【文徒】2017年(平成29)年7月26日(第5巻139号・通巻1068号)

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1)【記事】主婦と生活社「ちゃんと」山岡朝子編集長の華麗なる転身
2)【記事】閲覧数が140万人に及んだ竹熊健太郎のツイート
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】主婦と生活社「ちゃんと」山岡朝子編集長の華麗なる転身

私などからすれば「ハルメク」よりも「いきいき」というタイトルのほうが未だにピンとくるのだが、「ハルメク」の編集長に主婦と生活社で「ちゃんと」(CHANTO)の編集長をつとめていた山岡朝子が8月1日で就任することになった。「ハルメク」は女性向けの直販の熟年誌である。
http://magazine.halmek.co.jp/info/2016/0322.html
主婦と生活社は7月25日午後9時現在で同社の採用サイトに山岡を起用したままである。
http://saiyo-shufu.jp/chief/yamaoka.html
こういう「だらしなさ」は経営者の資質を反映していると考えて良いだろう。ちなみにブログ「『すてきな奥さん』編集長・ヤマオカのプチぜいたくな日々」が終了したのは、途中、タイトルからヤマオカ編集長の名前は消え、「『すてきな奥さん』な日々」とはなったけれど、2015年7月29日のことであった。これは「すてきな奥さん」が休刊してから一年以上も経ってのことであった。
http://ameblo.jp/suteoku06/archive1-201507.html
主婦と生活社はデジタルシフトにも遅れた。主婦と生活社OBの指摘によれば「週刊女性」に優秀な人材がいたが、これに気がつかなかったのである。これも私に言わせれば経営者の責任と言って良いだろう。経営を支配している会長や社長は、出版の素人であることが主婦と生活社の悲劇である。

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2)【記事】閲覧数が140万人に及んだ竹熊健太郎のツイート

7月21日に放送されたスペシャルドラマ「ぼくらの勇気 未満都市2017」(日本テレビ系)は1997年の連続ドラマを20年ぶりに復活させたものだが、竹熊健太郎のツイートが話題になっている。
「帰国したらTLが『僕らの勇気未満都市』の話題で盛り上がってた。あれ、私も漫画家の永福さんも一銭ももらってない。あの番組に関しては釈然としない思いがある。製作途中でテレビ局から連絡があって、『竹熊さんの原作に似ていますが盗作ではありません』ってプロデューサーが言って来たんだものな」
https://twitter.com/kentaro666/status/888394488883716096
「脚本を送ってもらったら、設定だけでなくセリフまで同じで唖然とした。それで向こうが変なのは、『盗作ではない』と言って来たのに金を出そうとしたところ。しかし盗作ではないので、原作名は出せないという。それでブチ切れて『金は要らんから名前出せ』と言ったら名前だけ出て原作料貰えなかった」
https://twitter.com/kentaro666/status/888395877802328064
「後になって、俺が損しただけだと気がついた。名前出させたから、原作者公認になっちゃったからね。放映まで黙っていて、週刊文春に盗作疑惑が載る方が百倍面白かったな」
https://twitter.com/kentaro666/status/888396784233398272
「今回もプロデューサーをしている櫨山裕子って人と、もうひとり、櫨山さんの上司っぽかった日テレの人と一緒に小学館の会議室で会ったんですよ。『謝礼金は支払う、しかし盗作ではないの原作者のクレジットはできない』と二人が言ってくるから、『盗作ではないのに金を払うとは、どういう意味ですか?』」
https://twitter.com/kentaro666/status/888659724488523776
「と私は言ったんですよ。盗作ではないのになんで金を払うのか、その金はどういう性質の金なのか、二人は答えられませんでした。それで私が『お金は要りませんからテロップに僕と永福さんの名前を出してください』と言ったら、放映数話後に、突然『協力 竹熊健太郎永福一成』と名前が出たんです」
https://twitter.com/kentaro666/status/888660969995419649
竹熊によれば最初のツイートのRTは14000を超え、閲覧数が140万人を超えたそうだ。

