安斎(と徐行)」、三省堂書店では「安斎(と木)」、ジュンク堂書店では「安斎と沢崎」のペーパーをプレゼントしている。
スクウェア・エニックスオノ・ナツメACCA13区監察課」3巻の発売に際してオノの描き下ろしPOPを、アニメイト三省堂書店ジュンク堂書店有隣堂、精文館書店、啓文堂書店の6チェーンのために用意。また有隣堂アニメイトWonderGOOではそれぞれポストカードを、ジュンク堂書店ではイラストペーパーをプレゼントしている。
http://natalie.mu/comic/news/136867
http://natalie.mu/comic/news/136861

◎下北沢のライブハウス「屋根裏」が3月31日をもって閉店する。
http://shimoyane.com/
渋谷から下北沢に移ったんだよね。渋谷にある頃はRCサクセションとかブルーハーツがオレたちを熱狂させてくれた。あの頃の渋谷のほうが、オレは好きだった。

◎マガジンハウスの「YUCARI」は18冊めになる。隔月のペースで刊行されている。ムックという位置づけだけれど、まあ隔月刊誌である。こういう刊行物こそデジタル戦略を真剣に考えて、従来型とは違ったビジネスモデルを構築できれば、これまでとは違った風景が見えてくるはずなんだよね。
http://magazineworld.jp/books/paper/8987/

◎紙の雑誌を購入すると電子書籍が無料で提供されるという講談社の新サービス「講談社デジタル本棚 codigi」がやはり話題になっている。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1501/23/news122.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ23HFL_T20C15A1TI0000/
http://www.fashionsnap.com/news/2015-01-23/kodansha-kodigi/
私が講談社の社員であれば、これをラノベで実施し、KADOKAWAの独占市場に待ったをかけるけれど。紙のラノベを買うと電子版が無料でサービスされる。別に講談社でなくても良いのだけれど、こういうことにチャレンジしてもらいたいものだ。

紀伊國屋書店仙台店は20日から、参考書売り場で「カゲロウデイズフェア」を実施している。「カゲロウデイズ」はKADOKAWAラノベだが、キャラクターを活用した中学生向け英単語帳が、ごく普通の英単語帳に比べ10倍近い売れ行きだったこともあり、このフェアを実現したそうだ。
http://www.yomiuri.co.jp/local/miyagi/news/20150123-OYTNT50134.html
http://www.chukei.co.jp/kagerou/

児童ポルノと知りつつ販売していた疑いでアマゾンが家宅捜査を受けた。
http://www.asahi.com/articles/ASH1S3CLGH1SOIPE006.html
アマゾンってちゃんと業界団体に入っているのだろうか?日書連なり、書協なり電書協なりに加わってもらいたいものだ。ちゃんと働きかけているのだろうか。

小学館電子書籍書店BookLiveで少女コミック、女性コミック10点の第一巻が99円となるフェアを2月5日まで開催する。
http://booklive.jp/search/keyword/t_ids/205497,234416,183386,234324,234329,183228,234334,205619,217919,183244

◎スピカが運営しているネイル写真共有アプリ「ネイルブック」が100万ダウンロードを達成。
http://shopping-tribe.com/news/14694/

◎「コミコミ」はauのEメールアプリ。マンガの吹き出しにメッセージを書き込んで送信できるというサービスだが、遂に集英社からパックの配信が始まった。第一弾に選ばれたのは「東京喰種トーキョーグール」、「キングダム」、「カッパの飼い方」の3作品で1パック200円。
http://natalie.mu/comic/news/136732

