【文徒】2015年(平成27)10月20日(第3巻196号・通巻641号)

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1)【記事】雑誌情況への提言 外資系雑誌社のデジタルシフト効果
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言 外資系雑誌社のデジタルシフト効果

客 一昔前は雑誌広告の世界でも大手出版社が圧倒的な存在感を見せていたけれど、最近は、昔のような勢いがなくなったよね。
主 例えば大手広告代理店と雑誌社の広告取引額を見ていると、昔とは違う風景が見えて来る。10年前であれば、女性誌の世界でも小学館集英社講談社を中心に動いていたけれどね。まあ集英社は現在も頑張っている。広告代理店サイドのランキングでいえば、多くの広告代理店でトップは集英社ということになるのかな。
客 集英社に対抗するのが光文社という感じだね。
主 確かに光文社は頑張っている。しかし、電通などの場合、集英社につづくのは光文社じゃないと思うよ。恐らくハースト婦人画報社じゃないのかな。
客 エッ!ハースト婦人画報社なの?!
主 部数的に言えばハースト婦人画報社の雑誌は大したことはない。ABC公査も受けていないという意味ではアウトサイダーなんだけれど、まずもってグローバルブランドは、そう判断しないらしい。むしろ、日本の他の雑誌に比べて、デジタルシフトも進んでいるし、使い勝手が良いと映るんだろうね。コンデナストジャパンもそうだよ。ハースト婦人画報社の「エルオンライン」なんか物凄い勢いで広告売上を伸ばしている。
客 ハースト婦人画報社といっても、ベースは婦人画報社だろ。婦人画報の体質って、そんなに革新的ではなかったのに、変われば変わるものだ。
主 アメリカ本国からの指示もあってデジタル化を強力に進めることになったんだと思うよ。アメリカの雑誌ビジネスは今やデジタル抜きには語れないからね。最近「PLAYBOY」がオールヌードをやめて話題になったけれど、これもウエブとの連動を考えた結果さ。今後、デジタルを制することなしに雑誌ビジネスを成功させることはできなくなるんじゃないだろうか。日本だけが世界の例外になるということはあり得まい。
客 それでも紙だという原理主義者が日本では多いような気がする。
主 10年後の後輩たちを想像するのであれば、デジタルシフトは避けて通れないと考えるのが普通でしょ。それをネグレクトするってことは、自分のことしか考えていないんだと思うよ。未来に対する責任感を放棄しちまっているのさ。

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2)【本日の一行情報】

◎「30代からのポッチャリメンズファッション&ライフスタイル誌」を謳う「Mr.Babe」は月刊化を目指すという。大手では絶対にできない企画だ。編集長はアウトロー誌「MEN'S KNUCKLE」の初代編集長をつとめた倉科典仁だ。倉科は「excite」の取材に応じて次のように語っている。
「独自に調査した結果、男の"ポッチャリ"は女性から悪印象を抱かれていないという事実がわかってきました。特に30〜40代の女性の半数は、"ポッチャリ"に抵抗感が無いようです」
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1444898618009.html

◎もともとは校閲専門会社の鴎来堂が神楽坂にカフェとギャラリーを併設した書店「かもめブックス」を神楽坂にオープンしたのは昨年のことであったが、今度は誰でも本屋がつくれる仕組として選書・注文から在庫管理や、販売ノウハウ提供までを揃えたトータルサービスを提供する「ことりつぎ」をスタートさせた。文字通り「小取次」である。
http://kotoritsugi.jp/
http://kamomebooks.jp/

朝日新聞ツイッター記者も、やはり驚いているようだ。「萌えキャラ」を使った「聞かせて天声人語」。「我が社の方向性に一抹の不安を感じる。もっとほかにやることあるでしょう」とツイートした記者もいたそうだ。「週刊文春」が春画を掲載するよりも、「猥褻」だと私などは思ってしまう。
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1444881350712.html

世界文化社が「インド映画完全ガイドマサラムービーから新感覚インド映画へ」を刊行。多くのインド映画の字幕を担当して来た松岡環が監修しているそうだ。版元が私には意外であった。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000009728.html

アメリカに拠点を置くBuzzFeedは現在、イギリス、オーストラリア、ブラジル、カナダ、ドイツ、スペイン、フランス、インド、メキシコと9ヵ国に進出しているが、日本のようにYahoo Japanとジョイントするというケースは他にはない。むろん、その狙いは「広告」にある。「Tech Crunch」は次のように書いている。
「Yahoo Japanと連携することにより、同社の広告ネットワークを活用することができるのが、BuzzFeedにとっての大きな魅力となる(Yahoo Japan本体だけでも月間600億のページビューがある)。BuzzFeed Japanでの広告についてはYahoo Japanが独占販売権を持つことになっている」
http://jp.techcrunch.com/2015/10/17/20151015youll-never-believe-who-buzzfeed-japan-just-hired/

オーバーラップ文庫の「灰と幻想のグリムガル」(十文字 青 イラスト=白井鋭利)がテレビアニメ化される。
http://grimgar.com/
オーバーラップはメディアファクトリーリクルートからカドカワが買収する際して、これに合流しなかったメンバーによって創立された小学館系列の新興出版社である。