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3)【本日の一行情報】

◎テレビアニメ「異世界食堂」は、もともとはWebサイト「小説家になろう」で人気を集め、主婦の友社の「ヒーロー文庫」から刊行されている同名のライトノベルが原作である。
https://mainichi.jp/articles/20170722/dyo/00m/200/012000c
異世界食堂」がヨドバシAkiba飲食店とコラボすることになった。
「今回のコラボレーションの対象となるのはヨドバシAkiba飲食の29店舗だ。本作の舞台となり、多くの客たちが訪れる『洋食のねこや』。限定の紙ナプキンが設置されるほか、そんな本店と異世界をつなぐ『扉』を模した非売品の“ネコヤの扉ステッカー”がプレゼントされる。さらにドヨウの29日(肉の日)店頭配布キャンペーンとして7月29日には7月29日、コラボ中の飲食店レシートをもって店頭スタッフに見せると先着で『A3番宣ポスター』をプレゼント。さらに、当日アニメイト秋葉原にて『異世界食堂1皿〜6皿』(Blu-ray、DVD)のいずれかを予約すると、「洋食のねこや」缶バッチもプレゼントされる」
https://animeanime.jp/article/2017/07/24/34727.html
TOKYO MXで放映されているアニメ「ナイツ&マジック」も「ヒーロー文庫」の作品だ。というよりも「ヒーロー文庫」で「初」のTVアニメが「ナイツ&マジック」である。これも「小説家になろう」から生まれた。
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1500777272

◎「週刊少年ジャンプ」34号は「週刊少年ジャンプ展VOL.1」開催記念号。表紙には本宮ひろ志男一匹ガキ大将」の戸川万吉、高橋陽一キャプテン翼」の大空翼車田正美聖闘士星矢」天馬星座の星矢が尾田栄一郎ONE PIECE」のモンキー・D・ルフィとともに描かれている。四人が手に握りしめているのは、むろんジャンプのシンボルマークである海賊マークである。
https://s.animeanime.jp/article/2017/07/24/34725.html

◎アマゾンは創業してから22年しか経っていない。1995年にネット書店としてスタートし、2004年に家庭用品やベビー用品、化粧品も取り扱うようになり、エブリシングストアとしての歴史を踏み出す。キンドルを投下したのは2008年のこと。アマゾンは短期間で世界を変えてしまった。「革命」を起こしてしまったのである。
https://www.businessinsider.jp/post-100341
アマゾンに対峙する場合、アマゾンを否定することが「反動」に見えてしまうということをしっかりと念頭に置く必要があるはずだ。

◎日販は、7月24日(月)より、幻冬舎と全国の取引書店の協力のもと、「蜜蜂と遠雷」(恩田陸)の増売に向けた日販オリジナルの店頭・Web連動企画「レビューコンクール」を10月31日(火)まで実施する。
日販が運営するインターネット書店「Honya Club.com」に「蜜蜂と遠雷」のレビューを投稿・シェアできる特設サイトをオープンし、投稿されたレビューの中から入賞作を選考し、入賞者に著者サイン本をプレゼントするレビューコンクールのほか、全ての投稿者の中から抽選で240名に、著者サイン本などが当たるプレゼントキャンペーンも実施する。特設サイトでは作中に登場する楽曲を試聴することもできる。
http://www.nippan.co.jp/news/mitsubachi_review/

◎「やりがい搾取」なんだよね。「ニューズウィーク」をリストラされ、IT企業「ハブスポット」(講談社)に転職したというダン・ライオンズの「スタートアップ・バブル 愚かな投資家と幼稚な起業家」は意外な拾いもの。鎌田慧の「自動車絶望工場」のIT企業版なのだ。儲かるのは創業者と一部の投資家だけという構造に鋭いメスを入れている。
http://bookclub.kodansha.co.jp/title?code=1000029189

白泉社の月刊少女マンガ誌「LaLa」で連載中の時計野はりの「学園ベビーシッターズ」がテレビアニメ化され、2018年に放送されることになった。
https://mainichi.jp/articles/20170723/dyo/00m/200/020000c

トーハンは、白泉社の「MOE」7月号の絵本特集と連動したオリジナル企画として、7月下旬より「大人からの絵本フェア」を全国約500書店で展開する。
http://www.tohan.jp/news/20170724_1028.html

トーハンエポック社と企画協力し、「アクアビーズ キラキラはじめちゃお!セット」をトーハン独占販売のMVPブランド商品として7月下旬より全国約1,000書店で販売する。
http://www.tohan.jp/news/20170725_1030.html

◎LINEは、特別企画「ONE PIECE連載20周年 LINE × ONE PIECE」を開始している。何と「LINE マンガ」では「ONE PIECE」1巻から60巻が2週間限定で無料試し読みできる「2週間限定60巻無料試し読み!」を実施中である。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2017/1817

