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1)【記事】「週刊新潮」は何故にトーハンに激怒しないのか!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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- 2017.5.19 Shuppanjin
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三島由紀夫賞は宮内悠介の「カブールの園」。「カブールの園」の版元は文藝春秋。
http://www.shinchosha.co.jp/news/article/510/
折しも「週刊新潮」が「『文春砲』汚れた銃弾」を放つ前日の発表となった。SNSでは様々な投稿が乱れ飛んでいる。
「文春さんも悪いけど、今回ヤバいのは出版取次会社だよね…。守秘義務ってないのか…。そもそも週刊誌のヒトは、口の軽そうな相手からはどこまでも情報を引き出そうとするわけだし」
https://twitter.com/mx_x/status/865033282848571392
朝日新聞は「同社は『他社に関する情報なので配慮すべきだった』として、今後は取りやめることを検討している」と書いているが、トーハンは朝日の取材を受けた時点で事の重大さを殆んど認識していない。そこがいかにもトーハンらしく、私などは失笑を禁じ得ないところだ。
毎日新聞の小川一取締役は次のようにツイートしている。
「最近の週刊新潮はスクープ連発、闘志満々だと思っていたら、なんと週刊文春と大バトル。タブーなき闘いは大切。闘いがジャーナリズムを成長させる。ただ、メディア同士の闘いで熱くなりすぎて、闘うべき相手を見失わないようにしてほしいとは思う」
https://twitter.com/pinpinkiri/status/864583732946026496
「週刊朝日」元編集長の山口一臣もツイートしている。
「明日発売の週刊新潮で、例の週刊文春による中吊り盗用問題が。グラビア連動、本文10ページの力作です。探偵のような取材に加え、文春編集長への直撃もあって、なかなかの読み応え。ぜひ、お買い求めのうえ、じっくり読んでみてください。今週号は、他にも読みどころ満載でした!」
https://twitter.com/kazu1961omi/status/864806404296556546
「記事を読む限り『文春』は毎週、ライバルの中吊りを見られることに慣れきっていて、足跡(証拠)をいっぱい残してしまっていたような感じです。一方、盗まれた側の『新潮』の真剣で必死な取材(調査)ぶりとの対比が、元同業としては興味深かった」
https://twitter.com/kazu1961omi/status/864811272289701888
「週刊文春」で記者をしていた経験を持つ菊地雅志のツイート。
「私は週刊文春の元記者ですが、火曜日に新潮の中吊りを見てから、取材、執筆、校了するのは、余程の特殊な例を除いて、擁護ではなく単純に時間的に不可能です。問題はそこではなくて『ライバルの広告を見て自社の広告を差し替えられる』こと」
https://twitter.com/MasashiKikuchi/status/865073603116584960
ツイッターではトーハンに対して厳しい意見も散見される。
「秘密保持規定がないとか言ってるけどその前に同業者に同業者の情報渡すって業界的にアウトだったりしないん?出版業界のことなんかわからんけどトーハンって会社がダメなんじゃないのー?」
https://twitter.com/sksk318/status/865011344357040131
「結局のところ、新潮vs文春のスクープ合戦は業界モラルの問題になる。
でもトーハンの窓口は完全に文春サイドと癒着している。普通こんなことするか?
企業の情報管理の点からも異常だ」
https://twitter.com/sekazombi/status/865000027768332292
新潮社から「書きつづけて死ねばいいんです‐駒田信二の遺した言葉」を刊行している加地慶子もこうツイートしている。
「出版取次ぎ最大手トーハンの出版内容横流し事件、訪ねてきた週刊文春に、顧客である週刊新潮の記事内容を提供とは、いくら低俗週刊誌事件といっても、事実なら企業モラル以上の情報犯罪だ。これではその他の顧客情報漏洩も疑う。金銭等の利益授受は? 業界他、情報の集まる企業への不信にも」
https://twitter.com/twikeiko/status/864955600169385984
「週刊新潮」は刃をひたすら「週刊文春」に向けているが、トーハンが中吊り広告を文藝春秋の営業マンに渡さなければ、何の問題にもならなかったのである。「週刊新潮」はトーハンを批判してしかるべきなのである。こんなツイートに私は同意する。
「トーハン批判を避けてることに違和感を感じる。新潮はトーハン批判の記事も書くんだよね?」
https://twitter.com/belial_gogo/status/864992053003829248
「週刊文春」の新谷学編集長が「『週刊文春』編集長から読者の皆様へ」を発表し、「週刊新潮」に反論した。
〈「週刊新潮」等のメディアによる「週刊文春」の情報収集に関する報道についてご説明させていただきます。
まず、「週刊文春」が情報を不正に、あるいは不法に入手したり、それをもって記事を書き換えたり、盗用したりしたなどの事実は一切ありません。
私たちは毎週、締め切りギリギリまで全力で取材にあたっています。その情報収集の過程で、他メディアの動向をつかむことはしばしばあります。そうした「情報戦」は、さまざまな形で新聞やテレビなどのメディアも行っています。
「週刊新潮」の記事では、あたかも「週刊文春」が自らのスクープ記事を盗んでいるかのように書かれていますが、例として挙げられた記事においても、そうした事実は断じてありません。社会を騒がせている事件、人物等については、多くのメディアが当事者やその周辺を継続的に取材しており、その過程で他メディアの動向を把握するのは日常的なことです。ただし当然ながら、すべての記事は自らの手で十分に取材を行い、必要な裏付けが得られた段階で掲載されています。前述したように、取材はギリギリまで行っているため、締め切りにタイムラグがある中吊り広告と新聞広告でその内容が異なることは決して珍しいことではありません。
私たちにとって、スクープとは、極めて重い言葉です。それはまさしく他の追随を許さない決定的な独自情報を意味します。
「週刊文春」は、これからも読者の皆様に堂々と胸を張れる独自スクープをお届けすることをお約束します〉
http://bunshun.jp/articles/-/2567
こんな見方もある。
