【文徒】2017年(平成29)年7月25日(第5巻138号・通巻1067号)

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1)【記事】日本新聞協会で事務局員による会計からの着服問題が表面化
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】日本新聞協会で事務局員による会計からの着服問題が表面化(岩本太郎)

日本新聞協会をめぐり1カ月前にも事務局内での日常的なパワーハラスメントが報じられたが、その同じ事務局を舞台に今度は「着服」の問題が表面化した。同協会は19日、事務局職員ら2人が2007年から2012年にかけて協会などの会計から計約4700万円を着服していたと明らかにした。毎日新聞は次のように報じている。
《協会によると、経理担当の職員が07年9月〜09年2月、自身の株取引の損失を埋めるため協会の会計から約3314万円を流用。別の嘱託職員も08年3月〜12年7月、協会が業務委託を受けている団体の会計から約1473万円を着服していたという。当時の事務局幹部ら3人は09年と12年にそれぞれの事案を把握。表ざたになるのを避けるため、民事訴訟刑事告発の手続きを取らないことを条件に金を返却させ、自主退職させていた 》
https://mainichi.jp/articles/20170720/ddm/041/040/190000c
『JCASTニュース』は同じく21日付の、「長年にわたり染みついた閉鎖的体質」などと題した記事の中で、上記の後段にあった「隠蔽」の下りについてもう少し詳しく書いている。
《当時の専務理事、事務局長、総務部長の3人は、表面化するのを嫌い、両件とも「民事訴訟刑事告発もしない」「公にしない」ことを条件に資金を全額返却させ、自主退職させていた。事務局内での処理にとどめ、理事会や会長には一切報告していなかった》
https://www.j-cast.com/2017/07/21303886.html
前記の通り先に発覚した事務局内でのパワハラ問題をめぐっては、事務局長だった國府一郎が責任をとって5月15日付で辞任。事務局職員2人にも懲戒処分が下ったほか、専務理事の川嶋明(去る6月の定時総会と理事会にて再任)も監督責任を問われ、処分を下されている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H8V_R20C17A6CR8000/
そして今回の着服問題は、パワハラ問題を受けて協会内部に設置された改革委員会(事務局と会員社で構成)による調査の過程で明らかになったのだそうだ。元事務局長の國府は《着服の隠匿にも関与していた》という。
https://www.nikkansports.com/general/news/1858430.html
上記の『JCASTニュース』や、協会自身が19日付で公表した報告書(公式サイト上には24日現在未掲載)にもあるように、一連の不祥事の背景に「長年にわたり染みついてきた事務局の閉鎖的体質」があることは、おそらくその通りだろう。
ただ、それを明らかにして正すのであれば、何も事務局自身も加わっているという改革委員会とやらの悠長な調査だけに委ねる必要はない。協会に金を払って加盟している会員の各新聞社が、普段から政府や行政に対するチェック機能を果たすために行っているという"調査報道"を、協会事務局に対して(上に紹介したような奥歯にモノが挟まったみたいな調子ではなく遠慮もせずに)独自にどんどんやっていけばよいのだ。

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

総務省が今月7日に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」などによると、今や「20代でも新聞は1割も読んでいない」という実態が浮かび上がってきているらしい。
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/seika/houkoku-since2011.html
http://www.garbagenews.net/archives/2153474.html#QQGnHKo.twitter_tweet_count_m

◎そんな若者の「新聞離れ」の実情を垣間見せてくれる(?)話題。毎日新聞に所属する30代の写真記者である後藤由耶が、彼も精力的に報じている反ヘイト運動に関わる知人男性のツイートを紹介。後藤曰く《新聞業界の人必読のツイート。これはけしてレアケースではないと思う》。
《新聞を買おうと横浜駅そばのコンビニに入った。朝日新聞と神奈川新聞をカウンターに出したところ、新人と思しき若い店員さんは新聞を開いたり閉じたりひっくり返したりした挙句、一言。
「神奈川新聞と...この朝日新聞ってのは付録ですね?」
世代的に新聞読んだことないんやろなー。》
https://twitter.com/yoshiyagotoh/status/888987956907724800
https://twitter.com/yoox5135/status/888986019630022656

◎新聞などマスメディア各社による調査とは対照的に、ニコニコユーザーを対象にした世論調査では、安倍内閣を「支持する」と答えた人は51.7%と、依然として過半数を維持しているらしい。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw2886556

◎21日に日本外国特派員協会で行われた、「国境なき記者団」事務局長のクリストフ・ドロワールらによる記者会見は大勢の記者が詰めかけ満席となり、急遽通訳もつくことに。会見の模様はOurPlanet-TV(通称・アワプラ)などで中継された。ただ、アワプラ代表の白石草によると出席していた記者はほぼ「フリーばかり」だったとか。
https://twitter.com/hamemen/status/888240800047316993
http://ourplanet-tv.org/?q=node/2154