◎イタリアの雑誌「CASAfacile」は3Dプリント用のデータを「付録」にしているそうだ。
http://www.roomie.jp/2015/10/293209/

イオングループ未来屋書店が、福岡市の天神地下街に、文具・雑貨のセレクトショップFutura(フーチュラ)天神地下街店」をオープン。「Futura」は未来屋書店の都市型戦略業態。2013年3月に「ペリエ海浜幕張店」を出店し、2014年8月に「赤れんがテラス店」(札幌)、2015年9月に「パセオ店」(札幌)を出店しているから、これで4店目となる。
http://ryutsuu.biz/topix/h101617.html

◎米グーグルがオンライン図書館プロジェクトのもと大量の書物を無断で電子化し、インターネットで閲覧できるようにしたことは著作権侵害に当たるとして、米作家協会と複数の書籍の著者がグーグルを訴えていた裁判で、ニューヨーク連邦高裁は、グーグルの行為は著作権法に違反せず、公共サービスを提供するものだとして、原告の主張を退けた。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/16/google-books-idJPKCN0SA2GO20151016

インプレスは「いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本」の発売を記念して、著者の宗像淳と亀山將を講師にセミナー「まだ間に合う!コンテンツマーケティング“スタートダッシュセミナー」を11月6日(金)に開催する。
http://venturetimes.jp/venture-news/7852.html
オレ、ビジネス書を読むのが苦手なんだよね。

博報堂行動デザイン研究所の調査によれば日本人は、シンガポール、クアラルンプール、バンコクジャカルタホーチミンシティというアセアン5ヶ国の主要都市在住者に比べ、クリスマスやハロウィンといった欧米由来の行事の参加率が高いのだそうだ。
http://www.hakuhodo.co.jp/archives/newsrelease/23456

酒鬼薔薇こと元少年Aが有料ホームページを開設した。「元少年Aの“Q&少年A”」として、読者の質問に答えるというスタイルのもの。月額購読料は800円。
http://www.asagei.com/excerpt/45184
しかし、スタート早々にアカウントが凍結。元少年Aは次のようなお詫びを発表した。
「10月12日に配信を開始したFC2ブロマガ『元少年Aの〝Q&少年A”』のアカウントが凍結されました。
アカウント自体が凍結されているため、何の操作も行えず、現在為す術がない状態です。
大変お手数ですが、ブロマガをクレジットカードによる自動引き落とし設定で購読された方は、速やかに自動引き落とし設定の解除をお願いいたします」
http://www.sonzainotaerarenaitomeisa.biz/fc%EF%BC%92%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%82%AC%E5%87%8D%E7%B5%90%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%AB%E3%81%B3/

◎10月18日にTBSでスタートした深夜番組「東京EXTRA」は、グーグルとコラボすることで「世界同時ライブ」を実現している。スポンサーは全日空だ。
「TBSテレビ(関東ローカル)では生放送、同じ内容を『英語版番組』にしたうえで、動画配信サイト『YouTube』の生中継サービスである『YouTube Live』を使ってライブ配信する」
http://toyokeizai.net/articles/-/88615

小学館の女性ファッション誌「CanCam」の塩谷薫編集長の発言。<私の尊敬する方が、「大事なものごとというのは、『自分からやりたい』というものではない。でも『やってくれ』と言われたら絶対断るものではない、神聖なものだ」と仰っていたんですね。私にとっても『CanCam』の編集長は神聖なものなので、私に依頼されたのは本当に有難いこと、と思い、引き受けました>
http://www.womaninsight.jp/archives/171982

小学館女性誌6誌が働く女性を応援する「しごとなでしこ」プロジェクトの一環として、働く女性がリアルに体験して、キレイ&前向きになれるポップアップストア「BITEKI BEAUTY CLOSET」を「美的」の完全プロデュースにより期間限定で表参道にオープンする。
http://www.biteki.com/article/2015/10/19/140633/

小学館は『小学一年生』90周年を記念し、 学習雑誌、「図鑑NEO」、「クラフトぶっく」、「キッズペディア」さらに 「国語辞典」など、小学館児童書群のコンテンツが一堂に会するイベント「『小学一年生』90 周年こどもまつり」をイオンの協力のもと、全国七か所のイオンモールで開催する。
http://family.shogakukan.co.jp/sho1_cover/90th_event/index.html

◎米アマゾンは「金銭と引き換えに4つ星や5つ星の良い評価や商品レビューを行っていたウェブサイトの運営者」を訴えた。
http://jp.techcrunch.com/2015/10/17/20151016amazon-files-suit-against-individuals-offering-fake-product-reviews-on-fiverr-com/

◎マンガ「銃夢」(集英社)がハリウッドでジェームズ・キャメロンがプロデューサー、監督はロバート・ロドリゲスで映画化されるかもしれない。
https://gunosy.com/articles/aOIv5

◎「SEALDs」の渋谷での街頭イベントにラップグループ「スチャダラパー」も参加した。
https://www.youtube.com/watch?v=2z28YBH7JvI
http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/18/suchadara-sealds_n_8324428.html

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3)【深夜の誌人語録】

夢を見つづけられるのは、夢に愛されている証拠である。