毎日新聞労組は池上彰、門田隆将、武田肇朝日新聞大阪社会部)を招いて公開シンポジウム「信頼される新聞とは」を開催した。
http://www.47news.jp/movie/general_national/post_11354/
門田は1月22日付朝日新聞の社説を踏まえて自らのブログで次のように書いている。
「昨日のシンポジウムでは、パネラーの武田記者の真面目で前向きな姿勢に、私は、朝日新聞の将来に若干の希望を持たせてもらった。だが、実際の社説とその論調を読むかぎり、朝日が『信頼される新聞』になる道のりは、極めて険しいと思わざるを得ないのである」
http://www.kadotaryusho.com/blog/index.html
一方、武田は次のようにツイートしている。
「だめだめぶりをさらし、会社の名誉を自らおとしめてしまったシンポジウムでしたが、記録としてツイートさせて頂きます。青島さん、非常にうまくまとめて頂き、感謝します。
朝日新聞問題:事実に謙虚な報道を 毎日労組シンポ - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20150125k0000e040097000c.html
…」
https://twitter.com/hajimaru2/status/559270874235166720
ところで門田は「帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い」(朴裕河朝日新聞出版)をどう評価しているのだろうか。そこら辺りを知りたい。これほど「慰安婦」問題が取り上げられているにもかかわらず、「帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い」は「政治」と「運動」に引き裂かれてしまっているように私には思えてならない。韓国ではバッシングされ、日本では無視されてしまった。
http://webronza.asahi.com/culture/articles/2014112000002.html

◎室蘭の「鳥辰本店」の焼きとりが「週刊現代」に取り上げられたことで、全国から注文が舞い込んでいるそうだ。「週刊現代」に限らず、週刊誌の影響力はもっと評価されても良いはずだ。
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2015/01/24/20150124e_01.html

◎「週刊実話」2月5日号の「セガ会長宅 銃撃テロ 『闇組織』」は読み応えがあった。里見会長の次女と今や衆議院議員となった鈴木隼人の結婚披露宴では里見家サイドの主賓は安倍首相であった。
「またお台場カジノでは、ライバル企業ユニバーサルエンターテインメント岡田和生会長の後塵を拝してきた。
それが岡田会長-石原慎太郎都知事の凋落で、里見会長-安倍首相というラインが大逆転を演じる」
http://wjn.jp/backnumber/detail/251/

◎函館の隣町である北斗市七重浜に「本を読まない人のための本屋」があるのだそうだ。店名は「wonderful world!」。
http://matome.naver.jp/odai/2142207086426564101
出版物をPOPに使うという方法はあるんだよね。ヴィレッジ・ヴァンガードなんかもそうだよね。それでも本が売れれば良いのだけれど。

◎森健が元朝日新聞記者の植松隆について次のように書いている。
「なぜ掲載前にしっかりと客観的な裏取り取材をしなかったのか。時間がたつ中で取材対象者の証言が揺らいで疑義が発生した際、なぜ再取材しようとしなかったのか。問題が広く認知されていく中で、なぜ放置し続けたのか──。
こうした問題を不作為で放置した。それこそが彼の最も罪な部分だろう。そうして時間がたつ間に、沈黙する彼に反発する形で稚拙な右勢力が増えていったからだ」
私もそう思う。
http://www.asagei.com/31410
サラリーマン根性から放置しつづけていたのかとさえ疑いたくなるもの。

◎「LaLa」3月号(白泉社)の附録は、「夏目友人帳」に登場するニャンコ先生のパスケース。これ良いね。
http://natalie.mu/comic/news/136928

宮脇書店名護店のベストセラーランキングの1位に新潮新書「沖縄の不都合な真実」が立った。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-237840-storytopic-6.html

◎出版科学研究所によれば2014年の推定販売金額は書籍が前年比4・0%減の7544億円、雑誌は同5・0%減の8520億円。トータルの推定販売金額は前年比4・5%減の1兆6065億円。10年連続の前年割れで過去最大の落ち込みとなった。
http://www.hochi.co.jp/topics/20150126-OHT1T50020.html
私が知りたいのはデジタルパブリッシング市場との合算である。

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4)【深夜の誌人語録】

個立できれば孤立など恐れずにすむだろう。