◎大広は、2018年1月9日〜12日の4日間、アメリカ、ネバタ州ラスベガスで開催される、CES(旧:Consumer Electronics Show)で、日本を冠した企業の共同出展ブース「JAPAN TECH」のサービスパッケージの販売を開始する。
このサービスは、CES公認エージェンシーのクリエイティヴ・ヴィジョン、フィラメントとの3社共同で企画・開発をおこなっている。
https://www.daiko.co.jp/dwp/wp-content/uploads/2017/07/20170725f_release.pdf

◎AppBankは、マンガと、マンガを中心とした電子書籍に関する情報を発信するサイト「Denesy」(デネシィ)を配信している。アプリ「漫画プロジェクト」は、「Denesy」オープンに伴い、7月31日(月)をもって終了する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000352.000015054.html

◎京都トーハン会とトーハン京都支店による「こどもの本ブックフェア」が京都市左京区みやこめっせを会場にして7月23日から7月25日まで開催された。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20170724000025

竹久夢二と山本宣治が神戸一中の同窓であることは知っていたが、これは知らなかった。小学館の本と人をつなぐウェブマガジン「BOOK PEOPLE」に掲載された「中島京子の『扉をあけたら』」に「暗い時代の人々」を亜紀書房から刊行した森まゆみが登場。森の発言である。
「やっぱりユーモアは、闘う武器ですね。『Let's whistle under any circumstances』。丸山眞男の言葉だそうですが、どんな状況におかれても口笛を吹こうぜ、という気概が素敵じゃないですか。いまのようにちょっと怖い方向に動いている時代には、すごくいい言葉だなと思いますね」
http://bp.shogakukan.co.jp/mado/1708/interview.html

◎「弁護士ドットコムニュース」は次のように書いている。
天皇陛下の退位をめぐり、『自分の意志が曲げられるとは思っていなかった』などとする陛下の『ご発言』を大きく取り上げた毎日新聞。この記事について、チャンネル桜水島総社長ら11人が7月24日、宮内庁職員(氏名を特定せず)と毎日新聞社長、記者を国家公務員法違反(守秘義務違反)の共同正犯として、東京地検特捜部に刑事告発した」
https://www.bengo4.com/internet/n_6403/
問題となった記事は5月21日付毎日新聞に掲載された。
天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議で、昨年11月のヒアリングの際に保守系の専門家から『天皇は祈っているだけでよい』などの意見が出たことに、陛下が『ヒアリングで批判をされたことがショックだった』との強い不満を漏らされていたことが明らかになった。陛下の考えは宮内庁側の関係者を通じて首相官邸に伝えられた」
https://mainichi.jp/articles/20170521/ddm/001/040/176000c
宮内庁職員を共同正犯として刑事告訴したことの意味について考えておくべきだろう。

◎岡本勝人の「『生きよ』という声 鮎川信夫モダニズム」(左右社)を読む。吉本隆明との交流を踏まえて鮎川信夫の詩人としての本質に迫る力作評伝である。どうでも良い話かもしれないが、産経新聞東京新聞は書評で取り上げているが、朝日新聞は取り上げていない。
http://sayusha.com/catalog/books/literature/p9784865281415c0095
「正義と無智の/めくらのまごころ/洞窟の胎内のテロルの夢
死にたくないと雪が降り/生きたくないと樹は嘆く/残酷さこそ 愛なのに
狂い咲きの紅梅は/春の熱病をやんでいる/やさしさなんて罪なのに」
鮎川の「My United Red Army」である。

◎「大阪ほんま本大賞」は有栖川有栖の「幻坂」(角川文庫)に決定した。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/170725/20170725032.html

東日本大震災で被災し、仮設店舗で営業を続けていた釜石市の桑畑書店が遂に再建を果たした。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201707/20170725_33001.html
https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20170725_3
こんなツイートを発見。
「釜石の桑畑書店さん、復活。
イオンモールのさわやさんと競合せず、大槌の一頁堂書店さんと、共に、永続してほしい。
鈴子の仮事務所の前よく通った」
https://twitter.com/MobiusRebellius/status/889653884406255616
石井光太もツイートしている。
「震災から一年経たないうちに、拙著『遺体』のイベントを開催してくれた釜石の書店が、ついに再スタート!」
https://twitter.com/kotaism/status/889265137273667585

小松左京の「日本沈没」が七回忌を迎える7月26日に電子書籍として文藝春秋から配信される。
https://www.atpress.ne.jp/news/133789
ペンネームが右京でなく左京であったことの意味を考えても良いのかもしれない。親本の版元は光文社であった。

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4)【深夜の誌人語録】

成功を恐れよ!