◎その21日の記者会見には読売新聞の記者も来ており、《日本は民主国家で報道の自由も保障されている。だから心配は無用だ。しかし、いくらなんでも72位は低すぎる。判断基準に偏りがあるのではないか》と質問。これに対して「国境なき記者団」のドロワールは《多くの国で同じような指摘を受ける》としつつ、こう回答したそうだ。
アメリカ人からは『アメリカの報道の自由度が世界で42位なんてあり得ない』と言われるし、フランス人からは『フランスが39位はないだろう』と言われる。(略)自国のことだけでなく、他国の状況を正しく把握し、それと比較すれば、自国の評価が概ね妥当なものだということはご理解いただけるはずだ》
http://www.videonews.com/commentary/170722-01/
ちなみに、最下位は北朝鮮の180位で、中国は176位、ベトナム175位、キューバ173位、ロシア148位だし、日本に近い順位にはハンガリーや香港がいる。自民党が下野する直前が17位で、民主党政権時代が11〜22位だったのを考えると順位下落にバイアスがかかっている気はするが、嘆いたり憤慨するほどの低さではない。
日本における情報公開の遅れや異論を言わぬ文化は社会にいまだ根強いではないか。
そもそも「国境なき記者団」は反統制主義(反社会主義)のイデオロギー色が強い団体であり、岸信介の思想的な遺伝子を引き継ぐ安倍晋三に色眼鏡なのは当たり前だろう。
記者クラブを解散すれば順位は上がるけどね。

インプレスR&Dがグループ創設25周年記念企画として、同社運営の「著者向けPOD出版サービス」を利用してアマゾンで個人出版された紙の書籍のコンテスト「POD個人出版アワード2018」を20日から開催中。賞金総額は100万円。
https://open.nextpublishing.jp/author/
http://forest.watch.impress.co.jp/docs/bookwatch/news/1071382.html

◎インターネット上での誹謗中傷などの問題に取り組む一方、自らもネット上でバッシングを浴びてきた弁護士の唐澤貴洋への「なりすまし本」がKindle Unlimitedで2冊発売。唐沢は「私は1冊も出版しておらず、いずれもなりすましによるものだ。速やかな販売停止を求めたい」と『弁護士ドットコム』の取材に回答。
https://www.bengo4.com/internet/n_6384/

◎女子高校生たちの間では、マンガはアプリで「立ち読み」し、気に入ったら「ブックオフで続きを購入」というパターンが目立っていると、ITライターの鈴木朋子が報じている。
http://toyokeizai.net/articles/-/181101

ドトールコーヒーが先月末に池袋の駅ビル「Esola池袋」でオープンした「梟書茶房」について、『東洋経済』がドトール会長の大林豁史に取材。今後については《新たな引き合いがあり、梟書茶房は複数店を展開するブランドになると思う。違う本屋さんとも組んでいきたい》などと抱負を語っている。
http://toyokeizai.net/articles/-/181516

◎光文社の「美人時間ブック」より、女性向けの旅情報メディア『旅MUSE』がプロデュースした紙の書籍『MY TRAVEL RECIPE 私らしい旅のつくり方』が18日に発売された。『旅MUSE』は人気のインスタグラマーたちが海外の旅先からの旅行記を写真で綴るウェブマガジンで、今回の書籍ではパリ・ロサンゼルス・ニューヨーク・ハワイの4都市を特集している。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334979355
http://tabi-muse.com/
http://www.jiji.com/jc/article?k=000000009.000012050&g=prt

◎瀬戸内海に浮かぶ香川県・豊島の産廃不法投棄事件をめぐり、行政や排出企業を相手に約30年に渡る住民運動を続けてきた「廃棄物対策豊島住民会議」の元議長・砂川三男の語りをまとめた書籍『よっしゃ、やらんかい』がこのほど発売された。瀬戸内環境問題やまちづくりに取り組むNPOアーキペラゴ」理事の山下ナミが自費出版のうえ自らのブログを通じて発売中だ。
https://twitter.com/yamashita73/status/861210501715443712
http://73edit.com/category/news/
http://www.alterna.co.jp/21934

◎米ラスベガスで開かれる世界最大の家電見本市「CES」に出展する中小企業やベンチャー企業への支援サービスを大広が始めた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ21I8J_T20C17A7TJC000/

◎神奈川県相模原市にあった「津久井やまゆり園」での殺傷事件から明日26日で1年を迎えるのを前に、「知的障害者が発信する日本で初めてのインターネット放送」を謳う大阪市のネット局「パンジーメディア」が独自制作した番組「相模原事件から1年 当事者はいま」を公開した。
http://pansymedia.com/
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2017072102000001.html
http://www.asahi.com/articles/ASK7D2V5CK7DPPTB004.html

◎九州北部豪雨で被災した福岡県朝倉市で、被害の大きかった同市内の杷木地域を放送エリアとする臨時災害FM「あさくらさいがいエフエム」が21日より放送を開始した。
http://www.city.asakura.lg.jp/www/contents/1500696361495/index.html
http://news.nicovideo.jp/watch/nw2886795
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170722/k10011068681000.html