「新潮の中吊りを文春がコピーしてたという記事を冷静に分析
A.公開前の新潮記事タイトルをコピーしてた文春
B.公開前の新潮記事タイトルを文春に見せてたトーハン
C.公開前の内容について秘密保持契約を結んでなかった新潮
一般企業の感覚だとCがアホで、Bはマナー違反、Aは得した構図」
https://twitter.com/kutatyan322/status/865078127189303296
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2)【本日の一行情報】
◎山と渓谷社は、日本初の生物図鑑専門の電子書籍読み放題サイト「図鑑.jp」の無料お試しキャンペーンを開始した。5月15日から31日までの間に会員登録をすると、5月中の会費が無料となるというもの。コンテンツを提供しているのは、文一総合出版、全国農村教育協会、平凡社、山と渓谷社の4社に加えて神奈川県生命の星・地球博物館だ。
https://resemom.jp/article/2017/05/16/38121.html
◎主婦の友社が発行するライトノベル「ヒーロー文庫」の人気シリーズ「異世界食堂」は、2017年夏にTVアニメとして放送開始されるが、主要キャラクターが登場するキービジュアルが解禁された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000720.000002372.html
◎「ギンザシックス」にオープンした「蔦屋書店」についてCCCの増田宗昭社長が日経ビジネス編集長のインタビューに応じて答えている。
「どうやって書店のビジネスモデルを変えるかということです。書店に併設させて、ぼくら自身が経営するスターバックスコーヒー、アートの展示スペースなども合わせて全体で利益を出します。スターバックスも特別な仕様に変えています」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/051600092/?rt=nocnt
書店のビジネスモデルを変えるというのは、スタバで儲けることなのである。「蔦屋書店」は本質的に「本屋」ではないということである。本で人を呼ぶスタバである。
◎電通は、人工知能(AI)による広告コピー生成システム「AICO (アイコ/AI Copy Writer)」(β版)を開発した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017063-0517.pdf
◎電通が2017年2〜3月に20カ国・地域で実施した「ジャパンブランド調査2017」によれば日本への好意度では、タイ、フィリピン、ベトナムの3カ国が同率1位となった。また、中国では、三大都市圏(=北京、上海、広州)で日本は2位だが、地方の成長都市である新一線都市(=深セン、天津、重慶、蘇州、武漢、成都、杭州、大連、西安、青島)では日本が1位になり、今後訪日観光客のボリュームゾーンが三大都市圏からシフトする可能性が出てきたということだ。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017064-0517.pdf
◎電通デジタルは、サブスクリプション型プラットフォームを提供する米国Zuora Inc.の日本法人であるZuora Japanと業務提携した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2017065-0518.pdf
◎版元が文藝春秋なのが意外だった千葉雅也の「勉強の哲学 来たるべきバカのために」が5刷累計発行部数4万5000部と売れている。文藝春秋でなければ、こういうタイトルにならなかったに違いない。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163905365
千葉はカンタン・メイヤスーの「有限性の後で」(人文書院)の翻訳者のひとりである。「祖先以前性」ってやつだ。
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b211522.html
◎全日本広告連盟神戸大会が開幕した。
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201705/0010195379.shtml
日本宣伝賞の贈賞式も行われたが、正力賞を受賞した蓮見清一社長は会場に姿を現さず、同社の役員が代理受賞した。この役員によれば宝島社の企業広告はコピーを毎回、蓮見社長自身が書いているそうだ。「早稲田のレーニン」が本領を発揮するときである。
◎大宅壮一ノンフィクション賞が大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞にリニューアルされた。これまで47回を数えてきた大宅壮一ノンフィクション賞は歴史に終止符を打ったということなのだろう。大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞は「第一回」となる。
大賞が森健の「小倉昌男 祈りと経営」(小学館)が大賞に、菅野完の「日本会議の研究」が読者賞に選ばれた。大宅壮一ノンフィクション賞の雑誌部門はなくなったわけである。
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/ohya/
このリニューアルは失敗ではないのだろうか。少なくとも名称変更や選考方法の変更について納得できる説明が必要ではなかったろうか。そもそも「選考顧問」という言い方が私には理解不能だ。
http://www.asahi.com/articles/ASK3Y5JFJK3YUCVL01F.html
日本文学振興会にとって大宅壮一ノンフィクション賞が重荷になって来たから大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞にリニューアルされたのだろう。日本文学振興会を支える文藝春秋にとって大宅壮一ノンフィクション賞は出費ばかりが多く、何の見返りもなかったということだ。少なくとも芥川賞の場合は、受賞作が文藝春秋を版元とした作品でなくとも、受賞作は「文藝春秋」に全文掲載され、その号は売れるという恩恵がある。「賞」もまたビジネスである。
◎集英社の女性誌メディアネットワーク「HAPPY PLUS」(ハピプラ)が8,485万PVを突破した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000011454.html
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3)【深夜の誌人語録】
他力に依存はしないが自力が万能だと思ってはなるまい。過信は自信ではないのだ。